2017年4月15日 (土)

「彼方のアストラ」 無重力下のジェットコースター

   高校からの楽しい惑星キャンプ一転サヴァイヴァル・ツアーという「彼方のアストラ」ですが、今回らぶこめ回でした。
   いや別の意味で手に汗握ったけど。
   日常回に伏線ぶち込んでくるから、今回のザック(天才君)が父親に感じた愛情のなさが、かれらのクローン疑惑に絡んでくるんだろうけどね、謎解き回でね。

   学校に絡んだ若者だけの宇宙サヴァイヴァル・サスペンスということで、初期から名作「11人いる!?」へのオマージュがネットでは噂されてますが。
   そういう、「ゲームマスターがいる」という観点でみると、あやしいのは実はヒロイン:アリエスなのかもって、今日思ったから書いとく。
   根拠1) アリエスが船内日誌をつけている体裁。
         自分は絶対最後まで死なないという認識あってのこととみる。
         あとは、古典ミステリの踏襲で、この登場人物が犯人ではという読者の推測の枠外に出すため。

   根拠2) 「11人いる!?」では、「ゲームマスター」が、「あなたは最初集合したとき居なかった、すなわち、あとで潜入した危険人物では?」と主人公を犯人と疑わせるミスディレクションをしている。同様に、単行本3巻のエピソードでアリエスが某キャラクターに疑惑を集める発言をしていることから。

   根拠3) アリエスは最初のトラブルでまず生命の危機に瀕していて、作中メンバーからも、読者からも、犯人ではという推測から最初に外されている

   根拠4) 「皆さんとお友達になりたい」と公言して積極的に全ての登場人物に絡んでいっている

   出そうと思えば幾らでも出てくるな。
   そして、作中彼女自身が言ったように、想定を越える生命の危機に際して、一緒に生き延びようという方向に作戦変更している最中なのではないかと。

   それにしても、毎度すごいよな、作者は。ギャグとシリアスの練り上げ加減がパネエ

       

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2017年3月25日 (土)

イソノ家は相続問題を救う!?

   よんどころない事情で相続の勉強をしているおかあさんです。

   「遺産相続には先順位者というのがいて、優先されるべき人が決まっています。①は亡くなられた方の配偶者、②は子供、③は親、④が今度はお孫さん、⑤は逆に祖父母で⑥がご兄弟。それから、法律の改正があって、たとえば旦那さんのご両親の介護を長年やってこられた奥さんが、そのお姑さんが亡くなられたときに権利がないというのは可哀相ということで、⑦として甥ごさん姪ごさん、子の配偶者にひ孫などが加えられました」
   「人情として正しいわ~」
   「この順番は大切なのですが、人様のご家族で誰がナニに当たるかを考えるのは大変ですよね~」と講師のおにいさん、この方は講師をやるために生まれてきたようなよく気がついて穏やかなお兄さんであります。

   「だからーサザエさんで言うと、一家ほぼ全滅したとき、ナミヘイさんの遺産はナミヘイの兄のウミヘイか、サザエさんのダーリンのマスオさんが相続するかってことよ! そこはマスオさんに遺産が行かなかったら日本全国のお茶の間が納得しないわ!」
   おかあさん力説。
   「ナルホド!」
   一緒に話を聞いていたマダム達は笑い転げて納得してくれましたが、
   「そうなんですか? ぼくはサザエさんファミリーの血縁をイマイチちゃんと理解していないので」と、講師のおにいさんはきょとん。
   「なんで~!?」
   ……今思ったけどイソノ家が全滅してたらマスオさんもたぶん一緒だわ、その際はナミヘイの妹の子であるノリスケが相続する方がナットクリョクがある!?

   というわけで作りました。ちょっと前流行った、サザエファミリーは「太陽にほえろ」のテーマで歌えるというやつのアレンジで。

   遺産相続順位暗記のための歌。(前奏約18秒)

   ♪フ~ネ①、サザエ②、ジジイ③、タラオ④、モクズ⑤、
    ウミヘ~イ⑥、ノリスッケ~マスオ⑦~ちゃららちゃちゃら~                   
                                      となります。
   ナミヘイの父と祖父が名前わかんなかったので適当に埋めました(失礼)。 
   イソノモクズってのは江戸時代に大福だかぼた餅だかを30いくつ食べてお殿様にお褒めを頂いたご先祖だったと思います。

