2012年2月 6日 (月)

「平清盛」 #5 お茶の間で見られない大河

   NHKスタジオパークで歴代大河のお宝映像を見て帰ってきて、大河視聴の意欲を盛り上げてきたおかあさんです。

   やっぱり大河は日本の誇る歴史ドラマだわーと、TVの前に陣取って今週も見ます、今回は清盛君が海賊退治のようです。
   「海賊」と聞くと「追捕(ついぶ)」と続くのを予想してしまうのですが、作品中では「海賊追討」と言ってました。たぶん歴史用語的には、「追捕使」なんて役職が律令制であるらしいんで、どっか歴史関係で引っかけて覚えてたようです。お小さい方もご覧になるので、TVでは「追討」にしてるんでしょうか。とりあえず、ATOKでは「ついぶ」では変換してくれませんが、追討は第2候補ながら出てきます。「追捕」と「追討」ではどう違うかって、捕まえて裁判を受けさせるか、問答無用で討っちゃうかのちがいですかね ? そこまで厳密な語意の違いからではなく、比較的一般的な単語だから耳で聞いて解るってのが大きいのかな。

   ああそうそう、忠盛さんちはまた子供が生まれたそうです。名前は平五郎。「3人目なのに五郎なの?」と弟の平次くん(今は家盛)はいぶかしげ。宗子ママは「3と4はよそんちにいるのよ」と意味ありげに忠盛パパをみやると、なんか居心地悪そうに目を逸らす。そういうベタな芝居がうまい貴一。ふうん、愛人さんもいるのね、それなりに。
   お庭で素振りをしてその家族団らんに入れないでいる清盛に、おまえも抱いてやれとやっとパパから声がかかります。一度となく遠慮する清盛、やっぱりこの家はおまえの家ではないのか。微妙だよなあ。乳兄弟とか、乳母子(めのとご)とか、そういう幼なじみ兼側近ってのは付けて貰ってないんですかね? 時代ものだとアリだよね? 腹心で、苦労を分かち合って。ほんと、心の兄弟。そう、勝っちにとってのロクちゃんのような(一昨年の大河参照)。あ、とりあえずバイジャクの家貞くんは後見なんだそうです。いや、そういうオトナじゃなくて。小十郎じゃなくて成宗よ(今度は「独眼竜政宗」参照)。スズキ丸くんがそうなのかな? もういないの?
   最近の大河では必ずいた、主人公の庶民的なお友だちスタンスのひとって、あれはやっぱり意味があって存在してたんですねえ。オトナの論理に傷付く主人公の心をぶちまける相手になってくれて、視聴者に心情を伝わらせる糸電話役になっていたんですね。
   まあ、そんなの無くても清盛くんは今日も吼えたりして気持ちをぶちまけてくれるわけですが。

   今週は猫出てきたから点が甘いよ。

   北面の武士としてのお仕事中、猫を捕まえたところが、そこへストーカーw義朝がやってきて、絡んでくる。それをみて、華麗なるデビューを先週飾った佐藤GOウエスト義清が家へ誘ってもっと感情を出せ、と友情ぽいことしてくれる。そして、三者三様の「野望」をいだいているのがわかる。同時代に若者だった有名人3人の青春ドラマふうな絡みが意外と面白かったかな。ゲンミツには史実ではこんなに交流してないのかも知れませんが、そこは、「新選組!」でもあったじゃない、ぎりぎりフィクションならやってもいいウソのうちじゃないかなあ。

   とむ影さんから「北面野武士って何人ぐらいいたんでしょう?」との素朴な疑問を振られて、おかあさん適当に「さあ、20人? 100人?」て答えちゃいましたけど(その適当さをなんとかしろ)。
   令外の官(りょうげのかん:律令に定められていない、平安期に必要に応じておかれた役職。テストに出ます。あと、令外の官の実例は蔵人とか、検非違使とか)ですんで、定員とかの規定はとりあえず法制上はないです。ウィキペディアは、1118年時点で1000人超えてたとかいう実例を引いてきました。なんか、軍事貴族(いわゆる血まみれ系の源氏や平家、西行みたいな藤原氏系もいたらしい)が一族まるまるやってたのもあって、人数は意外といたらしいですね。スポーツ・チーム程度の規模のエリート・ガードだと思ってたわたしがバカでした。でも、それの筆頭ってなら、パパも清盛もすごい! ってことになりますね。

   って、眼を離した隙に、ロイヤルパートは凄いことになってました。また璋子ちゃんが鳥羽院を傷つけたらしく、今日は雨の中狂乱してました。吼えてた? 
   「もう、この院がおいたわしくてならん。はやりのネトラレを大河でやるとは今年のNHKはスゴイ
   早乙女家のリヴィングには豹太が御飯食べに下りてきてました。虎美はパソに向かって、ながら視聴。ネトラレてのは、「寝取られ」。今どきはなんでも省略、簡略化して、言葉の持つ意味やらイメージをおかるく、取り上げやすくしちゃうのはいいのか悪いのか。とりあえず、愛する女性が他の男に操を奪われてしまう状況として、簡単に類型化され、そういう趣向もあると認識されるほどに身近な感じに一部世界ではなっています。流行りかどうかは知らんけど。
   母は仔猫ちゃん達に解説しつつ画面を見やると。
   そこへ通りかかる第3の美女(ちょ、1はともかく2は誰やねん?)。美福門院得子ちゃんです。帝(ってことは崇徳帝)への入内を打診されている姫君ですが、
   「同じことをやってやる!」と言ったかどうか。
   まさか、上皇が、NHK大河で、やるとは思いませんでした。

