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2015年4月27日 (月)

お側に来ましたオフ開催しました

   なんてね。
   仕事がないので細々と引越通知を出しております。ご覧のあなた様にもそろそろ参るかと思います……。って、もともと神奈川に出てきたときから「近くじゃん!」と言っていた大学時代の学友くしちゃんに「もっと近くなったかも」と書いてやったら「あはれジャイアンツ倶楽部を横断できましかば一里もなかるまじ」とその翌日には返事がきたという。くしちゃん筆まめすぎ。ああ、うん、うちの裏山ゴルフ場だったみたいね(どんどん場所が特定できるぞ)。

   ところが入ってるはずのくしちゃんの携帯の番号がこちらの携帯の住所録に入ってなくて、今年もらった旧住所宛の年賀状を漁ってそこに記されたおうちの固定電話の番号に掛けて、やっと決行日が決まりましたよ。貧乏なこちらを案じて、
   「近くの団地で吟行しよう。もちものはお握りと水筒と矢立!」おい、矢立って、ホントに詠む気か(^_^;)

   ああ、しかし雨女。それは台風並みの暴風が荒れ狂った先週の月曜のことでした。

   集合場所のエーベナシュヴァンツのバス停で風に吹かれていると、ふっと懐かしい姿が横切ります。
   「おやくしちゃん」
   「まいこちゃん」
   あとはもう、飛び去った月日の後ろ髪をぎゅっと掴んで引き戻した如くに往時のノリが蘇り、降っちゃたねごめんとか、向こうのバス停から来るかと思ったなどとマシンガントークで雨の吟行が始まったのでした。

   桜もまだ残り、周囲の丹精したお庭では赤白黄色のさまざまな春の花が咲き乱れて雨さえ降っていなければサイコーだったでしょうが、もう積もる話が噴出して、傘を支えながらでも十分楽しい散歩だったのでした。
   「ごめんお金ないから雨降ってもカフェとか入れない」
   会うなりコレだよおかあさんたら恥ずかしい。
   「いいよ、おにぎり持ってきたでしょ?」
   さすがもと貧乏女子大生同士。阿吽の呼吸です。こないだのお側に来たオフではノイエ・リリエンベルクのセウワ音大の芝生のところのベンチでずっとしゃべってるだけだったしな。こじゃれたレストランでランチ・コースとか欠片も考えてない。

   「これ、息子が社会科の授業で貰ってきた地図」と、ちゃんと付近の地図を持ってくるくしちゃんさすが!
   「少し歩くと地域のセンターがあるからそこでなんとかなると思うの」
   「でも今日月曜だけど館モノは大丈夫かな?」
   「……大丈、夫……?」
   え~と、とりあえず扉は鎖されてなかったですけど、どやどや入りこんでお椅子のあるところで一服させて貰いましたが、黒々と、
   「ホールではお菓子を食べないでください」って。
   ……お菓子がダメならお弁当もダメよね。
   地図を広げて道(とその他ご飯が食べられそうな施設)を確認しつつ話がそれてそれてそれまくって30分ぐらい坐り込んで話してたら、
   「今日は一応休館日なので」と追い出されました。ごめんなさい。
   「ま~なんとかなるさ」 

   そのままいろいろしゃべり散らしながら団地の中を歩き倒し、公園の四阿でお弁当を広げるといきなり雨が横からになって。

   くしちゃんほんとにごめんよ。

   「卵焼き焼いてきたんだ、食べて」
   おかずまで御用意いただいてスイマセン。おいしかったです。
   「甘いかもしれないけど」
   「あはは、うちのはもっと甘い」
   用意してくれてたプラスティック・フォークも風で飛んで、手づかみで食べながら心はみやび。ついでに駅前のスパ地下でゲットしてきたれいの桜フィナンシェを食後のおやつにして、ほんと、「天の才覚を持つならば吹きすさぶ嵐の中といえども頭を上げて進め」byギョエテ、BGMは「さすらいびとの嵐の歌」な気分でした。 

   ふつうのペットボトルに生茶を詰めてきたわたくしに比べ、直接飲める魔法瓶にコーヒーを作ってきたくしちゃん、よっぽど寒そうに見えたのでしょうか、「スキムミルク入ってて好みの味じゃないかもしれないけど」と勧めてくれました。温かかったです。さすが行き届いてるなあ。この天気じゃあねえ、やっぱりホットを持ってくるべきでしたね。

   「どうする?」
   とりあえず一周しましたが、座って雨を凌げそうなところは見つからず。こちらもネットでいろいろ見てたんだけど、どこもお屋根がかかってなくて。ちょっと抜かったかなーってかんじ。貧乏でなけりゃ、それなりのカフェはありました、エーベナシュヴァンツの名誉のために書いておきます。わたしの貧乏がいけないのよ。
   くしちゃん黙って席を立って風上の方に座ってくれました。なんて行き届いているんだろう。

