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2013年11月26日 (火)

回帰熱 苦手分野にも果敢にトライ

   おかあさんはスローバラードが苦手。好きなフレーズはフォルテシモで歌いたいというぐらい「わかってない」人間なので、元気に速く歌えるフレーズや曲の方が好きです。だから、ブラームスでもリーベスリーダーの第5曲は苦手で苦手で。曲も短調だし。

   緑のホップの蔓は 地にわだかまって
   若い綺麗な娘さんは 心に悲しみを抱いている

   ホップの蔓よ どうして天を目指して伸びようとしないの?
   綺麗な娘さん あなたはどうして悩んでいるの?

   支柱なしにホップの蔓が空高く伸びることがあるだろうか? (ないね!)
   娘さんが恋人と遠く離れて 元気でいることがあるだろうか? (ないね!)

   ホップの蔓と娘を対比させて、歌曲集全体の流れでは若い恋にかげりが出てきたことを示しているんですが。
   この詩集の詩の比喩のパターンが飲み込めて、歌の意味も解ったところでこなれた訳にするとこうなるわけで、昔逐語訳をしたときにはまったく! 何を言っているやらわけ分かんない歌でしたね。やっぱ年はとるもんだ

   それを王朝和歌にするとこうなる。

   頼め来し 柱のなくてただ今は
    いかでホップの身をば支へん     舞音

   和歌の伝統で「恋愛上頼みにさせつづける」という意味で「頼め来」という言葉があるんですな。使っちゃえ。
   ホップってところがドイツなんで。元の歌詞ではそういう蔓植物になってましたが、つるばらでもいいじゃん。いや、蔓薔薇ではまだ強そうかしら? いかにも、こう、支柱がとれたら即へたあってなってしまうイメィジ。蔓草でなよなよしていて王朝というと、夕顔かな?

   頼め来し 柱のなくてただ今は
    いかで夕顔身をば支へん       舞音

   これでどうだ?

   源氏物語の夕顔の君のイメィジなんかも重ねてね、こう。ただ身体的に弱いというのではなく、精神が、生き方が、男に頼らないと生きていけない感じ。

   ただ三十一文字で全部言いたいことを表現してしまってそこで勝負するのではなく、「あれよあれ、あなたわかるでしょ、あの感じ」とキーワードだけで共有するイメイジを滲ませて世界を深くするのが王朝和歌以降の技巧でございます。桜と言えば吉野、紅葉といえば竜田川。その共有のイメィジをいかに使って膨らませるか、裏切ってあっといわせるかが歌人の腕の見せ所。つらいぜ。

   そんでもって、突然「頼めこし」なんて古語をなんで思いつくかって、それは、やっぱ若い頃古今和歌集とか伊勢とか大和とかバリバリわかんないなりに食い散らかしたのが皮下脂肪になってたんじゃないですかね。まさかこの年になって、擬古和歌詠むために類語辞典ひっくり返すなんてあほらしい。アルバイトで肉体労働しながら現実逃避のために脳味噌絞っただけです。
   そーゆー「あったなそういえば」を20年後に出すために、若い頃は古典を勉強させるんじゃないですか? よう知らんけど。

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