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2016年10月29日 (土)

超嗅覚探偵NEZ 承認されたい!

   阿部ちゃんがやってるのとは別だけど、とこないだのオフで波多利郎さんがご紹介。「超嗅覚探偵 NEZ」 那須雪絵。

   通り魔事件の捜査中の若い警視庁の所轄の捜査員の神保くんが思いだしたのは高校の同級生。人並み以上に鼻が利くとかでいつもマスクをしていて、ちょっと周りを見くだしたイヤな感じが印象づけられていたのですが、こう連日証拠集めに駆り出されていて、警察犬も頼りにならない状態が続くと、藁をも掴みたくなるのでしょうか。死ぬ前の走馬燈状態は、過去の経験から現状を打破する智恵を無意識に探しているのだとも言いますけど、そこまで追い詰められていたのか神保くん!?

   しかしながら運命の女神は彼らを引き合わせてくれるのです!

   丁度通常業務、嗅覚を平和利用して迷子のペットを探すペット探偵の活動中だった松下くんがちょうどかれの前に現れました!
   でも、地面に顔を近づけて匂いを嗅ごうとする姿はどう見ても挙動不審者、即決で職務質問対象者と捜査員としての再会です!
   まあふつーに職(務)質(問)馴れしてる松下君は非協力120%でやっぱりサボテンのような印象でしたけどね。松下くん生きるのがヘタ。勝手に偏見に満ちた目で扱った方も悪いですが、頭は低い方がむやみに怪我しないんだよ。同行していた探偵助手というか事務員のマリコちゃんが巧くフォローをしてくれているのでなんとか世の中渡っていけてるカンジ。
   マスクをとって1回匂いを嗅ぐだけで松下くんはちゃんと神保くんが高校の同級生だったと思いだし(名前は言わなくても1年の時同じクラス、とまで特定)、次の瞬間にはその捕獲対象が現れ、ペット探偵の仕事ぶりもバッチリ描写。そして去りがけにしっかりケンカを売っていくというみごとな登場シーンでした。もっと上手な生き方覚えた方がいいよ。

   松下くんの捨て台詞で誰も知らないはずの秘密を言い当てられてしまった神保くんの相棒で上司の芳谷さんは、
   「しゃべる警察犬がいればいいって言ったのお前だよ」
   「おまえ友達だろー? タダで使えよ」と、松下くんを捜査に利用することを提案するのです!

   ものが嗅覚だしなあ。

   いろんなことが解ってしまう超能力、でも尊ばれない、相手を知らず傷つけてしまう、この辛さに、それでも能力を隠して生きようという賢さがない松下くんは傷付きまくってひねくれまくっています。ほんとヤマアラシ状態。でも、人間ひとりでは生きられない。幼い頃から自分の嗅覚を誇りに思い、物を探したりして賞賛されたい、認められたいという欲求をうまく抑えられない松下くんはほんと生きるのがヘタ、見ていてハラハラします。神保くんもけっこう同レヴェルなので、ヤマアラシ状態の松下くんにまともに傷つけられたり腹を立てたりして、大丈夫なのかとハラハラします。でもまあそこは、もう直接の志望動機を忘れてても、刑事になるくらいだもんな。正義とか、真っ当なものを志向する深層があるから。上司に言われたから100%でなく神保くんは松下くんにかかわっていこうとするのでした。

   いや神保くんもぶきっちょだよね。同級生だったのにかれの実家知らないの? って芳谷さんに聞かれて、「勝手に調べたら信頼関係に悪影響が」って調べてなくて、「バレなきゃいいんだよ」って。あーこいつはって顔されてました。

   まあ、芳谷さんも、イシュヴァールから帰ってきたマスタング大佐(ハガレンの)みたいなところがあるみたいだし。ほんとは切れるひとなんでしょう。都民の、国民の皆さんを守るために、もっと使えるものがあるならどんどん探して使っていきたい、当然、人道というか迷える若者に対する人助けといういい大人な理由でもないけど、単に出世のためだけでもない理由からかれらを手助けしてくれるのでした。

   おかあさん心に傷を負ったイケメンの超能力者でもこういう触るもの皆傷つけるタイプの子苦手だわ~。そういう意味では「絶対可憐チルドレン」の初期型兵部少佐みたいな。かれも今は結構寿命を意識して後の世代に気配りしてるみたいだけど。
   平凡でも、へこんで引きこもる松下くんにぶつかっていったり、松下くんのおかげで捜査の初歩ミスが発覚したあとで、言い訳せず警視庁を代表して被害者の方にまっすぐお詫びを言ってまっとうなケアをしてあげられる神保くんのほうが好きだわ。最後の事件で人が撃たれた、と嗅覚を使って実況する松下くんを気遣って手を宛がうシーンはきゅうっとなりました。

   まあそういうまっとうパワーでとうとう松下くんの心は開き(頭と鼻から血、そして涙をだらだら流しながらまっすぐの笑顔で「うん」と答えたあの見開きページには圧倒されました!)、彼らは最高のパートナーとして最後の事件に挑むことになります……。

   やっぱね、ひとは繋がらないと生きていけないんだってのがよく解りました。あと承認欲求を満たす。そこらへんが、そんなにこの方の作品読み込んでるわけじゃないけど、那須雪絵さんの作品だなとしみじみ思いました。

   波多利郎さん、よい出会いをありがとうございました!

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