« 薔薇バラだんだらオフ開催しました! | トップページ | 女の花道 »

2013年5月21日 (火)

「オリンポスの咎人 ストライダー」 もげろ!

   古式ゆかしき時代においては、恋人のいる状態のひとがそういう惚気話を人に聞かせた場合は、「このーっ憎い憎い! なんか驕れ!」「はははいいよ」という流れになるのがお作法だそうで、それが一般的になったあとで、今度は「(こんなに長々と惚気話を聞かせて、こいつめ、もう通り一遍のものを驕らせたんじゃ気が済まない、)お安くないぞ!」という慣用句が発生したんだそうで。それ故に、ひとがはくしょんとやったら「(ゴッド)ブレス ユー」と言うが如くに惚気話を聞かされた場合には「お安くないぞ!」というのがお作法だったらしいですな。おかあさんも近年知った事実。それではこんにちネットでアツアツな話を読まされたときにはなんと言って煽るのが正しいかというと、先だって申しましたように「爆発しろ!」もいいのですが、さらにアダルトな辺りでは、「もげろ!」と言うんだそうな。ええと、その、幸せな人がお使いになる器官がです。からっとしてて良いですね。とても面と向かっては言えないけど。

   「オリ咎」シリーズも巻を重ねて、征服の番人ストライダーの恋はもうほんとそんなカンジ。もう両思いと解ってる2人がくっつくまでいかに相手にええと性的魅力を感じていて昂奮している、そして、できうることならこういうふうに持ち込みたい、でもできない……の連続、しかもそれをヒーロー側からもヒロイン側からもやるので、やっと2人が思いを遂げるまで全530ページの350ページ地点までそんな濃い煩悶シーンが続いちゃってもうどうしようかと思いました。

   作者もいろいろヴァリエーションを出すのに苦心していて、今回はヒロインの側から話がはじまります。ハルピュイアという半獣というか西洋的に魔獣にちかい種族のカイアがヒロイン。ほとんど人間に近い肢体ですが、背中にはドラゴン風の翼があるらしく。ただ、それで羽ばたいて飛ぶには表面積が足りず、もっぱら卓越した身体能力でジャンプする補いになる程度。ただ、体内に魔獣の部分を不可分に保っていて、感情が高ぶると爪やら牙やらが出るらしく。戦闘の時にはそれを使って高い能力を示します。精神が魔獣に乗っ取られるともう最凶。そんでもってどうやら女性だけの種族らしく、適当に、他の半神半獣的生き物や人間と行為を持って、女の子を授かってほぼ不老不死の生を激しく生きておるらしいですな。あんまりキリスト教的道徳には縛られていないみたいよ。欲しいものは闘って奪う倫理観。食べ物は盗むか勝ち取るかしないと口にできない習性とかで。
   カイアはそのハルピュイアの一族でも大物な母を持ち、わりと武闘派として優秀に育ってきたらしいですが、あんまり慎重(おりこう)ではない。100年に2度の大祭(ハルピュイア内のそれぞれの一族の名誉を掛けたわりに血なまぐさい武闘大会)の最中に、ライヴァル的同族ジュリエットが男の奴隷を連れているのを見て、虚栄心からそれを奪おうとして、その奴隷の反乱を招いています。結果、一族の多数が死に絶え、ジュリエットが「伴侶」と思っていた奴隷は逃亡、「恥さらしのカイア」という不名誉なあだ名を持って現代に至っています。これはきつい、千五百年ですよ。こうなると不老不死も恵みではないですな。

   そういう過去を背負っている身で、現代に至り、とりあえず末の妹が物語世界の悪の組織「ハンター」にさらわれたところから、物語のヒーロー側との関わりがはじまります。解放してくれたオリンポスを追放されたヒーローたち不死族のサビンと末娘グウェンは恋に落ち、結婚。カイアの双子の妹は、戦天使ライサンダーと恋に落ち。なんだか独り身の寂しさを感じ始めたところで、うっかりその不死族のパリスと関係を持ってしまったのが失敗。
   パリスは淫欲の番人なので、おなじ女性と2度関係できないんです。さらに敵の女性で、自分の替わりに命を落としたシェナに恋をしてしまっている。彼女を復活させたいと深く願うほどに。だから、パリスルートは望みがない。
   それに、さらに彼女の好みに合う戦士に出会ってしまったから! 征服の番人ストライダーは、負けると身体に宿した「征服」の魔物が身を苛むので、絶えず挑戦し、勝ち続けなくてはならないひと。それでも長生きだけあってひねくれたユーモアとタフな精神でその日々を結構楽しんでいるようで戦闘種族なハルピュイアにはとても好ましい性格。パリスの親友だけあって、戦士たちのなかでは遊び人なほうで、ルックスもセクシーなイケメン。カレに決めたわ! と思ったところが、ストライダーには彼女を拒否する理由がありました。

