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2013年9月23日 (月)

飛んで火にいる秋のパピヨンオフ

   とむ影さんから、連休東京に行くのでどうですかというご連絡に、「暇でっす」と即答したまではよかったのですが、
   「どこにしましょう? 藤子不二雄展? ネコライオン?」とこちらの趣味も考慮の上URL付きで行き先を相談してくれる優しさに甘えて自分も開催中展覧会で検索を掛けたら。

   「山種美術館 速水御舟 ― 日本美術院の精鋭たち ―」って、これは行くしかないでしょう!

   説明しよう! 速水御舟の「炎舞」という絵は重要文化財で、いちど切手にもなっていて、小学生のまいちゃんはそれに一目惚れして、「山種美術館蔵」という文字を頼りに東京に出てきてからもしつこく何度も当の美術館に通い詰めていたのだが、ものが重文なのでいつもは公開されておらず、一度も肉眼でそれを見たことはなかったのだ!

   HPに行ったら、その憧れの「炎舞」が出品されるとの情報で、バッチリ画像も上がってましたよ!

   ごろにゃ~んととむ影さんに甘えて行ってきました山種美術館。昔は兜町の自社ビル地下にあって、十畳二間みたいなこぢんまりした感じで、カフェもあえて声を掛けるのが申し訳ないぐらいの寂れっぷりだったのに(だがそれがいい ニヤリ)、なんだか恵比寿の素敵なところにリニューアルされたそうで。

   これはいよいよ行かずばなるまいて。

   恵比寿ねー、じゃあ、途中にローソンがありますからそこで待ち合わせにしましょうか、なんていっといて。

   「今恵比寿着きましたー階段上がったとこ」と電話してる最中に電池切れるスマートフォンの大食らい! 充電を怠ったおかあさんのバカバカ! 慌てて携帯ショップを探すも、こないだ充電中に踏んづけて、中の端子がポッキリ行っていて、旦那様の見たてでは、スタンドでお尻から充電する分には大丈夫、というのでお尻充電で対応していたのですが、外ではそんなの無いらしいですね……。この機種ならうちでも大丈夫かもと手に取ったauのお兄さんも首を振ってました。

   携帯やさんたちにたらい回しにされて、とりあえずDoCoMoショップにたどり着いて、電池パックをがばっと外してそこから直接充電してもらって、貸し出し用のちょっとだけ充電してあるパックを使わせて貰って、とりあえずとむ影さんに電話して、DoCoMoショップまで拾いに来て貰うことにしました。

   合流するだけで大汗かいたわ。

   とむ影さんも、この人と会うためには20分ぐらい余計に時間みとかないとともう達観しておられるようで、大丈夫よ~と笑いながら現われてくれました。ホントいつもスイマセン。

   そして汗かいて山種美術館へ移動。
   「インターネット割引券っての印刷して来ちゃった! 白黒だけど良いよね?」って、おばさんずうずうしすぎ。もちろんちゃんと百円引きしてくれました。最近はこう言うのもあるのね。HPから誘導されて、このページを印刷して持ってきてください、ってやつでした。
   そして地下へ誘導され、やっぱり作品を保護する薄暗い空間であこがれのお宝日本画たちに対面したのでした。

   ……やっぱり狭かったよ。まあ、デミタスってかんじ。いいもんはそんなお腹いっぱいになるまで飲み食いするもんじゃないか。

   御舟というとこれなんでしょうか、一対の屏風に、片方は枇杷の樹下クロネコちゃん、片方はアジサイから離れて白ウサギちゃんという「翠苔緑芝」という作品。バックは金で伝統の技法ながらちょっと雰囲気モダンという面白い作品がよかったですね。

   あとは、日本画としてふつうに、梅、桃、ボタンに芙蓉に。薔薇のスケッチがあったのには驚きました。みんなうっとりもので。

   本日のメインについて。

   「炎舞」というのは、その名の通り、炎が燃えさかっている絵であります。下の方は、仏画の技法で、不動明王のバックに燃えさかっているのと同じお作法でのの字を描いて燃えてます。それが、すすやら煙やら発しながら上の方ではぐるんと巻いて揺らいでいるのが観察の結果の御舟オリジナルなんだそうで。すごい迫力です。厨2ごころを揺さぶります(オイ)。そんでもって、そのまわりを、警句まんまに色とりどりの蛾が乱れ飛んで、惑乱のていを表わしておるのです。うぅ~ん、濃いわ。これは、BGMは往年の松任谷由実、「真夏の夜の夢」でどうでしょうか。「♪ほ~ねま~でとけるよな~」
   これがまた、蛾といいながらけっこー色とりどりです。ブラジルのアレ、モルフォ蝶みたいのから、豹かっていう黄色地に黒斑、茶色いやつやら、目玉のような模様のあるやつから。気合いを入れて羽根を見せびらかすように飛んでます。これはもう蛾っていっちゃ可哀相。パピヨ~ンで良いでしょ。 フランス語では Papillon de nuit だとエキサイトさんも言ってますし。

   我が事ながら、多分に闇の趣味のある子なら一発で魅せられて当然と思いましたです。

   大学の頃には、これと、「蝶々が一匹韃靼海峡を渡っていった」という詩と組み合わせてエッセイのネタにしてます。
   「蝶々は海峡を渡る。蛾は劫火に招かれる。わたしも歩きだそう、悲壮美にでも酔いながら」なんてね。若い子にありそうでしょ?

