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2014年4月16日 (水)

イタリアーノになろう

   月曜は体調悪かったですね。なんかおおきな雨合羽を着込んだようで、頭の指令が身体の末端に到達しない、思ったような動きができない。主任さんと組んで新しい処理を教えてもらっていたのですが、何度言われても指示されたとおりに動かない、最初に聞いたことを忘れてしまう。あれ、あれ、と思っても身体が動かないので修正が効かない、ごめんなさいとタイミング良く謝る気働きもできない。

   やばいわ。

   ただそう思うだけで時間は刻々と流れていきました。結構怒りっぽい質で言葉もきついと派遣のみんなが性格を飲み込んできた主任さんが、どうしたのよ、言ったことができてないじゃない、そんなことわたし言いましたか、どんどん言葉を荒げていっていたのが、もう、言葉もなくなって。ただ黙々と、仕事をこなすだけ。それでもなんとか目の前の課題はこなして、放免されるときにはもう主任さんの方がこちらを気遣って、
   「わたしも言葉がきつかったわね」と謝ってくれたくらいに。
   いやもうこっちも顔をつくろうこともできないぐらいに疲れ果てていました。

   作業台からとぼとぼと皆のたむろっている辺りに戻ると、最近よく話しかけてくれる派遣の若手のお嬢さんが、
   「舞子さん(仮名)どうしたの? 腰痛くなっちゃった? 少し休憩する?」と声を掛けてくれました。
   このお嬢さんはほんとによく気がついて、向上心もあって、主任さんにも眼を掛けて貰っている派遣のエースなんですが、わたしにも心を開いてくれて、「舞子さんがいてくれると雰囲気が明るくなるから助かる」、と常々言ってくれてるのです。しかし「仕事が手堅くて素早い」とは言わない、そこはシヴィアー。まあそういうはっきりしたところも好きなのですが。

   「ううん、大丈夫、怒られたんじゃないの、なんだか身体の具合が悪くて思うように動けなかったの。主任さんにまで気を遣ってもらっちゃったよ。
   怒られすぎてふて腐れたんじゃないんだけど、ちょっと表情も出ないぐらい具合悪い」
   「大丈夫? そこまで気を回さなくてもいいと思うよ」
   「午後からはちゃんとしたパフォーマンスができるようにする、ゴメン」
   「いてくれるとほんと嬉しいんだけど、でもほんとにダメだったら遠慮しないでね」
   ああ、我が心のドルシネアちゃん(おまえはドン・キホーテか)。おかあさんきみのためにがんばっちゃう。

   さて、ご飯を食べてゆっくりしてからの後半戦、随分楽になったのよ云々と話しながら集まって作業をしていると、最近顔見知りになったおじさんに入りかけの男性が近寄ってきました。
   「早乙女さんさ、前から思ってたんだけど、女優さんに似てるって言われない?
   ハァ?
   「いーえ全然。誰によ?」
   「えーっと、ちょっと出てこないんだけど、いやほんとそっくりだから。よく言われるでしょ? 自分でも思うんじゃないの?」
   「わかんない、言われたことないわ。どういうひと?」
   「ホラ! あの! 演技派の……なんて言ったかな」
   「キキキリンとかいうんじゃないでしょうね」
   「違うって! でも、ソコまで行かない、もっと若い人。ああ、美人女優じゃなくて悪いけど、演技派ですっごく有名な人」
   知りませんがな。
   「いやーだ、元気づけてくれてるの? でもあら、不思議、なんだか楽しい気持ちになって楽になったわ、ありがとう」
   笑ってそこは話を終わらせたのですが。そう、その頃にはぎこちなくても笑顔が浮かぶようになっていて。やっぱり元気づけてくれたのでしょうか。

