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2017年9月13日 (水)

おかあさんプリンセスになる

   うーん、一応近況。

   おかあさん新しい職場でも、なんだか楽しい人と認識されています。
   この前も、ご主人の死亡のお手続きでいらした奥様が感極まったのに同調してしまって、
   「ああっおいたわしいッ! でもお力落としなさらないでッ! お星さまになったご主人も哀しくなってしまわれますッ!! お手続きは承りましたからどうか笑って! おいしいモノでも召し上がって元気をおだしになってくださいぃぃぃぃ!」とやってしまってあとでリーダーさんからお説教されたりして。
   「キモチは解るけど……キモチは解るけどッ! 抑えてね」
   ……はい、すいません。

   そんでもって、
   「こんにちは噂の早乙女さんッ! ああ、お会いできるのを楽しみにしてましたッ! やっとシフトが一緒になったッ!」って、あなたは誰子ちゃん?
   「スピードワゴンですぅ! どうぞよろしく!
   研修の時から、うちにはすっごいガッツのあるひとがいるってお噂はうかがってて! 
   お電話を切る度にガッツポーズをキメているとか!」
   ……だれですかそんなしょうもないことを研修のときに垂れ流しているのは。
   「……電話を切る度にやってるわけでは」
   かまずに必要なことを全部ご案内できたときにはやってますけどね。思わずね。見てる人がいたのか。
   「目標にさせて貰ってます、ヨロシク!」
   おかあさんもさすがに引き気味。それがまた、スピードワゴンさん逆となりのお嬢さんにもくいつく。

   「可愛いくまちゃんのぬいぐるみですね!」
   「はいありがとうございます……?」
   もうきっかけなんだったか思い出せないけど、怒濤のプッシュで露わにされて行くお嬢さんの趣味……。
   「ゲームの登場人物で……イメージカラーがあって、その押しのカラーのベアーとかを身につけるのが……」
   「押し? 押しって言うの!? 聞きました早乙女さんッ? 若い人は凄いな、このスピードワゴン新しい世界と言葉を知りました! 広がってゆきます私の世界! どうもありがとう!」
   おかあさん虎美からなんとなく聞いてるから、ああ、それ以上聞いてやるなよ、とひやひや。
   「なんていうゲームなの!?」
   「……『うたプリ』」
   「『うたプリ』!? そういうのがあるんですか!?」
   「『うたのプリンスさまっ』だよな? 女の子向けのゲームで、アイドルと恋したりするんだよな?」
   おかあさん思わず割って入っちゃう。
   「そんなのがあるんですか!?」
   「自分の好きな登場人物のイメージカラーがあって、その色のものを身につけたりするんだよな?」
   「はい……」
   もうリリースしてやれと思ったのに、意外やそのプリンセス(「うたのプリンスさまっ」のファンである乙女のこと)語る語る。

   「『うたプリ』解るんですかッ!? 私の好きなのはこのひとなんです! 日本男児で! 芯が強くてカッコイイんです!
   見てください!」
   「うわーそのスマホケースもそのなんとかさん仕様?」
   「そうです!」
   「もしかして、クマ以外にも持ってたり?」
   「このバッグもです! 今年はアニヴァーサリーでここのところにロゴが入ってる○○さん仕様なんです! ショップ行って買ってきたんです」ト、ブルーの唐草模様のトートバッグをドンとカウンターに出す。あれ、それ昨日エスカレーターの所で前の人が持っててちょっといいなーと思ったバッグ。きみだったのか。
   「おいくらぐらい?」
   「こんなにかっこよくって3000円なんです、もうどうしよう、好きすぎる! いいでしょう? ね、これいいでしょう?」 
   「えーっ、雑誌のおまけでついてくるでしょう、こんなの。いいのそれで3000円?」と、スピードワゴン嬢ノリが一般人。おかあさん可哀相になって、
   「いや、これ昨日わたしそこで見かけて、この唐草はイイと思って、思わず、どこでお求めになったのって聞きそうになってた。そうか、うたプリのグッズだったのか、わかんないわちょっと見じゃあ。1万って言われたらどうしようとおもって声かけなかったんだけど。3000円だったらアリかも」
   「ディープな世界を知りました、私スピードワゴン感動です」
   「クマの他に猫と鳥もいるんです。猫はこんなの」
   「おおーッ」
   「お洋服も手作りして」
   「なんとッ!?」

