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2012年6月 1日 (金)

衣更えです

   ああ、そんで息をするように月次(自分の首を絞めてますな)。和歌や連歌において、毎月定例の歌/句会、それが年を経て陳腐化したことにより(正岡子規がそれをやり玉に挙げたこともあって)、「陳腐」の代名詞化したんです、たしか。

   半袖の肘を抱きて衣更へ
                                舞音

   今日はまだ蒸し暑い感じだったのでよかったのですが、当リーリエマートは5月16日からクールビズを開始してまして。

   杓子定規に 夏の軽装はじまりて
    今日は寒くて風邪引きにけり           舞音

   16日は寒かったです。さみーよ、とかつぶやきながらちゃっちゃと詠んで、お客様のいない間にちょっとメモって持って帰って、パソコンの前に放置しといたら今日になってました。でも、だいたい6月1日は肌寒いよね、例年ね。就職したての年も寒くて、夏服だと寒くて大変と研修日誌に書いた覚えがあります。その時は一首詠む余裕は……詠んだかもしれないけど覚えてないや。

   これが学生時代だと、

   几帳面に折り上げるなら半袖を 
     着ればいいのに白い両肘            舞音

   ジャケットを着るような男性のビジネス的お洋服のマナーでいうと、ワイシャツはジャケットの袖口からカフスがみえてないといけないので、半袖シャツじたいがルール違反なんだそうで。がんとして半袖ワイシャツをお召しにならない方、また、そういう職場もあるんだそうな。かれは学生で、べつにそういうビジネススタイルをしておったわけではないのですが、黄色いボタンダウンを、綺麗に両袖袖まくりして着てましたなあ、ええ、彼。下はたしかコッパン(コットンパンツ)か、グレイのスラックスだったんじゃないかなあ。よう覚えとる、我ながら。駒場トラディショナル(80年代東大生のどうしようもない地味な格好)。いや、まだあれで身だしなみはちゃんとしてたほう。
   カジュアル革命で男子学生がおしゃれに自由な格好をするようになって、そしてスーパー・クールビズなんてものが出た現代においては、そういうのはもう古き良きスタイルになってしまったのでしょうか。

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腐った血

   虎美の文集に感動(?)した早乙女おじいちゃん、ノートを小包にする量(!)送ってきてくれました。ありがたいことでございます。
   それなどを、こんどはわたくしの実家にまたやや盛り加減に報告しておりました。

   「も~う、甘木高校は文芸部が強ぅて大変なんよ! 
    虎美ちゃんはまた詩をいくつ俳句をいくつ小説を何本ノルマがあって、そんで全然できんとかいってひとに当たり散らすんで困るわ~♪」
   この辺は苦労じまん的会話の虚構としてアリだと思うんですが、
   「当たり散らしてなんかいないもん! どうしておかあさんはいちいちそういうふうにわざわざ人の悪口をおばあちゃんに、おまけにあたしに聞こえるように言うわけ!?
   自分の創作に集中しすぎてご飯も作ってくれない方がおかしいと思います!
   おかあさんはそういうふうに空気をいいカンジに保つことをしないからひとに嫌われるんだって!」

   ……さすが我が子、母のクリティカルポイントを適切に突いてくるな。

   だって、人のいないところで悪口言ったらよっぽどどす黒いじゃん。

   虎美としては、単に進捗の報告として、
   「あ~ん、噴水のお題って言われても分かんない! ナニ書いたらいいの!? ねえ、どういう話が良いと思う!?」って、言ってただけかも知れませんが、こっちは日に何度も言われただけですっごくストレスなんですけど!? おかあさんがネタを出してやっちゃいかんと思うし。それに、
 
   こちとら息をするように詩とか浮かんでくる方なので、
(言ったよ、この女!)