   そういえば、ちょっと前にネットで見かけた話。

   母はもう長いこと入院していて、もう長いことはないように本人もうすうす察しているようでした、と語り起こします。
   もう手の施しようがないとかで退院し、その日は用事で話者(娘)と都心へ出てきていました。久し振りに着物を着てドレスアップをしていたものの、やはり衰えは隠せない、もう覚悟はしておかないと、と母の姿を見ながら暗い気持ちになっていたところ、向こうを通った中年のサラリーマンが母を見かけて、
   「おおっ、いい女だねえ」と声を掛けてきたのだそうで。
   「いやーねえ」と母は言いながらも、少しながら華やいだ顔つきになって、「ほんとに下品な人がいるわね」などとまんざらでもない様子で少し気分が上向いたようだったと続けていました。そして、母の最後の外出を彩ってくれたその男性に感謝しています、なんて話だったと思ったんだけど。

   綺麗な女性、職場の花や美人受付嬢が男性にいい影響を与えるというのはよく見聞きする話ですが、男性の方からお世辞を言われることも、女性の心を和ませ、引いては体調を良くすることもあるのですね。身を以て知ったカンジ。

   女性に対してもうこれでもかと美辞麗句を繰り出すイタリア人男性ってのはいろんな話を聞きますが、意外とそれは女性のためにもなっているのかも知れません。ってことは、回り回って世界平和に寄与している?

   男性の皆さん! ここは世界平和のためにイタリアーノになってみませんか?

   そこは、時節柄セクハラと言われないように、イタリアーノなみの訓練をしてもらってギリギリの線で節度を守ってもらう必要もありますけれど。無理?

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2014年4月13日 (日)

「七つの大罪」 エンターテナー

   「七つの大罪」鈴木央といえば、ジャンプでは「ライジングインパクト」、サンデーで「ブリザード・アクセル」・「金剛番長」とヒットを飛ばし、さらにチャンピオンでも連載を持ち、とうとうこの作品で4大少年誌を制覇したある種伝説の漫画家さんであります。漫画読みに限らない知名度というとそんなにないかも知れませんが、いまの漫画界ではなかなかできないことらしいですよ、コレ。

   古き良きジャンプのスポ根、バトルもののノウハウを受け継いだストーリーテリングといい、繊細ながら達者な筆遣いといい、実力派のうちには数えられると思うのですが……。もっと有名になっていいと思うなあ。もともと剣と魔法の世界に対する造詣が深く、ファンタジーを描いてみたかったらしいのですが、今回マガジンに活動場所を移して満を持して正統派ファンタジーに挑戦した模様。

   場所は古き良き時代のブリタニア王国、10年前、「七つの大罪」と号する騎士団が国家転覆を企んだということで指名手配の絵がそこここに掲示されているという時代背景。移動酒場の「豚の帽子亭」の主人はとぼけた少年ですが、その指名手配の大逆犯、「七つの大罪」の団長、メリオダスと同じ名前なので、名を聞いた客達には一瞬身構えられてしまいます。まあ、指名手配の肖像とは似ても似つかない可愛い少年姿なので偶然の一致で何度も切り抜けていますが、実のところはその国家転覆犯本人……。

   王女エリザベスは国の中枢に食い込んだ超能力を持つ騎士達、「聖騎士」が来るべき戦いに備えると称して国民を老若男女駆り出している現状を憂え、なにか邪悪な企みが進行中なのではと王宮を脱出、その「七つの大罪」に聖騎士を除くための戦いに立ち上がって貰おうとたったひとりの旅を始める……そのエリザベスがメリオダスに出会い、ちりぢりになった仲間を捜す旅に出る……。といったお話。

   1巻は出たばかりの頃パラパラ見たんですが、そんなにはまるほどでもないかと棚に戻したところ、娘は気に入ったようで、この度最新刊まで既刊が手元に揃ったと。

   おかあさんの評価は絶賛ではありません。

   ポイント。
   * 絵は悪くない(敵の悪の騎士も超美形!)が、例によってヒロインが微妙

   いやエリザベス可愛いですよ。「ブリザード・アクセル」の六花や「金剛番長」の陽菜子に比べたら……いや、やっぱり同じくらいで、びっじーん度が足りない。ごくふつうのカワイコちゃん。この作者さんならもっと美人に描けるはずなのに、敢えて親しみが持てる程度にしている感があるッ! そこが毎度気に入らないッ!

