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2014年5月25日 (日)

真実はいつもひとつとは限らない

   おかあさんの最近の派遣先は引き続き業績堅調な北里リネンサプライ(仮名)でございます。新社屋も完成して、別の派遣会社さんからもぞくぞく新しい応援要員を迎えて大賑わい。おかあさんのつとめるプレス部門も、新しい顧客を開発したのか、新柄が紛れ込むようになりました。
   「なーにこのヨモギみたいな柄!」
   緑色の葉っぱの模様のカヴァーリングです。
   「あ、それ、『リーフ』でいくから。
   次、『リーフ』スタンドで流します!」
   カヴァーリングにはそれぞれその柄から通称が付けられます。チューリップやらローズやら。これを覚えるのがむつかしい……だってローズって名前のカヴァーの柄、どう見ても薔薇じゃないんだもん!
   スタンドってのは立ったまま掛けられる機械の方です。爪に引っかけて流す方はフックです。すいませんフェイクもめんどくさいのでこの辺で勘弁してください。
   「はい、リーフをスタンドで、よーそろー」
   「早乙女さん、復唱してくれるのは良いんだけどよーそろはやめて」
   なんて会話をしたと思ったら。

   「早乙女さん、この葉っぱの模様のカヴァー、なんとかアウフェントハルトっていうんだって」
   数日経って、別の派遣さんから声を掛けられましたよ。
   「はぁ?」
   「ホラこの工程表。グーテンアウフェントハルト葉山だって」
   「そりゃドイツ語だろ。グーテンはGood としてアウ……? aufenthalt ってなんだろ……
   おいそこのインテリ! 第2外国語はドイツ語か?」
   まだ23だという主任さんのおきにいりの派遣仲間のぼくちゃんに尋ねてみますが、
   「あ、いいえ」
   眼鏡のぼくちゃんはニコニコしてるだけが取り柄で、あんまり打てば響く感じじゃないんだな。仕事もなんだかとろいらしいし。おかあさんも、若い人間はみんな大卒だという感覚を捨てましょうねいい加減。この仕事をしてると、お若いひとでなくてもわたし夜間です、わたし高卒ですってひとが結構いるのでした。まあ当然か。
   「ちぇ、調べとく」
   母はうちに帰ってからエキサイト翻訳に掛けてみました。最近は自分で辞書引くこともなくなって、いけないわ。お馬鹿になっちゃう。色々試してみて、
   「Guter Aufenthalt  良い滞在って、格変化間違うとるやん」
   とりあえず、意味は解りましたね。
   「ってことは、これは柄じゃなくてなんか施設の名前か?」
   さらに葉山をつけてググりますと、たしかにその辺にあるお年寄りのための施設だったのでした。
   「良き滞在でグーテンアウフェントハルトって、マンマな名前……まあそんなもんか」
   てなわけでおかあさんの疑問は解決したのですが、やっぱり
   「ヨモギ来たよヨモギ! チューリップが山だってのにどうする!?」
   「早乙女さん、せめてリーフと呼んであげて……」
   おかあさんの混乱ぶりは変わらないのでした。

   ということで、チューリップ柄とかオレンジ系のマドラスチェックとか、あんまり派手な色柄のもので、日頃患者さんの神経に障るんじゃないかと心配していたカヴァーリング類も、お年寄りのための施設と思えば納得。真っ白じゃ味気ないですもんね。

   さらに、そのカヴァーリングの四隅、中の毛布や掛け布団を固定するためについている紐が時々結び目が作られていて甚だしいときには団子三兄弟状態なのはいかなることかと思っていたのも、疑問氷塊。
   お暇な患者様の手すさびと思って少しは同情していたのですが、それにしては、根本のところでかわいく蝶結びになっていたり、日本まとめてあの縫い糸を玉結びするときのようにくるんと結ばれていたりしたの発見するようになって、わたしは忽然と思い当たりました!

   これはそういう気遣いなのだと!

   なんでも、ぶらぶらしていると気になる人がいるじゃあありませんか。もとより、洗濯をするときには紐は絡まないようかるく縛っておくというのがお作法でもありました。ほら、エプロンの紐とかね。実は、洗っている間に紐が絡んでぶっちぎれて、一日に4.5本は床に落ちてたりもするのです。そういうのは、仕分けをしているときに派遣の仕分け係が見つけて、要修理と合図してプレス工程に流し、あとで新規に紐を付け直すことになっています。でも、プレス機には縛ったマンマ流すと詰まっちゃうので、どうぞ、患者様、ご利用者様、施設の担当者様はほどいて出してね、お願い。

   そういう、ゆかしい大奥様たちがご利用なのだとふと思いを巡らせたりして。
   「なんでティッシュが入ってたりするんですかね」
   お若いひとが、パジャマのポケットを探りながらぼやいてたりもします。
   「嗜みなのだ。古き良き日本女性はポケットにはハンカチとティッシュを忍ばせるのが常識だったのだ。しかし、そこは施設にはいるような状態だから、出すのを忘れて洗濯に出しちゃうのだ、堪えろ」いやこれどっかよそのこぼれ話とかでも読んだから。自分も実体験したというわけやね。
   「戦国時代の終わりに九州の大名がローマに派遣したようなキリシタンの少年どもでさえ、鼻をかむときには袂からティッシュをだしてちんとかんで捨てたというのが記録に残ってるらしい。ちなみに当時ヨーロッパでは服の袖で拭いていた」
   おかあさん無駄口はやめましょう。

   さらに、施設にお入りの老婦人となると、団子三兄弟状態の紐だって、もしかして、ノーコーソクかなんかのセルフ・リハビリなのかもと思ってしまって、怒れないじゃないのよ。ほんの10センチにみたない紐だけど、がんばって動かぬ手を動かしてみて、今日はみっつ作れた、明日はもうひとつ頑張ってみよう、今日は昨日より玉と玉との隙間を詰められた、嬉しい、そういうふうに思っておいでだったら、ちょっとほのぼの。わたしもトライするかも。ああ、でも大奥様、ほどいてから出してね、ほんとお願いします。

   ってことで、日常に疑問を感じたことも、自分なりに推理して解決するとすっきりなのでした。

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コメント

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投稿: Johnk165 | 2014年5月26日 (月) 07時25分

Thanks a lot!

投稿: まいね | 2014年6月15日 (日) 20時44分

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