   お題を出されてそれにちなんだ巧いネタが出てこなくて困るって経験もないし! どうこねくり回してもかたちにならなかったってこともそんなにないし!(いや作品としての質は問わないでね)

   今は昔、ニフティサーブの時代小説掌編コンテストで、2ヶ月にいちど、1つのお題で原稿用紙10枚の掌編を書いて出す、というのに、ほぼ2本ずつ投稿してましたし(ま~1年続いて箸にも棒にもかかんなかったレヴェルですけどね~)。

   あ~スッキリしたぜ(おかあさんったら!)。

   ほんとに、腐った血が娘に受け継がれていて困ったもんだと思ってますのよ。

   まあ、文章は読んで書いて直して巧くなるものらしいので、スパルタな文芸部で揉まれてみるのもいいんじゃないでしょうか。文芸は人について習うもんじゃないと虎(山月記の)になりかかりながら突っ張ってるおかあさんよりよっぽどものになるんじゃないの?

   わたくしとしては、ちょっとしたところに自分の萌えポイントを見つけ出して、そこから演繹させて止めどもなく物語が広がりはじめ、自分の常の生活を脅かすほどまでにもなって、吐き出さずにおれないまで狂おしい激情をもってしまうところはどうしようもない業と思い至っておりますし、また、そうまでして書いたものが、シリーズを重ねてどんどん世界が広がって自分のものとして定着していくうちに、最初の毒を失って、どうにも甘いものに落ちていくのを自分で見返して、自分の世界を捉える目の甘さのようなものを感じてやりきれなく感じたりとか、そういうことが「文学をやっていての問題点」として捉えておりますが、出された課題にふさわしいものを作出できないとか、指摘された作品の問題点を解決できないという技術面の苦労なんて、レヴェルの違うものだと思うんですけどねえ。レヴェルが違うと思うこと自体が思い上がりかな? まあ、その辺もひっくるめて文学は腐った人間の弄びごとなんですかね、今は激動の世ですしねえ。

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2012年5月30日 (水)

「流血女神伝」 豪華骨太ジェットコースター

   波多利郎さんから貸していただきました。「流血女神伝」須賀しのぶ。段ボールひと箱ひとシリーズって、なんて凄い。

   世は架空の世界、文明は産業革命以前の古き良き程度、世を生み出した恐ろしくも強い地母神的女神への信仰は薄れ、伝説となり、さまざまな国が勃興しては滅び、近いところでは10年前に古き良き伝統を守っていた隣国が滅びて、皇帝に嫁いでいた主人公の国の公女が娘共々命を絶ったとかいう話が昔語りになっているとかそういう時代背景。

   主人公カリエは、大陸中部の帝国ルトヴィア領の北の公国の山奥に暮していた普通の少女。いや、ちょっと好奇心旺盛で、ちょっとお転婆で、輝く美人じゃないけどおブスでもない元気な子、5才くらいでもらわれてきた養女であるというのがちょっと引っかかるところかな。
   ある日どうやら両親同意の下で誘拐され、激動の人生に踏み出すことになったのでした。

   歴史あるルトヴィア帝国、今は退廃して首都以外は治安悪化しまくり、国庫は破綻寸前なんですが、歴史あるだけあって一応皇帝を選ぶためにいろいろ手を打ってます。独特なのが、皇子宮制。帝位を望む皇子は生母の身分を問わず14才までに専用の独立した学術都市に赴いて、貴族どもの勢力争いから隔離され、帝王学を学ぶことになっているそうです。次期皇帝を選ばねばならない時が来たら、選帝会議が然るべきメンバーによって開かれ、選出されるという仕組み。面白いネ。結局、理想に燃えて出てきても、都の奇々怪々なる既存勢力に取り込まれたり、戦いに疲れたりして腐っちゃうらしいけど(物語開始時の今上帝はどうもこの例らしい)。

   どうもその、性格も生母の身分も将来有望な第3皇子、そろそろ期限が来て皇子宮に出頭しなくちゃならないところが、かなり病気でヤバイ状態で、彼が本復するまでの繋ぎに替え玉として出頭する、そういう国を謀るミッションの白羽の矢がカリエに立ってしまったというのです。
   待て。
   カリエ女の子なんですが。
   その辺は、まだ14、5だし。貴人はそうそう肌を見せないもんだからいけるって、ちょっと。
   カリエは田舎の猟師の娘なんですよ?
   ノープロブレム、今から詰め込みで教養とか作法とか武術とか仕込むし。ほらここに、年頃の女の子の大好物なハンサム武官。つきっきりで面倒見ちゃうよ。
   顔とか似てるわけないじゃん。
   それがまた、実の母が見て錯乱するほどに激似。(すげえ伏線!)