   * 主人公に魅力を感じられない。

   「ブリザード・アクセル」の吹雪もそうでしたが、少年漫画のヒーローとしてやんちゃで明るいスケベなところがもう自分が対象年齢から外れているせいか魅力を感じないですね。少年漫画のヒーローとしては器が大きくてからっと明るくて、ムチャクチャ強くて、でもちょっとミステリアスなところもあって十分なんじゃないでしょうか。わたしに合わないだけ。

   その他の登場人物、仲間がれいのキリスト教の「七つの大罪」にからめた2つ名をもっているところとかは巧くできていると思うんですよ。その辺は、先行作品、錬金術のアレと被らないように、それぞれ「狐の罪」「蛇の罪」と相応する動物の罪という表記のしかたをしていて、それぞれの動物の刻印のようなものがそれぞれからだのどこかにあるという設定は巧いと思います。今は単行本だと5人目、「山羊の罪」のひとが見つかったところかな。ちなみにこのそれぞれの罪に対する動物ってのはウィキペディアに載っていましたがキリスト教の公式の設定(必ずしも一対一対応ではないが)みたいです。怠惰は熊で暴食は豚なのね、ふーん。

   騎士の甲冑とか酒場の雰囲気とかがじつに騎士物語っぽいのにエリザベスや七つの大罪の1人、巨人族の少女(?)ディアンヌの服がミニスカだったり脚の出るファッションだったりと服飾的に考証が微妙だったりするのがとってもイヤなのですが、そこんとこは野暮なんでしょうねえ。騎士見習いの女の子ジェリコが狐の罪のバンに身ぐるみ剥がれちゃうところはもうブラとパンティだけにされちゃって、サーヴィス・シーンと解っててもそこは時代的に有り得ないだろともう切歯扼腕。

   バンと過去にわけのあった聖女がもう残念の一言。愛した男(超イケメン!)を死してなお守護し続ける聖女ですよ!? そこはいろっぽいねーちゃんじゃないと! たとえ700年生きた処女で、実兄(七つの大罪の熊の罪、キング)の本体が巨漢だったとしても、そこは是非1回お願いしたい美女じゃないと! ばっちょ(作者さん)、描けるでしょうが! 三条さんとか、文学番長みたいなのをお願いしますよ! なんでロリ美少女なんだよ(号泣)。……おかあさんはあらゆる変態に寛容なようですが、ロリコンには厳しいみたいです。拒絶反応がざざーっと出ます。ゴメン。 あ、メリオダスが娘を人質に取られた町医者によって毒を盛られる回のゲストの美少女(その町医者の娘)はいろっぽくて良かったです。ああいうのを是非またお願いします。

   あ、そんでもって、その超イケメンのバンのプロポーションが疑問。胴長すぎ。上半身は綺麗な細マッチョですが、イマドキの腰パンを穿いている(考証が行方不明)のでウェストから下が多く露出しているせいでしょうか、なんか微妙な気持ちになります。れいの聖女のおかげで突かれても吹っ飛ばされても石にされても毎度復活する見事な損傷担当キャラです。悲惨な生い立ちのせいか、頭が弱いのか、ごく単純な本能に近い論理で行動していて微笑ましくもあります。

   とまあ、おばさんにはツッコミどころがある作品ですが、剣と魔法のファンタジーとしては王道、仲間がどんどん集まり、主人公がおとしめられている過去の事件の全貌が少しずつ見え始めておるストーリーの運びはさすが、もうヴェテランの域。少年向けエンターテインメントということを心得ての作風ならもうなにも申しますまい。物語の行方を見守っていこうと思います。

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兄弟は他人のはじまり

   おかあさん今日はちょっとへこんでいるので乱文おゆるしくださいませ。

   大学生活も無事に(?)はじまり、各種手続きも締めに入っている豹太くんであります。きのうなどは、教職の必修であるところの英会話と体育実技がばっちり被っているという謎時間割で泣きを入れていたので、
   「教員免許を取った後の就職までバッチリ面倒をみてくれる教職養成コースと言っておきながらそれはなんだ、断乎抗議しろ!」と言ってやった結果みんなで団結して教務科に掛け合ってなんとかうまく別の時間の英会話講座に紛れ込ませてもらえることになったようで、胸をなで下ろしていたところ。ほんと安心できません。

