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2020年2月 1日 (土)

Artiste(アルティスト) ― クソパリクソ最高 ―

   あらやだおかあさんたらお下品。

   Artiste(アルティスト)さもえど太郎。

   電子コミックの大賞取ったというのでお試しで一巻無料。3月までですよマダム、今がチャンス。って、4巻まで一気買いして読みふけりました。いや月ぎめ購入のチケットが切れてね。三日待って2月になったから既刊全購入させていただきました。眼福。

   物語はフランスはパリの正統派レストランに新人マルコくんが入ったところから。当然皿洗い雑用からで「お前はジルベールに面倒見てもらえ」って、厨房の端に蹴りやられたら当のジルベールさんは気弱なのっぽさんでした。

   超ビビリで他の従業員にも舐められまくっているジルベールさんは意外や面倒見がよく、いろいろ苦労していてすれたマルコの見たジルベールそしてその店のシェフの隠された秘密は……?

   一巻内容はくすぶってたジルベールが再起動するまでのほんの導入。実は主人公はジルベールの方で、彼の次の職場が物語の真の舞台となります。

   登場人物みなそれぞれ個性的で、それが、紙の上で作り上げた「キャラクター」ではなく、地に足がついている。これこれこういう過去があって、こう影響を受けていて、だからこういうものいい、ふるまいになる。そういうのがしみじみ理解できる物語の作りです。

   「事故で体が不自由になってもう現場に立てなくなった有名シェフの代わりに各分野からスペシャリストを招聘して新しく作られるレストラン」、オールスターチームを成立させるのは技能だけじゃありませんでした。円満ならそんな才能のある人を元の職場が手放したりしません。

   訳 あ り ス ペ シ ャ リ ス ト だから新チームに参加することができるんです。ここうまいなァ。「HEAVEN?」もそうでしたよね?

   鼻も舌も腕もあるけど主人公ジルベールは壊滅的にビビリでコミュ障(コミュニケィション障害:人とかかわるのがひどく苦手、という程度のイマドキの常套句です念のため)。事前の市場での顔つなぎにも参加していた食材管理担当のヤンもゴリゴリに人間不信オーラを撒き散らしていました。パティシエのディミトリも無口ででかいのに立ち居がぞんざいしかも凶器持ったままという物理で殺しに来るタイプ。小柄な日系のお魚担当リュカはあの、すいません具体的な名前は出ないですけどネットでよく見聞きするイマドキの扱いがむつかしいそのあの辺のなんとか障害? ぽい特徴がもろ出しで、ああ、近しく付き合うには知識と気遣いが必要ねってタイプ。

   やばそうな所へ持ってきて、具体的に、知識がないため逆鱗に触れる、直接的に拒絶、凶器(職業上の必要な道具)持った厨房の人間に勢いよくぶち当たる……という大惨事が発生……。

  

   ジルベールでなくても終わったなって思いますって。

 

   連載はここで切っておいて、次号は三日後から始まるんだから嘘みたいに読者をじらせる作風。

   ここから怒涛の盛り返しがあって、無事開店レセプションにこぎつけるんですけどね。またこれが、ひと悶着あって。

   泣かせて、笑わせて、ハラハラさせて、もう、なんて豪華なジェットコースター。

   それが、出てくるパリジャンパリジェンヌたちがみんな教科書に出てくる善男善女じゃなくて、ちょっとイジワルで、ひねくれていて、あんなにいい子なのに、今回エピソードで実はいいヒトだったってわかったむかつく同僚に仕返しのイタズラしかけて冷や汗かかせたりして。奥深い、やっぱ人間はこうよね、パリは花の都ってばかりじゃなく実際クソなところもあるけど(話の合間の余白ネタ)、クソだからこそいいのよねってのが、しみじみ実感できる作品でした。

   いやもうね、主人公ジルベールは、エッフェル塔のパリ土産をもう段ボールにひと箱持ってる。その理由がね。クソパリで、クソジルベール。このエピソードだけでもう上手ッ!! と思いますよ。

   なんか最近のきれいだけど整いすぎてて無機質プラスチック~な絵柄じゃなく、がんこシェフの巻いてるスカーフのチェックとか、パリの石畳のいっこいっこ形の不揃いなところ、手で一本一本線を引いてますって感じで手仕事~あったかいわ、って、ネットで調べたら、作者さんピクシヴ会員で下絵とか公開してて、バリバリにPC使ってました。わたしの目は節穴。いやPC描画環境の技術向上素晴らしいわ。

   おかあさんのおきにいりは最初ゴリゴリだったヤン。彼がどうしてゴリゴリだったのか、そして解凍後どうなったか。ほんと、人間ドラマよねー。彼が大ゴマで泣いた過去のシーンと、暗がりでこっそり泣いた現在のシーン。ほんと名場面。

   そして、いい男が泣くとほだされるおかあさん。スラダンの三井くんといいジョジョのアバッキオといい。チョロいわ。    

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コメント

   でもすいません、4巻後半の趣味で漫画描いてたアキラが編集に見いだされたけど翻弄されてデビュウできない話、可哀相で見ていられなかった。私的に4巻後半は封印です。
   こういうクソパリはつらい。いや登場人物は日本人で出版社も日本だけどね。個人主義の周囲の人にこれは芸術だ、評価されるべきと言われ舞い上がらされ、日本の習慣(?)で翻弄されるとなぜ戦わないのとか横から言われる苦労~にね。

投稿: まいね | 2020年2月 1日 (土) 12時00分

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