   「おい、寝取られ返しだ。これは凄い。お茶の間で見られない大河だ」

   凍り付いたリヴィングを解凍するために、おかあさん空気読まない風を装って暢気な声を上げましたです。

   いや、ここ最近のご清潔な大河をぶっ壊してくれて面白かったですけど。かならずしもわたくしがどろどろした愛欲の世界を大河ドラマに求めているとか言うんじゃなくて。

   たしか雨のお庭で押し倒しておったはずなのに、ことが終わると(ちゃんと自分で服を調えている院~ッ! ああいうひとは事後も人に服を調えて貰うもんだと思ってました)、ちゃんと室内にいる、院も、得子ちゃんも白絹の小袖(下着!)姿で、白がまばゆい! 
   「入内のこと、無いと思え」云々、これであなたは帝の元へは行けない身とええと、……完遂宣言? ところが、途中、抵抗をやめた得子ちゃんも然る者、
   「これで終わりですか?」と意味ありげな目つきで挑発。
   鬱屈した想いを帝のものになるはずだった女(=自分)にぶつけて終わり、ではなく、永続的なことにしてしまえ、というのです。貴男の心の傷は解る、それを、この身で受け止めさせて欲しい、と。
   ずっと、自分のものにならぬ璋子ちゃんばかりを追っていた院は、まともに向き合ってくれる女性と出逢ってしまったのでした。

   「もっと、汚してください」だっけ?
   きぃええ! 言ったよこのお姫様!
   「そなた……」
   あっけにとられながら、その首をおずおずと抱き寄せる院、もう目が離せなくて!

   「ああ、もう、清盛はどうでもいいッ! この可哀相な院だけ見るッ

   2ちゃんでスレッド立ってました。「鳥羽上皇は寝取られカワイソス」って。みんな心を一つにしている(笑)。

   えーと、主人公の方は、賑々しく海賊退治に出発していきました。なんか、オジサンから苦い本音をぶつけられて嫌な想いもしたらしいよ。
   留守宅では、弟が、なんでお兄ちゃんがいるうちにお嫁に来たんだよと突っ込んで宗子ママに聞いてました。和久井映見は全部聞いて、そういう貴一パパの妻になりたいと思った、とか語ってましたかね。可哀相だた惚れたてことよ。憐情は恋情が眷属なり。沙翁:サー・ウィリアム・シェイクスピアも言ってます。たぶん、泣きながら自分を押し倒した院に身を任せちゃった得子ちゃんも、似たような感じだったんじゃないの?

   そういう感じで、乱れまくっとる平安の世も末感がよくでておる「平清盛」、もう、はまったら抜けない泥沼感でございます。だがそれがいい。

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2012年1月30日 (月)

「平清盛」 #4 あがいております

   先週はよんどころない事情で見られませんでした。留守番の虎美に聞いたら、
   「今日も泣いてた
   ああそうですか。

   それでも今週も見ると。
   「ねえまだチンピラみたいよ」
   虎美辛辣です。
   今週はいろいろな功績から貴一パパが殿上人になるという回でした。
   「『てんじょう』なの? 『でんじょう』だと思ってた」
   「ああいうのは濁らないのがルールだ」
   高校の漢文で「王者(おうしゃ)に擬す」ってのを「おうじゃ」と読んで、
   「なんでも濁って読むのは田舎ものだよキミぃ」と皮肉っぽく漢文の先生に言われたトラウマがまだ後を引いているおかあさんでした。
   「ケイオーは『陸のおうじゃ』じゃないですか!?」
   魂の叫びはやっぱり出しておけばよかったかな……。高瀬先生はもう彼岸へゆかれたのでしょうか。
   「御殿場の『てん』だ。あの字は濁って読むばかりじゃない」
   一晩経ったらやっと思いつきました。

   清盛はやっぱりまだこ汚いです。ただ貧乏っていうんじゃない汚し具合。お袖の辺りとか、破れて、垂れ下がってる。歴代大河で言うなら、織田信長の若い頃みたいなスタイル。武士として史上最初の殿上人の息子というならそれなりのパリッとした恰好をしていて欲しいものです。簡素なりに糊の利いた大紋とか、直垂を……経済力はあるのが下層貴族、受領階級なんじゃないの? ああ、お歯黒平家とはちがって、血まみれ平家の皆さんは経済力はないのか。その辺考察の上のことなのかも知れません。
   清盛じしんは北面の武士になったとかで。原っぱで弓の稽古を弟としてたり、バリバリ武闘派の面ばかりが強調されます。
   「かっこよくないよね」
   「ああ」
   虎美は「篤姫」からなので、大河というと絢爛豪華なお衣装を結構期待してるかも知れません。あれは、尚五郎ちゃんもそれなりに良いもの着てましたもんね。

   「おかあさん、イケメンが出た!
   それよりおかあさんは女房の和歌にダメ出しをして直させちゃう武士がいるのに驚いた! 何様! その「乱れて今朝はものをこそおもへ」って、百人一首のアレ、待賢門院堀川の歌じゃん!(画面は見てなかったが、役名と言い役職と言い、ああ、歌人のあのひとなんだなと初回から予想はしてたあのひとだったのであろう)
   その大胆素敵な武士は名を問われ、
   「佐藤……義清」と。
   「西行じゃん! 虎美、これ、出家前の西行! たしかになんかイケメンがやるって書いてあった!」
   虎美さっとパソコンを操作してNHK公式から大河のキャスティング見に行った! 
   「藤木……直人?」
   「そうだよ! おかあさん好きなんだ!」
   これは楽しみですね。
   「清盛の親友だって」
   「……それはフィクション」まあそれくらいの潤いはないと。このオリジナル・エピソードじたいは、ちょっとやりすぎと思いましたけど。史実ならそれなりの説話集とかに入ってるはずだし。「百人一首一夕話」とかね。

