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2013年10月14日 (月)

芸術とは反実仮想と見つけたり

   例によってゲージュツの秋でございます。

   かの女(ひと)に質量あるをうたがへり
    舞台の上にオデット姫舞ふ        舞音

   姫ちゃんのバレエ団のおさらい会を見に行ってきました。今年は「白鳥の湖」! ダイジェストだけど、いやちゃんとつぎはぎ感なく舞台になってました!

   例によって第1部はちいちゃいお子ちゃまたちが可愛らしく踊る違う雰囲気のステージでしたが(この部のトリを取ったお嬢さんも片足立ちくるくるがお上手で今年こそ「ブラヴァ!」と声を掛けようかと思った。……来年への宿題だ)。

   二十分休憩を取って、第2部が待ってましたの「白鳥の湖」。オデットもオディールも先生で、王子様やロットバルトは客演をお願いした男性のようですが、あとは、「貴族の姫君」も、「他国の王女達」も、「4羽の白鳥」もみんなバレエ団のおねえさん達です。スゴイ! 姫ちゃんも大活躍でした。

   わたしこれが初「白鳥の湖」なんですが、すごいですね、オデット姫。あの手の振りが、
なんとたおやか。同じ人間とも思えない。王子が思わず出て行くと、怯えて逃げる、それを、「あやしいものじゃございません!」と追いすがる、尻込みする、それがほんと、リアルでいながら夢幻のごときエレガンス。やっと心うち解けて、2人、手をさしのべ合って踊る、パ・ドゥ・トゥってやつですか、これが、体重無いでしょ! といいたいぐらい軽い。ふんわりひらりと舞い上がって、カツッ、カカカカッという足音しかしない。そりゃ王子も持ち上げてますよ? 支えてますよ? 現実に存在する人間だもの。だけど、とても、そんな生々しいものを持っているような仕草ではない、感じさせない。まるで、茶人が水のたっぷり入った茶釜やら水差しやらをほいほいとか~るく持ち上げるように。こんなものは、大切なあなたと一座を建立するためのほんの小道具で、額に皺を入れて大切に大切にするほどのものではありません、なんて心意気みたいな。いやほんと、利休言ってるって、重いものは軽いように持て、軽い物は重いように持てと。
   いやじっさいソレすっげえ謂われのあるお宝で、物理的にも重いんだけどさ。
   芸術なんて、この世にないものを描いてみせるものじゃないですか。
   そこら辺にあった瀬戸物を、謂われがあるといって尊重してみせる。相手と深い心のつながり、価値観の共有がここにおいてできたと思うなんて、それは幻想。そんなものはないのに。形にして見えるはずはないのに。
   それがあるように尊んでみせる
   人ならぬものと心を通わせて、愛を誓うなんて、試練に勝つ愛なんて、そんなもの有り得ない。魔法使いなんてこの世にいない。おいたわしい身の上の奥ゆかしい姫君なんて、存在しない、そんなことは、言わないで。
   舞台の上には、夢がある。美しい姫君が華麗に舞う、有り得ない高さを跳ぶ王子がただ愛に生きてくれる。正義は勝ち、愛は正しく燃え上がる。
   それが芸術というものの醍醐味であるなあ、哀しいけど。
   そんな境地に達しましたのよ。
   ほんと、それくらい先生のオデットお綺麗でした。

   後半、嫁選びの舞踏会は、だーれも来なくてオディール一択だったんじゃなく、それなりに「他国の王女」がいて、それぞれアピールする踊りを踊るんですな。これが、デザイン同じで色が赤黄青、緑にオレンジピンクでもうちょっと前のアッキーナのコマーシャルじゃないけど「どの色選ぶの?」状態。黒のオディールを入れたら七色だ。王子目移りしそう。
   それぞれみたけど、どどーんと、あの有名な「情景」、チャーン! チャラララチャ~ラチャ~ラ♪ のあのテーマを暗くアレンジした曲がかかると、もう心を引きつけられずにおられない。オディールは他の王女達とは格が違うのです(いやそりゃ生徒さんと先生じゃあねえ)。王子をいなすコケットリとか、もう、これはかなわんわー、騙されるわーと見ていて納得しました。

   昭和のバレエ漫画の知識だと、「白鳥の湖」のオディールは、クライマックスで「グラン・フェッテ・アン・トールナン」という大技を持っていて、あたかもウルトラマンがスペシウム光線を放つかのように、ムッチャ難易度の高いこの技を繰り出すところがプリマ・ドンナの証明であるかのような常識が刷り込まれておったのですが、これ、いつ出るかと思ったら、王子を魅了するとこじゃなかったですね。この人に決めます、とかいって母后に紹介して、もう変更なしね、と花を手渡したあと、他の王女たちが祝福して(エライ!)、ウィニング・ランじゃない、ウィニング・ダンスを踊るところで出るみたいでした。ただ、これ、片足立ちで、もう一本を周りながら振り出すことによる遠心力で32回回るという技らしいんですが、つい数えちゃいましたが20回ぐらいでした。やっぱダイジェストだしね。

   罠にはまってよく似た他人に愛を誓ってしまって呆然の王子、目の前で希望が露と消えて惑乱のオデット姫。ほんと、劇としてもちゃんと成立しているこの構成のたしかさ。たしかこれ構成も振り付けもこの先生だったんじゃないかしら。そんで自分で主役踊るし。なんてマルチな才能なんだろう。

   というわけで、伝家の宝刀も教会のなんかすごい宗教的アイテムもなしにロットバルトに挑む王子、簡単に吹っ飛ばされますが、何度も挑む、とどめの一撃の瞬間、オデット姫が身を挺して王子を庇う! その愛の力に打たれたらしく、ババーンと逆に逃げ去っていくロットバルト。九死に一生の王子、ところがオデット姫は倒れたまま。死ぬの? 愛の力ってこれ!? と、音楽がハープの分散和音になり、弦は短くザッザッザッザッと音を切って盛り上げます。ここんところはさすがチャイコフスキーと思いましたです。起き上がるオデット姫、喜ぶ王子、あとはらぶらぶの2人で組んで踊る踊り、キャー♪

   非常に楽しめました。いやー来年が楽しみだわ。単純にバレエを見ることができるのがこの機会だけだから、という意味だけでなく、このバレエ団がどんどん若い人が育ってる感じで、先生の演目への取り組みも刺激的だし、先行きが楽しみでもあります。

   姫ちゃんお疲れ様、来年もよろしくね!

   そしておかあさんはお昼軽くしか食べないで行ったらお腹すいて目が回って、もう食べることしか頭になく、駅の横のフレッシュネス・バーガーに入って帰りの電車賃も構わずハンバーガーをがっついて、ホットの紅茶が冷めるのを待ちながら財布をひっくり返して冷や汗をかいたのでした。ハンバーガー買ったときには見えなかったけどもう千円ちゃんと持ってきたのでした。ホッ。フレッシュネス・バーガーおいしかったです。今度はちゃんとお小遣い持って出かけます。

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