   そして、奨学金の申請のための説明会から帰ってきて言うには、
   「四親等以内の親族に保証人になってもらわなくちゃならないらしいの」
   えーっと、親等っていっぺん上に上がってから戻る謎計算だよね。四親等ってイトコ?
   「クリストファーおじさん(わたしの実弟)でいいのか?」
   「それしかいないでしょ」
   というわけで実家にも確認を取りつつ弟に電話することになりました。
   我が弟ながら言うべき事ははっきり言う性格で、最近行き来が無くってちょっと電話掛けるにも勇気が要るんだもん。豹太が浪人するに当たってもムッチャきついこと言われたし。
   「あのー早乙女舞子(仮名)ですが」
   「はい、それで御用は?」
   これが姉と弟の会話だろうか。
   背筋を正しつつ、この度の愚息の大学進学にあたって保証人をお引き受け願いたいと申しましたところ、即答。

   「お断りします

   あ、はい、そういうこともあるかと思いました。いやでも9割方は菓子折持ってけばサインしてくれると思ってたなー。甘かった。
   理路整然と資金計画のずさんさを指摘され、妹さんの時はどうするんです、またこっちに持ってくるつもりですかなんて言われ、こてんぱんにされて引き下がったのでした。

   うーむ、ぐうの音もでねえ。

   あとで実家に首尾を報告したところ、彼の方にも事情があり、そういう話にはとてもナーヴァスだという話をされました。あーそういえば彼が結婚するとき、お嫁さんもご苦労されたのよ的な話で聞いたかも知れません。それきり忘れてました。個人情報の保護的な意味で良かったかも知れませんが、そこは事前に話をきいときたかったかなー。そのために直接弟に電話しなかったんでしょうが。父は親を頼るな云々と説教してくれましたが、そのためのワン・クッションだろうが、かっこつけんな。そういう事情があれば、弟としては自分の家族を守るという立場でこの態度は正しいでしょう。そういう過去があって、さらに、ホイホイ金銭感覚の甘い姉の保証人になったりしたら感覚疑われるよ。

   父としては、それでも彼以外に候補がいないのだから、なにより人としての筋で親子三人して彼のもとへ出頭して頭を下げてこい云々言って説教くれましたが、もうそんな事態じゃないでしょ。保証人無しコース(なにそれこわい)を選択することにします。

   そういえば、高校の時とても仲の良かった人と疎遠になったのは、保証人問題も絡んでいたのでした。
   彼女はうちの父の田舎からはるばる金沢の高校に通ってきていた人で、お父上はうちの父とも若い頃面識がある、活田一族のことも知っているというので親しくなったのでしたが。彼女の口から語られる田舎のスーパースタアだったころの活田光矢氏の伝説はとっても魅力的でわたしも鼻が高かったです。ひごろ、文学で身を誤った人としてしか語られてこなかった分、強烈で。

   あの春、それぞれ行き先が定まり、東京に出るに当たって、彼女は東京に在住の知人として例の俳人、光矢氏を保証人にお願いできないかと言って来たのでした。
   残念ながら、うちの血縁ではありますが、光矢氏は当時親戚からつまはじきされていたので、とてもそういうことの頼める関係じゃあなかったのです。わたしの保証人も、別筋の東京在住の遠縁のひとにお願いしたくらいで。同郷だからと言って彼女までお願いするのは心苦しいという関係上、うちから彼女に保証人を紹介することはできなかったのでした。

   そういう申し訳なさと、こっちにも事情があるんだから勝手に指名してこないでといういらだたしさとで、なんとなく彼女の顔をまっすぐ見られなくなって、疎遠になってしまったのでした。

   あのときは彼女も途方に暮れ、哀しい思いもされたことでしょう、ごめんね、でも、そこはわたしにもどうしようもなかったのよとふと思い出したので書いときます。

   そして活田姉弟はこのさきどうなるのか……まあ、借金をおしつけるような仕儀にはならないと思うけど。笑って昔話ができる関係になるにはまだまだかかりそうよ。

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