2018年9月17日 (月)

落穂ひろいは未亡人のわざなり

   もうすぐ四十九日です。忘れないうちに。

   ご近所の虎美の盆踊りのお師匠様に手伝ってもらってなんとか汚屋敷が半分片付いて(リヴィングや次の間やサンルームに突っ込んだ。突っ込む先があるからできた奇跡)、葬儀屋さん:リラヴォルケン金沢(仮名)がご遺体を連れてきてくれました。ささっと祭壇作ってご遺体を安置して、いつも月のお命日にお経を上げに来てくれるお寺に連絡。

   いつも来てくれるお寺のひとって菩提寺の方じゃないんだ?

   なんかテクニカルタームがあったみたいだけどよく聞こえなくて覚えられなかったです。
   虎美などはちゃんと理解していた模様。Jに対するサテライトみたいなもんか。あるそうです。そういう子分のお寺。
   「〇〇寺さんだよね?」ってやっぱり曲がりなりにも3年ここで暮らしてただけあるな。
   それが、早めのヴァカンスに出てしまっているので捕まらない、明日なら来られるとかでとりあえずご住職のお母様? がお経をあげられとかで謝りながら来てくれました。
   いやー8月はお寺もお忙しいからねえ。かろうじてお盆にかからなかったけどね。
   枕経とかいうのを上げてくれました。

   「お寺のかたがいらっしゃる前に、ご存じとは思いますが、簡単にお焼香のお作法を」
   リラヴォルケンの人さすがです。
   真宗大谷派はお焼香で一回上げないんですよね。持ち上げたらそのままパッと落とす。大きいおばあちゃんのとき、みんな変なことするなあと思いつつ、一般的に一度つまんでから手を返して鼻先に上げるようにしてから落としてたら、まさに早乙女お義父さんに注意されたんでした。
   「違うよ!」
   その時はなんだかむかっ腹が立ったものでしたが、お里が知れるとかこんなことも知らないのかとかそういう叱られ方はせず、人のいるところではなく陰へ行って、単純にそれはうちとは違う、うちはこう、という指摘だけだったので、よく考えたら立派な注意の仕方だったですね。さすがは教職の長い方。故人の徳の高さがもう亡くなったその夜から炸裂!
いや、思い出したのはしばらくたってからだったけど。

   「習わないですからね、外国人タレントのあのひとも、こっちに来てすぐのときわからなくて見様見真似でお香を食べちゃったって言ってました」
   葬儀社の方は笑いを取りながら教えてくれました。

   「……たしかにバブルのころのあの人の失敗ネタでその話は聞いたことがあったが、時代を経て葬儀屋さんのネタにされてるとは思わなかった」
   帰りの車内でお兄ちゃんに熱く語ってしまいましたよ。
   「失敗の経験が後の人に活かされているのならいいじゃないか」
   そして豹太くんもそういうことをいえるようになって、なんて大人になったの。
   参照。ハンター×ハンターのキルアの実家エピソード(おかあさんちがいます)。

   そして、これからのタイムシートを出しながら、明日の朝までに決めてほしいこと、明日の夕方までに決めなくてはならないこと、順番に案内が始まりました。
   「お通夜の祭壇に飾る花の順番を決めていただきます。祭壇の、仏さまに近いところから右左右左と。5列3段を目安に、あとは、増えればそれなりに追加させていただきます」

   来たよー、お花の順番。
   一族での序列とかがここで出るんだ? すいませんが早乙女家はお義父様が二人兄妹、旦那様が一人っ子で親族少ないんですよ、15基(?)もお花来ないです。
   「虎美、……解る?」
   「そういうのはユリウスおじさんに聞けばいいんだよ」
   ああ、ユリウスおじさんね、時々虎美の話に出てきてました。モンブランのご本家の方に挨拶に行くときに一緒に行く人。確かお義父様の従兄弟……?
   お義母様が死にそうな顔しながらそれでも右左右左と割り振っていってました。
   「俺の会社からは3つしか来ない」
   携帯で連絡を取っていた旦那様が放り出すように。
   よかった、来るんだ。
   とりあえず安心。
   チェリースタッフ:私の勤め先には翌朝連絡を入れましたが、実の父じゃないので会社からはお花は出ないとのことで、どうしようと思ってたのでした。
   「弔電も、辞退される方おられますけど……?」
   会社の人に確認されましたが、
   「義父はにぎやかなことが好きなので、ぜひお願いします」
   お願いしちゃいましたよ。だって、その時点ではもう閑散としたお通夜が予想されてたから。せめてと思って。
   「あの、寂しいようでしたら、実家はもちろん弟の方からも出させていただきますけれど」
   恐る恐る申し出てみたら、
   「それより私の妹のうちの方が近いから」と却下されました。あ、そうなの。なにがなんでも数をそろえるってわけじゃないのね。
   そのお花も、1万3千円コースが真ん中で、上と下があって旦那様の会社からは上下二段に花が入る松竹梅で言えば「松」ランクのお花でした。そのほかはとりあえず2段式のお花は来なかったです。竹クラスはあったのかな、ちょっと見わかんなかったです。
   こちらで親戚にお願いした以上にも、お義父さんの所属していた非営利団体から結構来ていてこういうところで義理をかかないんだなあと思いました。
   お花だけでなくお菓子のお供え物という選択もあったので、お値段同じでこちらのおうちにはお菓子を負担してもらう、とかいろいろ組み合わせが悩ましいようです。
   「あんたのご実家にも出していただくけど」とお義母様。
   「当然でございます」
   うちに寝に帰ったとき、さらっと「一万五千円ぐらいお願いします」と鯖を読むおかあさんでした。いやだって、活田家としてもお釣りもらうのもなんだし、大赤字が予想されるんだからもらえるところからもらおうかと。
   そして、ヨシツネ君の「葬儀のお花は男の甲斐性」発言が出るわけよ。
   まあ、結果的に獅子王様の取引先関係からは何にも来なかったわけやけど、パパァ、それブーメランだからね? 定年から20年、ちょっとアルバイトに行くぐらいで無為徒食やってたあなたはどこからお花をもらうつもりなのよ。あ、お花は喪主の取引先が出してくれるのか、それにしたって、ご会葬者数は絶対早乙女家とは段違いだと思う。ちょっと話したら虎美もドン引きしていたし、ここに書いちゃうから永遠にネットの海に残るんだからね(残すなよ)。

   夜6時過ぎの死去だったのですぐ翌日通夜とはいかず、一日予備日ができました。

   「新聞社に連絡して、死亡記事出してもらってください。ただで載るのはお悔やみ欄。これは、名前と死亡日と葬儀会場程度。黒枠の死亡広告は有料です。名刺大で30万? 新聞社の人と相談してください。連絡先は金沢だと、北國と北陸中日と読売ぐらいで」
   実はこれが結構大変で。
   お義父様は私立の学校の先生だったんですが、このご時世、私立の学校は名前が変わりまくりで。実際教えてる最中でも2回ぐらい変わってるのに、やめた後もまた宗教関係の学校で再編があったとかで今は真宗の私立大学の系列になってるとか何とかで、名前の確認に一苦労。これ、学校関係でなくても、バブル・大不況を経て業界再編とかされてるから、肩書きをどう表現するか大変かも。
   「オストオケアノス大学の校友会幹事を必ず入れてください」
   「そういう非営利団体の肩書きはちょっと」
   「これは故人の遺言です!」
   お義父様そういうお金にならん仕事はいっぱい引き受けていたみたいで。なんだか相当押し問答をして、特別料金でそのイレギュラーな肩書きの死亡広告出してもらったらしいです。どのくらい打ち込んでいたかを知らない身としては、それ一行でうん万円違うんなら削ったっていいじゃないと思ったんですけど。
   オストオケアノス? 大学? そんなようしらん大学の幹事だったからって新聞を見た第三者がおおーこのひとはきっとスゴイ! って思ってくれるんだかと非常に懐疑的だったんですが。
   そんなもん要らん。人はみな身一つであの世に旅立つのだ! とオール却下できるほどの立場でもありませんので黙ってました。
   「原稿はファクスで送らせていただきます」というので大掃除で書斎の机から動かしていたファクスを慌てて元の場所に戻して、動かなかったときはメイル対応、とか打合せしました。今どきこんな用途に生きているのか。
   それが、ホッコク新聞社やらかしてくれて、獅子和さまのカズを一と書いたゲラを送ってきやがったので、れーせーに突っ込ませていただきました。やっぱりファクス必要

   そして、到着した豹太に乗せて行ってもらって、お義父様が生前にもらってあったという戒名を菩提寺にとりに行って、ついでに通夜・告別式の打合せ。私がお留守番をしてると、
   「リラヴォルケン金沢でございます。この度は会員様のお宅にご案内をしております。金沢南の弊社の式場がリニューアルしましたので、お近くの会員様には19日に内覧会を予定しております。ぜひお越しください」
   おい。お義母様言ってた葬祭サーヴィスに入ったってこれかい。でも、もう13日葬儀って決まったんだけど。情報いってなくて行き違いってやつかな?それとも、こっちは19日内覧会ってことは13日葬儀できんの? それともこことは別の式場が近所にあるの? なやむなやむ。それでも、
   「あ、はい、ぜひお願いします」って招待状送ってもらうことにしてもらっちゃいました。
   死人がすでに出ているうちに営業かけられて、うちは別に構わないけど、あとでこのお姉さん怒られないかしら。
   仮通夜はほんとに家族だけって言ったら近い親戚も来なくって、ほんとお通夜は大丈夫かと胃が痛くなりました。きっとご近所がいらっしゃると思って、朝実家からペットボトルの大瓶のお茶を2ダース買って行ったら、 おばあちゃんはもう手が痛くて2リットル瓶なんて持てないのになんでこんなのをこんないっぱい買ってきたんだと虎美に叱られてそんなん知るかと穴掘って叫びたい気持ちになりました。まあそれでもリラヴォルケンのお兄さんには何杯も出したけどね。お茶。二間続きの部屋を全開で使って全然エアコン効いてなくて、それなのにお兄さんは仕事柄非クールビスで、熱射病で倒れるんじゃないかと思ったから。
   お通夜の留守宅は盗人狙い放題なので、絶対一人留守番を置いてくださいと言われましたが、誰を置くかでまたもめる。若い女の子一人置いとけないし、実家に来てもらうか、押し入れあけたらそこはカオスってところに泊まってもらうの? いい時間になったらだれかかえって交代するの? もう指揮命令関係カオスで、結局鍵かけて出たんじゃないかな、私も知らない。