   この本日のメインの他によかったと思ったのは、その「炎舞」の上からヴァージョンと申しますか、同趣向の別の絵を見られたことです。
   重文の作品の方は掛け軸絵的に縦長で、サイズというかタテヨコのバランスも床の間用なんですが、ヴァージョン違いの方は、タテヨコ比がもっと正方形に近い横長で。同じような赤黒いバックに蛾、というには彩りが華やかなパピヨ~ンがまあるく群れ飛んでいる絵で。炎自体はなかったかな。でもまさしく上から見たヴァージョン。いや、「炎舞」じたいも、飛んでるパピヨ~ンはみんな正面に羽根を向けていてよく考えるとリアルではおかしい構図なんですけど(解説読むまで変だと思ってなかった。やっぱり解説って必要よね)。

   というわけで、ヴァージョン違いを見られたのは行った甲斐があったと思いました! とむ影さんありがとう!

   そしてここは ミ ュ ー ジ ア ム シ ョ ッ プ が 解 っ て る !

   収蔵作品をうまくモチーフにした小物のセレクトが見事!
   ほんとにこのバランスだっけ? という神バランスで切り取ったその枇杷の下の猫の「翠苔緑芝」のクロス(眼鏡ふき?)やら、そのネコちゃんとウサちゃんをワンポイントにした緑色のハンカチやら(ネコとウサで微妙に緑の色味が違うのがまた芸コマ!)、たしかにこの絵柄はスケッチにあったけど、どうしてこんなポップに配置できるの!? という薔薇模様ハンカチやら、近頃おみやげ物としてはやりのクリアファイル! マグネット! 一昔前はだっさい絵はがきと図録しかなかったのに! なんて素敵~~~~~~!

   バブルは日本にいい影響を残しましたとわたしは言い続けるぞ!

   もうとむ影さんと悲鳴を上げながら見て回りましたよ。

   すっごく買っちゃった(当然いい値段もした)。ふつうなら一枚1500円のハンカチなんか買わないよ! ちょっと後悔。

   そんでもって、カフェの方は、この美術館の売りなんですが、公開中の作品をイメィジした和菓子を出してるんですよ!
   先の「翠苔緑芝」は、紫陽花のモチーフに白ウサギちゃんがちいさく乗ってる練りきりだし、「ほの穂」と題された「炎舞」をイメィジしたきんとんは赤やオレンジのそぼろをまとわいつかせた上に金箔だし! またそれを活かす黒い懐紙には金のパピヨンの小さい刻印が! お茶碗も合わせて黒で。ちょっと釉薬の加減で虎斑な感じの模様が入って。狙ってる感じ。
   もう最高。
   とむ影さんは芙蓉の「しら露」を選んで、お花の形の練りきりの中の瑞々しい柚子あんを切って見せてくれました。
   抹茶付きで1100円と良いお値段ですが、もう幸せ~。たまにはいいですわ。

   よきひとと 絵を見にゆかん 火取虫         舞音

   火取虫=蛾は当然、夏の季語だそうです。ま、しょうがないか。ふわり招かれるカンジが出ましたか?

   というわけで、また行きましょう! 会期は10月14日まで。皆さんもどうぞ!

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コメント

すてきだったですね~♪
(炎舞)の解説に、切手や教科書でおなじみ云々、と書いてありましたが、ええ、娘も、教科書に在った絵だと申しておりました。また遊びましょう!

投稿: とむ影 | 2013年9月23日 (月) 23時53分

こんにちは。おお、格調高く芸術の秋オフ、うらやましいです。私もどっか行きたい、とむ影さんにもお会いしたい~(ジタバタ)
すみません、ついワガママ言ってみたかっただけなので、ご容赦をcoldsweats01

投稿: 波多利郎 | 2013年10月 1日 (火) 16時52分

 あらーやっぱりお誘いすればよかった? 次には是非。
 そういえば、小学館ビルの立て替えで漫画家陣がお礼に壁に寄せ書きをしたというニュースに、サンデー乙女のとむ影さんは見に行かないのかしらと思ってそれっきりになってました。せっかくあえたのにお尋ねもしないで。これが集英社で同じことをやったらわたし絶対行きますよ。車田正美が「リンかけ」を描き、北条司が「キャッツ・アイ」を描き、原哲夫が「北斗の拳」を描いたら、八十年代ジャンプ・ファンなら絶対見に行くでしょう! それ以降のいわゆる黄金期はよう知らんのがミソ。

投稿: まいね | 2013年10月 3日 (木) 02時30分

小学館ビルは8/10に外側からちょっと覗いてみたのですが、中が暗くてほとんど見えなかった。翌日から編集部は営業してたし、ブラインド上げてもくれたらしいです。残念。集英社と言えばジャンプとりぼんマーガレット系でぜひやってほしいですが、まだ建物は新しいのでしょうか。
では、基本ヒマしてますんで、ぜひによろしくお願いしますです。

投稿: 波多利郎 | 2013年10月 6日 (日) 15時16分

 その上からヴァージョンの「炎舞」、別タイトルついてましたけど、ただいま発売中? の「サライ」の特集ページに載ってましたよ。こうやって別々に見ると、「炎舞」は炎が主題、上からヴァージョンはパピヨ~ンが主題とも思えます。そんなタイトルでした(忘れんなよ!)。たしか「黄色」についてのあれこれ。いろいろ模索中の時期で、日本画の絵の具には鮮やかな黄色がないのを、御舟は洋画の絵の具の黄色をにかわで溶いて使った云々……?
 たしかに、縦長ヴァージョンのものよりパピヨ~ンが色とりどりで鮮やかで黄色いパピヨ~ンもあり、さもありなんと思わせました。

投稿: まいね | 2013年10月24日 (木) 13時54分

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