« あなたの知らない世界 「総文祭」 | トップページ | 王道は強し? »

2013年8月10日 (土)

「ちょんまげぷりん」 なんじゃこりゃ~~~~~!

   「ちょんまげぷりん」荒木源。えーとブックオフの105円ワゴンでみかけたので買いました。黄色い地にプッチンプリンとおぼしきお手軽なプリンを手に載せたりりしい男性のイラスト(上條淳士 画)が目を引いて。ああ、これちょっと前に映画になったんだよな、タイムスリップもので、江戸時代から来たお侍さんがシングルマザーに拾われて主夫になってプリンつくってくれるようになる話……と思ってめくったら、そのお侍の安兵衛さんによるフェミニズム論が面白くって

   あらすじはざっくりと上の通り。いかに幼児を抱えたシングルマザーが大変なのか、冒頭数ページでもう胃が痛くなりました。昔を思い出しておかあさん泣きそうになっちゃった。ごめんわたし専業でしたが。分を弁えないでごめんなさい! 今も! もっと全身全霊を家族に使う! ……今日も口約束

   タイムスリップで見も知らぬ「東京」に来ちゃった安兵衛さんの惑乱がうまい。それでも、匿ってくれて食事を振る舞ってくれたヒロインの遊佐ひろ子殿に恩義を感じる辺りがうまい。それにしても、ぎりぎりの生活の中で食事を出してあげるひろ子さんに脱帽。えーおかあさんいま突然お客来られたら困るわー無理(食事もそうだが掃除しろ)。
   自分の分を弁えて目の前の仕事を誠実につとめる、それもまあ大事ですけど(この作品で尊いと示しているのはこういう価値観のようだ)、それより、困っている人にまっすぐ共感し、同情を示す、親切にしてやるという人間としての最低のことを忘れてはならないというのをまず感じましたね。どれだけ生活に追い詰められ、心をすり減らしていても、人間、なくしてはいけない最低の線というものがあるのだと。

   それとはまたべつのレヴェルで、人として得意なことを認められ、賞賛を受けることは必要なことなんですよね。コンクールで優勝して、マスコミのおもちゃにされて天狗になったみたいな安兵衛さんに、え? どうなっちゃうの? と非常に危うい物を感じたんですが、彼は自分を見失ったりはしてなかったようです。いやどうだろ、ギリギリか? 「台所用具を処分」ってのが、ひろ子さんに叱られて反省してやり直そうとしたのか、それともムキになってもう「先生」になりきっちゃおうとしたのか、ちょっと判然としがたい感じでよく読み取れませんでした。ちょうど時代が合ってたらしい「六本木ヒルズに部屋を持つ」ってのがいい記号になってて。もう業界人になっちゃった感もしていて(ほんとちょっとの描写がうまい)、すっごく心配しました。これはいいかんじでひっくり返されたな。よしよし、そうでなくちゃ。それで彼らは家族になるんだよねと物語の終わりを楽しみに読もうとしたら、

   「人生はケーキほど甘くないでござる
   作中、TV局に勧められて安兵衛さんが出した本のタイトルより。なにこれ、もう使い捨てされる臭アリアリ。

   なんじゃこりゃ~~~~~!?
   ロマンスは!? がんばってるシングルマザーへのご褒美は!?(おかあさんハーレクィン読み過ぎ) 友也くん(子供)の幼い思慕の行き先は~~~~~!?

   切なくもこれでよかったのかと納得しかけたところに、やさしい結末が。そうか、安兵衛さんは約束を守ったのか。ちゃんとしてました。今日買って、今日読み終わりました、ごちそうさま。しかしこのどんでん返しはすごい

|

« あなたの知らない世界 「総文祭」 | トップページ | 王道は強し? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/138427/57966226

この記事へのトラックバック一覧です: 「ちょんまげぷりん」 なんじゃこりゃ~~~~~!:

« あなたの知らない世界 「総文祭」 | トップページ | 王道は強し? »