   「お亡くなりになった方の手続きをするときには戸籍謄本を提出していただきますが、その際は続柄を証明するために請求者様の分も取っていただきます。
   請求するのが奥様、ご主人様の時はすぐに解りますが、離れたご関係ですと、関係が繋がるまで取っていただきます
   「どゆこと?」
   「だからーナミヘイさんが亡くなってタラちゃんが手続きするときはーナミヘイさんの戸籍にはタラちゃんは載ってないの! サザエさんは結婚するんでイソノ家からは出てるのよ! バッテンして除籍になってる。長女サザエ何年何月フグタマスオと婚姻のため除籍って!
   だから今度はタラちゃんは自分の戸籍を全部入ってるやつ(謄本)で取って、父がフグタマスオ、母がフグタサザエで子がフグタタラオってなってることを繋ぐと、ナミヘイの娘の子なのねーって証明ができるんだって!」とおかあさん暴走。
   「ナルホド~」
   「……ぼくには解らないけどそういうことみたいです」と講師のおにいさんも苦笑い。 

   「大人になったらだいたいご兄弟で一緒に住んでることもないでしょうから、ご兄弟が手続きするには『生計を同一にする』証明というのをしていただくんです」
   「そんなことないって、イマドキはかえって年金を貰うような年だからこそひっそりと一緒に暮らしてるのよ! 
   だいたい『赤毛のアン』はアラフィフぐらいの兄妹が、もう結婚する見込みもないしっていって養子を貰ったのがアンなんじゃないの! あれ? じゃああれ最後にマシュウ(兄の方)死ぬけど養子の配偶者だから遺産は妹に行かないでギルバートに行くわけ???」
   「早乙女さん、アンは養子になってませんから。だいたいあの土地はダイアナのお父さんから借りてますから遺産と言えるかどうか」

   おにいさん「サザエさん」はさっぱりなのに「赤毛のアン」についてはアツク語るぅ~!?

   マダムたちどん引きw
   ……というように本日も楽しく生きております。 

   そしておかあさんが考えていたのは……
   「ひーふーみ、上がって下がって……4親等、水無瀬家のお姉様たちが死に絶えてもうちには遺産はこないのね……」
   旦那様の親戚にちょっとしたブルジョワがいましてね……なんてずうずうしいとらたぬ算。恥を知れ。

     

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2017年2月24日 (金)

娘を絶叫させるネタ

   おかあさん噂の「腐男子社長」を買いに行ったんだけどさ。

   「翔んでる警視」以来ラテン語が操れる男性は憧れですが、この社長も凄い。
   「すご~い、こういう社長が実在したらぜひ愛人にして欲しい!」と絶叫しようとしたところが。
   「……もしかして、こういう社長さんはタメ(同学年)どころか自分の方がおねえさんなんじゃないだろうかと気付いてああ~という気持ちになった」と虎美に話して。

   「高校球児がすでに年下になったとか、ジャニーズの新しいユニットがもう年下とか、いろいろ女のどうしようもない節目があるんだろうな。
    ついには自民党の幹事長が年下になったりして、
   『あのこけっこうマジメで可愛いわよね』とか、それだけはイヤだ~~~!!」

   虎美はジャニーズが年下のところで頭を抱えて絶叫してました。最近そっち方向へ目覚めたのよ。こないだ新橋演舞場できゃーきゃー行って帰ってきました。

   ……それで今の幹事長は誰子ちゃんよ? 小泉ジュニアだったりしたらもうアウトだな。ト目の前の箱を操作。だいじょぶ、今の二階さんは史上最高齢だって。伸晃だった時代がやばかった。

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2017年2月19日 (日)

「紅霞後宮物語」  ― レスで百合でハッピーな後宮生活? ―

   虎美の方から「彩雲国のひとの新作」として紹介されていて、既刊3巻ぐらいまで読んでて、この度プリンセスからコミック化。いいカンジなチャイナ・ファンタジーですよ。この2月に2巻がめでたく出ました。よくよく質したらあっちは「雪乃紗衣」こちらは「雪村花菜」でまったくの別人でした、うん、けっこー作風変わったなと思ったから。お集まりの皆さんに嘘をお知らせしなくて済んでよかった。「紅霞後宮物語」原作雪村花菜、作画栗美あい、いいです。

