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2014年2月 1日 (土)

続 人の褌で相撲 ― 早熟の天才篇 ―

   浪人生を抱え金策に苦しむ早乙女家、本日もいろいろと話しておりますと虎美、
   「じゃあおかあさんも何か出して賞金獲れば? 『おーいお茶俳句大賞』ならわたしも学校から参加しろって言われてるし」
   いやあれはそんな稼ぎに行くような賞じゃないし。
   「学校から全員参加でやっと1校に1人選外佳作が出るかでないからしいけど」
   ホラ見ろ。

   秋ぐらいから去年の受賞作がプリントされたお茶が出回っているので興味深く見てましたが、やっぱ入賞作は違う……?

   「これはそんなすごい句か?」

   おかあさん小人ですからやっかみもあって申しますけど、そのぼくちゃんは有名税だと思って我慢してね。

   満月の美しさに負け雲消える

   小学生の部の大賞受賞作です。いやたしかにそうなんだけど。沈魚落雁閉月羞花、美しいものに負けると逃げると言う感覚は正しいです。この場合、雲の方が負けて逃げ去ったという解釈、それくらい神々しい満月の魅力。王道です。

   でもさー、そこを「美しさ」ってマンマ言い切っちゃうもの?

   月、それも満月が美しいのは当たり前じゃん。そこを、美しいという言葉を使わずに表わすことに言わば命をかけてるのに、ズバリ言っちゃうのは反則でしょ。そこんとこが、初心者もOKな「新俳句」の、小学生の部ってところよね。
   堂々とした満月、雲もなく絶景、というのを、
   「あんまり綺麗だから雲が負けちゃって逃げ去った。だからこんなによく晴れてるんだね」というのは10歳児としては抜きんでていますが、中学生になってまでこういう句を出してたらダメでしょう。

   じゃあ大人はどうするかというと、雅語を使ってみる。
   満月を望月に、雲を叢雲にしてみる。
   「美しさに負け」というあんまりマンマな表現を工夫してみる。
   あとは、歴史的仮名遣いにする、古語を使ってみる。

   望月の 叢雲駆逐し果てけり 舞音

   こんでどうだ?

   雲消える から、駆逐し果てけりと、動作の主体が月の方に変わっちゃいますけど、そこはそのぼくちゃんとわたしの同調する相手のちがい、個性だと思ってもらって。わたしは、月の神々しいまでの美しさ、威のようなものが雲を追いやってしまった、とみます。ああ、「オーラ」ね、イマドキで言うと。「負けて消える」と言うニュアンスが「蹴散らしてしまう」というものに代わり、勇ましくなってしまいました。なんか今流行の艦隊モノみたいな。日本海軍ならそういう名前のお船がありそうよ、「満月ビーム」とか出してそう。そこんとこの言葉の選び方がムダにはで好みで。ゲーム感覚と言われてしまいそう。いえ、百年遅れの明星派とでも呼んでください。いや、鉄幹もこんなふうには詠まないだろ。ああ、わたしの言語感覚はやっぱりラノベ向けだ。

   じゃあ「駆逐」をやめると、こんな感じ。説明的になるかな?

   望月の 威の漲(みなぎ)りて 雲消ゆる 舞音

   これで、満月の空に満ちる神秘的な感覚まで伝わりますかどうか。

   そういう、満月の夜の不思議な迫力を感じることができて、句にできたのだから、このぼくちゃんは流石と言うべきでしょう。
   「部活で俳句」の先生も言ってました、あなただけの感じる「美」を探して切り取ってくださいと。その感覚をこそ愛でるべきなんですね。

   じゃあおかあさんは満月の神性をどう捉えてたかというと。おかあさん必死に脳内検索して過去の作品を思い出しますよ。

   隠さんとする雲さへも染め上げて 
    今宵主役の月の来臨        舞音

   追い散らすんじゃなくて、堂々、歯牙にも掛けず、さらに雲を透過し、その端っこを月明かりでちょっと彩ってさえおると見たようです。そんでもって「主役」の「来臨」とヨイショしまくり。

   やっぱオオゲサだよな、まいねぶりは。ラノベ感覚だ。

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コメント

 あとは、この「王道をいく感覚がすごい」って辺りで「ドイツ・レクィエム」の第6曲「死は勝利に飲まれてしまった」ってくだりを思い出して、ブラームスがどんだけ凄いかという方面にかなり脱線しかけたのでまたその辺は日を改めて書きます。

投稿: まいね | 2014年2月 1日 (土) 03時40分

今の日本人関取は全員人間のクズです。

投稿: 金襟 | 2014年2月28日 (金) 20時38分

 う~ん、「相撲」のキーワードに引っかかるところに自動的にこういう発言をぶち込む人間にいわれたくありませんな。然るべき処で堂々自説を開陳されるがよろしかろう。お引き取り下さい。

投稿: まいね | 2014年2月28日 (金) 22時01分

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