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2013年3月26日 (火)

日本代表コーチに必要なインテリジェンス

   世を騒がしておる日本柔道界の指導部がどうとかという話ではございませんので。

   毎年恒例のアルバイト、今年の講演会はあの全国一斉学力テストについての講演であったらしく。前半の先生は国語、後半の先生は算数・数学について語ってくれました。国語の先生は、「日本の国語科は従来長い論説文を解釈することに中心が置かれてきたが、近頃の社会で求められているのはそういう能力ではない。図表やグラフ、写真やそれに付随した注を読み解いてそれらから情報を得て、自分で判断した内容を伝わるように発表する能力が必要とされてきている。それは狭い意味の国語科の能力ではもうないと思われるが、そういう能力も、各教科と連携しつつ付けて行かなくてはいけない」てなことを語っていたような。
   それを受けての数学の先生は、具体的な問題のお話になると俄然元気に語り出して。

   「次の問題行ってみましょう。これは、スキーのジャンプの競技の2人の選手の成績です。原田選手と、船木選手の成績を図にしたものがこれです。これを見て、次のジャンプ、最後の一本ですが、どちらの選手に飛ばせた方が合計でよい記録を出すことができるかを考えて、図のどこに注目したかについて述べながら説明しなさいという問題です」
   おいおい。実際のデータなのかこれは。横軸が飛距離で何メートルから何メートルの間、と幅を取ってあって、その幅につき、何回、と縦軸に回数を取ってあります。
   ええと、原田選手は例によって(おい)時々失敗ジャンプがあって、60メートル台とか、80メートル台とかに1回、ぽち、ぽちと実績があります(きっとラージヒルなんやね)。その分、135メートル以上なんてすごい記録もあります。バッケン・レコードってやつだ。
   対するに船木選手は、これは綺麗な正規分布、115~120メートルのところに山があって、左右に行くにつれて回数が減っていっています。安全確実に115そこそこ飛んでくれそう。さて、どっちを選択します? 全日本代表監督になった気持ちで考えよう!

   「ヒストグラムを解析する問題です。これは、どちらを選んでも、『わたしは、原田選手は130メートル以上の記録の累積度数が高いので、原田選手を選びました』、『ぼくは、船木選手を選びます、船木選手の方が、偏差が小さく、確実に中央値である115メートルを飛んでくれると思われるからです』云々と、ヒストグラムのどこに着目したかをちゃんと述べられて、それが理由付けになっていれば正答とします」などと語っていました。

   良問だと思います。だから先生も楽しそうに講演に持ってきたんでしょう。
   実際のコーチだとそこへ、原田は確かに失敗ジャンプはあるけど、それをカヴァーして余りある長距離を飛ぶ実力(とツキ?)を持っている、原田なら失敗しても原田だし、で応援してくれてるみんなも許してくれそう……とか考えちゃったりして。いやでも船木なら確実に115飛べて、ほんとのところは××国との金メダル争いでは安全距離で125欲しいところだけど、110あれば銅は確実だし。欲をかいて原田にして失敗ジャンプに当たったら絶対なんで船木にしなかったって言われる……コーチも大変ですね、わたしなら原田を使うな。

   というわけで、今時はこういう「情報を元に考えること、そしてそれを表現して解ってもらうこと」が必要とされるわけですよ、ということを学力調査の出題をもって先生達は世にメッセージを送り続けておるらしいです。ま、正答は47%だったらしいけどね。こういう問題を楽しんで解こうよ、中学生諸君。白紙で出すなんて脳味噌プリン化させるだけじゃん。

   ゆとり教育って、一巡して結局なんだったの、残念な子ども達を送り出しただけなのといわれがちですが、こういうふうに、実際推進している先生達は善意を持って、日本の子ども達に必要な学力を付けてもらいたいと思ってやっていた訳なんですね。やっぱりそういうことを知ることができて、これは良い経験をさせてもらいました。ええ、ゆとり教育なんて世紀の愚策、学校が要求学力を落としてどうすると教員採用試験に書いて落ちた(ことになっている)わたくしが申すのですから。それ見たことかとは思ってるけど、実際理想としたことに見るべきものがあって、実践した結果にほんの少しでも以前とは違ったいい影響が現われているなら、全てを否定するなんてことはいたしません。

   生類憐れみの令も、今は研究が進んで、「戦国時代の荒々しい雰囲気を一掃した」なんて一周回って再評価とかされてるらしいしね。もう50年ほどしたら判るかもよ。
   そこは、若い人達も、ゆとりゆとり言うなと言うばっかりじゃなくて、おれたちは昭和の詰め込みの人とは違ってこういう教育を受けた、それのおかげでオッサン達よりよっぽどこういうこと得意ですけど? とそのプレゼン能力とやらで発信してくださいよ。期待してますよ。だって、昭和の頃よりオリンピックに出るようなアスリートのしゃべりが個性的に興味深くなって、さすが、道を究めた人は違うわ、と感心させられたりとかするようになりましたもの。

   そんでもって、そういう教育を受けたコーチの皆さんは、科学的に論理的に選手の皆さんを指導できるわけよね? 殴って根性と叫ぶしかないオッサンオバサンにはさっさと引導を渡しちゃってください。おかあさんのお願い。って、やっぱり時事問題に戻って来ちゃった。

   

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コメント

 そういえば講演の中でも言ってた25日が来て、今年も行われました統一テスト!
 今年はサッカーの勝ち点の計算方法を説明されて(勝つと3点ゲット、引き分けだと1点)、そこから、架空の勝敗表を見ながらそれぞれのサッカー・チームの勝ち点を実際計算してみるという問題が出たそうで。
 先生がんばってますね。いいぞいいぞ!
 来年はぜひ野球のマジック・ナンバーの計算方法をやってください。

投稿: まいね | 2013年4月25日 (木) 17時45分

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