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2013年4月18日 (木)

実際に読んでみた

   それでオジサンの小説を読んでみましたよ。「純白ではない白」、女子高生ものだそうです。

   原稿用紙に万年筆書き116枚。ここから既にハウツー本をぶっ飛ばしている個性派です。今時はワープロソフトを使って印字するのが普通、手書きでも新人賞応募の際の原稿なら訂正はなるべく少なめに、誤字は最初から書き直すぐらいの気合いで、って書いてあったよなあ、公募ガイド誌の「新人賞の応募のしかた」に。原稿用紙100枚の規定なら、ぎりぎり前後5枚ぐらいなら何とかなるものだけれど、普通はオーヴァーしないよう、しかし少なすぎないよう9割ぐらいは書くようにとも。何様だと思ってこういう提出の仕方をするんだろう? しかも、読んでくださいっていってただ編集部宛に送りつける。「ご査定ください」もなにもないだろう、大昔の○○賞最終候補者様だからか。困ったもんだ(新潮社の編集の皆さんすいません)。これがまた、読んでくと1枚目から失敗して修正液で直してあったり、まあこれはコピーを取れば消えるという建前のもとではセィフとしても、くの字やら矢印やらの校正記号を駆使していろいろ訂正が入れてあって。こんなに修正が入るなら書き直せよ、と読みながらハラハライライラ。

   お話はというと、全体に昭和の香りが漂っています
   主人公は女子高生。41人のクラスでひとりだけ列から後ろにはみ出した机にいつも自ら望んで座ってるちょっと個性派な子です。秘密って程でもない出生のこともあって、ちょっと引き加減に世の中を観察している感じ。よんどころない事情があって本日遅刻して2時間目の物理から登校して、38才独身のヤナ感じな物理教師の授業を昨日あった乙女の一大事について回想しながら聴いています……。
   乙女の一大事で手に入れたライターを弄びつつ、ボーイフレンド君がゆうべ酒に酔って不埒なことをしたことについていろいろ思いを巡らし、「女子高校生というものは汚れない白でなくてはならん」と決めつける教師を冷笑しながら、彼女のうちが喫茶店だからといって見下すようなことを言った旧友の後頭部に火ぃつけたろかなどと危険な妄想を巡らせつつ50分の授業を終える、といったお話。あ、やっぱりライターはもらっといてボーイフレンドとは別れることにした模様。

   いやー今時の女子高生は酒に酔ったボーイフレンドに抱きつかれたからって、この身を汚しおってけしからんとか思うかな、と、彼女が冒頭から思い悩んでおったネタが割れても全然ナットクしなかったです。あと、細かいところがもう昭和でどうしようもない。女の子のしゃべり方とか、そのママも。オジサン今こんなしゃべりする女の子もオバサンもいないよって。
   彼女のうちはお酒も出す喫茶店らしいんですが(看板には18才未満入店お断りとなっているらしい)、級友が風俗営業と見下すって表現があって、いまどきそういう職業差別があるかいとびっくりしてしまいました。かえって興味を持たれるんじゃないかな。まあ、差別というよりそういうべたぁっとした興味と描いてありましたが。
   わたしらの感覚だと、漫画の登場人物でおうちが喫茶店っていうコはなんだかお洒落なイメィジでしたけどねえ。ほらあの一世を風靡した青春野球漫画とか。そういう、何時代!? という感覚に驚きましたです。いやー純文学の世界ではそうなのかしらん。おかあさんほとんど読んで楽しいものしか読んできてないからわかんないわー。

   あと、比喩が多くて疲れました。そこんとこがかれの持ち味と思っているのでしょうか、「のような」が多すぎて。それも、感覚が昭和なので「蛇のハブのような」とくどい。オジサン、今時みんなハブは蛇だと知ってるよ。また、喩えるものが「ギリシャの戦士」とかで、やっぱり古くさい感覚はぬぐえないです。均整の取れたスポーツマン体型だったからって、今の人はもっと、アスリートとか、違う表現すると思います。

   嗚呼、文学青年のまま彼の時は止まってしまったのねー。

   現代風俗を書けとはいわないけどその時代時代の雰囲気に合わせて表現を変えることは必要だと思います。今時の少女だって、その年頃ならではの潔癖なところは残っているかも知れない、いや、あるよ実際。だけど、それは2013年なりの表出のしかたをしてると思う。それを描いてこその文学だと思うんだけど。この作品のヒロインや級友からは昭和臭しか感じない。昭和を描いたというならそれでいいけど、今昭和を描く必要性を感じない。ゴメンね辛辣で。お寿司驕ってもらったのに。

   そんでもって、作品のテーマたる「純白でない白」ってのも、なんか違ってた気がしますよ。「完全な白ではない少し灰色や黄色みの入った白もある」というのは解るけど、それは「オフホワイト」じゃないかなあ。文中使ってた「ノンホワイト」って言葉もあるのかなあ。乙女はまっさらの白でなけりゃと言われて、まっさらなわけないじゃんと笑いつつ、でも男の欲望に供されることを拒んでしまったこともあり、マァ白いうちに入るかな、というヒロインの心意気が示されるシーン、ここんところでふと素に返ってしまって、痛恨。青の洞門事件といい、なんでこのオッサンは辞書引かないんだろう(おかあさんは気をつけよっと)。そんでもって、意味が解ると、じゃあタイトルは「オフホワイト」でいいじゃんと思います。仰々しい。

   と、感想を書こうと思って必死に記憶を組み立てるとこうなるけど、読んでる最中はほんと辛くて、読み終わったあとも呆然としてました。ああ、うん、こういう話で、わたしの感想はこうだったのよねと今この項を読み返して何とか腑に落ちましたことよ。

   さて、これをうまくくるむことのできるオブラートを探さなくちゃ。

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