   「納棺の際は、友引でのご葬儀ということで、友引人形というのをお入れしてさみしくないようにしていただきますが、故人様の大切にしたらした人形がおありでしたら」
   「いっぱいあるわ。この猫たちを入れてあげて
   猫スキーは早乙女家のファミリーポリシーですか。
   昔茶虎軍団がいたころ、猫だまりになっていたのを撮った写真、数えたら9匹ぐらいいたというやつを大伸ばしにしたのが1枚、ぬいぐるみが一体。猫じゃダメです、人じゃないとと言われて土雛をワンペア。
   「陶器はダメなんじゃ?」
   最近はこういうのも火葬場が厳しくなって、入れていいものいけないものの一覧表が渡されました。補聴器眼鏡はダメなんだって。三途の川の渡し賃も今は紙に印刷したのを入れるそうです。なんだその紙、真田家リスペクトかと思った。
   お兄さん、土雛をひっくり返していろいろうなった挙句、
   「う~ん。まあいいでしょう」
   お棺は白木じゃなくて、ヴェニアらしい合板にそれらしい布を張ってゴージャスそうに見せたやつになりました。刺繍が入っててこういうの華美じゃないかなと思ったら、
   「お父さんは派手なのが好きだから」とお義母様。
   そうなんだ? あんまりおしゃれだとは思ってなかったけど。まあいいか。
   そして始まる通夜。意外と集まって、150規模の会場、割と空席なしでした。よかった。祭壇は白い菊で流れるような線が描かれ、中の上にしてはまあまあな感じ。こういうのもフラワーアレンジメントの影響なんでしょうか、昭和のころの葬儀とはイメィジ違ってきてますね。

   そして、配られる謎の小冊子。広げると、お経に読み仮名と謎の記号が書いてあって意味不明。短いけど般若心経ではなくて。正信偈ってやつ。式が始まると、
   「真宗のお通夜では皆さんにご唱和していただきます。お分かりになる方はどうぞご一緒に故人の冥福を祈っていただけたらと思います」
   
   ナンダッテー!? ΩΩ Ω

   ああそういえば、大きいおばあちゃんの時もあったかも。
   教会の結婚式の時に讃美歌何番とか歌うやつだよ(違います)。お通夜でもコーラスするんだ!?

   そういえば、旦那様が打ち合わせの時に言ってたっけ。
   「桜花は真宗の学校だから、学校側の参列者には坊さんがいっぱいいて、勝手に経を読むと思う」
   「は?」
   お兄さん固まってました。
   「それは……何人ぐらいで?」
   「解らん。来た人間が勝手に入って読むと思う」
   「その場合は、ええとその」
   「勝手にやらせておけばいい」
   「葬儀屋さん的にはそれでお茶を出したり別室を用意したりギャラが発生するのかということを気にしていると思う」
   おかあさん割込みました。
   「あ、はい奥さんのおっしゃるようなことが」
   「関係ない。コーラスに加わるだけ。何もいらない」
   
    それってこーゆーこと!?
   「帰命無量寿如来~」(きぃーみょーむーりょ~じゅ~にょぉらーい~)
   いい声のメインヴォーカルにサイドヴォーカル2人が加わって、最初の1フレーズは誰も唱和しなかったのに、そのうちだんだん加わり始めて、会場皆の大コーラスになったのでした。確かに、聞いたことあるよこれ! 低いから合わせづらくて、おかあさん途中から1オクターブ上歌っちゃった。
   これが、ああ、カタカナってこうやってできたのねーと体で理解できました。一本調子に読むのではなく、ここで上がるの、ここでフラットするの、ここはこぶしを効かせて、というところに漢字の脇にそれぞれ印が入っていて、さっきここはメインのひとちょっと上げてた印だな、と思うとちゃんと同じ印のところでちょっと上げてて、注意深く見ているとちゃんとメロディを歌えるようになってるのでした。
   でも、みんなすぐ帰って、余る余る通夜ふるまい! お香典の計算をやってるおじ様たちに差し入れして食べていただきました。
   内覧会を控えているというリニューアルしたばっかのリラヴォルケン金沢南、いつも使ってる粟津温泉Hのスィートよりきれいだったよ。
   IHのコンロ付きキッチンに冷蔵庫と流し、20畳ぐらいありそうなリヴィングダイニングにお棺が向こう側からワゴンで入ってくる線香番用の8畳和室にツインのベッドルーム。洗面所にバスルーム付き。洗面タオルは無料、お布団バスタオルや浴衣は使った分請求。
   「俺ソファでいいわ」
   「おばあちゃんベッドね、私も」
   「豹太はお布団しいて寝なさい」
   えーとおかあさんどこで寝たらいいかな?
   実家でのびのび就寝してたから、今日ぐらい番をしましょうか、と畳に転がって携帯にアラームセットしたらそのまま座布団抱いて寝てました。いや、2,3時間おきに起きて香炉にお香追加してたよ、ほんとだよ。線香は危ないので、タブレットになった熱源の上に砕いた香木(お焼香の時のアレ」)を振りかけるのが今は主流らしいです。このタブレットが火が付いたかどうかがわかりにくくてちょっと悩みました。
   割とみんなすぐ眠って、すぐ朝が来て。
   ご清潔なイマドキを反映して、リヴィングの方にスプレイすると防臭・殺菌してくれるアレが置いてありました。そうね、喪服は2セット持ってくるひとあんまりいないからね。いつもはそんなの使わないけど、ありがたく噴霧させていただきました。
   通夜葬式はどちらかだけというのが普通らしいので、昨夜のうちにあらかた来てしまっていて、葬儀の日にお香典はこれ以上増えないだろうという見積りで、あー誰も来ないさみしい通夜は避けられたけど、葬儀で大赤字は避けられないなと思ったのでしたが。
   「桜花学園は女子高だったから。教え子たちは夜は出歩かない。連絡網が回ったら告別式に駆けつけてくれる人がいるかもしれない」
   お義母様ァそれ希望的観測過ぎません? って思ってたんだけどさ。
   いきなりお通夜の夜9時、小松から駆け付けたひとがいて、もう和室に安置されたお義父さんのお棺にお参りして、虎美を抱きしめてアツく語ってくれた教え子の方いらしたし。
   
   的中しました。満員御礼桜花学園。エントランスで同窓会始まっちゃうし。
   朝ごはんの時に来た弔電をチェックして読むオーダーを決めて、名前を音読するから間違いがないよう読み合せして、解らない人はみんなしてその場でスマフォで検索して特定、原稿作成。虎美ちゃん使える! 使える!
   「まーこのゴージャス電報どこから?」
   「オストオケアノスの校友会」
   「やったね、チェリースタッフからは刺繍電報だ。女性多い会社だから細かいところが気が利いてる」
   「桜花からも今の理事長で」
   お義父様ごめんなさい、地味にVIPだったんですね。
   あとは、火葬のあとの精進落とし? の会食に来ていただく方にはご招待カードを目立たぬよう手渡しするとか。一人、昨日お香典の計算を引き受けてくれていた地味に重要人物のおじさまに渡すのを忘れていて来てもらえなかったとか、弔辞を言ってもらうはずの町内会長さんに根回しを忘れて当日朝8時にお願いしちゃったとか、手落ちはそれなりにありました。
   お棺に入れる一言カードに虎美が一首詠んで、付き合いでおかあさんも詠んだけどいかんともしがたい駄作だったのでほんと悼む気持ちになってないんだなーと自分のドライさに申し訳なくなったとか。

   そんでお葬式にはお里の実母がにんにく持ってきたとか。
    虎美が最後におじいちゃんへのお手紙を読んで、
   「会場中を泣かせる弔辞書くから」なんて偉そうなこと言ってて、読みながら自分が感極まって泣いちゃって、読み終わって高砂(って言わない、親族席)に戻ってきたときに頭撫でてやったらこの子ハートが猛獣だから殴り返してきやがった。一生言っちゃる。
   まあ、いろいろあったけどなんとか終わって、おじいちゃんはお骨になりました。
   おじいちゃん危篤で7月の帰省&イヴェントが吹っ飛んだ虎美、心おきなく9月に帰省して2週間も羽を伸ばして帰りましたよ。

   四十九日法要は来週です。愛するにゃんこたちと旅立ってください。
   まつすぐな背なを頼りに思ひきて 今日ぞ心の乱れぬるかな
                                             舞音

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年9月 1日 (土)

弟、来襲

   何から話そうか。

   お葬式関連はあんまり長くなったから最後はしょった感があるんだけど、思い出したらまだあったからあとで落穂ひろいします。実家の母が、
   「みなさん大変だけどこれ食べてスタミナつけてね!」と葬式の日に焼きにんにくをアルミホイルに包んで持ってきたとか。

   マ ン マ ミ ー ヤ!

   ネタじゃなくてリアルなんだよこれ!!
   「大丈夫匂いしないから」
   してます、ガチでしてますから! 実母ー! 頼むよ!
   「やめてよバッグに匂いついちゃったよ!」(>о<)
   「あらそうだった? ごめん持って帰るね」
   それでも葬儀から火葬場まではバッグに入れてたわたくしを親孝行だと思って!

