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2013年2月19日 (火)

「Q.E.D.」&「C.M.B.」 ミステリコミックは誰のための物なのか?

   例によってW発行であります。加藤元浩によりますミステリ・コミックの「Q.E.D.」&「C.M.B.」もうそれぞれ大河過ぎて一見さんは入ってこれない感じなんですが、無事に巻を重ねております。「Q.E.D.」なんて大河になりすぎて(もう40巻を超えた)サザエさん時空に突入。最近は高校生活の描写がないからもう卒業しちゃったことになったのかなと思ったら、またれいの愉快な探偵同好会が最新刊では登場して。冒頭またただの酔っぱらいを殺人事件の被害者に仕立てて大騒ぎしてお目玉を食らっていたかと思えば。珍しく犯罪の解明に寄与して「正しく探偵らしいこと」をしていたのでした。うん、珍しい。

   もともと超マイナー誌で連載していた「Q.E.D.」は、とうとう掲載誌がなくなってしまって、さらに新しい(刊行がまばら?)雑誌に移動したあとは、その雑誌に掲載した分プラスまるまる中編一本単行本書き下ろしで刊行ペースを守っています。ある意味凄いです。ほかの雑誌では1年に1冊以下のペースでしか出ない作品もあるのに。まーたしかにわたしこの作品雑誌を買ってまで読んだことないですけど。だって書店にあんまり入ってないし、少年向け雑誌だし。「Q.E.D.」読者でこれじゃあ潰れるワケよね。

   それでも続いているのは、質の高い論理系ミステリのコミックをコンスタントに出しているという作者の偉大さに拠っているんじゃないでしょうか。今回の「A面作品」、探偵同好会(の助っ人燈馬くん)が目の前の犯人の不可能犯罪を前に、いかにしてそれを成し遂げたかを証明する辺りのギリギリの論理の展開は往年のコカコーラ級の「スカッと爽やか!」でした!

   そんでもって恒例「B面作品」の、人の死なないコージーミステリの方は、よくよく考えるとこの「事件」で利益を得るのは「犯人」なんだけど、まさかあの人物が事件を企図したとは思えなくて、二度びっくり! の面白さだったのでした。いやフェアだったけどね。何度も提示されてた「犯人」のスペックがそんな凄いものだったなんて。いえいえ、この作品では、いろんなひとがいろんな隠し芸を持っていて、それをそれぞれ出し合って「犯人」からの謎を解いていくので、そこが面白かったんですが。ここは「犯人」と言うより「ゲームマスター」と呼ぶべき。また、過去の事件で主人公燈馬くんが「ゲームマスター」として参加していることがあったから、燈馬くんが出てくるのもうまいミスリーディングになってましたよ。今回は燈馬くんもゲームの駒でした。ロキに久し振りに逢えたのがうれしかったかな(エバも呼んでください)。

   「C.M.B.」の方は、反対になんか結末が切ないというか後味悪い系で、うちの子たちは「もやっと」だと言っていました。最近「C.M.B.」はそういうの多いかも。いやいや、もともとこっちの方は、そういう世の中の複雑さ、ひとの価値観には色々あるのだというのを示すこともテーマのうちに入ってると思うので、これはこれでいいのかも知れません。

   ってことは、ただ日常生活で殺人が起きて、誰が次に殺されるか解らないドキドキを一緒に感じたり、アリバイのトリックやら物理的なトリックを主人公が解いてスッキリ! することを目的としたミステリとは方向性が違うのかも知れません。

   そういうのを若い主に少年に経験して貰うのがこのコミックの目的なら、それはそれで存在意義があると思うんだけれど、それにしてもこの質の高さはお子ちゃまだけに読ましとくのはもったいないですよ! 絵がね、絵が難なんだなあ(何度でも言う)。作者は割り切ってこういう画風で固定したらしいんだけど……。いや、毎度こう言ってるけど、読み直したらそんなひどくもなかった。デッサンとか画力とかが積極的に酷いんじゃないんだ。パースもしっかりしてる! ただ、……なんというか華がないだけ……。

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