   隋唐時代をモデルにしたという大宸国が先頃頂いた皇帝は傍系で若いのにやり手。軍に入っていて、女性将軍である関小玉の副官を長年やっていたのですが、その上官であった関氏を余人を以て換えがたい、とばかりに後宮に入れ、異例の8階級特進で序列4位の賢妃、それでも妃達にいびられると見るや、それからさらに4つとばして皇后冊立

   その前代未聞の愛されヒロインの小玉さまってどんだけ女子力高いのって、さばさば体育会系なお姉様でした。なんで皇后って、高位のお妃なら皇帝の代理で軍を指揮することができるからだって。たたき上げの関ちゃんが今以上出世するにはチャイナ版ガラスの天井があったとかで、じゃーお妃になりなよ、という非常に色気レスなご事情だそうです、なんだ。つまらん。
   冒頭エピソードからして、ありがちな悪役先任お妃から血まみれの豚のお頭を朝っぱらから寝室にプレゼントされても煮て喰っちゃうという大胆ステキっぷり。さすが、伊達にたたき上げで女性ながら将軍になってません。だーりんである皇帝陛下も絶句してました。

   じゃあ非常に有能な文林(皇帝)は関ちゃんに愛だの恋だのという甘い感情を持ってないかというと……そうでもないらしい。時々切ない目で見たりするんですが、関ちゃんはもうアラサーで、文林のことはお家の事情で大変な転職をしちゃった相棒程度にしか思ってないので、皇后冊立以来ほぼ夜を専らにしておる状態なのに、2人の間にはお目出度いことが起きる可能性は絶無なのでありました。

   いいのか、おい。

   「彩雲国~」とはちがうなーというのは2人の周囲にBLくさい美形ハーレムが形成されないところです。関ちゃんの従卒? だった清喜はなんと関ちゃんの後宮入りを知ると、「(恋人と死別して)もう使う予定ないし」とあっさり自発的に去勢して(自宮という)宦官になって付いてきてくれるし! 同様に関ちゃんの初恋の人であるらしい沈大監という美中年宦官が背後を固めてくれますが、もててもてて困る的要素はない。いいよ!

   だがしかし、あっさりしたたかな皇后さまのアラサーな魅力に後宮のみんながめろめろになって、百合っぽい雰囲気がどんどん溢れてくるのでした。
   さすがだ秋田書店。おかあさん百合(女の子同士のあぶない恋……までいかないきゃー! な感情)もいけるかも知れない。

   そういうチャイナ~な世界観に戦う皇后、ダーリンは戦友、二人三脚で宮中謀略を華麗にクリア……というけっこー骨太な物語が変わっていて面白いのでした。あと、ヘンな仙人とか妖術とかも出てこなさそうなところも気に入ってます。ムリにファンタジーにしなくていいです。ほんとこの線でお願いします。

   絵もキレイよ。合戦シーンのモブまで綺麗で、もっと手を抜いていいから、と作画のかたに肩ポンしてあげたいくらい。

   妍を競う各後宮の美女にイメージ・フラワーがあるという裏話が面白い。あの時代の風俗をアレンジしつつ華やかに描いてあって楽しいかな。
   ただ、チャイナ文化圏で成人男子の前髪は許し難い。ぴっちり結って額出せよ男なら。

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2017年1月22日 (日)

「海月姫」 ガンバレ魔法使い

   なんだか今週スイッチ入ったみたいに本を買いまくっちゃったわ。

   ネットで試し読み無料公開を見て気になっていた「春の呪い」小西明日翔 はあっさり終わっちゃったなーという感じ。すごく深刻なお話。どんな鬼畜なことをしでかしても、相手が生きていれば謝って、憎まれて、それでもいつかは分かり合えることがあるかも知れないけど、亡くなったひとが相手では永遠にそれはできない、負い目は一生続く、……主人公の母親の忠告が胸に響きました。それでも、主人公は前を向いて旅立つところが若いっていいなあというところでしょうか。この方ピクシヴでショートネタをいくつか拝見してますが、みんなそういう心の奥底が繋がってるのっぴきならない系なのよね。そういうのが好きなのかしら。

