遙かなる羅馬
今を去ること5年前(?)実家の母が申すには、
「まいちゃん! おかあさん母の日に安いものは要らないから! プラダの赤いリュックを頂戴!」って、ババ○のくせに生意気だぞ! だいたい、プラダって黒いカバンのブランドじゃなかったですか?
親孝行と思って、いろいろさがしたんですが、仙台にプラダショップはあったんだかなかったんだか、とりあえずブランドものを置いてあるようなところは行ったら必ず覗いてたんですが、見つかりませんでした。その頃なにかの懸賞でシアトルマリナーズ観戦旅行を当てた旦那様にも「とりあえず免税店で赤いリュックを探してください」って。
ところが見つからないままはや5(?)年が経過してしまったわけです。もう本人も忘れただろうとか思ってて。せっかく首都圏に越してきたからって、本人が都会生活になれるのに精一杯で、デパート巡りなんかやってる余裕ありません。この前銀座に行ったときも、プラダのプの字も思い出しませんでした。
今日! 夕方からの雨で小田急バスダイヤは大混乱、2本もいつもの電車から遅くなってアルト・リリエンベルクに降り立ったわたくし、虎美待ってるだろうなあと急ぎ足でお稽古場まで坂を上りはじめると、目の前に赤いバッグが揺れています。今流行りの、肩から掛けてお尻のところに回すカバン、それの、ポケットの上辺りに逆三角形のプレートが。
「プ ラ ダ じゃん!」
嗚呼、ここで逢ったが100年目、プラダに赤いバッグはやっぱりあったんだ、ちょっと、呼び止めてどこで買ったか聞こうかしら、いくら何でもそれは失礼だろう、わたしも恥ずかしいぞ、と思ってたら見失って。まあいいや、虎美を回収して帰ろう、とお稽古場に入りました。
「遅ーい!」と例によって偉そうな娘をしばき倒しながら先生にご挨拶をして、
「今日はがんばったのよ」なんて話をしてたら、今日は確かに遅かった、いつもは貸し切りなのに、先輩のおねえさんが二人ももういらしてます。先生の奥のおねえさんは2,3度面識もある……ん? 肩から提げているその赤いものはなんですか?
あなたがプラダの君だったとは!(勝手に名付けるな!)
そこでおかあさん勇気を振り絞って聞いた!
「あの、それ、失礼ですけどプラダ?」
「ええそうですけど?」やや不審げ。
「ものすごくアレだけど、どこでお求めになりました? うちのおばあちゃん田舎もののくせに生意気で、どこで見たんだか『赤いプラダのリュックサックがほしいの』なんて言うんですよ。でも、仙台にはショップがなくって探せなくって……な、虎美?」
しどろもどろになりながらそれでもここで恥かいとけとばかりに言いたいこと言ってしまうと、そのおねえさんは、
「あ、日本で買ったものじゃないんで……」と仰ったのでした。
ナルホド、日本未発売か。
真っ赤なバッグなんて、うちの母がわたくしでもないと持たないって(いえ、そのおねえさんは持ってます)。
「いいじゃない、今度こちらの方イタリアに行かれるそうだから、買ってきて貰えば」と先生が笑いながら助け船を出してくれましたが、
「いえ、買ってきて頂いてもお支払いできないかも知れませんから」と、肩を落として帰途につきました。ダメ元でお値段だけでも聞けば良かったかしら。
もっと真剣にプラダのお店をネットで見てみよう、いったいいくらぐらいするんだろう……。それ以前にうちの母は い っ た い ど こ で そのプラダの赤いリュックとやらを見初めたんだろう!?
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