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2014年9月22日 (月)

回帰熱 落ち穂拾い 

   ブラームスのリーベスリーダーの歌詞を王朝和歌風にアレンジしてみようという「回帰熱」シリーズ、なかなか18曲コンプリートはむつかしいようです。

   今回は第7曲、アルト独唱です。

   結婚する前は、とても素晴らしかった
   あのひとのまなざしは壁を、もう10枚の壁さえ通過して
   わたしのことを捉えていたというのに

   哀しいこと この冷酷なひとは今や
   すぐ目の前にわたしがいても 心を動かそうとしない

   これはきっついでしょう。倦怠期だ。女声2重唱じゃなくアルト独唱ってのもきつい。どうもわたしが勝手に思ってることですが、オペラ/声楽界ではソプラノはお姫様、娘さん、アルト、メゾソプラノは奥様、おばさんと役を割り振られてるような気がします。とくに、男性経験豊富なイメィジ。余計なお世話や。

   「リーベスリーダー」全曲でひとつの恋を描いている説では、いきなり「結婚する前は」と(原詩では vor (die) Ehe)……って、嗚呼、おかあさん痛恨の大誤訳!
   わたしの学生時代はこれをvor (die) Ehe :婚姻の前 と見たのですが、今CDについてる歌詞見たら vorehe となってるじゃないですか! これひとつで「前に」って単語になりますか、エキサイトくんの怪しげな翻訳だと。横についてる英訳の方も単純に once って言ってるし。

   話を元に戻すと、ひとつの恋愛の進行を描いている説でいくと、いきなり「結婚」って言葉が出て驚くのですが、ここは平安の頃の古き良き習慣で、お泊まりがあった状態と解釈して、気持ちはもうただ1人の相手と思い定めているのに、的に解釈する、と持っていきたかったのですが。

   

誤訳かよ。恥ずかしい。

   まあ、ここで18年ぶりに再び訳してみようと思わなかったら世紀の大誤訳(オオゲサ)に気付かなかったので、ま、このシリーズもやっててよかったなと思うことにしよう。

   そういうわけで、いっそうシリーズ内の位置がはっきりしてきた第7曲であります。

   要は、飽きたと。

   シーズン的にバッチリ。王朝和歌でも秋は飽きにかかって別れのシーズンであります。

   壁をだに障りとなさず目守るひと
    つれなかる朝 あき風の吹く    舞音

   足りねえ。
   三十一文字じゃあ足りねえよ。歌詠みとしてそれはあってはならぬことなのに。「壁10枚」が入らない! 目の前にいるんだよ、でも心はこっち向いてねえんだよという哀しみが出ねえ!

   大好きな曲だっただけに痛恨の二乗。悔しい。

   さて、壁10枚というのは、ひょっとしてあとに伏線として続いているかもしれず。

   第9曲は、そうなるともしかして別の娘のところへいったかも知れませんが。

   ドナウ川のほとりに 家が建っている
   そこではバラのような娘が表を見ている
   その娘は よく守られている
   その扉には10の鉄製の錠が掛かっているくらい

   10の鉄の錠だって! お笑いだ!
   今からおれはそれをガラスのように打ち砕く!

   壁は10枚、錠前も10コ。まあその辺は詩的お約束の数字でしょうか。ということで、こう詠んでみました。

   十重二十重 籠められにける乙女をはや
    恋そめにけり 盗人よわれ   舞音

   伊勢物語とか万葉以前な感じになってしまいましたよ。
   10の錠前ぶっ壊してその後どうするって、力自慢して終わりじゃないでしょ。恋の一夜があるに違いない。伊勢なら盗む。だから「盗人よ」と言っちゃいました。イマドキは相手が未成年だと、合意の駆け落ちでも未成年者略取になるんだって、怖いね。

   ちょ、まて、じゃあ、第6曲で「小鳥は捕まっちゃったけど、悪い気はしなかったカモよ」(物語風な長編の曲というのはこれ。繰り返し含め数ページの作品中最長の曲)っていってる彼女とはここで破局して、新しくドナウ河畔の彼女を奪いに行っていろいろあって(10でシヤワセだーとやって、11,12で噂になってうるせー! って切れて破局して14曲で月を見る)15でもう一度キスしてって言ってる彼女は別人!? リーベスリーダー恋物語説破綻したじゃないですか!?

   やばい。大前提が崩れてしまった。今後どうしよう?
   ……そこは、一つの恋と見ないで、このゲーテ君(ゲーテちゃう)が若い頃いろいろあったんだー的セイシュンの痛い日記と見ればいいのかな、それこそ伊勢物語ノリで。そういうことにしてください。

   やっぱ限界が近づいてきたでしょうか、うぅ~んこれはキマったな! と自分でも満足いく出来のものができません。それでもある程度は頑張ってみよう。お付き合いお願いします。

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コメント

 携帯の方のメモに入ってたヴァージョンだと、
  あふまえは 壁だにさはりにならざるを
   間近になりてつれなかる君
               舞音

 これだと王朝風ではあるが秋風が吹いた感がなくなるような。
 翻案って難しいものなんですね。

 それにしても、通話と目覚ましだけとかいいながらおかあさんも結構使いこなし始めてますか、スマフォ。
 これおうちに帰ってパソコンの近くにおいとくと自動でパソコンのファイルと同期をとってくれるんだそうです。ただ、いつも原稿に使ってるメモ帳にではなくネットに繋がってるこのアプリ用のファイルになのでいまいちお母さんには使いづらいです。虎美はこれでちまちま原稿を書いているとか。おかあさんは出先では脳味噌の中で死ぬほど推敲して覚え込んで、パソに向かってメモ帳ソフト開いてから一瀉千里だわー。

投稿: まいね | 2014年9月24日 (水) 01時55分

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