   「海月姫」東村アキコ の方が気に入ったかな。無料で2巻まで読めたので読んでみたらはまって、とりあえず結末だけ知って納得しようとうっかり課金して公開されてる最後を読んでみたら完結してなかったーッどうしてくれんのよッ!
   自分のディープな趣味に浸りきり、お洒落とか男女交際とかから逃げてる女の子達、そういう女子を広義の「腐女子」、この作品内では「尼~ず」と定義して、ヒロインが女装男子と出会うことからどんどん新しい世界に飛び出していくお話。
   ……まあこっちの方が自分に近いしな。
   でも、あんまり容姿に恵まれてないと自分で思ってる引っ込み思案な女の子がヒーローと出会って才能を開花させていくってのは少女漫画の王道だと思うな。その才能の方向がデザイナーってのが、一周回って今風なのねえ。70年代かと思いましたけど。アイドルをめざすってのは80年代も90年代もそれなりにあったと思うけど、デザイナーものって最近あったかしら?
   でも、個性的な登場人物がイマドキで、ほんと笑っちゃう。お姫様になる魔法を掛けてあげたのに、女の子は王子様と恋に落ちちゃって、魔法の掛け損? 自分は魔法使いに過ぎないの? と愕然とするヒーロー!wwww王子様の方もリアル「魔法使い」で、おまえそれはないだろうという女の子の扱い方でハッピーエンドまで電車道じゃない! どっちとくっつくんだよう!?
   畳みかけるようなギャグがアキコ節(この方の「ひまわりっ」にはモーニング講読中お世話になりました)。笑って泣いてドキドキして。ほんとムッチャ課金したッ! 最後の理性で4巻までで我慢ッ。

   ……ということでドラちゃんは試験前でスイマセンが2巻まで無料(1/25?)の間に読んどいてッ。母3巻からしか買ってないから。

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2016年12月29日 (木)

主旨は藤田和日郎上げということでいいですか?

   おかあさん今日は家庭ゴミ最終日だというのにお寝坊してしまいました。
   お隣の奥さんが例の如くドアをばたんって開けて、ポリバケツをごとごとやってるからああ、6時5分ね、と時計を見たら、もう8時19分。ああ、収集車はいってしまったのか、やってしまったなあと諦めて二度寝に入ったら(入るな)、その後有名な川崎市民の歌(「♪すきーでっすかっわっさっきっ愛のまちッ」ってやつ)を鳴らしながら収集車がやってきて、タッチの差で(ちがいます)ご町内の皆さんが出されたゴミを収集して去ってしまいました。

   嗚呼! あの時点でさっと身繕いして手元にある分をかき集めて出していれば間に合ったのに!

   そのときわたくしの脳裏を過ぎったのは「からくりサーカス」の主人公勝くんの名台詞……のわりに全文そのままでなく要旨。

   「カッコつけて笑ってあきらめるなんてよそうよ、最後までみっともなくあがくんだ……」

   わたしって本来こういう価値観の人間だったと思うけどなあ。とにかく藤田和日郎は至高。食休みが済んだら干し物をして大掃除の真似事でもします。ってもう昼じゃん!

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2016年12月17日 (土)

発表! 2016年のコミック!

   さてもう12月も残り半分。お給料が出たら張り詰めてたものが切れてしまってうっかりやすんでしまったおかあさんを2016年もっともきゃう~ん! と言わせたコミックは!?

   

「彼方のアストラ」篠原健太 でした!

   昨年に引き続きネットコミックからの選出です。もしかして「野崎くん」もだから3年連続?
   時代に取り残されてる感を感じてましたがまだまだ乗ってます、乗ってます!?

   ジャンプの公式ネット公開サイトで、完全新作の毎週公開です。クオリティを維持するために、書きため分が無くなってからはストーリー部分と4コマ箸休め部分が交互になってしまいましたが、それでも毎週更新だからイマドキとしては充分でしょう。

   一度ご紹介しましたが、宇宙に展開している近未来の地球の高校生達が学校のキャンプで訪れた惑星でなぞの現象に巻き込まれ、5千光年の彼方へ移動、なんとか宇宙船は見つけたものの、物資が足りない、通信できない。ほぼ初対面の9人のサヴァイヴァル、という、「15少年漂流記」と「11人いる!?」をまぜこぜにしたような設定。
   ただのサヴァイヴァルでもきついのに、学校側からのチャレンジとして帯同したメンバーの義妹が聞いた謎の言葉から、この班は「一斉殺処分」にされる予定だったのではという疑惑を彼らは共有することに。ドロドロでギリギリの大冒険になってしまった9人の行く末は!?