   先週から、栄達する平家に比べだめだめな自分の一族を思って鬱屈する源氏の為義くん、なにごとか思いついたらしいですが……。

   殿上する貴一パパを闇討ちのようです。白、赤と重ね着した小袖の上に黒の束帯姿がカッコイイ! これは殿上人の制服。黒一色に織りだした文様が映えますし、お襟元からだけ見える白と赤のコントラスト! 考えた人は偉い! ……けど、
   「ヒゲ剃れよな……」ほとほと参る、心を挫かれます。
   「ねー」
   背後から近寄るくたびれた感じの為義君。おまえ、そういうこと考える時点でもう負けてるよ。王道ちゃうよ。負のサイクル入っちゃってるんですね。
   それを待ち受け、冷静に理を以て諭す貴一パパすごい! 
   「王家の犬でいようとは思わぬ!」
   でしたっけ? うまく撃退した後も、門の所で待ちかまえる清盛(あんまりこきたない恰好をしているので、通行人役の浮浪児かと思いました!)、
   「いつから考えておられたのですか!?」って。それに笑顔で返すパパがもうカッコイイ! 清盛はもうどうでもいい、限界状況でベストを尽くしつつ上を見据え続ける忠盛パパを見ることにしよう!

   あ、義朝も、不遇なりに麗しかったかな。清盛だけがお顔も残念、コスチュームも残念。

    

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2012年1月16日 (月)

「平清盛」#2 武士とはなにか

   高平太なる通称は史実に乗っ取ったものだそうで。こりゃ脚本家さんには失礼しました。まあ、姓+産まれ順てのはふつうだな、中国でも元二なんてのが漢詩のタイトルに残ってるし。源九郎ってのもすぐ後に出てくるし。

   てなわけで、王家に禍を成す子で犬の子の平太くん、やんちゃ不良少年的に育って第2回が始まりました。やっぱあれですかね、最近の若い人の流行を取り入れていますか、すっきり清げにしないのがお洒落? まじめないいこちゃんは自然じゃないってのかしら。自分は実の父に捨てられ平家に拾われた子と思って育つと魂の軸がすっきり決まらないから風体も汚らしくなるとでも言いたいのかしら。

   一昔前なら、そういう心に鬱屈を抱えた少年なら、なおのこと周囲のものに愛されようと優等生的に育つもんだと思ったけどなあ。内面の葛藤は出さないのが美学。まあ、それも昭和の美学かもしれません、平安末期ぐらい世が混沌としておると、心の持ちようもいろいろ歪んでくるのかな。

   歪んでる人代表:伊東院。

   漁網を燃やすって、どんな呪(まじな)いかと思ったら殺生を禁ずるためにその手段であるところの網を燃やして消してしまうという論理のようで。おまえは綱吉か。生活の手段を禁じて取り上げてしまうとは綱吉より酷いか? 生類憐れみの令のときは築地はどうだったんでしょうね、お魚は対象外?

   祗園女御聖子が歌ってました。……なんか初回に聞いたときニューミュージックというかJ-POPふうのメロディだと感じたのはこのひとに歌わせるためだったのかなあ。和風の音階という感じがしなかったです。歌詞の切れ目の、「あそびをー、せん、とやーうまれーけむ~」という「せん」で一度切る感じが、今の、歌詞がとんでもねえところでフレージングするJ-POPを思わせたのかな、と。どっちにせよ、流行らせようとしても絶対歌ってやるものかと心に固く……誓ったけど、もしかしたら来週辺りには口ずさんでるかも。終わりそうで終わってない曲の締め方はまあ日本の歌っぽかったかな。

   当然あるべき家督相続への疑念は出てましたね。平家の血は一滴も流れてないのに嫡男として元服させるの? って。その辺は貴一パパ、キッチリと平家の子と明言してくれてました。平家の支配下の海の民の子ども達と仲良く育ったようでなにより。

   実の父が身近な人々:平家の郎党を苦しめる悪政を布いている院と知り、会いに行く平太。この辺最近のどの大河もフラットですよね。お千代もおかつもお江もすんなりVIPに会いに行って真意を確かめられるんだなあ。うらやましいよ。そこで、伊東院からおまえは王家に害をなす子と言われたので流せと命じた、それなのに母が勝手に産んだ子と断言されちゃうんだ。「それ、同じその場で我が殺せと命じ、殺した」云々。ここ、先週のあの事件と同じ場所だよねと娘と話し合ってたら、ちょうどそのための場面設定だったのでした。平伏して地面に付いた手がぎゅううっと握られて……でも、そこで堪えない、吼える吼える。

   最近の大河って主人公が良く泣きますよねえ。いや、昔からかなあ。ケンワタナベも目を剥いて叫んでたかもなあ。

   「泣かせないと主人公の気持ちが表現できないなら脚本家やめろ!」

   ……わたしじゃないです。虎美(芳紀15)の言葉。いやー演劇部副部長は言うねえ。

   そんで、なんだかかぶいた(時代錯誤!)恰好のママ元服して、伊東院や宮中の方々の前で青海波を舞うというのでしっかりTVの前に腰を落ち着けてみたら。薄化粧して現れた平清盛は美々しい公達! やった! でも、あれれ……?

   ……青海波ならあの同心円の模様出してくれないとなあ。

   ……あれって剣舞なんだっけ? 一人で舞うの?