   ……てなことを毎日やってるうちに、スピードワゴン嬢飽きちゃったのかよそへ行ってしまいましたが、おかあさんはついついその若きプリンセスを毎日構ってて。

   「早乙女さんッ! 夏っていつまでですか!?」
   「どうした?」
   「新しいゲームが配信になるってそれがこの夏って!」
   「もう暦の上では秋だ。今日から東北じゃあ新学期、そうでなくても脱ゆとりで首都圏でも新学期始まってる学校はぼちぼち出ているぞ」
   「ぎゃああああ許せん運営、○○さんに逢わせろーーーー!
   「声抑えろよ。この裏の部屋のチームまだ勤務中だ」

   嗚呼、年は取るものです。このわたくしに声を抑えろと言われる女性が出るなんて!

   おかあさんも虎美に聞いて、ちょっと調子を合わせてみたり。
   「うちの娘も○○さんが好きだと言っていたぞ」
   「まさかの同担ですかッ!? でもだめだめ同担拒否ですから。○○さんはわたしだけのものです」
   「ああ、同じアイドルのファン(担当)なのはイヤってやつだな」
   おかあさんもリアルでこの言葉を口から出した人を見るのは初めてです。

   そして8月28日だったでしょうか。
   「早乙女さんッ来ましたーッ! あー嬉しい、あー幸せ」
   「うん、頑張れよ」

   それにしてもこのかわいいプリンセスちゃんのお名前聞いてなかったわと思って、座席表をぼんやり見てると入電。
   「どうもありがとう。さきほどは香取さんという方に電話をとってもらったんですが、前の方も親身になって対応してくれて。どうもありがとうとお伝えしておいてください」
   「畏まりました。ご丁寧にありがとうございます。たしかにお伝えいたします。香取も喜びます」と切っておいて、はて、香取さんて誰やねん。

   しょーがないから、画面のコピーをとって、「香取OPには丁寧な対応をして貰った、とお礼を承りました」とメモってリーダーさんに渡しました。すると、ややあって、リーダーさんがプリンセスを伴ってやってきて、
   「早乙女さんこれはいったいどういうこと? 香取さんがなにか不適切な対応をしたというクレィム?」
   オーノー! マダム、そんなことはごぜえませんだよ。
   「違いますッ」と誤解を解いて、プリンセス香取には安心して貰いました。

   「……心の中でずっと姫って呼んでてそのうちきみの名前を改めて聞かにゃあならんとは思っていたが、今日できみの名前はカトリーヌになったから」とお昼休みに2人の定位置のカウンターで話しかけると、
   「あはは、香取でいいッス」

   そして、晴れて療治から帰ってきたおかあさんの携帯に、ねこを集めるゲームとディズニーの線で繋げてピースを消すゲームを入れ直した後は!

   「入れたぞ! どう始めたらいいんだ?」とお昼の指定席を荷物でキープしにいって逢ったその場でオープニング画面出すやつ!

   おかあさん190ぴきまで集まってたポケモンを諦めてこっちを取りました(ごめん)。

   

「うたのプリンスさまっ♪ シャイニングライブ!!」

   「いらっしゃいませ! でも○○さんはやめてくださいね♪」

   「まず押しを決めて下さい」
   カトリーヌすっごいゴキゲン。
   「話も知らないうちからお気に入りを選ぶのか? 本末転倒ではないか」
   「どういうひとが好みですか? かわいい系? 熱い系?」
   「ちゃらいのはちょっと。アツい方が……目つきがワルイのはイヤ」
   「こういうカンジですか……?」

   それで押しを決めて、曲に合わせて光るキーを押してタイミングが合っているとポイントになるといういわゆるリズムゲー(ム)。太鼓の達人みたいな。そのポイントが稼げると、「ブロマイド」という名目で好きなキャラクターのいろんな画像がもらえたり、そのポイントを割り振って任意のキャラクターの能力を上げて、もっと高得点が出せるようになるらしいです。