   親の側からの事情も描かれ、同じ高校の生徒以外にもこのメンバーの共通点:一斉殺処分されるべきなにか、があるのではと思わせます。もう、その辺がウマイウマイ。あとになってみれば、これも伏線、アレも伏線。

   それでも、高校生の男女が一緒に生死を共にすれば、憎み合ったり疑い合ったりばかりではない。お互いのこころの傷を見せていたわり合ったり、乗り越えて輝いて見せたり、もう、青春っていいわねぇ~としみじみ。

   青少年向けっていうのはね、こういうの、こういうのを言うのよ! おっぱいの大きい女の子だしとけばいいってんじゃないの! 出てますけど。すごいリアルなグラマァーさんだけど。でも恥ずかしい、わたしなんかってむっちり系内気な女の子のたたずまいがほんとリアルぅ~。そんでもって頭がよくてきびきびしていて、トロトロウジウジしている人間が許せない系、もちろんルックスもAクラス! の女の子もまたリアル。この年頃だといるよね、無駄に尖ってる。おかあさん無駄ってそんな。でもこの年になると思うもの。あなたそんなにツンケンしててどうするのって。自分もそうだったなあと思うともう埋まりたいけど、それはやっぱりあの年頃の女の子としてはあるんでしょう。

   そういうああ~セイシュン! な感じがもう必読と思いましたのよ。うん。買わねばなるまい! 

   

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2016年11月12日 (土)

漫画原作者のサヴァイヴァル

   ドラマにもなった「信長のシェフ」は戦国の世にタイムスリップしたケンが、どうやらフランス料理の料理人であったらしい前歴を活かして偉人に取り立てられて生き残り、激動の時代の歴史を見届けるていのお話であるようです。途中まで原作と料理の監修をしていたのが西村ミツルさん。
   この方元公邸料理人の経歴を生かして、料理と外交の絡んだお話を作るのが巧い。デビュウ作は「大使閣下の料理人」作画はかわすみひろし。初期は主人公大沢が調理助手の現地スタッフとプラトニックな恋をしてたりしてドキドキしたし、結構時事ネタも絡めたりして毎週読み応えのあるお話を楽しませて貰いました。いやほんとあれは名作だったと思うよ。文化庁メディア芸術祭漫画部門の優秀賞受賞作品だそうだし。

   とりあえずネタも出尽くして円満終了したあとは、その主人公大沢公の弟子という設定の可愛い女の子のシェフが今度は首相官邸の料理長として頑張る話を出してきました。それが、「グ・ラ・メ! -大宰相の料理人-」作画は大崎充。これは、最近ラインで無料配信されたので読んでみたけど、うーん。イマドキの綺麗な絵になって、可愛い女の子シェフで、おっぱいとかお尻とか出してみたり料理にかかる前になんだか造語? のキメ台詞なんか言っちゃって、我が儘美女のライヴァルキャラも出てきてすっごく若い男性アピールを考えてる感じだけど、こちらには響いてきません。ごめんオバサンで。
   「大使閣下」の方も、終盤は弟子の青柳愛ちゃん(T大卒ながらバックパッカーしちゃう元気娘)に主人公が変わって、若い読者を獲得しようとしている感もありましたが。違うよ、あなたの作品に求めてるのはそんなんじゃないんだよと読んでる方は血涙。そんでもって「大宰相」の方のそのライヴァルキャラも、言ってることには一理ある系の敵ならいいけどほんと勘違いしたワガママ娘でイライラしか感じない。お客様のこと考えてなくて、自分が、自分が、と出ていってただ敵とみなした相手を打ち負かすことしか考えてない。ああ、これサーヴィス勝負系の漫画でありがちなやられキャラか。正しいというかありがちなのかも知れないけど、読者がスッキリしないんじゃそれは巧いストーリーテリングとはいえないんじゃないかなあ。

   ラインコミックはすぐ感想をコメントでその一話一話に付けられるから、読んで感想をすぐ共有できます。「リコ引っ込め!」「このお嬢様不愉快!」というのを目の辺りにして、自分の感覚は間違ってない気になって思いが増幅されますね。って、他人と同じ感想じゃないとものも言えないのか、おかあさんってヘタレだわ。