   てな感じでネタ満載だったんですよ。

   さて、本日の話題は、葬儀の日が決まって実家に連絡を入れたところから始まります。

   「12日か」
   聞くなりヨシツネ君(実父)沈痛な面持ち。
   「大丈夫友引でもできるって」
   「あのね、お墓参りするつもりやったんよ」
   母が横から解説。あーうちも墓参り大好きなうちでした。暇になったからもうお盆に年末にお彼岸もフルにいってるみたい……? いいじゃんもう毎日が日曜日なんだから14とか15に行けよ今年は。
   「それが今年はくーちゃんも来るって」
   「ぱーどん?」

   わたくしの弟、活田久比来(仮名)、モンゴルのハーンの名を持つ男(今はクリスと呼ばせている)、首都圏で家を構えていたはずでは……?
   「それはあいちゃんや奥さんも連れて? わたし泊ってたらやばかった? いつ来るの?」
   「なーん、ひとりで」ともにょもにょ。
   「どうするん? 葬式だけ出てご会食カットして午後から行ってもらう?」
   いえ活田様御一行は当然火葬の後のご会食もお席用意してありますよ。キャンセルならお早めにお願いします。
   「……いや、ご葬儀を欠席などと失礼はできん」
   出たよ原理主義。父は自分で日本一の良識人と思っていてがちがちの俺ルールを押しつけようとするのですが、どうもこちらも敦盛舞うような年になると、
   「おとうさんのマイ・ルールってじつは微妙?」と気が付いてきたんですけど。
   実例。
   こないだ墓参りに金沢に帰ったとき、墓参りの流れから、金沢駅→早乙女家の菩提寺はしご→活田家→ゴール:早乙女家とルートどりをして、実家で土産物を開いていたら、
   「お前は早乙女に嫁に出した身なのだから金沢に帰ったらまずは早乙女家に顔を出してお義父様お義母様に挨拶をして、実家に顔を見せさせていただきますと許可を取ってからうちへ来なくてはならぬ、謝ってこい!」といきなりうちを追い出されたんでした。
   えーっそれって金沢ルールなの? 21世紀にもなって? と首をかしげながら早乙女家に行って口だけ謝ったら(誠意が足らん!)早乙女お母さんにそんなんいわんわいねと笑われたんでしたが。
   その謎モラリストに育てられたクビライは正々堂々反抗してうちに寄り付かないと思っていたら、それでもオリジナル・ルールに基づいてそれなりに義務は果たしていたんですね。めんどくさい墓参りは嫁や娘にさせないっていうのは合理的で妻子にやさしいかもしれませんが、奥さんやあいちゃんは活田家の墓がどこにあるか知らないわけよね、それって困らない? くーちゃん本人がちかぢか急死しちゃったらどうすんのよ。

   でも、さすがは大ハーン、大人になったらいっぱしの口をきくようになって、ちょっと前、おにいちゃんの奨学金で助けてもらおうと思ったら思いっきり正論で叩きのめされたわたしとしては、敬して遠ざける日々だったんですよ。いや、来るんだったら実家から逃げようと思うくらい。
   
   「あんたたちは実の姉弟やないか。クビライがなにか言うたとしても、そこは姉のあんたが受け止めてやるのが筋やないんか」
   いいえ、わたくしそこまで大人じゃないんで。
   もぞもぞ言っている間に父と弟の間で調整が行われ、弟はスケジュールを変更して翌月曜に来ることになりました。活田家は大聖寺の出なので、石川県と福井県の県境の町まで墓参りは一日かかるドライヴなんです。

   そしてにんにくの薫る葬儀が行われ(お義父様すいません)。

   とーぜんの顔をしてわたくしと豹太は実家泊りいたしました。
   翌13日の朝。
   「じゃーわたし留守番しつつ葬式の疲れをいやしているからどうぞ行ってらっしゃい」
   自分で言いながらそれって人としてどうなのと思いましたです。
   「来るかどうかはあんたが自分で考えなさい」
   父ももう年で頭ごなしに拉致するまでのパワーはないようです。車も母のマーチ、運転は弟だそうです。
   「……せっかくだからご一緒させてください」
   うちのお兄ちゃんには早乙女家に戻しておばあちゃんの御用をしてもらうことにしました。結局疲れてみんな寝て過ごしたそうですが。

   果たして母が言っていた時間より一時間も前に来た弟は一礼開口一番、
   「この度はご愁傷さまでございました。父の指示でお悔やみは控えさせていただきました」
   おう、できるビジネスマンになっちゃって。こないだ会ったときは吉田栄作そっくりだったはずなのに、おっさんになったなと思ったらもう50だった。当然か。
   「いえ、こちらもご辞退とお母さんの方で話がありましたので」
   お葬式の花があまりにも少ない件で、実家から弟の名前で花を出すべきかどうか相談したんだけれど、それよりお義母さんの妹である水無瀬家が優先と断られていたので。クビライが首都圏住みで金沢に寄り付かないのは早乙女家でも旧知の情報だったので、何が何でも葬式に顔を出せという話にもならなかったし。
   ぎこちないまま4人乗って墓参りツアースタート。

   さすが大ハーン、わたくしが圧倒される母の天然マシンガントークをさらに上を行く西の方のニュアンスのマシンガントークで制圧し、父はもう借りてきた猫、一言も発さずに黙って後部座席で運ばれていきました。

   あの父が。ありえねえ。

   もうね、もうクリス呼び出来ない、クビライ様。危なげない運転で母の気まぐれの、
   「お花を買い忘れたからどこかお花の買えるところへ寄って」にも余裕で対応。
   「なんで今になって言う!?」
   「あたしも大聖寺まで車乗るなら車酔いの薬欲しいわ」
   「あーはいはいやっぱりまだ車弱いのね」
   「ぎゃーお茶とかハンカチとか日焼け止めとか入れて完璧にしたリュック玄関先に忘れた!」
   「お姉全然年を取った落ち着きが感じられない。戻っとる時間が惜しい、欲しいものは買え!」
   
   それでも父とは言葉少なにランドマークなど確認しつつちゃんと、
   「今日は××寺は寄らないの?」
   「〇〇院は?」と、数件ある菩提寺をちゃんとそれぞれ理解している様子。
   「じゃー今日はどこへ行くのよ」
   「この道でわからんのか」
   「ごめん全然わからん」
   父黙り込んでしまいましたよ。
   「あー砂の寺か。ここまで来たらわかる」
   それじゃ全然来られないも同じです。海が近いのか、墓地の地面が砂地なんです。
   とりあえず草をむしって花を入れて花入れに水を注いで拝んで終わり。
   
   「鯛焼き?」
   「鯛焼き行くよね」
   車を出したらすぐに皆囁きはじめて。
   「! わたしはたこ焼き」
   「じゃあたこ焼きもね」

   大聖寺駅の近くにいつも帰りに鯛焼きを買う店があって、当然のように弟はそこの店先に車をつけ、母は飛び出して行って鯛焼きとたこ焼きを買って帰ってきました。幼い時から変わらず……。

   「実はあの店は先代がやくざをやっていた人でな……」と父が語るには。
   お祭りに店を出すにあたってPTAからそういう業種のひとは排除したいといわれたとき、女傑といわれた祖母が出て行って、店の人にも暮らしがある、入れ墨は見せないように服をちゃんと羽織って、あこぎなことはしない条件でとはなしをつけて露店を出せるようにしてあげたとかいって、後日お礼もうでがあったとかで。
   「もとのうちにある日帰ってきたら一丁ずっとその筋の人が並んでしゃがんで待っていて、おあんさん、おかえりなさい! とあいさつされたんや」
   ジョジョ5部のアレみたいなもんか? と話半分に聞いていますと、
   「それからも、大きくなって仕事は汽車に乗って金沢まで通っていたから、夜、帰りは腹がすいてしょうがなかったのを、必ず店を閉めた後待っていてくれて、あそこを通るたびに残りものですいませんが、といってなにか店のものを持たせてくれたんや」
   父も昔語りがしたくなる年頃なんですね。
   だから墓参りというか大聖寺にいったときは必ずあそこで鯛焼きを買っていたのか。

   45年目の事実でした。
   いやそれ「マダミス」にあった「作りたての残り物」だったんでしょうね。こんなところに人情。

   「お姉はケーキとかくうんか?」と、金沢が近づいたころクビライ様がやさしい声を出します。
   「え? 自分で作れとか言われたらもう嫌だけど、お皿に乗ったのがここに出てきたらうれしく食べるよ」
   「暇だったんでるるぶとか見たら出ていた。今工大前のなんとかいうところにうまいケーキ屋ができたそうだ」
   「工大の? どのあたり」
   そこからは父と具体的なランドマーク提示の応酬があって。
   「はーん、あそこか、31の横やな」
   「そうそう」
   車に乗る人ってなんでそれでわかるんでしょうね。
   「まあうれしい、行きましょう、あたしがお金出すから」と母ご機嫌。
   「要らん! 俺がおごってやる!」
   「運転手のお駄賃や、払わせなさい!」
   ということで、行ってきました。今どきのちゃんとしたケーキは一切れ500円普通にするのね。おいしかったけど、もう少し冷やしてクリームをしゃんとさせてから食べたかったかなあ。今どきはほんと夏の生ケーキは大変。

   たぶん、暇だったんじゃなく、甘党のうちの人間が集まるから弟はわざわざちゃんと調べてきたんでしょうね、それも、駅の向こうの今にぎやかなあたりじゃなく、うちの実家から車で県南へ出た帰り道に寄れるあたりで。その辺が、やっぱり二人もお嫁さんもらえるリア充ってところよね。と思いましたです。
   さんざんマシンガントークで親を親とも思わないシヴィアーな面を見せてくれましたが、まあ、いいじゃない、彼も怨念ですっげえ名前つけられて、天然な母に迷惑な愛情を注がれ、紙一重のキチガイな姉にネコ科のかわいがり方をされて幼少期は苦労したから。
   ちょっとうちでケーキ食べてくつろいで、母のアレも持っていきなさい攻撃をあっさりかわして、年なんだからもう車は処分しなさい、遠くへは乗せていってあげるからと手を振って帰っていきました。カッコよかったかもしれない。
   というわけで弟と久しぶりに邂逅して疲れたっていうか刮目したっていうか、まあやっぱり彼には遠くで幸せになっていてほしいです。
   

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月26日 (日)