   1)失恋したばかりなんです。
     前巻アムンで、友の敵、ハンターの女性ヘイディを捕え、アジトに連れ帰ったのは彼女に愛憎分かちがたい想いを持ってしまったためと自覚したんですが、彼女は「秘密」のアムンと心を通わせてしまったので失恋。友の永い孤独を知るからにはやっと訪れた春は祝福してやりたいという侠気が泣かせます。

   2)だってカイアは友の元カノだし。
     遊び人な彼らのこと、とくにパリスには心に決めたひとができたようだし、たった一度の関係は無視しても良いはずなのにこだわるところが日本のネットの処女厨(女性は処女でないと意味がないと言い張る困った連中、多分にコンプレックスの裏返し)のようで笑える! そこんとこが勝利にこだわるストライダーのキャラ設定に絡んでいてさすが。

   3)カイアの性格が問題。
     ハルピュイアとしての好戦的性格が現われて、カイアはなにかとつっかかってコミュニケーションを取るタイプなんです。妹のビアンカやグウェンはそうでもないから、そこは個人の性格? 友人としては面白いけど、恋人や伴侶にしたら、「~についてわたしと勝負する?」といちいち魔物を刺激されて神経が休まらないんじゃないかと思ってます。

   逃げるストライダー、追うカイア、そこへ、憎いカイアに愛する相手が生まれたその時を狙っていたジュリエットが復讐の幕を上げるのです。れいのハルピュイアの大祭への召喚! 致死率の高い「ゲーム」で、皆が「恥さらしのカイア」への復讐を果たそうと待ちかまえています。逃げるのは臆病者と見なされるため不可能。頼れる姉妹達はカイアの名誉のため、愛するカイアのために「チーム・カイア」を結成して参加を表明、もう望みのない片想いをしている暇はない……んだけど、ストライダーが「伴侶」なら、回復要員として期待できるのです。「伴侶」の血を飲めばどんなけがも回復するって、やっぱりその辺が魔物。

   偉大な母に再度認められたい、若い頃の恥を雪ぎたい、恋を手に入れたい、単純に生き延びたい、いろいろな理由から勝ちたいカイアですが、優勝賞品がヒーロー側が長年探していたアイテムだと発表されて、ヒーロー達の支援が本格的になります……。いやどうよ、男はチームのバトル要員にはなれない規則だそうで、サビンは拡声器持参って、やっぱりただの応援団っぽいし。ライサンダーが連れてきた天使も、ビアンカがやられたときに怒りに燃えて乱入するかものライサンダーを取り押さえる要員らしいし。とりあえずストライダーは、アイテム奪取を大義名分にハルピュイア・ゲームについていきます……。

   ま、いろいろ血なまぐさい戦いを経て2人の心は結びつき、身体もそれなりに相性最高だったようで、心から「もげろ!」というハッピー・エンドになりました。カイアの父親が何族ってのは重要じゃなかったのかなと思わせて、来ました新しい「能力」! これであの可哀相なひとが救われると思ったのに、肩すかし。ほんとバカップルがくっついただけでした! ……そう、今回の敵重要人物が意外にまともだったのが予想を外されて小気味よかったかな。復活を期待。

   今回の引きはウィリアムとともに敵ハンターに囚われたらしいケイン。彼もまた新しい登場人物と恋の予感……。いやいや、だから先に病のトリンを幸せにしてやってよ! 今回「トリンに調べてもらおう」って地の文1箇所だけだったと思う! 出番!

       あ、これ↓ ツィッターの bot だけど各キャラクターの個性が出ていてあるある。ずっと読んでいてしまいました。

           https://twitter.com/oritogacopybot

|

« 薔薇バラだんだらオフ開催しました! | トップページ | 女の花道 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/138427/57429652

この記事へのトラックバック一覧です: 「オリンポスの咎人 ストライダー」 もげろ!:

« 薔薇バラだんだらオフ開催しました! | トップページ | 女の花道 »