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2012年12月14日 (金)

メイ曲アルバム 「さすらいびとの嵐の歌」 

   2,3日前、思いつきでユーチューブで「bartok slovak」で検索を掛けたら、長年の懸案、「4つのスロヴァキア民謡」が引っかかったのでした。おお、思い出も愛も買えるぜ資本主義(バブルの頃大人買いというものが流行り始めたときのとあるエッセイ漫画の名句)。いえ、買ってませんが。ユーチューブはオトナのセンチメンタルを満足させてくれてますね。大学2年の時の定期演奏会の曲で、志賀高原の硫黄臭い風とともに思い出されます。えーと、長くて暗い第1曲以外は。
   「これは母の干し物ソングだ」などと虎美に解説しつつ、2曲目以降のかろやかな踊りの歌を一緒に歌って(まだ歌える!)。舌を柔らかく逸らして軟口蓋にくっつくかくっつかないかのところに持っていく柔らかい「ティェ」みたいな音、練習した、練習した。まだ発音できます。不思議な響きのメロディラインもまだまだ。最近ちょっと4曲目が昔より早く終わっちゃうぞと思ってたら、なんと歌詞がおぼつかないフレーズを丸々省略していたことが判明。記憶って簡単に改変されるんですねえ、怖いわ。
   ということで、毎日聞き込んでいたら、この曲の前に一緒に練習していた大曲を思い出しちゃって。リヒャルト・シュトラウスの「さすらいびとの嵐の歌」
   このひとロマン派も極まって、シェーンベルクが12音階とか言い出したころのひとで、もう聴くひとを放りだして前衛の極致まで行って、さすがにここから先はやばいと踏みとどまって帰ってきた人らしいですが(帰ってきた結果が「ばらの騎士」らしい、よう知らんけど)、なるほど、音階がびみょ~でどこがメロディなのか、ここはハモってて良いのか悪いのか、歌っててもよく解らん、まだ2年生のまいちゃん@合唱団員は群なんとかゾウを撫でるの喩えにも似て、この曲の全体も南極も北極点も全く解らないままに演奏会を終わってしまっていたのでした。そりゃーそういう演奏会が成功するわけがないのはコーラを飲んだらげっぷが出るくらい……(以下略)。ま、だから未練な訳よ。
   歌詞は文豪ギョエテです。いーんです。疾風怒濤の真ん中で、「Wenn du nicht verlesset, Genius!(たぶんこんなスペル)」と訳もなく雄叫びを上げる(これが曲としての主題、意味は忘れた)ばかりで、なんやしらんギリシャ神話を引用したカッコつけたフレーズがあるものの、何がいいたいのか全く解らない詩でした。正しく名を呼んでやる気にもならん。

   演奏会の記録テープはもう実家行きになってしまって、当時の録音も聴けなくなってしまった今、ホントの所はどういう曲だったのよとたまに調べてはいたのですが、あいにく幻の曲なのでCDは見つからず(おかあさんの思い出の曲ってこんなんばっかやん)。

   本日ダメ元でユーチューブで「wandelers strumlied」とタイプしたらなんと引っかかったのでした。

   

ユーチューブどんだけ隙間に命かけとるねん!(ありがとう!)

   なんか知らん、ベルリンの交響楽団と合唱団らしいです。指揮者は市川エビゾウかと思いました。ええと、御髪のカンジとか。

   早速聴いてみたら、学生時代はピアノ伴奏だったのに、この曲もともとオーケストラ伴奏でした。どんだけ贅沢な曲や。

   ……派手でした。
   そして、やっぱりメロディは半音進行で微妙。ウナギのようにつかみ所のない曲で、
「神さびてぞわれは往く」Ich wandre Goettergleich.とカッコつけて終わってました。まあ、そこでファンファーレ鳴ったので、これはオケ伴ならではの聴かせどころだなーとは思いましたが。

   オバサンになってから聴いてもやっぱり電波だったよ。
   電波ソングというのは……ちょっとどうリアクションしたらいいか困っちゃう、聴くひとを置いてけぼりにしたなにかが出ているような斬新すぎる曲をやや見下す感じで言ったものでしょうかね。

   やっぱ歌詞が疾風怒濤だし。なんか若さのままに、自分は高尚なことを考えているゾー、神々とかそういう精神世界のものと一種通じ合える存在だぞーというノリでしゃべり散らしている、その割りに内容はない、そういう歌詞で。……共感できない。

   一番きれいな女声合唱の聴かせどころにしても。

   汝らは浄い、水の心の如く
   汝らは潔い、地の髄が如く

   Ihr seid rein wie das Herz der Wassers,
   Ihr seid rein wie das Mark der Erde.(うろ覚えにてツッコミ禁止)

   ……ってどういう意味よ? 共感すべき若い頃から意味不明でした。

   当時、合唱団の文集に寄稿したイラストには、
   「ぎょえて雨中に彷徨す」と三度笠姿の文豪を描いて見たんですが、確かに酒に酔って一晩中歩き回った若人の戯言でよかったんじゃないかと思いました。

   こんなもんを後生大事に青春の思い出として抱えていたとは。おかあさん情けないよ。

   リヒャルト・シュトラウスもなにを考えてこんな迷惑な曲を作ったんだろう? 

   本日の結論。

   統制を受けない浪漫は迷惑

   やっぱ、広く受けたいと思ったらある程度毒は抜こう。まあ、そういうゲーテ(あ、言っちゃった)の暴走青年っぷりを音でよく再現したと思えば傑作なのかなあ。

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コメント

 あ、歌詞ここにありました。↓

http://www.literaturwelt.com/werke/goethe/wandererssturmlied.html

 初っ端からスペルミスがあったのでおかあさんへこんでます。
 それより、こんな(17、8分)長い時間やってたのに歌詞部分は原詩の半分以下だったとは。それじゃあ意味不明な訳よね。ホント、西洋の歌曲ってもとの詩をなんだと思ってるんだろう。

投稿: まいね | 2012年12月16日 (日) 00時16分

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