« 2018年6月24日 - 2018年6月30日 | トップページ | 2018年7月29日 - 2018年8月4日 »

2018年7月19日 (木)

ひとでなしの夏

   今日はシフトの関係でお休み。
   岡山以西はもう大変。どうぞお疲れの出ませんよう。この夏から助っ人で別チームに行ったらそこがこの水害で影響が莫大で大変で……どうもすいません雨女で。

   金沢の方からも、「……どうか日程をやり繰りして会いに来て」とお願いがあったので行って来ました。

   はじめてお目にかかったときは2代目水戸黄門の西村晃を思い出しました。そのくらい、御髪(おぐし)はまっしろふさふさのダンディで理知的なおじさまでした。体も鍛えていて、少しもじっとしていなくて、パワフルで、そこは田舎の先生だから自分の正しさを信じていて曲げなくて。こんちくしょうと思ったこともありましたが。

   教科書に載ってる写真のガンジーみたいになっていて。

   言葉ももつれがちなのを、側にいるお姑さんや虎美が百人一首のように、最初の一音から察して、
   「……お」
   「お勤めはどこと尋ねている」
   「……か」
   「からだを大切にって」
   「……きょ」
   「今日は来てくれてありがとうって」

   もうこちらは泣きそうに笑うしかない。

   こういうのは逆に「お元気そうで安心した」とか励ましというか重く受け止めていないようにいうものなのかなと言葉を選びましたが。

   ずっと毎日側にいて世話をするのはちょっと勘弁してと思っていて。
   でも時々がおーっと吠えたくなるような言葉を掛けられたりしながら永久にお付き合いしていく人と思っていたので。
   どうなんだろう、そろそろお住まいを蓮の上に移される頃合いなんでしょうか。このまま管につながれて上下人に世話されて生きていくのもお互い大変とか思って。

   水無瀬のおばさまは「今時は舅の介護を嫁がするなんて時代じゃありませんから、まいこさんは全然気にしなくってもいいのよ」と仰ってくださってますので、腹芸とか行間を読んだりとか出来ないわたしはそのまま受けとってどうもすいませんと言ってそのまま逃げてきましたが。
   「そうよそうよ、わたしの母も迷信深かったけれど、占いによるとわたしの面倒をみるのはまいこさんじゃなくて虎美ちゃんと言ってましたから」って、どこからそんな都合の良い占いを持ってくるのですかお姑さん。それで虎美を縛らないでくれよ頼むから。

   そしてわたしはやっとできた自分の居場所を手放すことができずにまた戻ってきて仕事をしています。

   そして完全に虎美の巣になってしまった仏間を掃除する余裕もなく、
   「おかーさんこの御伽草子のレポート助けて!」と言われて「宝石商リチャード氏」を読みたいのを我慢して(しないで?)、
   「だからこれはァ! ありがちにこのナントカ長者が子供が出来んがで神様だか仏様だかにおすがりして産まれた娘が超美人で竹取物語的展開になったところが都から来た若君が教養と度胸で美事に姫のハートをゲットして、ナントカ長者は都に出世の足がかりが出来て双方WIN-WINなハッピーエンドな話しなわけや!」
   「金沢弁で無理に語らなくていいからこのキーワードは誰のどういう様子を表してるか教えて」
   「知るか」
   「お願い、大塚でて国語の教職免許取ってるんでしょ!? 伊勢物語の文学的特色2つって何!?」
   「……歌物語として、とある歌を中心にその前後のやり取りをエンタテイメントとして成立させたところ。もうひとつは匿名性。在原業平は主人公ということになっているが、そういうキャラ立ちしただれかそのへんの男性で大丈夫。特定の有名人のエピソードとしてではなく読者の知らない架空の人物が主役でも物語が成立することになって、大和を経てフィクションというものが成り立っていった」
   「じゃあこの『やさし』というのはなに?」
   「そこは姫君」
   「ここは?」
   「姫君に振られた若人Bの語る姫のうわさ」
   「ここは?」
   「姫君の周囲のオサレ侍女軍団。中宮彰子における紫式部とか和泉式部」
   「ここは?」  
   「サブヒーローの若君のラヴレター……じゃなくてそれもらった姫の返事。知ってるかラヴレターの返事はすぐOK出すとビ○チだから。内心うれしくてOKでも最初はえ~ウソ~? って返さないと」
   「ここは?」
   「若君の琵琶コンサート」
   「わかったありがとう!」
   ……違うよ、親としては大学も4年の娘のケツをひっぱたいて自分でレポート書かせなきゃそこは! 素でお伽草子解釈できて鼻高くしてるところじゃねーよ! OTL

   おかあさん人としてまちがっとる夏でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年7月15日 (日)

宝石商リチャード氏の謎鑑定 ― 美しいのはあなたの方です ―

   夏休み(前)は出版業界はかき入れ時。読書感想文需要があるからね。もう宿題から解放された大人だって、ヴァカンスのお供には良い本を♪

   ってことで、平成に入ってから「インテリげんちゃん」だの「想像力と数百円」だの、各社文庫にはキャッチコピーに磨きを掛けて挑んでいるのです。

   そんでもってさ、集英社文庫は数年前からキャラクターを設定してアピールしてるんですよ。「よもにゃ」って。猫の。猫の。猫のマスコットをポスターだのなんだのにくっつけてアピールして! 一昨年は目にとめただけだった。去年は耐えた。今年はなんだかかわいいブックマークを付けてアピールしているのでとうとう落ちました! ふらふらと平台に近寄って、なにか感性の合いそうなものを一冊……?

