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2014年4月13日 (日)

「七つの大罪」 エンターテナー

   「七つの大罪」鈴木央といえば、ジャンプでは「ライジングインパクト」、サンデーで「ブリザード・アクセル」・「金剛番長」とヒットを飛ばし、さらにチャンピオンでも連載を持ち、とうとうこの作品で4大少年誌を制覇したある種伝説の漫画家さんであります。漫画読みに限らない知名度というとそんなにないかも知れませんが、いまの漫画界ではなかなかできないことらしいですよ、コレ。

   古き良きジャンプのスポ根、バトルもののノウハウを受け継いだストーリーテリングといい、繊細ながら達者な筆遣いといい、実力派のうちには数えられると思うのですが……。もっと有名になっていいと思うなあ。もともと剣と魔法の世界に対する造詣が深く、ファンタジーを描いてみたかったらしいのですが、今回マガジンに活動場所を移して満を持して正統派ファンタジーに挑戦した模様。

   場所は古き良き時代のブリタニア王国、10年前、「七つの大罪」と号する騎士団が国家転覆を企んだということで指名手配の絵がそこここに掲示されているという時代背景。移動酒場の「豚の帽子亭」の主人はとぼけた少年ですが、その指名手配の大逆犯、「七つの大罪」の団長、メリオダスと同じ名前なので、名を聞いた客達には一瞬身構えられてしまいます。まあ、指名手配の肖像とは似ても似つかない可愛い少年姿なので偶然の一致で何度も切り抜けていますが、実のところはその国家転覆犯本人……。

   王女エリザベスは国の中枢に食い込んだ超能力を持つ騎士達、「聖騎士」が来るべき戦いに備えると称して国民を老若男女駆り出している現状を憂え、なにか邪悪な企みが進行中なのではと王宮を脱出、その「七つの大罪」に聖騎士を除くための戦いに立ち上がって貰おうとたったひとりの旅を始める……そのエリザベスがメリオダスに出会い、ちりぢりになった仲間を捜す旅に出る……。といったお話。

   1巻は出たばかりの頃パラパラ見たんですが、そんなにはまるほどでもないかと棚に戻したところ、娘は気に入ったようで、この度最新刊まで既刊が手元に揃ったと。

   おかあさんの評価は絶賛ではありません。

   ポイント。
   * 絵は悪くない(敵の悪の騎士も超美形!)が、例によってヒロインが微妙

   いやエリザベス可愛いですよ。「ブリザード・アクセル」の六花や「金剛番長」の陽菜子に比べたら……いや、やっぱり同じくらいで、びっじーん度が足りない。ごくふつうのカワイコちゃん。この作者さんならもっと美人に描けるはずなのに、敢えて親しみが持てる程度にしている感があるッ! そこが毎度気に入らないッ!

   * 主人公に魅力を感じられない。

   「ブリザード・アクセル」の吹雪もそうでしたが、少年漫画のヒーローとしてやんちゃで明るいスケベなところがもう自分が対象年齢から外れているせいか魅力を感じないですね。少年漫画のヒーローとしては器が大きくてからっと明るくて、ムチャクチャ強くて、でもちょっとミステリアスなところもあって十分なんじゃないでしょうか。わたしに合わないだけ。

   その他の登場人物、仲間がれいのキリスト教の「七つの大罪」にからめた2つ名をもっているところとかは巧くできていると思うんですよ。その辺は、先行作品、錬金術のアレと被らないように、それぞれ「狐の罪」「蛇の罪」と相応する動物の罪という表記のしかたをしていて、それぞれの動物の刻印のようなものがそれぞれからだのどこかにあるという設定は巧いと思います。今は単行本だと5人目、「山羊の罪」のひとが見つかったところかな。ちなみにこのそれぞれの罪に対する動物ってのはウィキペディアに載っていましたがキリスト教の公式の設定(必ずしも一対一対応ではないが)みたいです。怠惰は熊で暴食は豚なのね、ふーん。

   騎士の甲冑とか酒場の雰囲気とかがじつに騎士物語っぽいのにエリザベスや七つの大罪の1人、巨人族の少女(?)ディアンヌの服がミニスカだったり脚の出るファッションだったりと服飾的に考証が微妙だったりするのがとってもイヤなのですが、そこんとこは野暮なんでしょうねえ。騎士見習いの女の子ジェリコが狐の罪のバンに身ぐるみ剥がれちゃうところはもうブラとパンティだけにされちゃって、サーヴィス・シーンと解っててもそこは時代的に有り得ないだろともう切歯扼腕。

   バンと過去にわけのあった聖女がもう残念の一言。愛した男(超イケメン!)を死してなお守護し続ける聖女ですよ!? そこはいろっぽいねーちゃんじゃないと! たとえ700年生きた処女で、実兄(七つの大罪の熊の罪、キング)の本体が巨漢だったとしても、そこは是非1回お願いしたい美女じゃないと! ばっちょ(作者さん)、描けるでしょうが! 三条さんとか、文学番長みたいなのをお願いしますよ! なんでロリ美少女なんだよ(号泣)。……おかあさんはあらゆる変態に寛容なようですが、ロリコンには厳しいみたいです。拒絶反応がざざーっと出ます。ゴメン。 あ、メリオダスが娘を人質に取られた町医者によって毒を盛られる回のゲストの美少女(その町医者の娘)はいろっぽくて良かったです。ああいうのを是非またお願いします。

   あ、そんでもって、その超イケメンのバンのプロポーションが疑問。胴長すぎ。上半身は綺麗な細マッチョですが、イマドキの腰パンを穿いている(考証が行方不明)のでウェストから下が多く露出しているせいでしょうか、なんか微妙な気持ちになります。れいの聖女のおかげで突かれても吹っ飛ばされても石にされても毎度復活する見事な損傷担当キャラです。悲惨な生い立ちのせいか、頭が弱いのか、ごく単純な本能に近い論理で行動していて微笑ましくもあります。

   とまあ、おばさんにはツッコミどころがある作品ですが、剣と魔法のファンタジーとしては王道、仲間がどんどん集まり、主人公がおとしめられている過去の事件の全貌が少しずつ見え始めておるストーリーの運びはさすが、もうヴェテランの域。少年向けエンターテインメントということを心得ての作風ならもうなにも申しますまい。物語の行方を見守っていこうと思います。

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