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2013年11月 6日 (水)

「ソウルキャッチャー(ズ)」 スポ根を通り越してファンタジーバトル?

   たぶん虎美は斉木楠雄と暗殺教室のコラボめあてで買ったんだと思うけど。
   「おかーさんこれ絶対気に入ると思うから読んでみて!」」とジャンプの増刊に載ってた読み切り版を薦められたのは去年の夏でしたっけね。

   ひとの心が「見える」神峰くんは逆にそのために対人関係に失敗、絶望している高校生でしたが、文化祭の日に屋上でひとり演奏するサックスの音に惹かれて彼、刻阪君の演奏を講堂まで聴きにいってしまいます。そこで見たのは、まさに刻阪くんの音色が聴衆の心を掴むさま。こいつは本物だ! と思わず声を掛けてしまう神峰くん。しかし、天に愛された才能を持つと思われた刻阪くんにも心を開いてもらえない相手がいたのでした。それも、かつてはかけがえのない音楽の理解者だった女性!
   刻阪くんの苦悩を目の辺りに、人と関わることを避けてきた神峰くんも自分の力が人の役にたつことがあることを信じて刻阪くんのトライに付き合います。神峰くんは本当に閉ざされた心を見、その原因を探ることができるのか、彼の助言で刻阪くんの演奏を向上させて彼女の心を解き放つことができるのか!?
   いわば超能力バトルの音楽への移植です。見事彼女の心を解き放ち、刻阪くんの苦悩を払ってあげることができた神峰くん、一緒に音楽をやろう、と指揮者への道が示されて読み切りは終わり。これは近いうちに彼を指揮者とする吹奏楽モノが本誌連載になるな、と思わせました。

   満を持して登場です。1巻は夏休み明けに出て。もう2巻が出ました。連載に当たって、刻阪君のだいじな女性はお姉さんから幼なじみの彼女(?)になってました。
   当然、ずぶの素人の神峰くんが指揮者をやらせてくれと入部したことで吹奏楽部の元からの部員は大反発。各部のパートリーダーに認めさせるといういわゆるジャンプ漫画の王道、「各階のボスを倒す」ミッション、死亡遊戯パターンに入りました。
   最初は打楽器の「親方」的豪快なリーダー。たしかに最初にこういうひとを攻略するとあとの戦い(戦いちゃう)でも味方になってくれそうだ。
   次はトランペットの天才肌ゆえに孤立する暴君型リーダー。彼も家庭の事情を抱えていて、親の反対をセッションを披露することで乗り越えるというのは音楽をバトルにするというこの作品の世界観においてありがちだけどいいアレンジ手法だと思いました。それにしても、「イナズマイレブン」といい、なんで漫画やアニメの世界の医者の親は子供に後を継がせようと過干渉なんだろう? そんな特権階級なのか今でも。
   このトランペットの暴君攻略の途中で2巻に入ります。展開早いです。
   実はとってもカワイイ性格だった「暴君」を攻略したところで、ライヴァル登場。「アイシールド21」における王城のような、伝説的に強い強豪校(学校としての目標)と、「ガラスの仮面」における姫川亜弓のような天才学生指揮者(神峰君にとってのライヴァル)。このひとは絶対音感を持ってて音が色で見えるという「共感覚」の持ち主。
   そんでもってラヴの要素も突っ込んできました。いや最初イケメンばっかりだからいけないおねえさん人気を当て込んでいるのかと思いました(オイ)。刻阪くんに好意を寄せるサックスのパートリーダー歌林。刻阪くんが神峰くんにばっかり構って練習に出てこない! とかみつくのです。そこで口が滑って好意はバレバレ。この時のみんなの反応がカワイイ。
   ここでその天籟高校に敵情視察に行って天才伊調君とすでにやらかしてしまった神峰くんは初心者脱出のために「暴君」から部内の「歩く音楽事典」を紹介されます。心に傷を負ってその潜在能力を隠したままのバスクラリネット・ファゴットのリーダー御器谷と、そのイトコで一緒に努力しつつも報われず絶望して向上心を失ったクラリネットのリーダー邑楽をダブル攻略のあとはフルートのリーダーの吹越の家庭の事情にまた遭遇……? イマココ。

   問題は、神峰くんが1年坊主なのに対し、パートリーダーたちは2年生なので、攻略されるリーダー達はみんなおねえさんなところですね。落ちた途端世話焼き女房になったりして、なんてうらやましいハーレム(違います)。部長(パートはトランペット)と「暴君」はイケメンだし。打楽器の「親方」は当然頼れるアニキだし、まだ彼に対する抵抗勢力っぽい言動だけが現われているチューバのリーダーとか、男子の先輩もいます(こんなにパートわけしてるわけないだろと突っ込んだら、吹奏楽部に友達の多い虎美がこれがリアルだとすぐ言い返してきました。ちぇ)。

   「心が見える」という主人公の特殊能力を解りやすく、ハートが縮み上がっている、じつは幼子である、といったふうに視覚的象徴で描いているところが読み切り版からの特色です。それなのになんで恋心には鈍いんだ、ああ、イマドキのラノベヒーローのお約束だからか。
   ド素人の神峰くんに刻阪くんが教えてくれるというかたちで音楽の知識やらこの作品世界での吹奏楽界の常識やらを説明してくれるスタイルは巧みです。まあ最初素人の方が伸びしろはあるよな。楽譜も読めないで指揮者やらせろって来たら、帰れって言う方が普通だけどね。

   ジャンプで音楽、それもスポ根な切り口で、どうなるんだろうと思ってましたが、「共感覚」というたぶん実在する概念をジャンプのバトル漫画らしい超能力概念に使って、もうファンタジーバトルにまで持ってきました。それぞれのリーダーがどれだけスゴイ実力をもってるかという描写も的確だし。一週間で楽譜100曲書き写すとかいう「苦行」もちゃんと音楽してるし。それでいて、青春ものらしい家族との相克やら、挫折の克服やらをちゃんちゃんと描いているので実に楽しみです。あれだな、「スケットダンス」(と「めだかボックス」)終了後の学園物の部分はちゃんと吸収してる感じ。音楽もちゃんと聞こえてくるしね(「暴君」攻略戦の「トランペット吹きの休日」はユーチューブで拾って聞きまくりました)。指揮棒は中身よりケースの方が高いとか、あるあるネタも面白いし。登場人物は名前が音楽に絡めてあるという小ネタも面白いし。指揮しながら喋って指示出すのは無茶だろって思ってたら、「スキルが上がって言葉を発さずに的確な指示ができるようになった」し。

   打ち切り路線からは持ち直したらしいですよ、はまるなら今のうち!

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コメント

 既に神峰くんが刻阪くんのことをガッチリ信頼しているところが熱いです。
 「トランペット吹きの休日」では、部長と「暴君」との仲を取り持つための曲を選ぶよう依頼し、もう一本トランペットが必要と解るとためらわず音色の近いソプラノ・サックスでそのパートを代行するよう求める。
 「吹奏楽のための木挽き歌」では、サックスのソロパートがあるとみると、「テナーサックスを吹いてくれ」と迷わずにソリストに指名する。
 刻阪くんも神峰くんの進歩(楽譜が読めるようになった)を喜びつつそれに真っ向から応える。この友情がたまりません。

投稿: まいね | 2013年11月 8日 (金) 02時33分

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