   そして出逢ったこの一冊! 金髪碧眼のお兄さんとピンクの宝石を目に当てた日本人青年2人の表紙イラストにもう目は釘付け、鷲掴みでレジへ持っていったー!

   「宝石商リチャード氏の謎鑑定」

   集英社もオレンジレーベルはコバルトを卒業したお姉さん向けって噂はきいてたんだけども。何も考えず青春ミステリだと思って読み始めて。
   主人公は名付けられたとおりの正義くん。その背景はちょっと苦くって、かれはその重みに潰されずに大学まで育って……ちょっとお疲れ? でも、夜勤の帰りに公園で酔っぱらいに絡まれてる外国人男性を助けてあげちゃうぐらいにはまだまだ正義の心がすり切れていなかった。そのダイヤモンド王女@ちょーシリーズ並みに人間を捨てた美貌の外国人男性が宝石商と聞いて、彼ら一家を縛っている宝石をみて貰うことにしたのでした……。

   造形だけでなく言葉遣いと言いプロフェッショナルなたたずまいと言いパーフェクトなその宝石商、リチャードさんにその宝石の縛りから解放してもらった正義くんは、そのまっすぐさを見込まれてリチャードさんの日本でのお仕事を手伝うことになったのでした……。

   えっとね、小野主上の人気初期シリーズ、「ゴーストハント」、あれの、宝石にまつわる話だと思えばいい。麻衣ちゃんがけなげでいい子なのと同様、正義くんもまっすぐで、そして愛おしい。悪口を言うより人を褒めたい、そういう心持ちが若さと相まって眩しい。美しいと言われ慣れていてそのために苦労もいっぱいしたらしいリチャード氏も心和んじゃう。……和むぐらいならいいけどそのうち痒くなってきて別室でクッション殴ったりしちゃうらしい。

   ……にぶいおかあさんでも気付きました。
   辛抱堪らなくなって娘へライン。
   「これ買った」と表紙を撮影・発信。
        母「栞目当て」
   虎「あ、それ私読みたかった奴」
        母「導入巧いよ」
        母「ごめんもしかしてBL?」
        母「店主~~~~~~~!?」
        母「左の絵が宝石商リチャードさんだが!?」
        母「主人公に華麗にジェラッシッとる!?」
   虎「限りなくBLに近いバディものと聞いたが」
        母「リチャードさん気の毒すぎる」
        母「リチャードさんがんばれ」
   虎「実況しないで」
        母「させてくれ」
        母「結構既刊出ているな」
        母「読了。
          リチャードさん不憫すぎる」
   虎「貸して」
   虎「持ってきて」
        母「是非読んで」
        母「了解」
        母「たぶんリチャードさん胃炎になっとる」
        母「宝石系ゴーストハント」
        母「不思議要素はない」

   ……おかあさんみごとにBLアレルギー治ったみたいね。いや、正義くんの同学年のお友だち谷本さん(石の好きな天然ちゃん:お名前は水晶の晶子(しょうこ)ちゃん!)への恋も応援してるよ。
   天然で石ラー(作中では石屋:石系のオタク。といってもパワーストーン系じゃなく三浦海岸に地層見に行く系硬派)の谷本さんに悶絶しながら想いを育てていく姿がもう清々しい若人っぷり。突っ走っては後悔し、綺麗な言葉で叱咤されながらもへこたれず微速前進しようとする姿勢がほんと、心を洗われる。きっとリチャードさんもそれだから正義くんをお茶くみとして雇ったのでしょう。

   ……美しいのはあなたの方です。

   作中こんな独白はなかったけど、ここんとこ絶対リチャードさんと読者の気持ちは一致してると思うよ! 

   1冊目買って悶絶して帰省のお供に2冊目買って。
   読み終わって即行墓参りの帰りに金沢の書店でまた3冊目買って。
   とんでもねえ引きに4冊目買いに行ったらノイエ・リリエンベルクの有隣堂に4冊目だけ切れてて! 書店の検索端末じゃあ在庫はあったから言えば出してもらえたと思うけどそこではっと自制して!

   3冊目の最後のエピソードで、谷本さんのことを思い切ろうとする正義くんをはげます美しい長ぜりふで、リチャードさんはそう言っていたと思うので。

   にぶちんなかれは「いいカンジの兄貴が背中を押してくれた」だけだと思っていて、その言葉の意味するところを深く理解していなくて、まるきり純粋な友情そのものから「ありがとう大好き」みたいなことを真っ向から言って。もう、銀座の大通りの真ん中から二階にいる人に大声で……。ああ、青春だなあ。

   そして、リチャードさんは……。

   ちょっとちょっとちょっとどうしてここで切るのよう~~~~~~~~!

   おかあさん久々山岸由花子状態!

   明日ハマーツェントルムの丸善行って続きを買って参ります。
   ここで言い逃げなんて許さないんだからーーーーッ!

| | コメント (3) | トラックバック (0)

« 2018年6月24日 - 2018年6月30日 | トップページ | 2018年7月29日 - 2018年8月4日 »