   なけなしの平安の知識を総動員してブツブツ言ってるおかあさんです。

   やや心許ない感じで舞い始めた平太あらため清盛、舞ってる間に怒りがこみ上げてきて、剣を取り落としてしまう、そしたら、どこからか(なんか屋根の上にひとがいた模様。テロリストですか?)剣が投げ込まれ、これは先週から出てきた中国伝来の剣。両刃で、あからさまに日本の太刀とは違った拵え。

   その剣を使って舞いを再開……したところが、とうとう怒りを抑えかねて振りを逸脱、激しい剣舞になってゆくのでした。そして、ついには舞台を飛び降り伊東院に駆け寄り剣を一閃! ……欄干で止めましたけど。

   おまえ、それは制止されるだろうよふつう。SPはなにやっとる(いませんから)。

   「ハガレン(鋼の錬金術師)の、ブラッドレイ大総統に斬りかかるところ思い出すよねー」
   「うん」

   「面白き趣向であった」云々、顔色も変えずに院は言って退出。大ごとにならなかったのでした。

   屋根の上で見ていたのはライヴァル源氏の御曹司のちの義家。剣を投げ入れたのは彼ではないはずですが……

   「面白い」と、笑ってました。これから彼との御曹司の友情を育んでいくのでしょうか。

   昭和の時代だと平清盛について印象って、武士ながら藤原氏の真似をして、外戚政治を真似ようとして院政期になんとか貴族の末席に入り込み、後鳥羽院をうまく利用し、利用されて栄華を極め……たところが本分を忘れて貴族、藤原氏に成り代わろうとしたところで世の人々の反感を買い、源氏に滅ぼされたというイメージ。勝者によって書かれた歴史に拠っておりますから、負けた平家はどこかが悪かったわけよね。そこが、「驕(おご)る平家は久しからず」の名コピー。平家は驕ったのだ、驕ってはいけなかったのに。なぜ驕ったのか、驕るとはなにか。武士だったのに藤原氏と同じことを図ったから。武士ってなによ? それはもとは平安初期の子だくさん天皇の子孫が皇籍を離れて家臣となったもの、地方に下り、武力をもつ勢力の旗頭になった……って、それ国司任官ですから、表向き公務員、ちゃんとした下級貴族の枠じゃないの?

   高校ぐらいで詳しく歴史をやりますと、平家にも血まみれ平家とお歯黒平家がおりまして。ちゃんと貴族っぽく、地方には代理人をやって京都を死んでも離れなかった(かは知らないが)平家もいて、そういうお歯黒平家も(光源氏とかから見れば)下の下ながらちゃんと平安末期まで生き延びていたと習います。「平家にあらずんば人に非ず」ってい言っちゃったのはこっちの方。奥さん、時子さんやその妹、滋子ちゃんの家はこういうお歯黒平家。それが、院の妃、ひいてはその産み参らせた帝の妃もうちから出して、また国母になった、太政大臣も出したってならそりゃ我が世の春だよなあ。道長じゃないが、欠けたとこないフルムーン。ずっと京都にいて摂関家ってものを身近に感じてきたお歯黒平家こそそう思ったことでしょう。

   でも、清盛はちがうんでしょ?

   保元平治の乱を生き抜いて、親子兄弟も血で血を洗う戦で失ってきた血まみれ平家の方です、彼は。地盤である西国の海の民とも仲良くしていて、やっぱり大陸との交易が国を富ませると解ってる。そのために、今まで誰もやってこなかった事業を興して成功させる……。

   この物語では、「王家の犬」というキーワードを初回から繰り返すことによって、そういう血まみれ平家、武士というものの地位向上を成し遂げたのが清盛だと持っていきたいようですが……。

   清盛=伊東院の落とし胤だし。

   平安貴族の雅の象徴のような、「青海波を舞う」なんてことやっちゃう、できちゃう公達だし。

   なんか違うんだよなあ。
   いやいいのか、院の隠し子だけど、貴族の論理で生きる子ではない、そのための「王家に仇なす子」宣言。薄化粧してちんたら舞うなんてことできない、やっぱり親の敵を目の前にしては心穏やかではおれない武士のプリンスということだったのか。

   そういう少年/青年時代を経て、血まみれ平家から、院の寵愛(多分にギヴ&テイクの合理的結びつきであろう)と経済・軍事力を武器に貴族と肩を並べられるように雅方面/政治家としての立ち回り方の知識も吸収して台頭した、と持っていきたいのでしょうか。

   平家=京都に残る=腐った貴族と馴れ合って台頭=貴族化→没落

   源氏=東国で強固な武士団を形成=支持基盤を固める→台頭

   という対になった図式をかつては覚えさせられたような。

   でも、この作品ではそうではなく、清盛も血まみれ平家で、西国で精神的紐帯に結ばれた仲間を持っておって、院の政治に批判的な目を持っておるというふうに描いてゆくのでしょう?

   それゆえのこ汚い御曹司姿なのだなあと、なんとか理性をなだめております。

 

   ……ってところ。それにしてもなんか最近の大河になってきたよう。おいおいおいおいと突っ込みたくなる細かい逸脱。そこが、どうもこちらの好みとずれていて、わくわくしない、冷や汗出ちゃう。腹を落ち着けて考えないと、物語の言いたいことが解らない(すいません、お昼にここにアップした原稿随分修正しました)。さあ、来週はどうしよう……。

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2012年1月 9日 (月)

「平清盛」! 今年の大河はよい大河……?

   何ヶ月ぶりの「大河」カテゴリでございます。「天地人」は途中で空気化。「龍馬伝」は虎美に視聴を拒否されて1、2度しか見ておらず、「江」は蕁麻疹が出るほど毛嫌いしてたので、もう「大河」カテゴリ消しちゃおうかと思ってたんですが。
   とりあえず消さなかったってコトで察してください。今年はいいかも!
   以下、暇な方だけどうぞ。

   平清盛は題材として面白いんじゃないでしょうか。戦国と幕末しか最近なかったですからね。吉屋信子様の「女人平家」以来、意外と平清盛ってそんなに悪いやつじゃなかったんじゃないかと思い始めておりますし。最近の研究でも、復権してきてますよね? 大陸との交流を図ったとかで。