   絶対! 本復してカリエとすり替わり直すことはありえないと素人目でもわかる瀕死の第3皇子様は、ありえないほどいいやつで、その皇子様のためというのと、そのハンサム武官(皇子様命のトーヘンボク!)の鼻をあかすためにカリエはがんばっちゃうのでした。

   努力の天才である第一皇子は生母の身分が低いので、能力はありながら穴馬扱い、第2皇子も、生母の身分もさることながら、病弱なので選出されえない。生母が北公国の公女である3番目くんと、同、西公国の公女である生意気な末っ子くんが一騎打ちという様相を呈してきた皇子宮、でも、意外やオトナの思惑の入り込まない楽しい全寮制男子校みたいなノリになっていったのです。

   楽しい日々は続かない、恐るべき陰謀は密かに進行して、
   「おーっ! 末っ子デレた! と同時に○○○!? なんじゃこりゃ~~~~~~!
   絶叫のクライマックスの後、皇子達はしんみりと楽しい青春とお別れしなくてはならなくなるのでした。ここまで第1部「帝国の娘」。

   第2部では、ご本体たる第3皇子が亡くなって、影武者カリエも死ななくてはならなくなり、情の移ったれいのハンサム武官とカリエは隣国、砂漠の国へ脱出行、ところが、箱入りの2人は騙されて人買いに売られ、なんとその国の第2王子のハレムに入ることに……!?

   「勇午」なみに波瀾万丈の人生を送っております。なんやこのジェットコースター!?  でも面白すぎる! お~ろ~さ~な~い~で~! 2晩ほぼ徹夜(だいじょぶ、朝寝したから)で2部「砂の覇王」まで読み終わりましたとも!

   北の大国の男装の美女王女殿下、その弟の女装王子! 謎の美僧、カリエを護る異教の美女、くえない性格の砂漠の王子、ゴーカイな海賊、キレキレの海軍士官、黄昏入ってる砂漠の兄王子、まだまだ! 父母を謀殺されて国を追われた王女! 巫女姫の任を解かれて後宮入りした少数民族の美姫、カリエを逆恨みする側室! 

   

脇役陣が豪華絢爛! そして、それぞれが自分の信念で強く激しく生きておるのです。日々だらだらと我が身を呪いながらナニもせず生きているのは1部の皇帝ぐらいだ! しかも、2部で退位したらいきなり英明に戻りやがんの! どんだけみんなマジメでエネルギッシュなの!? この世界の貴人は怠惰ということを知らない!

   そんで、女性達がみんな逞しく激しいです。我が子が死にかけているのに、姉の産んだ子はこんなに健康で、こんなに生き写しで! と錯乱して恐ろしいことを企む皇妃はまだありがちとも思えましたが、権謀術数で王位を奪った北の国の女王といい、自分の娘には全てを与えたいと言いながら、自分の価値観を超えた幸せを掴もうとする娘を認められない貴婦人、逆恨みを果たすために後宮での出世を全身全霊で望む娘やら、謀殺された父母の恨みに報いるために現政権打倒(それって内乱でしょ、民草には迷惑)を企むもと王女とか、なんというか、まっとうな目標じゃないのにそれに真剣に取り組むところが凄いです。付き合いきれないというか、わたくしは甘ちゃんなんであんまり凝視したくないんですが、そこはそこで絵空事っぽくなくて流石と思いました。

   しかし、いろんな苦難を2人で乗り越えていくうちに2人の心は結ばれていくのねと思ってたらどっこい。とってもおいしそうなハンサム武官はただの添え物だったのでした。後半空気だった(クライマックス、砂漠の王子の危機に颯爽と現れたけど、そこは脇役の武将としてだから)。そこが一番意外。