   というわけで、どうしちゃったのかしら、西村氏、がんばってちょうだい、生き残りって大変ねと思ってたら。

   「ヘルズキッチン」作画天道グミ もクレジットに西村ミツルって書いてあって!
   オイオイオイ。
   こちらは若い人向けのファ、ファンタジー? 地獄の悪食伯爵(イケメン)とかが出てきて、最高の料理人の魂を食べたいから自分で育成する、と主人公を見込んで料理の専門学校(ちょっとヘン)に叩き込んで修行させる。「ムリ!」しか言わない無気力主人公は身の不運を嘆きつつ料理の面白さに目覚めて……と言うようなお話。王道の「異世界からの同居人」ネタを「チキタGUGU」風味で謎の学校でもまれる系にしたカンジかな。イヤどっち買って言うと初期の「リボーン」の料理人系? 謎の来訪者に振りまわされてるうちに無気力系男子がやればできるスゴイやつになっていくオハナシ。毎度、悪食伯爵の助けを受けて作る料理が意外やちゃんと理論的にまともで、もしかしてと思ったら料理監修が西村ミツル!?
   最初、ここまで若人に話を寄せてきたかァーッて思って編集ページ開けたんだけど、調べたらストーリーまでは作ってなかったです。ああ、早まらなくてよかった。

   いろいろ商業的にお話を創るのも思ったとおりではなかったかも知れませんが、一つの道を拓いたということは紛れもない事実なので、くじけずにまたお料理に絡んだ面白いお話を読ませてください。お願いします。

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2016年10月29日 (土)

超嗅覚探偵NEZ 承認されたい!

   阿部ちゃんがやってるのとは別だけど、とこないだのオフで波多利郎さんがご紹介。「超嗅覚探偵 NEZ」 那須雪絵。

   通り魔事件の捜査中の若い警視庁の所轄の捜査員の神保くんが思いだしたのは高校の同級生。人並み以上に鼻が利くとかでいつもマスクをしていて、ちょっと周りを見くだしたイヤな感じが印象づけられていたのですが、こう連日証拠集めに駆り出されていて、警察犬も頼りにならない状態が続くと、藁をも掴みたくなるのでしょうか。死ぬ前の走馬燈状態は、過去の経験から現状を打破する智恵を無意識に探しているのだとも言いますけど、そこまで追い詰められていたのか神保くん!?

   しかしながら運命の女神は彼らを引き合わせてくれるのです!

   丁度通常業務、嗅覚を平和利用して迷子のペットを探すペット探偵の活動中だった松下くんがちょうどかれの前に現れました!
   でも、地面に顔を近づけて匂いを嗅ごうとする姿はどう見ても挙動不審者、即決で職務質問対象者と捜査員としての再会です!
   まあふつーに職(務)質(問)馴れしてる松下君は非協力120%でやっぱりサボテンのような印象でしたけどね。松下くん生きるのがヘタ。勝手に偏見に満ちた目で扱った方も悪いですが、頭は低い方がむやみに怪我しないんだよ。同行していた探偵助手というか事務員のマリコちゃんが巧くフォローをしてくれているのでなんとか世の中渡っていけてるカンジ。
   マスクをとって1回匂いを嗅ぐだけで松下くんはちゃんと神保くんが高校の同級生だったと思いだし(名前は言わなくても1年の時同じクラス、とまで特定)、次の瞬間にはその捕獲対象が現れ、ペット探偵の仕事ぶりもバッチリ描写。そして去りがけにしっかりケンカを売っていくというみごとな登場シーンでした。もっと上手な生き方覚えた方がいいよ。

   松下くんの捨て台詞で誰も知らないはずの秘密を言い当てられてしまった神保くんの相棒で上司の芳谷さんは、
   「しゃべる警察犬がいればいいって言ったのお前だよ」
   「おまえ友達だろー? タダで使えよ」と、松下くんを捜査に利用することを提案するのです!

   ものが嗅覚だしなあ。

   いろんなことが解ってしまう超能力、でも尊ばれない、相手を知らず傷つけてしまう、この辛さに、それでも能力を隠して生きようという賢さがない松下くんは傷付きまくってひねくれまくっています。ほんとヤマアラシ状態。でも、人間ひとりでは生きられない。幼い頃から自分の嗅覚を誇りに思い、物を探したりして賞賛されたい、認められたいという欲求をうまく抑えられない松下くんはほんと生きるのがヘタ、見ていてハラハラします。神保くんもけっこう同レヴェルなので、ヤマアラシ状態の松下くんにまともに傷つけられたり腹を立てたりして、大丈夫なのかとハラハラします。でもまあそこは、もう直接の志望動機を忘れてても、刑事になるくらいだもんな。正義とか、真っ当なものを志向する深層があるから。上司に言われたから100%でなく神保くんは松下くんにかかわっていこうとするのでした。