獅子は死してPCを留める噺

   ひと夏保ちませんでした。

   旦那様の父上、早乙女獅子和さま(仮名)永眠です。

   7月の帰省以来、体の空いたものから帰省して見舞って非常時の連絡とか交通手段とか確認してたんですが、8月になったばかりの朝、虎美からラインが入りまして。

   「どうしよう、TVドラマとかでよくみるお脈をとる機械が入った
   「おとうさんは?」
   「すぐスケジュール調整、うちに帰って支度して午後の新幹線って」
   「すまん母今午前の休憩入って今見たとこ午後から休みもらう」
   「おかあさんはもっとあとでいい」
   「ばかやろう新幹線が動いてるうちに帰るんだよ」
   台風並みの雨の降った日でしたよ。長靴はいてレインコート着て出社してました。

   などとやり取りの後、休憩後事務所入ってすぐチームリーダーの大お姉さまのところへ行って、
   「義父危篤です。お休みください」
   「いいわよいっといで」

   まあ、8月にもとのチームに復帰したときに、義父がやばいのでそういう時は帰してくださいとお願いしといたんだけど。
   熟女の多い職場なので、家族が倒れたとか見送ったとか介護のため一時戦列を離れますとかには慣れているという話でしたが。

   ダッシュで駅に向かって、ノイエ・リリエンブルクについて真っ先にしたことは。

   「ブラックフォーマル着るならブラックランジェリー要るじゃん!」

   イトーヨーカドー間の悪い(イイ?)ことにランジェリー40%オフセールやってまして。
   ストッキングやショーツのほかに黒のブラジャア、ワコールで奮発しちゃった♪
   
   大前提もう一回いっときます。

    お か あ さ ん は ひ と で な し!
   「獅子王さまーあ、わたくし今ノイエ・リリエンベルクなんですけどご一緒しません? なにか必要なものがあればついでに買いますけど」
   なんて能天気に旦那に電話かけたら、
   「俺もううちです。結構」なんてふられて。やっぱり親の死に目ともなれば本気出すんだなあ。
   ぼんやりバスプールでバス待ってたら、ちょうどいま到着したバスから旦那様降りてきてあたまぽこんて小突かれて。
   「あ、いってらっしゃいませ」なんて間抜けな挨拶を交わしてすれ違いましたとさ。
   あとはうちに帰ってからフォーマルのパールネックレス探して、仙台時代に清水ジャンプで買ったブランド物の水牛の革のフォーマルバッグが入れといたハコがもぬけの殻で、そういえば去年? 虎美が一番いい服を着て集まるというドレスコードのオフ会に行くときに、「このスーツの格に合うバッグはお母さんのこれしかありえない、どうかこれを貸して」というのでいい気持になって貸してやってから未返却だったわ! と娘の部屋を漁ると、ほこりまみれになって放置されていて。まあ、見えるところに出しといてくれただけましよね。汚れてなかったし。
   汗まみれになって荷造りして出たらもう2時近くなってて、でもスマフォで路線検索とかできるようになってて、とりあえず新宿に向かいましたが。

   小田急線から新宿経由で金沢って入れると、今どきはすごいね、
   「湘南新宿ライン経由で大宮を目指せ」なんて指示が出ちゃう。
   ばかやろう、冗談じゃねえ、こちとら来た電車に乗るつもりの決死行だ、北陸新幹線に平日とはいえ夏休みに座席指定なしで乗って大宮で席があると思うのかべらぼうめ。
   完全無視で東京を目指します。7月の帰省でこのままPASMOちゃんで東京行っちゃうと大変だとわかってるのでちゃんと新宿で一回改札出て新幹線乗車券買って入りなおして。
   今回は指定なしなのでとりあえず乗れそうな新幹線の列車番号? だけ控えて東京駅でお買い物。

   まずはシップだよ! 前日ぎっくり腰で仕事休んでたんで。このままだと帰ったはいいが使えない嫁一直線だったんで。そして駅弁を買って。そして自由席の行列にならんでなんとか座って、発車と同時にお弁当あけました。1526発だったかしらあ~でもしょうがないでしょおなかペコペコだったし。食べ終わってからおもむろにトイレに立ってシップを腰に2枚も貼って、それからぐーすか寝ました。当然大宮ではもう空席なかったですね。
   旦那は先に病院につきましたが、特に感動の対面とかはなく、もう意識はないようすとのこと。だから7月のうちに帰っておけばよかったのに。

   実家にはラインを見た時点で電話をかけて対応を依頼しておいたのですが、
   「かなざわ市民病院な? おかあさんはちょうどそこへいっておるんや」と、出たのは父で。
   「なんで」
   「目の手術のあと具合が悪いとかで」
   「へえ」
   「わかった病室によるように言うとく」
   「虎美ちゃんが出がけに羽織るものを持たないでいって寒いと言ってるのでなにか羽織るものを貸してやってくださいと伝えて」
   「わかったよ」
   でもおばあちゃんズ携帯見ない。うちの母にかぎらず早乙女のお義母さまも。今回の各局面でネックはそこでした。

   「虎美や、それでおさとのおばあちゃんは来たかね」
   「ええーなにそれしらない」
   「つかえねえ! まだ寒いのか?」
   「もういいよ。一度うちに帰るから」
   実家の母は「あらー誰かの携帯が鳴っているわ、誰かしらね~」でうちに帰ってきちゃったそうです。なんのためにもたせているのだ。
   で、わたしも6時過ぎには金沢着、そこから病院へはバス。
   「大丈夫判る? 10番の乗り場から20番に乗って」
   悪いけどそこ母の3年通った高校の横だから。30年経ってバス路線大幅に変わってない限り系統の番号見れば乗れるから。
   微妙に違う番号のバス来たけど、経由地にその病院の名前書いてあったから乗っちゃって、ちゃんと着けたから。
   とりあえずその夜は旦那様と虎美と3人してご飯食べてタクシーで実家にわたしだけ落としてもらって帰りました。だって寝るとこないんだもん。
   「お兄ちゃん来たらどうしようね?」
   「研修中なんだってな」
   「この研修一時間でも落とすと『もう一回始めるドン!』」
   なんだそりゃ太鼓の達人か。お兄ちゃんもラインではひょうきんです。
   「とりま最後まで受けて土曜朝来い。あとは新入社員必須の報連相!」
   なんてことをいってもう一日は実家で自宅待機とかブラックフォーマル蔵出しファッションショウとかやっといて。
   「あらやだ」
   ブラック・フォーマルヴァージョン2大おばあちゃん葬儀の際大〇で買ったやつを出してみたら、その下に当時虎美が着た120センチサイズのチャコールグレイのジャンパースカートが出てきて。一回くらいしか着ていないしキレイそのもの。実母ったら、
   「もったいない、あいちゃんに着てもらいましょう」
   ええーっ弟のところのあいちゃんって虎美と12才違いでしょ? もうそんなのはいらないでしょ。ここはアナタの好きなフリマに出すのが正解では?
   あのこもおおきくなってほらほら、とアルバムを広げていたところで実父の怒り炸裂。
   「あんたは何をしに帰ってきたんや!」
   慌てて車を出して早乙女家に戻ったら、すぐ来てと病院からお電話。近くまで来ていた虎美を拾ってまた病院へ。
   飛び込んだ病室ではもうお脈の曲線が山をなしていなくて。
   少しでも昔を偲んで和やかな会話をしようというわたしと、余裕がなく厳しく切り捨てる娘が掛け合い漫才になりかかったところで、もともとそういうボケと突っ込み的会話とくに親子の間で、というのが理解できずそのたびにたしなめていたお義母さんから、
   「ここでそんな会話をするなら、あなたたちお買い物にでも行ってきなさい」と追い出されてしまったのでした。
   嗚呼痛恨のおちゃらけ体質!
   虎美を気遣いつつ、
   「なーに、これから持ち直すって、お兄ちゃん来るの明日だし。あがってーさがってーあがってさがーるー♪」なんて言いながらセブンイレブンと近所のスーパーをはしごして出た来たら。
   「おじいちゃん亡くなりました」と虎美の携帯に電話が入りました。
   意識は戻らないままだったとのことでしたが。
   一 生 旦 那 及 び 虎 美 に 負 い 目 が で き た よ。
   「すぐ帰っておじいちゃんの休むところを作りなさい」

   事前からの申し合わせで、まずは一晩病院に置かせてもらって、それから片付けて仏間に安置するという話だったのですが、この気候? から? 病院は一晩も泊めてくれないそうで。帰ってるタクシーの車内でまた電話が入って。

   「30分で支度しなさい
  
   ラピュタじゃないんだからお義母さん。
   「どどどどうしよう、仏間以前にその前の間のおじいちゃんの書斎も担架? お棺が通れるくらいに平地にしないとだめだよね?」
   「え? あたしごみを片付けて掃除機かければいいと思ってた」
   「ばかやろう、祭壇とかご親戚が来てよよよと泣き崩れるスペースとかいるって、とりあえず仏間と書斎は更地にしろ! 二時間ドラマとか見ないのかよ!」
   おかあさん今更そんなこといっても無駄。
   でも2時間ドラマも一般常識の宝庫だったのね。
   「裏のスーパーいって段ボールもらってくる! 気分は金沢地方検察所のガサ入れだ!」
   まだ夏の金沢は7時過ぎでも夕焼けが残っていました。タクシーを降りると、すらっとした大お姉さまが立っていて。
   「師匠!」
   「おばあちゃんから電話をもらって、お手伝いしてあげてって」
   虎美の盆踊りの師匠、和子さま(仮名)でした。
   「さあ、玄関から全部空けないといけないよ」
   「わかりました師匠!」
   そこからは大車輪。
   「おかあさん、助けて」
   実家にもSOS。父もついてきて、何もしないなりに目をきかせていてくれました(すでにこの時点で実父もやばかった模様)。
   実母も来てほこりにまみれたお義父さんの書斎のガラス板の乗った座卓を垂直に立たせるやら、これがまたひびが入っていてやばかったのをガムテで養生するやら。
   「こないだ入社の保証人になるのと引き換えに水無瀬のおばさまから命ぜられておにいちゃんがここを片付けたのではなかったのか!?」
   「きれいになったからついあたしのだいじなもの避難させちゃって~テヘペロ」
   「おまえのだいじな王子さまの写真だなこれはッ!?」
   道理でジャニーズの公演のパンフとかが山積みだと思ったよ。
   なんとか30分で玄関と仏間と書斎がきれいになったよ。
  
