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2020年8月 8日 (土)

転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す ― 愉快痛快大誤解 ―

   おかあさんもはやめに連休突入ですって、じつは夏風邪で頭とのど痛かったので3日寝て暮らしました。いやほんとただ純粋に寝てた。

   いやいや、それで、なかなかケッサクに出会ったのでご紹介。

   「転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す」十夜。原作はなろう。コミカライズはアース・スターでやってます。「魔王の秘書」とか、「戦国小町苦労譚」の。今回も戦国小町の更新見に行って拾ったの。

   転生聖女ものですが、現代日本は関係なし。その異世界で、騎士になりたいと絶望的な努力を積むヒロイン、フィーアちゃんが、死の間際に自分が300年前の国を救った大聖女だったことを思い出して、なかったはずの聖女パワーで成り上がる話

   オリジナルな味付けは、その300年前の大聖女は、魔王封印のクライマックスで自分が支援して苦楽を共にしてきた兄王子たちに裏切られて、敵地に捨てられ、魔王の残党に恨みをぶつけられて惨死したってとこ。死に当たっては、「聖女として転生したらまた殺しに行く」と呪いをかけられたことを現在まざまざと思い出してしまったということ。15の、成人の試練の最中のいたいけな乙女がですよ!

   しかも、そのせいでせっかく思い出して使えるようになった聖女パワーを親兄弟同僚上司にも隠し通さなくてはならないハンデ!

   あと、物語前半は。前世を思い出すきっかけ、死に瀕した魔獣を助けたら、それが伝説の魔物、黒竜で、そんなものと契約してしまったらVIP扱いになり、魔力の源を探られて前世がばれるから黒竜ザビリアのことも隠し通さなくてはならないというダブルハンデがついてました!

   騎士能力もほっとんどないせいで騎士の脳筋ファミリーにはネグレクトされていたのになにこの天然ポジティヴ、洗練された宮廷人としての高度なイヤミや皮肉(騎士と疑わしいぐらいみんな言語表現力とネゴシエイション力がある)も非常識なほどの鈍感さでスルーして楽しく騎士団生活送れてしまうのは尊敬します! この誤解と鈍感のすれ違いっぷりがたまらない!

   そして、少女漫画の古典パターン、ヒロインが信じられないほどの清らかなポジティヴさで人の心をつかんで受け入れられていくというのを騎士団ものとしてやってくれるのでした。当然、色とりどりの美形逆ハーレムが形成されますが、その持ち上げられ方は胸がかゆいラヴロマンではなく悶絶爆笑ものです。王族の血を引くエレガント団長もワイルド美形団長もウソでしょッとキリキリさせられていつもと違う面を見せてくれるおかしさ。かえって、キラ効果付き王子様の同僚騎士が最初から変わらずほんわりと癒しになっているのが貴重なくらい。

   そのうち、兄王子たちに裏切られたあと、300年の年を経て聖女というものがイヤな感じに変わってしまった社会背景の謎も解いてくれるのでしょうか。フィーちゃんが「くそったれ」と評して団長さんたちを瞬間冷凍してしまうような。

   秘密がばれたら殺されちゃう! はずなのにあんた秘密を守り切る気ないやろ、というふうに突発時には聖女パワーをいかんなく解放してしまい、どんどん聖女ばれしていくフィーちゃん、20人いる騎士団長さんたちがどんどん秘密を知っていって真っ青になりながらフィーちゃん対策に頭を悩ませるのが、「本好きの下剋上」の4部あたりに似ているかもしれません。

   いやー先行き楽しみな元聖女様です。

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コメント

 これ、各々の団長さんがそれぞれフィーアちゃんのことをどこまで解ってるかにずれがあるのが面白いんだと思う。
 ごめん、わたしが整理したいだけなのでネタバレです。

 直属のシリルさんはフィーアちゃんが相手の強さを正確に推し量れることを恐れてる。総長が現在弱体化していることがたぶん上層部の秘密で、それを見抜いたことから、フィーアちゃんを実は見る眼のある強者と評価しだした。でも聖女パワーがあるとまでは思ってない。逆に、へっぽこ騎士だけどなぜか見どころがあると思って彼女じしんを評価している。聖女の振りさせてごめんね程度。従魔が黒竜様だとは思いも寄ってない。
 総長さんは入団式で自分の怪我が即行ばれたときから、ただものではないとは思ってる。フィーアちゃんが精霊に愛されていることも察しているので、じつは一番真実に近いところまで察しているかも。
 憲兵司令官さんは総長さんの指示か、フィーアちゃんの能力を細かく監視してたっぽいけど、ただの能天気娘にしか見えなくて混乱してる。ただ、チェスの負けっぷりが器用なことは察していて、彼我の力量差をはかるのがうまいのでは、と能力については近いところに迫っている。
 従魔団長のクエンティンさんは、なまじ相手のオーラが見えちゃうひとだから、初対面でフィーアちゃんとザビリアの規格外パワーをまともに見ちゃってるので、壊れちゃった。ただし、当初誰にもそれを言ってないので性的な意味で女王様に出会ってしまったと思われている不幸なひと。あとで一応ザカーリさんたちと意見のすり合わせができたっぽいので……でも変態と思われ続けるのね。
 おちこぼれ聖女のシャーロットは、実技を目の当たりにしてフィーアが聖女であることを心で理解した子。しかし、本人が聖女として認められていないからそれを誰にも信じてもらえないだろう。そして、フィーアが聖女の力がつかえることと、聖女としての本質を理解していることは解っても、子供だから、フィーアが大聖女であることには考えが及ばないと思う。自分が見聞き経験したことと、大人たちがいう聖女とはこういうものという「常識」に引き裂かれると思う。
 ミスタ―四分割ザカーリ団長に至っては、脳筋を体現していて、フィーアが現場で尋常ならざる分析力と指揮能力を発揮し、デビュー戦と黒竜探索で手前のところの団員を救ってくれたことを体で理解しているので、「何か隠していることは解ったが、騎士としてそれを秘密にする」と本人に正々堂々誓ってくれました。わかりやすい。秘密を明かしてくれたら護るとまで言ってくれたけど、フィーアが困ると引いてくれる。部下の騎士たちにも機密として絶対公言しないようにすぐ情報統制かけてくれる有能さはあります。そういう、双方向の理解度、貢献度ではこの団長さんが一番かな。
 その後、総長さんの名代で某重要式典参加したとき知り合ったカ^ティス団長に至っては、もうすべてがツーカーで、フィーアもストレスがふっとんだんじゃないかと。
 
 纏めながら読み返したら、とりあえず主要団長さんたちで一回情報共有してるみたいなんですけど、それでも、それぞれフィーちゃんのことをどう思ってるかには微妙にずれがあって、そのずれがありながらもフィーちゃんを形作っていて魅力的と。

 そして、フィーちゃん同様下っ端なので全然そういうトップシークレットをあずかり知らないファビアンはフィーちゃんのことを楽しい同僚だと思っているのか、それとも、最後になにか役割があるのか、これも楽しみ。
 
 

投稿: まいね | 2020年8月10日 (月) 22時51分

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