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2018年6月19日 (火)

メイ曲アルバム ドイツ レクィエム 第2曲

   大阪の方では大変なことが起きて。お見舞い申し上げます。そーいやー春頃からシンカイギョ上がってたわよね。あと知恵あと知恵。全日本で非常持ち出し袋と危機管理確認しようオーケー? 

   それで、久し振りにネットのまとめサイトを巡回したら見付けたのが、
   「ドイツと言えば?」というスレ。
   ……前から思ってたけど2ちゃんのこれって「枕草子」のものはづくしの章段とノリは同じだよね。つくづくネットは古典文学に相通じるものがある。いろんなまとめサイトは説話集みたいだし。
   サッカー選手やらナチスやら戦車やらおよそ想像のつくものが挙がっていたけど、おかあさんはひとこと、

   「ドイツといえばレクィエムだろう」

   そーいえばドイツといえばクラシックって答えはなかったなあ。昭和は遠くなりにけり。おかあさんの若い頃はドイツに留学すると言ったら音楽か医学だったよ。漫画の世界じゃあサッカー留学もあったかなあ。ブ、ブンデスリーグ?

   ドイツ・レクィエムというのは和製外来語のタイトルで、英語で言うならジャーマン・レクィエム、全音版の楽譜のタイトルはアイン ドイチェス レクィエム(とドイツ語のスペリングで)書いてありました。我が心の恋人よっちゃんことヨハネス・ブラームス作曲の演奏会用の宗教曲であります。一般的な宗教曲とは違って、カソリックとは無関係、ルター訳聖書から適宜歌詞を取った全7曲からなる曲です。全部やると1時間半くらい掛かるかなあ。オーケストラはフルでつくしたしかハープも要るしソロはソプラノとバリトンが付くというちょっとした大曲です。まあ演奏会用レクィエムなんてパイプオルガンとか隠しトランペットとか合唱が2編成とか東西南北にバンド編成とかそういうのが必要な曲もあるんでそれに比べたら常識的な方でしょう(オイ)。おかあさんレクィエムは有名どころはみんなやったけどやっぱりこの曲が一番好き。ドイツ・レクィエム7曲の中では第2曲がいちばん。

   おかあさんは大学で合唱サークル入った最初の年にやったのがこれだったので強烈に刷り込まれたんですよ。いろんな要素からドイツ語ってのに憧れがあったところに、ちょっと本格的にクラシックの合唱やってみるかいと入ったところでいきなり「Selig sind」って。読めないし、あるとは真ん中のドから下がって下のラから始まるし、これは無理って、最初の頃は逃げ帰ろうかと思ってたんですが。

   2曲目がよかったのよ。

   まあ、この曲の欠点と言えばイントロが長いくらいかなー。
   その葬送行進曲のような長いイントロの果てに、
   「全ての人は草のごとく、人の栄華は草の花が如し」って。「平家物語」か。
   そんでもって「草は枯れ、花は萎れる」。
   オルフの「カルミナ・ブラーナ」も栄枯盛衰を描いてましたが、この曲は一応宗教曲なので、違います。無伴奏できれいに「雨が降るまで堪え忍べ」とか言っちゃった後でもう一回だめ押しで「平家物語」やっといて、一転、鏡割りで蓋を開くようにパカーンと言うのです。

   「しかし、主の言葉は残る 永遠に」
   待ってましたと鳴る金管のファンファーレ! ヘイらっしゃい! ってキリスト教の世界へかよ。

    そっから始まる大フーガ。

   「主に救われた者は再び帰る、シオンの丘に、歓声を上げて!」って、さすがキリスト教だ。効果的に抑圧をを解放して思いっきり主を賛美して終わるのでした。
   なんつうか、契約社会ですから、キリスト教に帰依するとこういうメリットあるんですよと明示しといて勧誘するのよ。フェアですね(?)。
   「イーヴィゲ フロイデ、イーヴィゲ フロイデ(永遠の喜び)」と噴水が吹き上げるように叫ぶテノール! 上がったり下がったり起伏の激しいメロディ、躍動感ってのはこういうところで出すのよ、ともうわかってらっしゃるよっちゃん節。

   この曲の魅力にどっぷりはまって、そこから合唱漬けの大学生活を送りましたとさ。

   こういうね、平易なドイツ語で
   「コメン ミット ヤオウッツェン!(歓声と共に来たる)」なんて言われたら、第2外国語でドイツ語学びはじめのまいちゃんもう幼心に焼き付きましたよ! 
   だって、厨2ごころにジャストフィット。オトナの世界を知り始めてちょっとものの判った振りをしたい中学二年生みたいな年頃の気持ちに親和性の高いドイツ語ですから!
   英語やフランス語のように、教わっても口がどうしても発音できないという音がそんなになく、日本語を母語とする初心者がぱっと見とっつきやすい言語なんですよ、ドイツ語って。スペリングとかも結構法則がしっかりしてて学びやすいし。
   そして、基本の言葉をただ並べればどんな複雑な言葉も作ってしまえる性質とか、濁音とか子音が目立って聞いた感じカッコイイ語感とか、そういう大人ぶりたい人にとっても向いてる言語なところへ。
   文明開化のころからの知識人はドイツ語(かフランス語)をやっているべきだ、そうでなくてはならないという共通意識もあってね。

   歴史的には、ルター訳ってのはキリスト教国教化以来ラテン語で書かれるものってことになってまして、ラテン語を読み書きできる知識人階級に聖書の解釈は委ねられてきたのですが、それを、ルター訳聖書とグーテンベルクは大衆化したんですよね?
   今までは、歌うにしても、ただ音の連なりとしか認識していなかった宗教曲も、
   「ズィーリヒ ズィント:悲しんでいる者は幸いである」と自分たちが使っている言葉で歌われると、内容がいっそう心に迫ったんでしょうよ。

   よっちゃん渾身のカッコイイ作曲で、
   「苦しみも嘆きも必ずや消え去らん!」なんて断言されたら、もう、ヘンデルの「ハレルヤ」で直立不動しちゃったどっかの王様みたいに、わたしも、だっ! と起立しちゃいますよ!
 ああ、タイムマシンでどこに行きたいかって、考えたことなかったけど、わたしこの曲の初演のときに行きたい! そんでブラヴォー叫びたい! 宗教曲でブラヴォー掛けていいか知らないけど! 万歳って歓声ってどういうの? ヤッホー? ハレルヤはカトリックだからヤバイ? ホザンナも以下同文? ヴィヴラはフランスだ、(おかあさん歌ったことある曲を必死で脳内検索)ハイルか、今ハイルって言っちゃっていいの? とりあえず右手は上げちゃダメだ! 落ち着け! 

   ……落ち着きました。

   

応援上映ってのがあるんですって。日本の映画ファンはお上品で、どんなコメディも愁嘆場も、しわぶきひとつしないで見て、拍手とかもしないで見終わって黙って出て来るそうですが、そんなん無理! 今時は鳴り物持参で、ラヴシーンではそれを打ち鳴らし応援してツッコミを入れ主演の俳優に声援を掛け拍手して一緒に歌って泣いて笑って転げ回って楽しむ鑑賞会があるんですって。そこでならおかあさんも思うがままにガッツポーズして手を叩いてマエストロに声援を送って曲を楽しめそう!
   ……でも生の演奏会だと演奏者の皆さんのお邪魔になりそうだから、ヘルベルトのおっちゃん(カラヤン先生)の映像どっかから調達して、ノイエ・リリエンベルクのアートホールぐらいでだれか掛けてくれませんか? 求む同志。みんなでよっちゃんの世界に浸ろう。

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