   和子師匠(仮名)には最敬礼でペットボトルのお茶を飲んでいただいてお引き取りいただいたよ。
   とっぷり暮れた夜の市道、向こう岸に停まったご遺体搬送車からうちまでストレッチャーを運んでくれるのに、思わず玄関先にあった登山用の額につける懐中電灯を巻いておかあさん誘導しましたです。こんなのが無造作に置いてあるうちだから。察して。
   それがまた、お盆一週間前の週末で、お坊さんも前倒しヴァカンス行っちゃってたとかで、枕経をあげられるお坊さんが来られないとか、6時過ぎに亡くなってる場合は場所が押さえられないからお通夜は明後日だとか、するとお葬式はそのあと? とカレンダーを見たら、
   「12日って友引じゃあ?」

   何日延びるんだよ。この暑さで。

   ところが、その件については
   「友引人形というのをお入れして、寂しくないようにして12日にご葬儀はしていだけます」とのこと。もともと真宗は六曜(対案とか仏滅とか)を気にしないそうなので。死は穢れではないとかいって、会葬お礼に塩つけないしね。
   というわけで、一日また間を開けて11日通夜、12日告別式ということになりました。

   葬儀屋さんとの打ち合わせがすごくって。
   「何人規模になりますでしょうかね」
   「いやあ」
   引退してから数年たってて、もう忘れられた存在になっていて。近年の失調はそういうところからも来ていたので、
   「近所と親せきで2,30人もくれば」と旦那。
   わたしもそのレヴェルだと思ってたんだけど。
   「おじいちゃんは教え子が大勢いたから。わかったらみんな来てくれるはず」
   お義母様はそういうけど。
   ……いや今そんなに人情厚くないから。
   「おじいちゃんは葬式に来てくれた人用にオリジナル手ぬぐい作ってたからこれをつけてもらわないと! この段ボール箱3つがじゃまっけで!」 と虎美吠え~る!
   「ちなみにおいくつ……?」と葬儀屋さん。
   「300」
   ワーオ!
   「年賀状は毎年何枚書いてた?」
   虎美お手伝いしてたよね。
   「400っ!」
   「そんなのがあてになるか」と旦那様。
   「足りなかったらほんと話になりませんから。四十九日過ぎて余った場合こちらで引き取って清算できますから」
   葬儀屋さんも大変だ。そういえば、阿刀田高の短編にもあったなあ。夫の葬儀が生前言ってたほど盛り上がらない、腹心の部下って人も塩対応で、未亡人である主人公がおかしいなあって思ってたら、それは故人の独りよがりの思い込みだったっての。
   おじいちゃんは自分が思ってるほど金沢の大物じゃあなかったんだろうなと寂しく思っていたんですよ。
   寝るのは結局実家で。駆けつけたお兄ちゃんもつれて戻ると、ご葬儀に変なスイッチ入った実父活田ヨシツネ氏がハイになっててまた大変。

   「こういうのはなんだが、言っておかねばならないから言っておく。
   金沢の葬式では喪主の会社から花がいくつ届くかが喪主の男の格を決めるんや」
   聞いてませんお父様。  

   「獅子王さんは会社ではどんな立場なんや」

   「よく存じませんが役職にはついていると」
   「まあ、この年頃で役についている男なら20は花が来ないと」
   「無理です」
   「会社からはなくても付き合いのある会社やその担当から集まらなくては男とは言えない」
   「今どきそんなことないです」
   「おまえは知らないだろうが金沢というのはそういうところや」
   新卒で2ねんめくらいに母方の祖父が亡くなったときは叔父の会社から花が凄く来て、あれはおじいちゃんの葬儀ではなく叔父さんの会社の社葬のようだったと父がくさしていたのが記憶に残ってたんですが、パパァ、じゃあれってジェラシィだったんだ?
   あのときは、総務のおじさんが持ってお行きなさいと封筒をくれて、それに三千円のお香典が入っていて、2年目で落ちこぼれの親せきの葬儀にもお香典出してくれるんだといい気持になっていたのに、「なんだ三千円ぽっち」と祖母に笑われてとっても悔しかったの込みで覚えていたのでした。
   だから、今の会社でも「弔電出せますけどどうしますか」と言われたとき、できればぜひお願いしますって言っちゃったんだよね。
   戦々恐々としつつ迎えたお通夜は、町内会長さんがチョウキ持ってきたっていうからそんなのがあるんだって見たら、町内会の旗に黒い布絡めたヴァージョンで、祭壇の隅っこに立ててました。ああ、町内会に尽くしたからなあ。こういうのあるんだ。
   意外や、町内会の方、学校の方、おじいちゃんの肩書のうちの一番のこだわりポイントの現職の方などが続々参列され、花もそれなりに来たし、……とりま閑散として困ることはなかったかな。オリジナル手ぬぐい段ボールも残り1つぐらいにはなったというし。
   翌日も、連絡網が回ったらしく、教え子さんたちが続々来られ、それがまた
   「あんたがトラちゃんやね、先生がいつも自慢しておいでた」と、誰もかれも虎美を抱きしめてなでるやら握手するやら。

   ご近所様も親せきの本家の皆様も、虎美がみんな知っていて、おかあさん立場ナッシング。ただ頭を下げるだけの日々でした。リアルで1,2度は名前と続柄聞かれたもんな。うう~ん、やっぱ3年間金沢で根を下ろした人間とは違う。
   「正直あんたより虎美ちゃんのほうが間に合う」と実家に帰されてしまったおかあさんはこれ幸いと翌々日にはお兄ちゃんの車に乗せてもらって帰ってきました。開き直ったぜスーパー愚妻。

   そんでもって、タンス預金を山分けして、多少懐が豊かになったので、大きな声では言えないがエックスピーから更新してなかったパソコンを新しくしてもらいました。ちょうどハードディスクが逝っちゃったのよおほほ。
   ちょうどお盆にかかって、墓参りに帰省してた実弟活田クビライくんと12年ぶりの邂逅を果たしたことはまた別の機会に。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年7月19日 (木)

ひとでなしの夏

   今日はシフトの関係でお休み。
   岡山以西はもう大変。どうぞお疲れの出ませんよう。この夏から助っ人で別チームに行ったらそこがこの水害で影響が莫大で大変で……どうもすいません雨女で。

   金沢の方からも、「……どうか日程をやり繰りして会いに来て」とお願いがあったので行って来ました。

   はじめてお目にかかったときは2代目水戸黄門の西村晃を思い出しました。そのくらい、御髪(おぐし)はまっしろふさふさのダンディで理知的なおじさまでした。体も鍛えていて、少しもじっとしていなくて、パワフルで、そこは田舎の先生だから自分の正しさを信じていて曲げなくて。こんちくしょうと思ったこともありましたが。

   教科書に載ってる写真のガンジーみたいになっていて。

   言葉ももつれがちなのを、側にいるお姑さんや虎美が百人一首のように、最初の一音から察して、
   「……お」
   「お勤めはどこと尋ねている」
   「……か」
   「からだを大切にって」
   「……きょ」
   「今日は来てくれてありがとうって」

   もうこちらは泣きそうに笑うしかない。

   こういうのは逆に「お元気そうで安心した」とか励ましというか重く受け止めていないようにいうものなのかなと言葉を選びましたが。

   ずっと毎日側にいて世話をするのはちょっと勘弁してと思っていて。
   でも時々がおーっと吠えたくなるような言葉を掛けられたりしながら永久にお付き合いしていく人と思っていたので。
   どうなんだろう、そろそろお住まいを蓮の上に移される頃合いなんでしょうか。このまま管につながれて上下人に世話されて生きていくのもお互い大変とか思って。

   水無瀬のおばさまは「今時は舅の介護を嫁がするなんて時代じゃありませんから、まいこさんは全然気にしなくってもいいのよ」と仰ってくださってますので、腹芸とか行間を読んだりとか出来ないわたしはそのまま受けとってどうもすいませんと言ってそのまま逃げてきましたが。
   「そうよそうよ、わたしの母も迷信深かったけれど、占いによるとわたしの面倒をみるのはまいこさんじゃなくて虎美ちゃんと言ってましたから」って、どこからそんな都合の良い占いを持ってくるのですかお姑さん。それで虎美を縛らないでくれよ頼むから。

   そしてわたしはやっとできた自分の居場所を手放すことができずにまた戻ってきて仕事をしています。

   そして完全に虎美の巣になってしまった仏間を掃除する余裕もなく、
   「おかーさんこの御伽草子のレポート助けて!」と言われて「宝石商リチャード氏」を読みたいのを我慢して(しないで?)、
   「だからこれはァ! ありがちにこのナントカ長者が子供が出来んがで神様だか仏様だかにおすがりして産まれた娘が超美人で竹取物語的展開になったところが都から来た若君が教養と度胸で美事に姫のハートをゲットして、ナントカ長者は都に出世の足がかりが出来て双方WIN-WINなハッピーエンドな話しなわけや!」
   「金沢弁で無理に語らなくていいからこのキーワードは誰のどういう様子を表してるか教えて」
   「知るか」
   「お願い、大塚でて国語の教職免許取ってるんでしょ!? 伊勢物語の文学的特色2つって何!?」
   「……歌物語として、とある歌を中心にその前後のやり取りをエンタテイメントとして成立させたところ。もうひとつは匿名性。在原業平は主人公ということになっているが、そういうキャラ立ちしただれかそのへんの男性で大丈夫。特定の有名人のエピソードとしてではなく読者の知らない架空の人物が主役でも物語が成立することになって、大和を経てフィクションというものが成り立っていった」
   「じゃあこの『やさし』というのはなに?」
   「そこは姫君」
   「ここは?」
   「姫君に振られた若人Bの語る姫のうわさ」
   「ここは?」
   「姫君の周囲のオサレ侍女軍団。中宮彰子における紫式部とか和泉式部」
   「ここは?」  
   「サブヒーローの若君のラヴレター……じゃなくてそれもらった姫の返事。知ってるかラヴレターの返事はすぐOK出すとビ○チだから。内心うれしくてOKでも最初はえ~ウソ~? って返さないと」
   「ここは?」
   「若君の琵琶コンサート」
   「わかったありがとう!」
   ……違うよ、親としては大学も4年の娘のケツをひっぱたいて自分でレポート書かせなきゃそこは! 素でお伽草子解釈できて鼻高くしてるところじゃねーよ! OTL