   今回はドラマストーリーも買わずに虚心で臨みましたよ、初回。

   出だしは1185年でした。最近は鎌倉幕府のはじまりはこの年となってるそうです。年号暗記は「イイクニ作ろう鎌倉幕府」じゃなくて、「イイハコつくろう~」。国から箱へ、ランクダウンですね(違う)。なんでこの年なんだろう、地頭を置くことを許されたからだっけ? と思ったら、鎌倉でお寺の柱を立てる記念の日の式典に出ていた頼朝に、知らせが届きます、「壇ノ浦にてお味方大勝利、平家は滅亡!」ああ、それでこの年が起点なんだ……。
  吉報に勇み立つ源氏の郎党、口汚く敵、平清盛を罵る声に、つい、頼朝はたしなめる声を上げてしまいます、「違う! 清盛が居たから武士はここまで来られたのだ」
   偉大なる敵として過去を回想する頼朝が、物語の語り手のようです……。
   ここんとこ、知らせを持ってくるのは北条政子なんですが、眉毛がなくて、うわー今回は服装考証しっかりするんだなーと思いましたです。毛皮の行縢(むかばき、自動的に変換してくれたよ)っていうんですか、袴の上に垂らす毛皮のカヴァーリングを穿いてて、うわー地方武士のお転婆姫様なんだなーってカンジ。頼朝も、今セットしたばっか! って往年の時代劇のありえない美々しさとは一線を画した汚しっぷりで、ああ、鎌倉武士なんだなーと一目で理解しました。今年はこの線で行くのね。

   時代が変わります。盗賊退治に駆り出されている平氏一門。へえ、中井貴一がパパなんだ? 若呼ばわりされてますが、中井貴一の実年齢で武家の若君はきついな。そんで、キレイにおひげ剃って着飾ってるならまだしも、無精髭に時代を出した(着古し感を出すためにストーンウオッシュしたとかどっかで苦労話拾ったよ)お衣装では、むさいです。厳しい。とても、法皇のご寵愛の女性を賜る(これくらいの歴史ネタはお勉強しなくても入ってます)ようなキラキラしさはないよ……。

   盗賊にはおまえも血にまみれる仕事、と問題発言され、意気揚々と都に凱旋しても貴族には「血まみれで出歩くな」と顔をしかめられ、若き貴一パパはしょんぼりしています。武士が血まみれで悪いか! と川で水浴びしてますと、行き倒れの若い女を拾うんですな。それが舞子ちゃん。白河院の子を宿して追われていると源氏の為義が世間話に教えてくれた噂の白拍子でした。もしや、と振り返ってみたらもう産んでるし! 厩で! おまえはキリストか!? 出産したてで頭に血が上っている舞子ちゃんは心中しそうになるし、「母なら自分が死んでも子を守れ!」とかつい言っちゃって、若き貴一パパはお尋ね者の母子を匿うことになっちゃうのでした……。

   どうよこの新設定?

   「だめだ今年もスイーツ!
   おかあさんTVの前から去りそうになりましたけど。

   伊東四朗の白河院が凄かった。ラスボス感ハンパないカンジいえ、その、「物語の最大の敵であるような尋常でない威圧感が出ていました」。
   養女であるところの時の天皇の妃が体調不良なのは、この舞子が身ごもっている子のせいで、これは王家に禍をなす子であるという陰陽師の進言により、舞子は追われたそうなのですが。いやそれべつに理由あるだろ。日本史の周知のタブー、「白河院は自分の養女に手を付けていて、それを孫の妃にした、でもその後でも続いていて、鳥羽天皇の子、崇徳天皇は実は白河院の子である」。この大河でもバリバリにそれを押さえて進行してます。
   登場シーンから、寝込んだままの妃(待賢門院璋子)に手ずから花を折る帝がもういいひと丸出し。でも水仙はどうかな、病人には匂いがきつくないかな?
   ところが、数年して、おまえの所も子供がいい時分になったから退位ね、と伊東院が宣告にくる。平安中期から、天皇は幼稚園児ぐらいでなるもの、ハイティーンで退位、あと自由の身、ということになっています。政治はじいちゃんがしてくれます。藤原時平とか道長の頃は母方の藤原氏が、この伊東院の頃からは、父方の、今まで藤原氏に牛耳られていた天皇家の方が。自分もそうやって、まだパパも若い頃から天皇にして貰った鳥羽帝ですが(まだ今上! でもめんどくさいから諡号つかっちゃう!)、いやーんな気持ちが萌しています。そこへ、その今即位を決められた親王がご機嫌伺いにやってくるのです。
   「手習いがうまくできたからパパにおみせしたいの」
   「くるしゅうない、おいで」と許すと、親王はまっすぐひいじいちゃんである伊東院に行っちゃった! 子供ってザンコクに正直ですね。
   噂は本当であったか!
   帝は蒼白。周囲はオロオロ。伊東院はしれっとしています。
   そのあと、帝は虚心に花を摘んでいます、今度はなんやしらん菊科の花ですね。そこへ、薄暗い室内で、璋子ちゃんが坐ってます……背後に伊東院いますね。後ろから抱いてる。「わしのたまこ……」静かな、しかし、執着の籠もったいやらしいヒヒ爺声です。そして、そっとその手が胸元に入る……と同時に横抱きに押し倒す! おおーッ! と思うと場面は切り替わり、いいひと鳥羽帝が花を引きちぎる乱心シーンへ……。

   ギリギリながらすごい狂気の伝わるシーンでした。性暴力シーンを極力排除するお行儀の良い最近のNHKが良くやったと思いましたよ。

   そんで、いろいろあって引き取られた清盛(平の長男:太郎であるから平太と幼名を付けられた模様……白拍子なのに子の付く名前とか、この脚本家はネーミングセンスがイマイチ)は出生の秘密を知り、「強くなれ」とパパに言われて立つ……といったところ(おかあさんはしょりすぎ)。

