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2014年9月 3日 (水)

骨までしゃぶりつくすハーレクイン番外 アメリカンは王冠がお好き?

   こいつはスゴイ! 是非この楽しさを皆にも知って欲しい! と思ったはいいが、この作品いつものレンタルサイトで借りたんだけど「ハーレクィン」じゃなかった、限りなく近いけどアメリカ作家の原作なしで洋物ラヴロマンを追求してる別レーベルでした。ですから番外で。

   「富豪弁護士は赤毛がお好き」わっかりやすーいタイトルです。漫画家は酒井美羽、うわーなつかしい! このひと「花とゆめ」の新人賞、アテナ大賞出身ですよたしか。一桁台の。眼鏡の亜希子さんの「通り過ぎた季節」シリーズとか、スポ根の「セーラーブルーの青春」とか、ラヴコメ「ミミと州青さん」シリーズとか、読んだわー。レディースに行っちゃっても、可愛い絵柄でハッピーなラヴコメをいっぱい描いててくれました。ヒロインが前向きで可愛いんですよね。今回も読んでてとっても幸せになったんですが。

   タイトル前ページからいきなり「恋なんか本の中だけで充分だわ」といきなりかましてくれる図書館の司書パートをやってるユニティがヒロイン。ゆるふわ髪は表紙だともろのどピンクなので、彼女がその「富豪弁護士に好かれる」赤毛という設定なのでしょう。レファレンス・カウンターで利用者の謎リクエストに即座に答える博識ぶりはおかあさんも脱帽! それが、正式に大学で学位を取って正規の司書になりたい、ハーバードの古書のデータベース化に取り組みたいと潤んだ眼で夢を語るところがまた、おっしゃ、応援したる! と開始5ページでおかあさん的に掴みはバッチリ。
   そこへ現われるヒーロー。「『完璧な花嫁』を捜してるんだが…」ちょっと最近酒井さん絵が変わっちゃって、男性の顔が「顎が刺さる」感じになっちゃったんだな。そこんとこはちょっと残念。記憶の中では州青さんはマスタング大佐ばりに丸顔だったと思ったんだけど、今検索したらそうでもなかったです。でも最近の絵の男性キャラが面長になってるのは否定できないと思います。
   ハーレクィンでありがちなシチュエーション、これこれの理由で急いで結婚しなくてはならないといってヒロインに白羽の矢が立つものみたいですよ。そして、シンデレラの条件は「赤毛」。おじいさんの最愛の妻が赤毛だったから、孫であるヒーローも赤毛の女性を妻にしなくては遺産相続の資格を失うって、実際の合衆国がどうか知りませんが、ハーレクィンの世界では結構そういう無茶な遺言アリみたいです。それがまあ物語のいい枷になってドラマを盛り上げてくれてるから野暮は言わないことにします。
   というわけで、「この図書館で一番『捜す』のが上手いって聞いたんだがね」「なんだったらきみはどう?」と失礼な声のかけ方をしてきた青年の素性について、ユニティは同僚の熟女パトリシアから説明されるのでした。(馬一歩手前とはいえ)イケメンのスティーブンはお向かいのビルに事務所を持つ財閥出身の弁護士で社交界のプリンスなセレブ。色々聞かされてもユニティはまだ自分がそのお相手に立候補しようとは思いもよらないのですが、ハーレクィンのお約束、貧乏がそれを許さず……。
   しょーがない1回だけ付き合ってやるかと同伴したパーティで2人の相性は意外とよいことが判ってどんどん2人の心は近づいてゆき、プロポーズしたところがさすがに性急すぎるとユニティは逃げる、スティーブンは追う、そこへ有能なパパラッチがもう昨夜の2人をゴシップ新聞に持ち込んで記事にしていて、親がお決まりの家柄の違いを言い立て邪魔。ところがそこで暴かれるユニティの秘密……。「ロミオとジュリエット」級のスゴイ急展開。図書館に花嫁捜しに来てからハッピーエンドまで3日しか経ってないよ。
   このどんでん返しに虎美はどん引きしてました。そうかなー? おかあさんはガッツポーズものだったんだけど。ちゃんと伏線は張ってあったよ。うちに古書があるとか、社交界にデビューしたときはたいへんだったとか。そういう物語の作り込みの巧さ、書くべきところは書く、必要でないところは大胆にカット、そのさじ加減がさすがにヴェテランを感じさせました。
   しかし王冠ってのはアメリカ人をこうも熱狂させるものなのか。「小公子」の雑貨店のご主人みたいに「王侯貴族ってのは存在しちゃいけない人間」とか言い切っちゃう民主主義の申し子な登場人物はいないのかい。まあ、「小公子」のそのおっちゃんさえ物語の最後には貴族大好き人間になってたしなあ。

   カップリングの「ご主人様と恋の契約」も、よくある「社長に頼まれて恋人の振りをする」お話。社長夫妻の死後会社を切り盛りするその妹の現会長に結婚を勧められる御曹司社長が恋人に結婚を断られて、進退窮まってメイドに「きみ恋人の振りしてくれない?」
   これがまた意外にメイドちゃん磨いたら結構美人で、そんでもって心映えが優れていてアイディア・ウーマンということが次々判明。その場の人々の支持を一気に受けて、逃がしちゃダメよとは衆目の一致するところ。すったもんだの末にハッピーエンドで、短いけど濃いいいお話を読ませてもらいました。

   どっちの話も脇役のBB……失礼しました、大お姉様が素敵。前者ではシンデレラの変身を助ける魔法使いのよう。それも、ちゃんとGive & Take になるように要求を出してくる辺りがあっさりさっぱりで納得ものです(要求を出したのはその孫の方だが)。さすが、やっぱり物語を作り慣れてるひとはちがう。ヴェテランの仕事というものを見せてもらった満足感を感じました。

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