   いや神保くんもぶきっちょだよね。同級生だったのにかれの実家知らないの? って芳谷さんに聞かれて、「勝手に調べたら信頼関係に悪影響が」って調べてなくて、「バレなきゃいいんだよ」って。あーこいつはって顔されてました。

   まあ、芳谷さんも、イシュヴァールから帰ってきたマスタング大佐(ハガレンの)みたいなところがあるみたいだし。ほんとは切れるひとなんでしょう。都民の、国民の皆さんを守るために、もっと使えるものがあるならどんどん探して使っていきたい、当然、人道というか迷える若者に対する人助けといういい大人な理由でもないけど、単に出世のためだけでもない理由からかれらを手助けしてくれるのでした。

   おかあさん心に傷を負ったイケメンの超能力者でもこういう触るもの皆傷つけるタイプの子苦手だわ~。そういう意味では「絶対可憐チルドレン」の初期型兵部少佐みたいな。かれも今は結構寿命を意識して後の世代に気配りしてるみたいだけど。
   平凡でも、へこんで引きこもる松下くんにぶつかっていったり、松下くんのおかげで捜査の初歩ミスが発覚したあとで、言い訳せず警視庁を代表して被害者の方にまっすぐお詫びを言ってまっとうなケアをしてあげられる神保くんのほうが好きだわ。最後の事件で人が撃たれた、と嗅覚を使って実況する松下くんを気遣って手を宛がうシーンはきゅうっとなりました。

   まあそういうまっとうパワーでとうとう松下くんの心は開き(頭と鼻から血、そして涙をだらだら流しながらまっすぐの笑顔で「うん」と答えたあの見開きページには圧倒されました!)、彼らは最高のパートナーとして最後の事件に挑むことになります……。

   やっぱね、ひとは繋がらないと生きていけないんだってのがよく解りました。あと承認欲求を満たす。そこらへんが、そんなにこの方の作品読み込んでるわけじゃないけど、那須雪絵さんの作品だなとしみじみ思いました。

   波多利郎さん、よい出会いをありがとうございました!

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2016年10月14日 (金)

「あかぼし俳句帖」 身を切る刺激

   波多利郎さんからお宝と共に到着。「あかぼし俳句帖」原作有間しのぶ作画奥山直。

   昔取った杵柄でなんとか某自動車会社の広報部に在籍しているバツイチの痛いオジサン明星啓吾さんは、行きつけの小料理屋で出会った若い美人の女流俳人水村翠さんに釣られて俳句を始めることに。最初は邪心99%だったのに、こてんぱんにけなされるうちにどんどん句心に目覚めて、なかなかな句を詠むようになり、俳句の結社に顔を出すようになっていくのでした……。

   オジサンの痛々しさが見ていられなかった導入をなんとか過ぎると、俳句というもの、創作の世界の厳しさ、しかし他で得られぬ高揚感、充実、達成感を読んでいるこちらも味わえるようになってきます。ただ見過ごしていた世界が、自分で再既定しよう、自分の言葉、感覚で切り取り直そうとしたときには一気に姿を変える様、なにをもっても捉えきれないもどかしさ、自分が感じたその時のキラキラはなんだったのか、まさしく、「なないろ軌跡をつかみかね」る悔しさ、俳句と短歌で土俵は違うものの、明星さんの昂奮と失意はわたくしの感じたものに同じです。

   それにしても、これを読んでわたくし娘に対する尊敬を新たにしました。いくら部活だからって、あの「句会」を毎度毎度やって曲がりなりにも3年生きてきたなんてすごい。それも、自尊心が感度MAXな女子高校生としてだよ? ああ、わたしが作中の人みたいに批評されたら3ヶ月は立ち直れない! なんだっけ、臆病な自尊心と尊大な羞恥心? 「山月記」の! 娘よく曲がりなりにも学校行ってたよな(行ってません)。そしてよく切磋琢磨の日々を勝ち抜いた。ほんと、ドラちゃん尊敬するよ!

   かすめたるなないろ軌跡掴みかね
    しかと描けぬアウロラの貌(かほ)    舞音(再掲)

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