   貴一パパは舞子ちゃんにきついことを言われ、それでも舞子ちゃんに惚れて「妻に貰いたい」と申し出る所まで行ったのに、世間的には「院に取り入るために院の隠し子を貰った」なんて言われる。目の前でその舞子ちゃんを院の指図で殺されたのに!(血を忌む前振りがあったのにそれはどうよとわたしは全身で突っ込んだ)。それでも平太を実の子として7つまで育ててきたのに、そこまで言われるか。継母宗子がいかんかったな。次男の平次が怪我したからって露骨に「何をした!?」って、おまえ、今の今まで実の兄弟として仲良く育っておって害意のないのを知らなかったのか。継母というのはそこまで目が曇るものなのか。世の中のママ母の方に失礼であろう。

   そこを、「惚れた女の産んだ子だからおれの子」とかスィーツな理由付けをせず、「平家の子として貰ったからおまえは平家の子、今のおまえは平家に飼われる犬にすぎない、強くなれ」と言える貴一パパ=平忠盛はうまいと思いましたけどね。

   そして、耳を疑った予告編の「海賊王におれはなる」台詞が出るのですが(正確にはそのまんまではないらしいのですが)。

   ところどころ引っかかるところはあるにせよ、伊東四朗と中井貴一が頑張ってるので次も見ようかなと。

   ただ、前半までは「今年の大河の脚本家は歴史を知らないと時代考証担当が泣いた」というネットの噂もむべなるかなと肯いてたんですけどね。そこら中で、日本の時代劇で「王家」って言葉はどうよという突っ込みがあったらしいですな。研究者業界ではアリらしいです。そう言われると許したくなるおかあさんは権威主義と。

   細かいことですが、松田聖子と双六遊びをしているとき、
   「次に平太が12を出せば勝てるよ」とパパが言った後、平太がホントに6のゾロ目を出して勝ってしまうシーンがありましたが、そこで、
   「舞子は双六がうまかった」とか言うなら、
   「畳六(じょうろく! = 6のゾロ目来い)」と言って欲しかったかなあ。これ、双六でのキメぜりふっぽいそうですから。

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2011年11月29日 (火)

いざというときに出るのがたしなみ

   たしか「徳川の女人たち」吉屋信子で見た話。

   将軍が4代目の家綱になった頃の火事といえば、振り袖火事で良かったんでしょうか、江戸城も被災して、将軍もお女中たちもみんな西の丸かどっかに着の身着のままで焼け出され候。それでも頑張った賄い衆、なんとか御飯だけは炊いて届けたけど、お膳とかは持ち出せなかったので、ただおひつに白い御飯がどん! 

   どうするよ?

   将軍も、お上臈も、お腹ぺこぺこ、、
   「くるしゅうない、皆々食すがよい」なんて言ったんだけど、さすがに上様の御前で手づかみは、ねえ(賄いもせめてお握りにして出せ)。皆々顔を見合わせてもじもじする中、あ! と思い当たった一人のお女中が、懐に差し挟んだ懐紙を出して、それに御飯を一口分よそって、口元に持っていったと。
   それがまあなんともスマートだったんので、我も我もと真似をして、なんとか人心地付いたって。
   それで、天晴れな嗜み、と最初のお女中が直じかに褒められて、
   「そなたの機転か?」と確認されたところ、
   「今は大奥を引退された××尼様に、懐紙はどのように使っても良いと教えを受けましたので」 と言上したそうな。
   「なんと、××尼ならそう言ってもおかしくない! 嗜みのあるお方であった!」となるという、ヒロイン××尼上げなエピソードでありました。まあ、着の身着のままでも懐紙は懐に入れてるってそのお女中も偉いわよね。え? 当然?

   今で言うなら、サランラップをお皿に巻いて、洗い物を少なくしたり、炊き出しのお握り握ったりってとこよね。
   まあ、ヒロインの××尼様は学校で教わるような歴史では出てこない方だから(余りにもスキャンダラスな身の上なので)、エピソードなんかも伝わってなくて、そこら辺は吉屋氏作り放題だっただろうけど、ゆかしい嗜みと臨機応変の柔軟なお心が偲ばれるいいエピソードじゃございませんの。

   この作品では、「枕草子では青海波の模様が一番! って言われてたっけ」と、青海波の打ち掛けに釣られて女装するとか、豪華絢爛の大奥の皆さんに張り合うために、モノトーンの打ち掛けを作らせたりとか、そういうセンスの良いエピソードが満載で(たぶん「大奥」@よしながふみのモノトーンお着物の元ネタもこれだろう)、非常にうっとりしたものでした。どうせ捏造でエピソード入れるなら、これぐらいしてほしいものよ。

   大河ドラマ、最終回近くは見ましたけど。
   ほんとうに、もう、なんというか、今度から歴史物に興味のない人に脚本を書かせないでください。時代劇というのはああいう世界観の中で新しさを出すとか、その人らしさを出すというマゾ的なところを楽しんでいるので、わたし歴史は知りませんからと言って現代のふわふわした甘ったるいドラマの感覚を持ちこまれると非常に困ります。

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2011年4月 1日 (金)

とうとうNHKが立った!

   視聴率の低下という目に見える反響に、とうとう「江」にてこ入れが入るそうです。

   秀頼役の子役に子供店長投入!

   さらに、歴史を知らないと豪語される脚本家のサポートとして、御大ジェームス三木を関ヶ原周辺にピンポイント配備。合戦の政治的描写はお任せして田淵さんはお姫様パートに専念してもらうそうで。

   いやーこれはもう、ネタとして物語の行方を見守りたいですね。

   ……カレンダーをご覧下さい。いかんな、願望かいちゃった。

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2011年1月24日 (月)

大河 どうにかならないんでしょうか?