   おかあさん人としてまちがっとる夏でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年4月 1日 (日)

そんなヒロシにだまされないっ

   お仕事柄人様のお名前をお尋ねすることの多いおかあさんです。

   「それで、そのお名前はどういう字で書いたらよろしいんですか?」

   サトウヒロシさんの場合。

   1)浩さん
    「さんずいに告げると書きます」皇太子:浩宮様のヒロですね。

   2)弘さん
    「弓偏にカタカナのムを書きます」藤岡弘、さんのヒロだ~♪

   3)博さん
    「博士のハク」、「博物館のハク」、「博覧会のハクです」柳生博のヒロですね。

   4)宏さん
    「ウかんむりにナを書いてム」、関口宏さんのヒロシです。

   5)寛さん
    「寛大とか寛容のヒロシです」、菊池寛のヒロシです。あはは敬称略。

   6)洋さん
    「太平洋のヨウです」、川崎洋さんのヒロシですね。

   ……結構いましたね。でも、具体的にその有名人で仰る方はあんまりいません。言ってくれたらイッパツ変換なのに。世代で通用しなくなってるのかも。

   「池内淳子のジュンコ」と「前田敦子のアツコ」は経験あります。
   「はい♪ 解ります!」とこっちも声が弾んじゃって。

   「石川遼くんのリョウ」と言われたときには思わず人を呼んで聞きました。赤崎(ジャイキリ)のリョウだったのか。

   「ロンドンのドンです」倫敦の敦のアツコさんでした。
   ……解ったけど! 解ったけどそのたとえは初めてでした。その字のアツコさんは「敦煌のトン」と仰った方もおられたような……説明にご苦労されてるのね。

   旦那様、早乙女獅子王(仮名)様の本名は「大地真央の央!」と書きますと通してきましたが、
   「母最近気がついたのだが忠臣蔵の吉良上野介義央の央であったなと」先日虎美に確認しましたら、
   「吉良の諱(本名)覚えてるひといないからいいんじゃない?」って言ってくれましたが。
   「しかしまた魔夜峰央(まやみねお)の央でもあったなと」
   「……」
   「『パタリロ』は読み切りの頃から読んでたけど美少年愛が理解できなくてオールスルーだったと常々言っていたと思うが、今になって気がつく、それくらい魔夜峰央はノーマークと解っていただけたことと思う」
   「でもおかあさんいつも『ししおさまぁ~』っていってるからあたしたちおとうさんの名前『ししおさま』だとおもってたんだよ」
   思わぬところに影響がでていたみたいです。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年1月21日 (日)

2<3? な話

   おかあさん職場の若いお嬢さんに付き合って「うたプリ」にはまってしまった話はしたと思いますが。
   どうなったかって、まだやってますよ。
   それがまた、この秋から配属になったお目々の可愛いお姉様も、
   「早乙女さんって携帯のゲームはなにをなさるの? わたし『うたプリ』の『シャイニングライブ』にはまってて、早乙女さんもなさるってあちらのお嬢さんから聞いたんだけど……」

   

仲間が増えたよ!

   「失礼ですが、早乙女さんは誰推し? 私は○○様♪」
   ……あー伯爵様と時々ドライヴをするという某財閥の御曹司ですね。
   カトリーヌちゃんの好きな日本男児とは実家がライヴァルという複雑な間柄ですね。

   てなことで、時々(主観的に)小さな声で情報交換などしております。

   「早乙女さん! このクリスマスから日本全国の駅に王子様達のポスターが掲示だって!」とカトリーヌちゃんが叫べば、
   「うむ、この辺に掲示されれば良いな」って言ったらズバリ! 会社の最寄りハマーツェントルムにその日本男児が……! 残念ながら小田急ではなかったですが。

   「わたし朝見ました。京王のホームよ」とそのリーナさん(仮名)が情報を。
   「ぎゃああ嬉しすぎる」とカトリーヌまた挙動不審。
   「……うちの娘も彼推しらしいから撮影するなら付き合うぞ」とばかりに、おかあさん物見高くも通勤の路線じゃない路線に入場。
   「うふ♪ ほんとはホームのこっちの端だけど、自分で見つけた方が嬉しいでしょ」と、先に事務所を出られたリーナさんがホームで待っててくれました。反対側までずんずん進んで掲示板を全チェックして、戻ってきたのを、捕まえて、反対側の掲示板へ……、

   「でかいな」

   新聞全紙2~3枚分の大きなポスターでした。カトリーヌちゃん押しの泣き黒子王子がマイク握ってさわやか~に見栄切って微笑んでました。すげえな。
   おかあさんもスマフォで写真撮って、すぐ虎美に送りましたよ。

   「ツィッター情報では○○様はシモーツだそうです!」
   カトリーヌの利用駅じゃないか。わたしは別に○○様のポスター画像はいいかなーと思っていると、
   「早乙女さんの推しの伯爵様はウンターノルドだそうです!」
   ……いや別にいいから。
   カトリーヌとリーナさんはシモーツまで写真撮りに行っちゃいました。わたしはホームで見送って、一駅だけ京王線乗って次の駅で乗り換えておうちに帰りましたが。

   そして年が明け、また「うたプリ」の新しいドラマのCDがでるからと言って賑やかしのためにツィッター上で「今回の相手役の伯爵様とお茶をしました」というような内容でドラマの主役のキャラクターくんが語ったときに、なにやら輸入物の珍しい氷砂糖? を取上げていたのですが。翌朝。
   「早乙女さんッ! 昨日のツィッター見ましたか!?」と、リーナさんが朝からハイテンション。
   「ああ、カトリーヌが騒いでた。凄いねいちいち」
   「あれキャンディスっていう海外ブランドの氷砂糖で、カルディっていう輸入食品の店ならお取り扱いがあるそうですよ!」
   あ、はい、すげえな、ネットするひとの調査力って。
   「それでうちの娘が昨日買いに行ったら、もうお店の人がさんざん聞かれた後みたいですぐ対応してくれて。千円ちょっとですけど美味しかった! 早乙女さんも伯爵ファンなら是非いってらして!」
   いや、おかあさん最近紅茶は飲まなくなっちゃって。まあ話のネタに見に行くぐらいはしようかとも思うけど、ひとつ千円もするのかよ。
   「カルディはシーモのアリオに入ってます!」
   ……シーモかよ。カトリーヌにお使いさせるのも悪いしな。

   ところがその日カトリーヌは奥歯の詰め物が取れたとかいって最悪な顔色をしてた上になんかたちの悪いご相談者様に当たったらしくすっごく落ち込んでいたのでした。

   ……これこのまま帰したらやばいわ。

   「……シーモのアリオというのはおばちゃんにも判るぐらい駅のそば? ちょっと案内してくれぬか?」
   「いいっすよー♪ 電話だけ一本入れますね」
   真っ青な顔しておいてカトリーヌすぐさまママに電話して、今日は遅くなるからって断ってシーモに連れてってくれました。すごいな、帰宅時間が変わるとちゃんと親に連絡入れるのか。まあ、カトリーヌも虎美と大して変わらない年らしいから、そりゃ親も安心。

   そして上機嫌でシーモに下りたって、今のイヴェントは主人公格の赤がイメージカラーの子のブロマイドだから別に参加しなくてもイイかなーと思ってたら、相手役として元気なピンクの子がキツネ耳の扮装でブロマイドになってて、これは可愛いからやっぱりほしいわーなどと話しながらアリオに連れてってもらって。

   カルディのスペースに足を踏み入れたんだけど。

   カトリーヌはさささっとそのツィッターの当該商品の画像を呼び出して見せつつ店員さんに棚の場所を聞いて、
   「早乙女さーんこれですよ!」とばかりにちょっと縦長のジャムの瓶みたいなのを見付けだしていました。
   つくづく見ると、伯爵様お召し上がりのは売り切れだったみたいですが、今回の主役くんが食べていた方はあったみたいで、カトリーヌは1個お買い上げ。わたしは、伯爵様のじゃないならいいかなーっと、それより、店を一周してたときに見かけたものをもう一度チェックに戻りました! 

   「ぷるぷる とろりん なめらか あんにん」とふりがなが振ってある杏仁豆腐の紙パック! 縦長の、1回分の野菜ジュースとかのサイズの! パンダのかわいいパッケージで! 

   「うちの旦那前世はパンダかっていうほど杏仁豆腐好きなの! これ買って帰るわ!」

   うたプリの関連商品買いにきたんやないかい。ここへきて二次元の憧れのキャラクターより旦那を優先するなんてオタクの風上にも置けない。いやほんと可愛いパッケージだったから!

