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2012年12月29日 (土)

「暗殺教室」 殺せないよ……

   同じく週刊少年ジャンプから最近のヒット作を。

   「ある進学校のおちこぼればかりを集めた特殊クラスでは、担任を暗殺するための特殊な任務を課せられていて、生徒達は賞金目当てに毎日勉強しながら先生を暗殺すべく腕を磨いている……」設定を聞いたときにはどんな殺伐とした話かと思いましたが。

   どんな悪の象徴なんだその担任はと思ってページを開いたら、かわいい丸顔の、タコのような生物でした。月を吹っ飛ばして三日月状態にしてしまったというおそるべき力を持っていて、「1年後には地球も同様に吹っ飛ばします。イヤなら私を殺してみなさい」と人類に挑戦してきたという防衛省から派遣されてきた担当者は語ります。この学校の3年E組の担任を1年間やりますから、その間に生徒達に挑戦を許します、とその生命体は余裕余裕。マッハ20であらゆる物理攻撃を避けまくり、喰らった鉛玉も体内で溶かしてしまうという無敵さ。当然その筋の訓練を受けているはずの担当者(=烏間)が接近戦に持ち込んでもかすりもしないので、名門校とはいえ落ちこぼれクラスの中学三年生が「先生」を仕留めるのはどうかんがえても無理……。
   それでも、賞金100億と、どうやら死にゆく教師に託されたらしく「このクラスの担任をやる」ことに誠実な「先生」の真実生きていくために必要なことを教えようとする熱意に打たれて、E組のみんなは熱心に勉強と暗殺のスキルを磨くのでした……。その「先生」、なんともユーモラスで「人間味」にあふれていることだし。

   名門校がモチヴェーションを保つために成績下位のクラスの待遇に差をつける、というのは「バカとテストと召喚獣」の文月学園を想起させますが、あれは最後のクラス以外にも、AとB、それ以下同士でも差をつけていたし、A組の秀才でもそれ以外は残念(ストーカー気質とか、妄想ホモとか、裏表の激しい見栄っ張りとか)、というガス抜き要素はあったと思います。ここまで、成績の振るわないものは差別対象と打ちだした設定は独特で過激です。みていて息苦しいです。現実にそういう年頃の読者はよりそう思うでしょう。だからこそ、個々人によりそって個性に合わせた指導をしてくれる、そして、難しい年頃で多分に攻撃的な生徒のおいたや反抗も受け止めてくれる「殺(ころ)せんせー」(殺せない先生ということからのあだ名)の包容力を得難いと思ってしまいます。間違っているのは、この人間じゃない恐ろしい生命体のほうじゃなく、世間で高評価を受けている学校(とくに運営している理事長)のほうなんじゃないか、と誰にも思わせます。

   物語は学校生活をゆっくり季節を追って描きながら、リミットの学年末へと進んでいきます(今日発売の単行本2巻で修学旅行)。3月が来たとき、E組の「劣等生」達はみごと「人類の敵」を葬って英雄としての人生を勝ち取るのでしょうか、それとも、この先生を殺せないと心を1つにして、間違っている学校を、社会を壊す方に動くのでしょうか。

   期限が切ってあるので無駄に話が引き延ばされる恐れもなく楽しめそうな佳作であります。E組のみんなでは倒せそうにないということが判明して次々投入される新勢力がいちいち楽しい(停学中だった頭が切れすぎて教師不信のイケメンとか美人殺し屋とか、AI搭載の自律型砲台とか)ので、当分楽しめそうです。絵も可愛いしね。狂言回し(?)役の渚君がかわいいです。今男の子のツインテイル(2つ結び)って流行ってるのかしら。側頭部上がったとこあたりの髪がちょっと房のようになっていて独特です。そういえば、イナズマイレブンGOの主役、松風天馬もあのへんに巻き毛があるよなあ。

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