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2013年4月27日 (土)

「ファイブスター物語」 ― 世にはばかる ―

   自主制作していたアニメが完成して公開されたから晴れてこの春から連載再開と言っていて。まぁ~たぶっ飛んだところからはじめるんでしょと思って、こちらももう年だし追っかけるのやめようかなと思っていた「ファイブスター物語」永野護。なんと、あまりのリニューアルぶりにネットでも話題になっていて(わたしも読んだ)、我も我もと掲載のニュータイプ誌を買いあさった挙げ句が、ニュータイプ4月号重版がかかったそうで……そんな、「ハガレン」最終回じゃあるまいし。どうしようかと思っていたら虎ちゃん今季のアニメでチェックしたい作品があるとかで、「ファイブスター物語」以外の「アニメ雑誌」部分はありがたく引き取ってくれるそうなので買いに行ってもらいました。お金はおかあさんに出させるところが娘の逞しいところ。
   ……そうなんだよな。虎ちゃんが産まれた頃ちょうど「ファイブスター」のアマテラス救出作戦篇がニュータイプで連載中で、立ち読みするのもなんだし、繰り返し読みたいしで、あの頃三十面さげてニュータイプ誌を講読しておったのだな。あとのページも一応読んでて、あの時代のアニメの情報にある程度詳しいのはそのせいだよ! 見てたんじゃないんだよ! 角川だからエヴァンゲリオンの特集は毎度みっちりやってたし! 今やっと気がついた! 

   そして読んでみたら。

   ああーこりゃいかんわ。ネットで大袈裟に取り上げてあったとおり、物語を代表する有名巨大ロボットが、どれもこれも名前とデザインを一新して、なんとも気持ち悪い骨格のものに変わっています。そのもともとのデザインも、いわゆるロボットとは違う雰囲気のデザインとして一世を風靡した感じだったのですが、今回はもうさらにその上を行った感じ。もう人型ロボットじゃなくて虫っぽい。それは、ネットの詳しい人によると、こないだ公開されたという自主制作アニメのロボットのデザインに通じるらしく、何年も連載を止めてそっちに関わっていたので、ふと今までのデザインが時代遅れに見えたのであろうという話しでした。まあ、このひとiMacが流行ったらいきなりそれまで純白の設定だった主人公の国の巨大ヒーローロボットを半透明に変えちゃう人だったから。だいたい、このひとの漫画の支持者はそういうプラモ(?)マニアなので、ヴァージョン違いは出れば出るほどそれを作って売るプラモやさんが儲かるから周りの人も煽るんだろうなあ。わたしも仙台のヴォークスでそれをガラス越しに見てため息ついてた身の上だし。
   また、最近はロボットだけでなく、人間の登場人物もお人形さん(=フィギュア)として飾って喜ぶのが一般化しておるので、カッコイイ衣装に身を包むいろんな登場人物を出してくれるこのひとはほんとそういうお商売の寵児であったと思いますね。

   そういうわけで、話はウン年前から(40年後という設定にせよ)継続した状態で再開されたのに巨大ロボットがデザインを一新して現われて……そうか、作中40年も経ってたらロボットも流行変わるか。でも、このひと年表形式で作品世界を一応お仕舞いまで公開しておって、「星団歴何年のこの事件の時のイメージイラスト」とかいってかなり(連載時作品世界において)未来のデザインも公開しておいて、年表の隙間でこういう卓袱台返しみたいなことされるとほんと困るわー。ま、毎度読者の裏をかくことに命がけな作風なので、作者としてはやってやったぜーと得意満面なのかも知れません。じっさい「ファイブスター」が載ってるときのニュータイプの売れ行きは載ってないときとは段違いらしいですし、今回もこんなはでな事態になっているので、ニュータイプ編集部も「どうぞどうぞ♪」なのでしょう。悔しい。

   20ウン年前からせっかく作り上げてきた世界観、難しい用語を今回いきなり変えてきた(巨大ロボット:モーターヘッド→ゴティックメード、戦闘用人型コンピュータ:ファティマ→オートマチック・フラワーズ)のはもう読者に対するSMプレイにも匹敵すると思いますね。今までもマイナー・チェンジはあったけど、「付いてくるよな?」っていって、どんどん無茶をふっかけてくる、それも読者はありがたがってしまう感じ。ほんと、わたしは今度という今度はあーもー付いていけんわと冷ややかーな目で見てしまいました。