   カトリーヌちゃんはなにも言ってませんでしたが、具合悪いのに連れ回したせいでしょうか、翌日歯が壊滅的に痛いと言って仕事休んじゃいました。

   ……ごめんよ、カトリーヌ。

   そして、通勤の時によくお喋りする憧れの熟女亜弓様にその話をしたら、
   「まいちゃん、カルディならノイエ・リリエンベルクにもあるじゃない!」
   「へ?」
   わたくしそのようなオシャレな雑貨の店にはとんと縁がないもので知りませんでした。
   「改札の上の新しいスペースに入ってるわよ!」
   ……最近目が壊滅的に悪くなって、ものを見て選ぶと言うことが大変苦痛なのでそういう細かい楽しいお店にはほんと寄りつかなくなっていて。

   「じゃー今日の帰りに寄ってみます」
   伯爵様の氷砂糖は売ってなかったけど、時節柄輸入物のユーモアチョコがいっぱいあったから、旦那へのヴァレンタインのプレゼントも前倒しで調達させて貰いました。

   えーと、そういうわけで、「うたプリ」とネットのお蔭で新しい経験をイロイロさせて貰っております。そしてこの期に及んでまだ旦那に何かしてあげようという気持ちがあったことを再確認してわたしも狼狽えております。ほんと、意外だったわ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月12日 (日)

秋の夜の恐怖……

   「今日はポッキーの日らしいから」って、昨日買い物に出た旦那様がポッキー買って帰ってきた。普通の赤×白の箱のと、ちょっと短くて、プレミアムなカンジの箱のと、2種類。
   「わーい、食べてもいい?」
   「……どうぞ」

   うっかりダイニングのテーブルに放置してたら帰ってきたお兄ちゃんがむさぼり食べてて、
   「それお父さん買ってきた奴」と声を掛けたときには食べ終わってて、凍り付いてたけど。

   50過ぎの熟年夫婦がポッキーお土産にされても……引くわあ

   まさか高校生大学生のカップルじゃあるまいし、ポッキーゲームするしないできゃっきゃしないし。
   むしろどのカップルで書いてやろうかという境地だしこっちは。

   そういえば、今年度の結婚記念日の時も黙ってTOPsのケーキ買ってきたなあ。

   そういう普段しないことをされるとほんとに困るわ。

   …………そういえば、まだ病状が明らかになってないころ、お義父さんがなにか異世界の情報を受信したみたいで、
   「獅子王(旦那様)は仙台でアパートを借りて暮らしている」と発言なさったとかで(ひとづてに聞いた)、最近帰ってこないのはそういうことかあ、と覚悟を決めて、

   「どなたかお心にとまった女性がいらっしゃるのならわたしは身を引く所存ですのでどうぞご随意に」

   

と言っちゃったのがいけなかったかなあ。

   まったくのデマと旦那様怒り狂ってましたけど。
   当時から徐々にお義父様壊れ始めてたのね、……あとで気がつく。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月 3日 (金)

宴の後で

   

ハロウィーンお疲れ様でした。

   今年は31日当日が平日だったところへ持ってきて直前まで選挙でおとなが忙しく、直前の週末も台風直撃で盛り上がりはイマイチだったらしいですが。世間様にハロウィーンというものが定着してきているので、へえここも、あらここも、とお子様向けやお菓子業界だけの行事でなくなってきてますね。

   ってことで弊社もハロウィーンやったんですよこれが。

   東のネズミの国に対して西の猫の園(近場にしまじろうくんの東京の本宅もある!)を有する土地柄か、そういうお子様向けの楽しい催しは年に何度もあるご町内でして。ご町内のハロウィーンのスタンプラリーには毎年参加してたんですが、今年はなんと、

   「当日に限りコスチュームでの勤務を許可!」

   ……お客様の前に出る職場じゃないですからね。
   節度を持って露出を控えた服装ならよしとのことでしたが、そんなん前日に言われても。真に受けてひとりだけ本気の仮装で行って笑いものにされたくないし。

   ごくふつうのださい恰好で行きましたよ。

   自分の端末の電源入れて、立ち上がるまでの時間に「うたプリ」を愛するプリンセス・カトリーヌに挨拶しに行ったら、

   

赤い?

   カトリーヌちゃんは「うたプリ」でもブルー担当の日本男児を愛しているので、小物からトップスまでブルーしか身につけないのに、座席表で確認したカトリーヌの席には赤頭巾ちゃんがいるじゃないですか。

   「……気合いはいっとるな。その格好で京王線乗ってきたのか」
   「ここ着いてから着替えたんですよ」
   オオカミさんのふかふかの……手甲っていうんですかね、手袋まで行かない指なしの手覆いも着けて、ミニスカのお尻にはオオカミさんのシッポも付いてました。
   「なんかオオカミに喰われたあと頭巾って感じですけどね」
   カトリーヌはっちゃけてるな。

   「おおおおーいいのがいた。写真撮っちゃおうか」
   マネジャー(女性)がやって来て、入り口に引っ張っていって、小さく小分けにして袋詰めした弊社のトリート(「登録会毎月開催中! とチェリースタッフサービス(仮名)のCM入り)を手に持たせてデジカメを構える構える。
   「もっと笑って!」
   「……まあ若くて可愛いからいいか」

   そうこうしているうちにぞくぞく出社されたリーダーさん(中間管理職)のたぶんアラサーとみていたおねえさんが引っぱがされてアリスちゃんや赤頭巾ちゃんの服を着せられていき……。

   「かわいー」
   「脚ほっそいな」
   「大丈夫だいじょうぶまだイケる!」

   大お姉さん達は管理職も平オペレーターも取り巻いて構う構う。
   「いくつー?」
   「まりりん(仮名)35才!」
   「イケてるイケてる!」

   ……ウッソ、28ぐらいだと思ってたよ、大お姉様たちもだがほんとこのチーム若々しい……。

   管理者さん達は大お姉様も魔女の帽子を被って朝礼が始まり、何事もなく業務が始まりました……。途中、赤頭巾ちゃんが売れ残りのトリート配ってくれたりして。ついでにエスカレーション(管理者への質問)受けてくれたりして。

   途中トイレに立つと、血まみれのナース服着たおねえさんがいたり、「ニシンのパイを届けたのにこれ好きじゃないと言われてへこむ場面のキキ」と設定の凝った仮装の魔女がいたりあれは数年前のディズニーアニメの……なんだっけ、の着ぐるみがいたりでビックリ! ドキドキの半日でした。

   そう、朝は良かったけど、さすがにお昼はその格好で表にご飯買いに行ったり食べに行ったりできないので脱いじゃったみたいです。午後はみんな普通の服になってました。
   おうちからお握りも持ってきてるカトリーヌも、
   「裏の(アニ)メイト行ってきたんで」と、本日発売の「うたプリ」のCDゲットに行ったので脱いだそうです。ああ、そういえば言ってたな、うちの会社の裏手の商業施設にアニメイト入ってるって……。

   「見てくださ~い特典のセシルの缶バッヂゲットしました!」
   「……よかったな」

   後で聞いたらあの赤頭巾ちゃんコスは私物じゃなくて会社貸与だそうで、朝、顔出したら問答無用で着せられたそうで。……それって新手のセクハラじゃないのか? おねえさん達もオトナだから割り切って着てたけど、なんでこんなこと、と思ってるひといたんだろうな。「ここんとこだけハロウィーン」とカボチャのバッヂつけてるおねえさん管理者(いつもボーイッシュ)もいたし。でもパーカの下のTシャツはスカル&ボーンズ♪ 彼女なりにノってくれたんだと思う。
  そこは日頃の振る舞いから、荒立てない人を選んでたんだろうけど(上司も大変)。少数いる男性オペレーターにもドラキュラコスを強要すべきだろう。いやフランケン?

   他業種ではこの先ミニスカサンタをさせられてキレるバイトの女子大生とかいそうだなーと思って書いとく。まあ若いうちしかできないから、イヤだけどやらされましたーで一度くらい経験しといてもいいんじゃないかな。周りもセクハラにならない程度にね。

   …………去年のチームの管理者の、わりとラフな社風なのにいつもちゃんとしたジャケット&パンツで来てたお兄さんにドラキュラコスして貰いたいと今一瞬思った。旦那には内緒ッ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

誰かさんが

   一夜明ければカボチャは跡形もなく。

   弊社エントランスは受付テーブルの上にちいさなツリー。
   ノイエ・リリエンベルクの駅前ケンタのサンダース大佐は既にサンタのコスチューム。

   オサレ商業施設にはちいさなツリー登場で、前で満面の笑みで記念写真を撮るお嬢ちゃん。
   その店先には恒例の年賀状特設売り場のテント。
   ペデストリアンデッキの真ん中にはイルミネーション(さすがに未点灯)。

   ちいさいクリスマス見つけた。

   

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年9月13日 (水)

おかあさんプリンセスになる

   うーん、一応近況。

   おかあさん新しい職場でも、なんだか楽しい人と認識されています。
   この前も、ご主人の死亡のお手続きでいらした奥様が感極まったのに同調してしまって、
   「ああっおいたわしいッ! でもお力落としなさらないでッ! お星さまになったご主人も哀しくなってしまわれますッ!! お手続きは承りましたからどうか笑って! おいしいモノでも召し上がって元気をおだしになってくださいぃぃぃぃ!」とやってしまってあとでリーダーさんからお説教されたりして。
   「キモチは解るけど……キモチは解るけどッ! 抑えてね」
   ……はい、すいません。

   そんでもって、
   「こんにちは噂の早乙女さんッ! ああ、お会いできるのを楽しみにしてましたッ! やっとシフトが一緒になったッ!」って、あなたは誰子ちゃん?
   「スピードワゴンですぅ! どうぞよろしく!
   研修の時から、うちにはすっごいガッツのあるひとがいるってお噂はうかがってて! 
   お電話を切る度にガッツポーズをキメているとか!」
   ……だれですかそんなしょうもないことを研修のときに垂れ流しているのは。
   「……電話を切る度にやってるわけでは」
   かまずに必要なことを全部ご案内できたときにはやってますけどね。思わずね。見てる人がいたのか。
   「目標にさせて貰ってます、ヨロシク!」
   おかあさんもさすがに引き気味。それがまた、スピードワゴンさん逆となりのお嬢さんにもくいつく。