   後宮に入り、出生の秘密を利用するために妃に立てられながらもずっと「こんな男みたいな娘にその気になるか」なんてカリエの貞操は守られていたんですが、終盤、波多利郎さんの所でも触れられていたとおりに、なんでこんなタイミングで!? というところで。
   ……そんなに処女性ってのは大事なもんでもないってことなんですかねえ?
   伝説の流血女神の生まれ変わり……ってふれこみ(シリーズタイトル!)の割りに、終盤そういう活躍はなかったんじゃないかな、ふつうの、知りたがりの元気な女の子が歴史の動くところに居合わせた、的な大河で楽しませてもらいましたけど。

   カリエはどこでも逞しく生きていて、冤罪で死刑になり掛かったり、お忍びで出た先で暗殺されかけたりはするけど、結局偽皇子様やら名ばかり正妃様やら、傅かれる生活ばっかじゃん、作者の方も「今回のコスプレ」とかあとがきで書いてましたが、いろんな格好をして楽しむ/ませる趣向がなんだかなーってカンジでした。まあ、お若いひと向けのエンタテインメントなんだから、そういう側面はあっていいのか。そうそう、時々まつりあげられちゃうことはあっても、あんまり、もて過ぎちゃって困る的側面はなかったです。

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2012年5月28日 (月)

「すもうねこ」 猫の手も借りろ! 

   たしか連休明けぐらいの読売新聞コミック評コラムに取り上げられていたような。
   飲んで帰る途中でいい気分になってるこたつ川部屋親方が、そこら辺の野良猫に、     
   「おっ、いい体してるね、どう? うちで横綱目指してみない?」といつものノリで声を掛けてしまった結果、真に受けて角界入りしてしまった猫のすもうねこ関が主人公の相撲4コマです。新弟子検査に通る体格の猫ってどんな巨体……うちのお兄ちゃんだって無理だと思う(たしか身長165センチ、体重67キロ以上、中学卒業見込み時)。あ、体格以前に学歴でダメじゃん。ねこ関(作中こう呼ばれる)は連載当初で推定6才(野良出身だから)だそうです。
   作中は普通の関取たちと体格で遜色ないですから、170~80ありそうです(体重も3桁は余裕でありそう)。どんな猛獣ですか。そこら辺は「しろくまカフェ」のようなリアル路線じゃないです。

   リアルなのは角界描写です。ねこ関初めの頃は同じ部屋のまりも海関の付け人(荷物持ちなど世話をする後輩)をやったり、買い出しに出て迷子になって脱走扱いされたりといろいろちゃんと苦労してます。いや、でもあの手でちゃんこ番をやったかは書いてなかったな。大銀杏(関取の地位を示す銀杏型の髷)が結えなくて横綱審議委員のおっかないオバサン(モデルは当然あのひとだ!)に苦言を呈されて床山さん(結髪師)に無理を聞いてもらったりとか、野良猫生活を続けるおっかさんが化粧まわし(土俵入りの時につけるエプロン型のゴージャスなあれね)を贈ってくれて涙に咽んだりと。いやそこは同じ猫の出世頭としてサンリオがキティちゃん化粧まわしを贈るべきだろう! (無理だから)

   それでも本性が猫なので、ライヴァルだるま山関にマタタビを撒かれて腰が抜けて負けてしまったり、惨敗した後ひとりになりたいといって洗濯機の洗濯槽に隠れてたり、換毛期には(稽古相手も毛まみれにしてしまうため)コロコロを当てられてしまったり、やんちゃな新弟子に猫じゃらしでもてあそばれてしまったり!
   やっぱり可愛いのでした。

   ほのぼのしておかしくて角界のお勉強(用語には細かく欄外で注釈がある)にもなって、非常にこれは我が家では買い! だと思ったのですが(それで即刻注文して、忘れた頃に今届いた! いつもの有隣堂じゃなく、ノイエ・リリエンベルクに新しくできた書店の方だったんだけど、ダメだやっぱり! 有隣堂さん浮気してゴメンネ!)。
   期待した旦那様の反応は、「ああ、うん、読んだ」だけ。虎美も、「え~悪くはないけど」。お兄ちゃんだけ、「面白いよね」だったのでした。なんでだ?

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