   「それでおかあさんはどうなの?」と虎美に聞かれましたが。
   MHがとんでもねえ骨格になったのはまあどーでもよかったみたいですが、あれだけ大騒ぎして世に出したファティマのお洋服、「プラスティック・スタイル」をもう捨てて、「アシリア・セパレート」にしてしまったのがなんとも。
   「プラスティック・スタイル」というのは全身タイツのような密着型お洋服で、エヴァンゲリオンのプラグスーツに対抗したんだとか、漫画の登場人物の格好をして楽しむ「コスプレ」で、あんまり残念な体型の参加者がファティマの格好を真似て出没するようになったのを憂えてのことって噂もありました。星団法が改悪されて露出が禁止された時代のスタイル、という設定で、露出はないけど艶めかしい、ファティマを美しく飾ってやろうという心意気の現われたデザインで、自分が着て歩くのはご遠慮するにしてもこれはこれで美しいと思ってわたくしはデザイン画を楽しんでおりました。
   それが、集団戦の増えた時代背景を反映して、人型コンピュータのロボット制御能力を格段に上げて、能力のある個体が自機のみならず周囲の味方機もコントロールして集団戦に臨む、そういう機能のサポートウエアとなっているようでした。だから、通信機能の充実が主目的で、髪飾りやティアラから光学アンテナがみよーんと出たり、肩や肘といった体の突起部や靴の踵のところの履き口の辺りからもなにかが出て光線や電波を発しているような表現には感嘆いたしました。うん、今っぽいゾ。お洋服本体はデザイン的には初期のデカダン・スタイルに近くて、白ブラウスにジャンパースカートふうに見えるところがやっぱり落ち着きます(そう見えて素材は超ハイテク、飾りとかは最高級のレースとか使っててゴージャスらしい)。スリットの入った長めの上衣の裾から見えかくれするカボチャパンツが可愛いとも言えます。ってその解説ページばっかり熟読して。
   わたしはきれいなお洋服を着たお人形さんが目当てでこの漫画を読んでおったのかとしばし虚脱。

   物語としては、人間というものの営みの愚かさを見とどける神と、それぞれが私利私欲の争いを行いつつも停滞する文明と恒星系自体の寿命に抗おうとする人間達との対比……なんですかね。とにかく毎度付いていけない感を味わわせられながら読まずにおれない魅力を放っておるのでした。一巻発売時からずっとファンです。悔しい。来月号は買わないと思うけど、単行本になったらやっぱり買うと思う。
   でも、なんで10年も20年もこのデザインで引っ張ってきたんだろう、恥ずかしい、もうこんなの消してしまおうっていってここで卓袱台返すぐらいなら10年前とかもっと前の時点で質が荒かろうがスケジュールが苦しかろうが物語を畳んでしまえば良かったんだと思います。ネットで読んだ話ですが、「北斗の拳」の原作者が今改めて北斗の拳を読んでみたが、こんな話を書いたとは思わなかった、あの頃は進行がきつく毎週が行き当たりばったりで、何をやったかまったく覚えていない、こんなすごい話を自分が書いたのか、俺スゲー、と書いていたような。作者はこういう毎週コンスタントに日本どこでも廉価で手に入る娯楽ってのをある種憎んでいて、俺のはそういうんじゃない、コストもクオリティも高いものを目指すとか言ってたみたいだけど、結局自分が飽きて放り出すならある程度勢いで出しておくべきだったんじゃないかと思います。

   毎度、早く連載を終わらせてくれ、作者死亡により未完になりそうな長編ナンバーワンと言われ続ける作者ですが、もう50? 60? 手塚治虫や石ノ森章太郎みたいな年で死ぬと思うからやばいんで、これが水木しげるとかやなせたかしみたいに細く(失敬)長く現役だったら相当まだまだいけますよ。いやきっと行くと思う。だから壮大なこの話を好きなだけ広げてみんなを巻き込んできりきり舞いさせて、そうしてきれいに畳んでいってください。

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