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2012年10月31日 (水)

「部活で俳句」 法皇に米喰わせる系公務員

   たしか読売新聞の書評で引っかけて、虎美に買ってこい! といっていたら、甘木高校の図書室に入ったというので借りてこさせて読みました。「部活で俳句」 今井聖。

   神奈川県の公立高校で教師をしている俳人の今井君が、「センセー、ダンス部立ち上げるから顧問になってよ」と言われて、だっておれつぶれかけの俳句同好会の顧問やってるし、ダンス部って今時のヒップホップダンスだろ、そういうの教師受け悪いし、無理……と言いかけて、ふと閃いた!

   「じゃあ、おまえら、既存の部活に入ってそこでダンスやれ。俳句同好会ダンス部会。同好会の予算回してCDも買ってやる。(中略)踊る俳句同好会だ! 文句ないだろ」

   ここでおかあさん絶叫。

   「この先生はあれだ、こないだの羽咋市の! ローマ法皇に米喰わせる系公務員!
   悪知恵が働く! どうしてもダンス部を設立したい男子高校生達をだまくらかして(おい)、俳句の道に引きずり込み、なかなか面白い活動をさせてゆくのでした……。

   ってのはほんの掴みのⅠ章、40ページ。あとは、高校生というか初心者向けの俳句の解説書でした。俳句甲子園をはじめ、高校生の俳句の大会の実情やら、傾向と対策的考察もあり、初心者の句を参考に、この着眼点はよいとか、ここがまだ甘い、ここをこうするとぐっと良くなる、と添削もありで、さすが、教師だけあって、指導力には感心させられます。

   虎美役に立ったと言ってました。

   Ⅱ章からあとは、俳句を作るということを、実際の高校生の句を見ながら説明していってくれます。近代俳句で耳タコに言われる写生ってのはなんなのよということを、結構穿った見方で解き明かしてくれますので、おかあさんも目から鱗。ほうそうかい、キリスト教も仏教も、普遍的になる為に最初の大事なエッセンスを敢えて失ったところがあったようですが、近代俳句も子規の後の高浜虚子によって「花鳥諷詠」なんてものに変っちゃったのねー。そういうことまでカッパしてくれて、お若いのに(でもおかあさんよりだいぶ年上)この先生流石だわー。
   そーゆー、写生っていっても、変容させられた枠付きのお綺麗なものを詠むことにこだわらないで、どんどんあなただけが気付いた景色を切り取って行きなさいと言ってくれるところが初心者向けとして素晴らしいと思いました。

   そんでもって、俳句の形式について、季語と切れ字をぶっちゃけて解説してあって、虎美にはここんとこがスッキリだった模様。
   「上句が4音の名詞なら『や』を付けてみる。
    下句が3音の名詞なら『かな』を付けてみる。
    下句が2音または3音の動詞で終わりそうなら、その動詞を連用形にして『にけり』または『けり』を付けてみる」って、おい、ぶっちゃけ過ぎ(爆笑)!!!
   いえこれは、切れ字の効果を「リズムを整える」という方向に絞っての実践法だそうですので。あくまで初心者向けと。でもすごいな。いや、こういうのは、俳句とか、短歌とか、怒濤のように過去の名作を読んで口で唱えていくうちになんとなく、こう来たらこう続ける/切るのが王道、みたいに身につくもんじゃないかと、少なくともわたしはそういうふうに入ってるんだけど、やっぱ今時の子は俳句とかにはあんまり親しんでないからかなあ。

   じゃあ、今井先生に従ってテキトーに作ってみると、今の季節だとこんな感じ。

   仙台や 河原かわらに芋煮かな (法則1&2)
   広瀬川 三々ごごに 芋煮けり (法則3)      舞音

   ナルホドなあ。適当に突っ込んでも俳句になるよ。

   切れ字だけじゃなくてね。初心者にとってのネックである、どうして5,7,5なのか、字余り、字足らずや破調はどのヘンがセーフでどの辺がアウトなのかについても実例を色々引いて的確に説明してあり(リズムができていれば可なりとのこと)、季語とはなんなのか、どうして必要なのかについても、もしかしてかなり改革的かもですが「空間の状態を表すに当たって季語ほど有効なものはありません」とハッキリ言ってくれて、必要十分であるように思いました。

   要は、指南書としてじつに親切で的確!

   「文芸部の皆にも読ませるがよい」
   「うん! じゃあシグリンに勧めとく」
   「違う。シグリンくんはもう俳句が解っているのだろうが。勧めるべきは根津くんだ」
   ……虎美は部活の友達が解っていないようで。

   

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コメント

自分でツッコミを入れておくと、
「仙台や 河原かわらに芋煮かな」
 これは貴重な17文字に切れ字を2つも突っ込んでいるもったいない作りな上に、河原を繰り返しているという超絶もったいない残念な句であります。ただ作っただけのことはある。
 あと、芋煮を実体験しての弾むような心の動きがないです。
「また芋煮かい、飽きもせんとようやりよる」(ここ敢えて偽関西弁)
 という距離感があっての句です。
 こんなところに句を作った人間の冷たい心底が出てしまっていますね(どうしよう)。
 ああ、俳句って怖いですねえ。

投稿: まいね | 2012年10月31日 (水) 21時03分

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