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2017年2月19日 (日)

「紅霞後宮物語」  ― レスで百合でハッピーな後宮生活? ―

   虎美の方から「彩雲国のひとの新作」として紹介されていて、既刊3巻ぐらいまで読んでて、この度プリンセスからコミック化。いいカンジなチャイナ・ファンタジーですよ。この2月に2巻がめでたく出ました。よくよく質したらあっちは「雪乃紗衣」こちらは「雪村花菜」でまったくの別人でした、うん、けっこー作風変わったなと思ったから。お集まりの皆さんに嘘をお知らせしなくて済んでよかった。「紅霞後宮物語」原作雪村花菜、作画栗美あい、いいです。

   隋唐時代をモデルにしたという大宸国が先頃頂いた皇帝は傍系で若いのにやり手。軍に入っていて、女性将軍である関小玉の副官を長年やっていたのですが、その上官であった関氏を余人を以て換えがたい、とばかりに後宮に入れ、異例の8階級特進で序列4位の賢妃、それでも妃達にいびられると見るや、それからさらに4つとばして皇后冊立

   その前代未聞の愛されヒロインの小玉さまってどんだけ女子力高いのって、さばさば体育会系なお姉様でした。なんで皇后って、高位のお妃なら皇帝の代理で軍を指揮することができるからだって。たたき上げの関ちゃんが今以上出世するにはチャイナ版ガラスの天井があったとかで、じゃーお妃になりなよ、という非常に色気レスなご事情だそうです、なんだ。つまらん。
   冒頭エピソードからして、ありがちな悪役先任お妃から血まみれの豚のお頭を朝っぱらから寝室にプレゼントされても煮て喰っちゃうという大胆ステキっぷり。さすが、伊達にたたき上げで女性ながら将軍になってません。だーりんである皇帝陛下も絶句してました。

   じゃあ非常に有能な文林(皇帝)は関ちゃんに愛だの恋だのという甘い感情を持ってないかというと……そうでもないらしい。時々切ない目で見たりするんですが、関ちゃんはもうアラサーで、文林のことはお家の事情で大変な転職をしちゃった相棒程度にしか思ってないので、皇后冊立以来ほぼ夜を専らにしておる状態なのに、2人の間にはお目出度いことが起きる可能性は絶無なのでありました。

   いいのか、おい。

   「彩雲国~」とはちがうなーというのは2人の周囲にBLくさい美形ハーレムが形成されないところです。関ちゃんの従卒? だった清喜はなんと関ちゃんの後宮入りを知ると、「(恋人と死別して)もう使う予定ないし」とあっさり自発的に去勢して(自宮という)宦官になって付いてきてくれるし! 同様に関ちゃんの初恋の人であるらしい沈大監という美中年宦官が背後を固めてくれますが、もててもてて困る的要素はない。いいよ!

   だがしかし、あっさりしたたかな皇后さまのアラサーな魅力に後宮のみんながめろめろになって、百合っぽい雰囲気がどんどん溢れてくるのでした。
   さすがだ秋田書店。おかあさん百合(女の子同士のあぶない恋……までいかないきゃー! な感情)もいけるかも知れない。

   そういうチャイナ~な世界観に戦う皇后、ダーリンは戦友、二人三脚で宮中謀略を華麗にクリア……というけっこー骨太な物語が変わっていて面白いのでした。あと、ヘンな仙人とか妖術とかも出てこなさそうなところも気に入ってます。ムリにファンタジーにしなくていいです。ほんとこの線でお願いします。

   絵もキレイよ。合戦シーンのモブまで綺麗で、もっと手を抜いていいから、と作画のかたに肩ポンしてあげたいくらい。

   妍を競う各後宮の美女にイメージ・フラワーがあるという裏話が面白い。あの時代の風俗をアレンジしつつ華やかに描いてあって楽しいかな。
   ただ、チャイナ文化圏で成人男子の前髪は許し難い。ぴっちり結って額出せよ男なら。

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