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2014年3月20日 (木)

英才教育

   それで「趣味」タグに場所を移して。

   その作品(おかあさんがレンタルコミックの試し読み版を見て気に入ったら既に虎美が注文していた本)では、建築学科らしい登場人物達が「水琴窟のある家が理想」「うちにあるよ」なんて会話をしているのです。この作家さんは、そういう小道具の使い方が巧みです。冒頭、めくった右側肩のところで既に主人公が設計図とか入れるあの「図面ケース」とかいう肩掛けの筒を背負って登場するので、「環境デザイ」とまで書かれたドアの表示と相まって、ああ、この子建築やってるのねとすぐわかるんですよね。素直に感心。

   そんでもって水琴窟だよ。

   水琴窟ってのはアレだ、お庭に置くと耽美な耳を楽しませるアイテムです。底にいいカンジに穴の開いた甕を土の上に地下~半地下? ぐらいに加減して設置すると、その甕の底部分から水が内部に滴り落ちたとき、下にたまった水に跳ね返った音が内部に反響してぴとん、ころころぽろんとえもいわれぬ音を立てるんですな。それを琴になぞらえて楽しむという実に悠長ないや雅な遊びです。あの竹が時々カッコンと音を立てるししおどしよりは耽美寄りです。あっちはわびさび方向でしょ? 庭に置くときは自然に任せて雨の日の楽しみとするものかも知れませんが、わたしが見たモノは柄杓がついてて自分で水を掛けて音を加減できるようになってましたね。小さな音を拾えるように、竹筒の拡声器がついていて、それを耳に当てて楽しんだような。

   ナルホドなあ、水琴窟とは渋いものを持ってくるなあ、と感心しておりますと、連想は別の方向に。

   この水琴窟というもの、実物を過去2回見たことがあります。

   一度目は、大学の頃見学に行った品川区の博物館。モダンな大理石作りのフロアの真ん中に設置してあって、自分で水を汲んでは掛けるようになっていました。今調べると該当するのは「品川歴史館」らしいです。建設中に丁度敷地内から水琴窟が出てきたんだそうで、そこのお庭の目玉になってるそうですが、わたしが見たのはそれじゃなさそうなのは記憶の改変……? HPのお写真なんか見ますと、見覚えがあるようなないような、作られたのはバブルの前頃だったみたいなので、あのころ新築だったんだからここでいいみたい……自分の記憶が信じられなくなる今日この頃。ああ、年を取るってイヤね。

   もう一度は、仙台にいた頃。隣山には仙台市のやってる野草園がありました。薔薇園や温室なんかがついてて植木市とかやってる大がかりな農業園芸センターってのは海のほうにありまして(薔薇めあてにやっぱり行ったことはある)、震災でもなんかやばかったらしいですが、そういうんじゃなくて。芝生の広場があってよい子が遠足で行く用途もありますが、萩やら万葉の草、儚げな山野草ってのが自然な感じで植わってる公園なのです。結構アップダウンある構内はそれなりに風情があっていいものでした。萩の季節には茶会やらお琴の演奏なんかあったりして地味にもりあがったりして。門の脇にある売店も、こういうところはいいカンジに水苔のついた東洋蘭とか鷺草なんかを売ってますです。そういう雰囲気。
   そういう渋い公園に何度か行ったのですが、ありました。母張り切っちゃって、
   「ほら、この柄杓で水を掛けて、この筒を耳に当てて聞くのだ。お琴の音がするだろう?」
   虎美にオオゲサに説明したと思いますが、その時点で雰囲気こわしちゃって、耽美な音はかき消されてたかも知れませんね。

   ……母が猛勉強して東京の大学に出て、博物館実習かなんか取ってやっと出会ったような雅なものを、こいつは幼い頃からふつーに経験しておるのだな。粟津温泉の某旅館の地味に凄いカイユー式庭園を毎年探検したりとか、「しばわんこ」も、こいつは幼稚園の頃に絵本の感覚ではまって内容(お正月の蘊蓄とか和の行儀作法とか)をそらで覚えておるのですが、あれはおとなのおねえさんが楽しく教養を身につける本だったですよね。

   ずるいよ。

   こういうのも、三代かけて形成していく感覚なのでしょうか。さらっとそういうことを身につけていった結果の高文連全国大会出場なのかしら。それだったら、母が自分の楽しみに付き合わせてこいつにいろいろ経験させたことも、血となり肉となっているのかしら。

   ……って虎美に話を振ったら、
   「ごめん全然覚えてない」って言いやがりましたよ。まあ、小学校低学年の頃だしな。覚えてたら逆に凄いわ。あーもー子育てってなにが即効性あるかわかんないわ! 無駄ばっか!

   それに、母は虎美が高校生作家になって脚光を浴びるより自分が乙女をきゃうん! といわせたい方だから。まだまだ野望を捨てずにがんばりますとも。

   だいたい虎美は締め切りと課題を与えられないと書かない。書いても観念的な物が多く、叙景詩がほとんど無い。この絶景を言葉にしないとわたしが胸が破れて死んでしまう! っていう詩の作り方をしてないから。文学ってのはパトスの顕れでしょうが! 抑えきれない情動ってのをキーボードに叩きつけろよ!

   ……あ、それ虎美今二次創作でやってるみたいです。PCからどいてくれないことが増えました。そんでもって虎美先生人気みたいです。リクエスト殺到だって。……だめだいよいよ娘に負ける。

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