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2017年12月 9日 (土)

「吸血鬼すぐ死ぬ」 やさしい世界

   はまった。アッチの意味でも。ごめんなさい。

   「吸血鬼すぐ死ぬ」盆ノ木至。
   吸血鬼退治人(ヴァンパイアハンター)のロナルドが男児が行方不明との依頼を受けて向かった古城(埼玉県所在)に住んでいたのはドアに挟まったぐらいで死ぬ虚弱な吸血鬼だった!? というギャグ。単行本の見返しには毎回「この巻でドラルク(主人公吸血鬼 )は何回死ぬでしょうか? 答えは○○ページ」というクイズがあるというガチ設定です。第1話だけで12回死んでます。やんちゃ小学生に脛を蹴りつけられたり、「思ったよりブサイク」とズバリ言われただけでスナアアアアアという擬音付きで塵と化してます。

   このなんだか可哀相な吸血鬼ドラルクは第1回目でお城を吹っ飛ばされて死ぬんですが、みごとに復活して第2回目から退治人ロナルドくんの事務所に押しかけてきて同居が始まります。あれだ、古き良き時代からの日本のまんがの王道、「異世界からの友人と同居」もの。「ドラえもん」も「オバQ」も「うる星やつら」も「ああっ女神様っ」も。いや後者2つを入れたのは意味あるよ!

   ナイスコンビネーションの2人が恋人同士になったら面白いよねという2次創作がね。捗る。

   ほんとスイマセンごめんなさい。

   でも、わたしのいつものパターンで、ロナルドくんがオスカル様みたいな男装の麗人だったらとおもうともうワクドキで! だってプラチナブロンドでブルーアイズの正統派美形なんだよ! 真っ赤なジャケットにカウボーイハット、白パンツにブーツで百発百中のガンマンなんだよ! でもお世辞に弱くてすぐ真っ赤になっちゃうの。これでお姉様だったらもう最高でしょう! (性癖隠さなくなってきた。ほんとすいません) 虚弱なために一族を離れ遠く埼玉の古城でゲーオタ暮らしのドラちゃんと運命の恋に落ちないでどうする!

   ビッグウェイヴ来ました。一週間で5本書いたかな。

   そういうまちがった解釈をしなくても、この漫画は深いです。

   ギャグの疾走感! これでもかという小ネタの詰め込み具合で2度読み3度読みが楽しい! そして、大切なのは、ギャグなのに言葉がきれいなんです。

   2巻で登場する吸血鬼にナンパされたと思って逆に追い回しちゃう女性、希美さん(手塚御大の「ドン・ドラキュラ」にもそういうキャラいましたよね)は、やはり物語の典型としてあんまり容姿に恵まれていないんですが、そういう彼女のことを「……すごい容姿の女性」とか「女傑」とかいっちゃうけど、容姿に恵まれていないことやふくよかすぎることを端的に示す言葉を使ったりは絶対しないんです。まあ、リアクションは普通に強烈にいやがって逃げてますけど。

   そういう優しさがある。

   もうひとりの主人公ロナルドくんにしてからが、「ハンターは人気商売」といって外聞を気にするというのもありますが、荒っぽい仕事の常として「チクショー」とか「クソッ」とか言ったりはしますが、関係者にものを頼むときは必ずそれでも
   「お願いします」とちゃんと言ってるんですよね。
   この物語は第1話、物語の発端のドラルク城迷いこみ少年をはじめ、小学生達が逞しいですが、そういう生意気ボーイズにからかわれたりしても、
   「チクショー忘れてよ」とあくまでお願いしちゃうところが人間としてちゃんとしている。
   そういうところ、作者さんのちゃんとした感覚がうかがわれて好きですね。
   そしてロナルドくんはそういうやんちゃ小学生のことも悪い吸血鬼の謎光線から庇って大変なこと(ほんっと心が砕かれる笑)になったり、ハンターなんてかっこばっかりで一般人を守らない、おれ達がやってやるとムチャしちゃうヤンキーくんのことも庇って怪我しちゃう。
   そういう地道にちゃんとヒーローしているところが大好きです。
   ドラルク始め、吸血鬼達にからかわれたりヒドイ目に遭わされても、敵に出逢うと銃を抜いて一撃で解決してしまうあたりは「ワンパンマン」のサイタマ氏みたいで。

   まあ、場所が新横浜になってますんで、日本の宗教的にゆるゆるな感じもあるんじゃないかな。西洋の、「神に逆らうもの」という性格が根底にある吸血鬼ものとはちがって、食べ物や生態がちがうなんか別種の生き物、河童とか天狗とかみたいなノリで吸血鬼達のことを捉えている感じ。ハンターたちも、よくよく見ると吸血鬼のことはぶっ飛ばしてページの隅にやってるけどあとで神奈川県警の吸血鬼対策課という架空の部署や研究所に引き渡してるようで、殺しちゃってる様子は見えません(そして再登場してお馬鹿キャラになってゆく)。

   この作品では、神に、人間に敵対して脅かそうとしているから絶対殺して排除しなくてはいけないっていう感覚じゃないんですよ。まあ、ギャグだけどさ。ここんところがキリスト教の影響ない日本ならではって感じよ。同じ日本の吸血鬼ハントものでも「ヘルシング」は作者さんキリスト教系の学校でガチで教育うけたらしいんで、アレはああなるらしいですが。

   そういうやさしい世界観で、いろいろ迷惑をかけてくるムチャクチャな存在と、それを退治する方の個性的なメンバーのドタバタを楽しむ作品であります。面白いよ!
   まあ、絵も綺麗で、ハンターや吸血鬼対策課のお兄さんお姉さん(それから吸血鬼たち)が見て楽しみというのもあります。

   1巻出た時点で波多利郎さんにおすすめされてて読んでたのに、ふーん、面白いけどって流し読みで。7巻まで出たところで落ちた感じ。どうもすいませんでした!

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