   「ああーっ、○○さん美しい。ああ、カッコイイ、幸せ、ああーッ」
   カトリーヌちゃんはお握りだけでお昼を済ませて至福のゲームタイム。
   「この白人はなにをかっこつけているのだ、カトリーヌや、こいつのキメ台詞はなんだ?」
   「このひとは伯爵様で、ひとを見くだして『愚民がッ』って言ったりするんです」
   「伯爵がなんで日本でアイドルやってるんだよ」
   「しりません。それがファンにはご褒美で」
   「おかあさんそんな変態的な趣味はない。好きな人には優しくされたい」
   「○○さんはそんなこと言いません。ああっ今日もカッコイイッ! 好きッ!」
   「よしよし。○○さんに貢ぐために今日も頑張れよ」

   こういう美少年がいっぱい出てくる作品って、ヒロインはそのうちお飾りになって、男の子同士がファンの心の中で疑似恋人同士になっちゃったりするから、職場でそういうことをでかい声で話したりされたら困るな、と思いながら、婉曲にネタを振っていたんですが、意外や(おい)カトリーヌはそういういけない楽しみ方をしない子で、純粋にキャラクター単体を愛しているようだったので、こちらも節度を持ってお相手しています。

   「……というわけなのだ。母はウィキとシヴの百科で勉強しておる」
   「良かったね」と、虎美も喜んでくれました。
   「目つきの悪い人を真ん中に据えてみたら声が怖くてストレスになるから可愛い子を真ん中にしたのだが、彼はロボットらしいな(ピクシヴ百科事典情報)」
   「うんそうだよ」
   「可愛いけどもの言いが素っ気ないと思った」

   と言ったほんの翌日には。
   「毎日ロボットちゃんを見ていたら、この子がセクサロイドで秘密を知ったあの伯爵とどうこうなる妄想を抱いてしまって……」
   「おかあさんおちついて」
   「高飛車なお貴族が年下の美少年ロボットに翻弄されるというのもよいではないか……」

   「虎美や、母とうとう妄想が行き着くところまで行ってしまって男女可変タイプのロボットちゃんに伯爵が押し倒される妄想を抱いてしまった。
   ごめん母パイオニアで」

   説明しよう。
   おかあさんの趣味は既存の作品の男性同士のキャラクターで、片方をオスカル様的な男装の麗人と読み替えて危ない愛いやセーフ、という勝手な物語を作って楽しむことです。極少数派なので、あまり友はいません。いわゆるいけないおねえさん達にも、そういうのは邪道として敬遠されています。
   しかし、数年に一度、「まいねさんの世界好きです!」と言われることがあって、その時ばかりはお赤飯炊く勢いで感涙しています。ほんと、生きててよかった。
   こないだのウェィヴのときに、
   「まいねさんは女の子になっちゃった方が押し倒しちゃう世界のパイオニアですねッ♪」というありがたい言葉を貰っちゃって。
   ……ふつうは男どうして押し倒したりしてまして、それを無理矢理女の子にまでしといて、積極的なのは女の子の方ってどうよ………でもよく考えたらそういう話だったわ。

   そして、うたプリでは絶対そういう邪な眼でみたりしないぞッと思っていたのに、……気がついたらやっていたと。

   「そう、書けたら見せてね」

   「……じゃー15禁ぐらいで」
   って、母はセクサロイド(セックス用のアンドロイド)と言ったはずだが。そんなもん18禁的展開になるだろうが……親の書いた官能小説を読ませてねってよく言ったな。

   虎美創作系の友人多いから。なにかを書いてる、書きたいと言ったら、社交辞令としては、
   「今度読ませてね」というのが身についてしまっているのね。あんまり本気にしないでおこう。

   今度同窓会があるらしいけど、おかあさん諸事情でいけないから(前回のドタキャンの精算問題はどうした!?)、いちおー近況報告。って、娘に自作のエロ小説読まそうとしたっていうダイジェストにはしないでね。

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