   「この団地の循環バスがあって、一周90分ぐらいなんだけど」と、くしちゃんの名案。
   「ご迷惑じゃないかな?」
   「日中だから空いてると思う」
   「いくら?」
   「170円……この春で上がったかも」
   「だったら払える」っておかあさんどんだけ貧乏(^_^;)
   「ずっと乗ってたら運転手さんに怒られるかしら?」
   「まあ、しゃべってて降り忘れたことにしよう」
   と、バス停のお屋根の下でぺちゃぺちゃしゃべくりながら待つこと30分。向かい側に来たなにやらカラーリングのモダンなやや小さめのバスに駆け寄って、乗せてもらいました。……意外と混んでました。途中からお客さん乗ってきて、くしちゃん立ってお年寄りに席を譲ったりして。ごめん、わたしはとてもそんな余裕なかった。

   「ここが大きな病院で」
   「ほほう」
   「ここからは団地を出て駅の方へ降りていくの……」
   「凄いな」
   とガイドもしてくれて興味深かったのですが、
   「ごめん、バスに乗ると眠くなっちゃって」
   「ああ、おやすみ」
   くしちゃん寝ちゃいましたよ。

   そういえば、大学のクラスで修学旅行に行ったとき、サークルの子で奈良出身の子がいるといってかれのご実家を探しに行こう! と二人してオプショナル・ツアーを組んでバスに乗って奈良の郊外を旅したこともあったなーとしみじみしました。べつに付き合ってるとか、好きとかそういうんじゃなくて、ただの学生ノリだったんだけど。
  わたしは黄金色の秋の田を彼女が「セイタカアワダチソウがあんなに」と言ったのがショックで、漱石が往時の早稲田を散歩しつつイネというモノを知らずなんだコレはと邪魔そうに言ったのに子規が驚いたとかいう文学史の故事が我身にも起きたのを痛感したことを今でもありありと思い出せるとニヤニヤしてました。 

   入り日受け穂波にまがふきりん草 
       指さしてゆく徒歩2人連れ   舞音

   逆にセイタカアワダチソウ=きりん草が稲穂に見えることにしちゃいましたけど。

   わたしって田舎の子だったんだなあ。
   「こないだこの年で『華麗なるギャツビー』読んだんだけどさ! あれってメリケン版『金色夜叉』だったよ!」と恥知らずなことを言っても、
   「そう? わたしも昔めくっただけでよく覚えてない」とやさしく微笑むだけで。
   ほらやっぱり大塚行くような文学少女は読んでるんじゃないか。……バカに逆らわない奥ゆかしさにあとから冷や汗が出ましたです。ほんと、わたしにはもったいない友でありました。

   お天気は回復しないし、退屈そうにしているのを見かねたのか、
   「まいこちちゃん、このままもとのところまで乗っていってもいいけど、途中でナーギ駅で降りると、ここからノイエ・リリエンベルクまで行くバスが出てるから、コレにのって帰った方が良いかも」と申し出てくれました。
   「……実はトイレが限界」
   「大丈夫?」
   ありがたくその案に乗るることにして、ナーギ駅で下車。
   「実はこのビルの中の書店が撤退して。うちから徒歩圏内に本屋さんがないの」
   「うちも。駅まで出ないとないよ。困るよね」
   ほんと、みんな本を買わなくなってるんだなあ。わたしもほんと去年は本買う余裕なかったし。

   「駅まで行かないでこのまま途中のニーダー・エーベナシュヴァンツで乗り換えてうちへ帰るためにこの辺で買い物して帰りたい」
   「いいよ」ということで、ビルに入ってる京王スーパーでお買い物しました。
   「お高いんじゃないの? ほら、これなんかカナダの契約農家の豚だって。100グラムあたり98円……安いわ。買うッ」
   お鍋のもとが残ってたから、寒いし、鍋にしちゃおってもやしやらおとうふやら一緒に買って1000以下でお夕飯のお買い物すましちゃって。
   「まいこちゃんバスが来たよ!」
   「ありがとう、また今度ね!」って車内から大きく手を振って別れました。

   ……ほんとに気を遣わないオフだったわ。お金もな。

   街をめぐる車内で友と語らへば
     時巻き戻る心地こそすれ    舞音

   阿刀田高とかの短編だと、バスが着くのは懐かしい学舎で、乗ってるうちにみんな若返って、亡くなった筈の友が待ってたりするんだよな……。
   さすがにそんなことはなく、うっかりぼーっとしてて降りそびれてひとつ先のバス停で降りて、三々五々どころか8、8、10ぐらいの塊で広がって歩いてくる虎美の後輩どもをかき分けて逆行しつつおうちにたどり着いて、疲れてお昼寝しちゃいました。やーもーほんと雨女でごめんね。

   そんでもって翌日は良い天気だったのでした。

   雨女 その濯がれし翌朝の 
    スカイブルーをせめて土産に 舞音(再掲)

   そのあと3日もかかってやっと一首ひねって、絵はがきに書き殴ってくしちゃんに出しましたよ。

   「楽しかった また行こう!」

   くしちゃんからも今日、ちゃんと一句載ったお葉書が帰って来ました(手描きイラスト付き、ホント奥ゆかしい)。ということで、この項おしまい。

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