   「可愛いくまちゃんのぬいぐるみですね!」
   「はいありがとうございます……?」
   もうきっかけなんだったか思い出せないけど、怒濤のプッシュで露わにされて行くお嬢さんの趣味……。
   「ゲームの登場人物で……イメージカラーがあって、その押しのカラーのベアーとかを身につけるのが……」
   「押し? 押しって言うの!? 聞きました早乙女さんッ? 若い人は凄いな、このスピードワゴン新しい世界と言葉を知りました! 広がってゆきます私の世界! どうもありがとう!」
   おかあさん虎美からなんとなく聞いてるから、ああ、それ以上聞いてやるなよ、とひやひや。
   「なんていうゲームなの!?」
   「……『うたプリ』」
   「『うたプリ』!? そういうのがあるんですか!?」
   「『うたのプリンスさまっ』だよな? 女の子向けのゲームで、アイドルと恋したりするんだよな?」
   おかあさん思わず割って入っちゃう。
   「そんなのがあるんですか!?」
   「自分の好きな登場人物のイメージカラーがあって、その色のものを身につけたりするんだよな?」
   「はい……」
   もうリリースしてやれと思ったのに、意外やそのプリンセス(「うたのプリンスさまっ」のファンである乙女のこと)語る語る。

   「『うたプリ』解るんですかッ!? 私の好きなのはこのひとなんです! 日本男児で! 芯が強くてカッコイイんです!
   見てください!」
   「うわーそのスマホケースもそのなんとかさん仕様?」
   「そうです!」
   「もしかして、クマ以外にも持ってたり?」
   「このバッグもです! 今年はアニヴァーサリーでここのところにロゴが入ってる○○さん仕様なんです! ショップ行って買ってきたんです」ト、ブルーの唐草模様のトートバッグをドンとカウンターに出す。あれ、それ昨日エスカレーターの所で前の人が持っててちょっといいなーと思ったバッグ。きみだったのか。
   「おいくらぐらい?」
   「こんなにかっこよくって3000円なんです、もうどうしよう、好きすぎる! いいでしょう? ね、これいいでしょう?」 
   「えーっ、雑誌のおまけでついてくるでしょう、こんなの。いいのそれで3000円?」と、スピードワゴン嬢ノリが一般人。おかあさん可哀相になって、
   「いや、これ昨日わたしそこで見かけて、この唐草はイイと思って、思わず、どこでお求めになったのって聞きそうになってた。そうか、うたプリのグッズだったのか、わかんないわちょっと見じゃあ。1万って言われたらどうしようとおもって声かけなかったんだけど。3000円だったらアリかも」
   「ディープな世界を知りました、私スピードワゴン感動です」
   「クマの他に猫と鳥もいるんです。猫はこんなの」
   「おおーッ」
   「お洋服も手作りして」
   「なんとッ!?」

   ……てなことを毎日やってるうちに、スピードワゴン嬢飽きちゃったのかよそへ行ってしまいましたが、おかあさんはついついその若きプリンセスを毎日構ってて。

   「早乙女さんッ! 夏っていつまでですか!?」
   「どうした?」
   「新しいゲームが配信になるってそれがこの夏って!」
   「もう暦の上では秋だ。今日から東北じゃあ新学期、そうでなくても脱ゆとりで首都圏でも新学期始まってる学校はぼちぼち出ているぞ」
   「ぎゃああああ許せん運営、○○さんに逢わせろーーーー!
   「声抑えろよ。この裏の部屋のチームまだ勤務中だ」

   嗚呼、年は取るものです。このわたくしに声を抑えろと言われる女性が出るなんて!

   おかあさんも虎美に聞いて、ちょっと調子を合わせてみたり。
   「うちの娘も○○さんが好きだと言っていたぞ」
   「まさかの同担ですかッ!? でもだめだめ同担拒否ですから。○○さんはわたしだけのものです」
   「ああ、同じアイドルのファン(担当)なのはイヤってやつだな」
   おかあさんもリアルでこの言葉を口から出した人を見るのは初めてです。

   そして8月28日だったでしょうか。
   「早乙女さんッ来ましたーッ! あー嬉しい、あー幸せ」
   「うん、頑張れよ」

   それにしてもこのかわいいプリンセスちゃんのお名前聞いてなかったわと思って、座席表をぼんやり見てると入電。
   「どうもありがとう。さきほどは香取さんという方に電話をとってもらったんですが、前の方も親身になって対応してくれて。どうもありがとうとお伝えしておいてください」
   「畏まりました。ご丁寧にありがとうございます。たしかにお伝えいたします。香取も喜びます」と切っておいて、はて、香取さんて誰やねん。

   しょーがないから、画面のコピーをとって、「香取OPには丁寧な対応をして貰った、とお礼を承りました」とメモってリーダーさんに渡しました。すると、ややあって、リーダーさんがプリンセスを伴ってやってきて、
   「早乙女さんこれはいったいどういうこと? 香取さんがなにか不適切な対応をしたというクレィム?」
   オーノー! マダム、そんなことはごぜえませんだよ。
   「違いますッ」と誤解を解いて、プリンセス香取には安心して貰いました。

   「……心の中でずっと姫って呼んでてそのうちきみの名前を改めて聞かにゃあならんとは思っていたが、今日できみの名前はカトリーヌになったから」とお昼休みに2人の定位置のカウンターで話しかけると、
   「あはは、香取でいいッス」

   そして、晴れて療治から帰ってきたおかあさんの携帯に、ねこを集めるゲームとディズニーの線で繋げてピースを消すゲームを入れ直した後は!

   「入れたぞ! どう始めたらいいんだ?」とお昼の指定席を荷物でキープしにいって逢ったその場でオープニング画面出すやつ!

   おかあさん190ぴきまで集まってたポケモンを諦めてこっちを取りました(ごめん)。

   

「うたのプリンスさまっ♪ シャイニングライブ!!」

   「いらっしゃいませ! でも○○さんはやめてくださいね♪」

   「まず押しを決めて下さい」
   カトリーヌすっごいゴキゲン。
   「話も知らないうちからお気に入りを選ぶのか? 本末転倒ではないか」
   「どういうひとが好みですか? かわいい系? 熱い系?」
   「ちゃらいのはちょっと。アツい方が……目つきがワルイのはイヤ」
   「こういうカンジですか……?」

   それで押しを決めて、曲に合わせて光るキーを押してタイミングが合っているとポイントになるといういわゆるリズムゲー(ム)。太鼓の達人みたいな。そのポイントが稼げると、「ブロマイド」という名目で好きなキャラクターのいろんな画像がもらえたり、そのポイントを割り振って任意のキャラクターの能力を上げて、もっと高得点が出せるようになるらしいです。

   「ああーっ、○○さん美しい。ああ、カッコイイ、幸せ、ああーッ」
   カトリーヌちゃんはお握りだけでお昼を済ませて至福のゲームタイム。
   「この白人はなにをかっこつけているのだ、カトリーヌや、こいつのキメ台詞はなんだ?」
   「このひとは伯爵様で、ひとを見くだして『愚民がッ』って言ったりするんです」
   「伯爵がなんで日本でアイドルやってるんだよ」
   「しりません。それがファンにはご褒美で」
   「おかあさんそんな変態的な趣味はない。好きな人には優しくされたい」
   「○○さんはそんなこと言いません。ああっ今日もカッコイイッ! 好きッ!」
   「よしよし。○○さんに貢ぐために今日も頑張れよ」

   こういう美少年がいっぱい出てくる作品って、ヒロインはそのうちお飾りになって、男の子同士がファンの心の中で疑似恋人同士になっちゃったりするから、職場でそういうことをでかい声で話したりされたら困るな、と思いながら、婉曲にネタを振っていたんですが、意外や(おい)カトリーヌはそういういけない楽しみ方をしない子で、純粋にキャラクター単体を愛しているようだったので、こちらも節度を持ってお相手しています。

   「……というわけなのだ。母はウィキとシヴの百科で勉強しておる」
   「良かったね」と、虎美も喜んでくれました。
   「目つきの悪い人を真ん中に据えてみたら声が怖くてストレスになるから可愛い子を真ん中にしたのだが、彼はロボットらしいな(ピクシヴ百科事典情報)」
   「うんそうだよ」
   「可愛いけどもの言いが素っ気ないと思った」

   と言ったほんの翌日には。
   「毎日ロボットちゃんを見ていたら、この子がセクサロイドで秘密を知ったあの伯爵とどうこうなる妄想を抱いてしまって……」
   「おかあさんおちついて」
   「高飛車なお貴族が年下の美少年ロボットに翻弄されるというのもよいではないか……」

   「虎美や、母とうとう妄想が行き着くところまで行ってしまって男女可変タイプのロボットちゃんに伯爵が押し倒される妄想を抱いてしまった。
   ごめん母パイオニアで」

   説明しよう。
   おかあさんの趣味は既存の作品の男性同士のキャラクターで、片方をオスカル様的な男装の麗人と読み替えて危ない愛いやセーフ、という勝手な物語を作って楽しむことです。極少数派なので、あまり友はいません。いわゆるいけないおねえさん達にも、そういうのは邪道として敬遠されています。
   しかし、数年に一度、「まいねさんの世界好きです!」と言われることがあって、その時ばかりはお赤飯炊く勢いで感涙しています。ほんと、生きててよかった。
   こないだのウェィヴのときに、
   「まいねさんは女の子になっちゃった方が押し倒しちゃう世界のパイオニアですねッ♪」というありがたい言葉を貰っちゃって。
   ……ふつうは男どうして押し倒したりしてまして、それを無理矢理女の子にまでしといて、積極的なのは女の子の方ってどうよ………でもよく考えたらそういう話だったわ。

   そして、うたプリでは絶対そういう邪な眼でみたりしないぞッと思っていたのに、……気がついたらやっていたと。

   「そう、書けたら見せてね」

   「……じゃー15禁ぐらいで」
   って、母はセクサロイド(セックス用のアンドロイド)と言ったはずだが。そんなもん18禁的展開になるだろうが……親の書いた官能小説を読ませてねってよく言ったな。

   虎美創作系の友人多いから。なにかを書いてる、書きたいと言ったら、社交辞令としては、
   「今度読ませてね」というのが身についてしまっているのね。あんまり本気にしないでおこう。

   今度同窓会があるらしいけど、おかあさん諸事情でいけないから(前回のドタキャンの精算問題はどうした!?)、いちおー近況報告。って、娘に自作のエロ小説読まそうとしたっていうダイジェストにはしないでね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