   いやもう去年から大河はやめてるんですが。歴女の端っこに名を連ね始めた虎美が、見てみるって言って日曜8時にTVの前に正座したものだから。

   ……開始20分でのそのそ奥の部屋へ移動してしまいましたが。

   ねえ、あれはどうなの、とても大名の姫君と思えない、いつ見ても取っ組み合いの姉妹喧嘩してるし口汚いし食べながら出歩いたりしてお行儀悪いし。言葉遣いが余りにも現代的なのは脚本家さんが現代劇しか書いたことないからなの? 見る方を初心者と想定してるからなの?

   「のだめ」のときは役作りでああいう舌足らずなしゃべりなのかと思ってたんですが、将来の天皇の祖母たる方が(ネタバレ)あんなおつむの足りないようなしゃべりというのはいかがなものかと。もともとなんですかアレは!? 大河でヒロインを張るなら滑舌を練習させてください!

   大河は川の流れのような大きな歴史のうねりの中の人間を描くドラマ枠なんでしょ? こっちは現代劇とは違った世界観を期待して見てるんだから、余りにも現代劇と変わりないところを見せられると興ざめなんですけど。上下関係に無頓着すぎるとか。それなのにお衣装だけ派手だし。

   でもまあ、一応つけておいて流し見程度にはしてますので。もしかして「篤姫」みたいに最後にはやられた! ここまで我慢してきて良かったと思うかも知れないし。初回ジジイ過ぎる! といってバッシング一色だった館ひろしの「あぶない信長」も、次第には「もう彼以外考えられない!」と毎度楽しみになっていたように。

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2010年3月14日 (日)

「龍馬伝」土佐は進歩的だったんですねえ

   最近は情熱を失ってしまって、ほとんど見てなかったんですが、今日、大河ドラマを冒頭だけチラッと見たら。

   龍馬さんのおうちで家族がお食事の模様。大きな声で話題をリードしているのは龍馬さんのご姉妹で、どうやら結婚されている方のようですが、嫁ぎ先の悪口を延々……。

   土佐って、民主的なお土地柄だったんですねえ。

   家族の男女が一緒に御飯を食べられて、食事の時に大きな声で世間話ができて、しかも、嫁ぎ先の、お姑さんや旦那さんの悪口!

   叱られないんだ?

   このように進んだ土地柄が維新を進める原動力であったのでしょうか。家族みんなで大きな声で和やかに会話をしながら食事なんて、アメリカのホームドラマの洗礼を受けた戦後経済成長期を経てからのことだと思っていました。蒙を啓いてくれてありがとうNHK!
   大河ともなれば時代考証が付いてるはずだし。歴史的なこと以外でも、まさかホームドラマの手法そのままに描くわけないし。脚本家の方はきっと歴史ものとかにお詳しいはずだし。ドラマだからってまさかいい加減なことはすまいと……。まさか見てる側のレヴェルに合わせたとか言わないでしょうね。

   だめだ、自分で書いてても胸が悪くなってくるイヤミだ。

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2009年2月 3日 (火)

「天地人」 麗しの貴子様が猫を捕る!?

   大河もちゃんと見てますよ。

   原作よりもっと遡って、樋口与六ちゃんが喜平次ちゃんの近習に取り立てられるところから始まってるから、かわいい与六ちゃんを満喫しました……?

   あざといかな? 戦国武将の幼年期で泣き顔が可愛いってどうよ? わたしは認めたくないな(じっさい可愛いけれど、今と違う価値観を求めて大河を見ているのに、偉大なことを成したひとの幼少期が泣き虫ってのは有り難みが失せます)。

   まあ、ああいうのはやっぱり周りの大人の思惑なんだなあ。若様につけておけば将来出世できるかもという重臣ズのご子息と、見込みのある若いのの青田買いという2本立て。またそれが若様が元服する頃には揉める元になってるんだろうなあと。
   そういうわけで、別に「銀河英雄伝説」みたいに、少年の頃に運命的に出会った相手に仕えていっしょに出世して天下を手に入れる……的な出会いじゃあなかったみたい。ちょっと拍子抜け。与六ちゃんは、わりかし無名ではあるけれど見所のあるお侍の子で、謙信公(当時はテルトラさんかな?)に見いだされて喜平次ちゃんのお付きに取り立てられたらしいよと。

   前置き長っ。

   ヒロインはお船たんです。これが常盤貴子様。わたしが様付けする女優さんは彼女ぐらいです。あのくっきりした目元や、頬から顎に書けての線、お肌の感じ、全てが理想です。彼女がヒロインなので今年も有り難く見せていただきます。
   お船たんはイトコらしいのですが、ややお家柄は向こうが上。暴れ馬を取り押さえるというじつにおてんばで大胆素敵な再登場をしてくれました。泣き虫の与六ちゃんのパートナーとしてはこれでいいのかなと思いますです。
   そのお船たんに、主君であるむっつり喜平次くんが想いを掛けているらしいと知って、ニセ手紙でチャンスを作ってあげたり、でも失敗して落ち込んだり、どうもお船たんは与六くんの方を好いていてくれてるらしかったり、でもそんなの気がつかなかったりとじつに可愛らしい青春でもうおかあさんほっぺが筋肉痛(微笑ましい方面にあまり笑いすぎると引きつりません? わたし、子供の運動会のときになりました)。

   本題に参ります。

   その貴子様が、この日曜に仰るには、
   「わたしはぬこを捕らねばならぬ

   はぁ~?
   何をいきなり?

   ネットというか、2ちゃんねるの方で、いっぺん、「ねこ」を打ち間違って「ぬこ」と打ってしまったひとがいたとかで、猫の丸まって眠る様子に見た目似ていることと、ミスタイプを面白がるネット文化から、ねこのことを「ぬこ」と表記するのがその辺のならいになっているとか。……とりあえず、うちの旦那様は「今日会社の前にぬこがいた」と普通に仰います。でも、いくらなんでも大河ドラマで貴子様が言う台詞ではないでしょう?

   良く聞いたら、
   「跡取り娘ゆえ」って、ああ、それは「婿を取る」ってことか。そりゃそうだな、原作でも、いっぺんなんかいいところの若いのと結婚してたよ。
   それで、自分の気持ちにまだ気づいてない与六改め兼続くんはしどろもどろになっていて、何か感想はと言われて「お幸せに」と明後日の方向の答えを出してお船たんをいらだたせてたりして。嗚呼。

   「でもこのあとだーりんは死んじゃってお船たんは未亡人になるんだよ~」とネタバレすれば、もうドラマストーリーは全部読んだ娘は、
   「知ってるもん! そんでカネツグと結婚するんでしょ!」

   ああそれなのに、真田の忍者の初音たんまで出てきて、兼続くんの心はどっちに行こうというのでしょうか?

   「旦那様! 常盤貴子様が今日大河でぬこをとると申しておりました!」
   「?」
   「でもそれは聞き違いで、跡取り娘だから婿を取るという聞き違いでした!」

   休日出勤で深夜帰宅の旦那様はがっくりと首を垂れておられました。受けなかったか。

   「だいたいぬこを捕ってどうするの!?」と娘がいきり立ちますので、
   「それは、カンブクロに押し込んで山寺の和尚さんに売りに行くと、高値で引き取ってくれる。和尚さんはそれをぽんと蹴りゃ、ニャンと鳴~く~♪」なんて口から出任せ。

   幼い頃には何をするのだと思ったものでしたが、その僧侶はインテリだったのですね、蹴鞠の心得があったのだなあ(でも虐待だ)。

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2008年12月16日 (火)

「篤姫」 とうとう貫き通しました

   終わっちゃいましたね。
   最終回、TV前に正座した娘によると、
   「オープニングのテロップが違うの!」?
   表現力がねえよこいつ。
   忍耐強く聞き出すと、いつもは映像の上に文字が静止して現れ、切り替わっていくのに、最終回はロール状に書かれたキャストがどんどん流れていったそうで。
   「最終回は登場人物多いから、そうじゃないと時間内に流しきれないのだ」
   「そっかー
   回想シーンすごいよ! 家定様、家茂様、幾島」
   「おいおい幾島死んだっけ?」
   「死んでないと思うけど……」
   「生きた状態では再会しないということか」と、もう始まる前からわいわい。オープニングがいつもどうだったか覚えてる程度には真剣に見てたんだなあ、虎美も。

   明治維新が成ってから、ドラマは急ぎ足。徳川家の領地を召し上げるからには薩摩も天皇に藩をお返しするべき、と尚五郎ちゃんが進言。版籍奉還はホントにこのひとのアイディアなんですかい。おとなになった小松帯刀はホントに維新の立役者。
   「帝の直参になると言うことです」との台詞に、  
   「じきさんってなーに?」と虎美から質問。
   「旗本だ。チョクの家来だ」
   よしよし、おかあさんこんな会話を子供としたかったんだよ。ようやく夢が叶ったというなら、「篤姫」を評価すべきなのでしょうか。
   ♪ for my dreams fulfill~,
     O my Atsu-hime, I love you……? 

   待て!

   病気の帯刀、なんだかんだいって最終回まで生き残り、病床でお近さんと愛人さんが鉢合わせたりして笑わせといて、いよいよ臨終です。やっぱりヘタレで、泣いてはドジョウ、じゃない女房を困らせております。いいのか、あんたはそれで。
   「主人公みたいに」とわたくしが鼻を鳴らしますと、
   「主人公でしょう!?」と娘がいきり立つのです。
   「タイトルロール(題名役)は篤子たんじゃないか。いや、W主人公? 裏主人公か」
   「うん、裏主人公」
   なら言っといてくれないと。
   主人公の、時代の変わり目に立ち会った立派な女性と、彼女を昔慕っていた維新を支えた青年との一生ってさ。
   でも、これはこれで面白い描き方だったですよ。
   ヘンにおてんば姫みたいにしなければもっと良かったけど。
   おてんば姫じゃなくっちゃ、中級藩士の子息とは接点ないしな。
   必要悪であったと。

   

男性が優しい時代を反映して、尚五郎ちゃんも、そして家定さまも、能力はあるけど心優しいひとでありました。頼りなさ、物足りなさは感じましたが、それはそういう仕様だったということで、最後まで見たからには頷けます。向かっ腹が立っても、やきもきしても、それも作品に心を奪われたと言うことで、終わってしまえば、天晴れ、プロデューサーというお釈迦様の手の内。

   今年も楽しい経験をさせて貰いました。

   最後まで独自の路線の本寿院さまも、憎たらしさは相変わらずで、
   「ババァ! 時代が変わったことを解れよ!」
   「ねーっ!」
   勝海舟から鮭と酒を貢がれて、
   「食い意地張ってるな、恥を知れよ!」
   「そーだよねー!」と、物語の中の自分の役柄を弁えた名演技で。ホントに見てる方は心を一つにしましたよ(笑)。

   晩年、勝海舟に案内させていろんなところへ行って遊んだとかいうエピソードは、民放でやってた特番とネタが被ってて、先にやられて悔しかっただろうなと心中察して苦笑したり。あれだけ若い頃苦労したひとが、晩年は好きに楽しく暮らしたみたいよ、と人気を反映して穏やかに軽い感じの最終回のまとめ方は、「独眼竜政宗」を思い出しました。

   ハラハラしたり、怒ったり、笑ったり。1年間、いい夢をみました。 

   次回大河の予告も見ました。

   「来年の上杉謙信は阿倍ちゃんか! かっこいい! 見る!」
   「見る!」と娘も同意。

   「直江兼継ってこのひとでしょ」と、虎美は「殿といっしょ」を出してくるし。
   大河ファンがここにまた一人誕生。よかったよかった。

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