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2012年10月 4日 (木)

「オリンポスの咎人 アムン」 ロマンスの自転車操業!

   「オリ咎」シリーズの刊行スケジュールだけしっかり押さえている自分が怖い。

   今回は「秘密」の番人アムンです。前の巻「ギデオン」の脇筋で、さらにその前の「アーロン」で愛する人の幸せのために地獄に堕ちてしまったレギオン救出のために地獄に向かったアーロンに同行したアムンは地獄の魔物を取り込んでしまって再起不能になって帰ってきたんでした、そういえば。

   話は、さらに別の筋でかつて朋友バーデンを殺した仇敵を追っていたストライダーが、彼女を捕えてアジトに凱旋を果たしたところから始まります。彼も、「ギデオン」でその女、ヘイディに屈折した感情を抱いていた描写があったところから、今度はきっと彼らの愛憎の話だと思ったんですが……なんでアムンよ? なんと、アムンの隣室に放り込まれたヘイディは、苦悶にのたうち、自傷を止めさせるために拘束されていたアムンを自分を助けに来た恋人(でもイマイチ不仲)が捕えられた姿と誤認して愛を燃上がらせてしまったのでした! いや無理あるってそれ! そんでストライダーはヘイディが気になってしょうがないみたいだし! 戦士の間で三角関係か!? なにこの導入!?

   しかし、このヘイディはただの人間じゃあなかった! 昔確実に戦士達の手で息の根を止められているはずなのに同じ姿で復活してるし!(ストライダーが彼女をアジトに連れ帰った理由はそこだ) ギリシャの神の呪いか守護かで何度死んでも生き返るという力を持っているようなのでした。しかし、それはどちらかというと呪いで、生き返るときは地獄の苦痛だし、何千年もの生の記憶は断片的にも残っているし、最初の生で夫を戦士たちに殺された恨みも忘れられずに、戦士達を狩るものとして敵組織に利用されてきたという悲惨な人生と判明していきます。そして、ヘイディには魔物を取り込んで浄化するという能力もあったのでした。流れ込んでくる秘密を漏らさぬよう口をきかなくなったアムンと唯一テレパシーで会話できるし!

   来たよ、戦士のそれぞれの魔物にジャストフィットした特殊能力持ちの恋人!

   物語は、いかに2人が心を通わせて、秘密を打ち明けてお互いの背負った辛い宿命を消して貰うかに収束していくのでした。

   例によって官能描写は濃いです。寸止めですが十分人目を憚るレヴェルです。背後注意!

   ヘイディが自分を恋人と誤認して尽くしてくれてることに気付いたアムンが、でも、彼女が側にいると魔物が鎮まって楽ということに気付いて後ろめたくも彼女に誠実に対してるところが妙にストイックで萌えました。

   またしても「運命の恋人」の大いなる謎は解かれ、戦士はまた伴侶を得たのでした。戦士たちもいい加減過半数が伴侶持ちになると友の恋に寛容になってきてそこもほのぼのしますね。ベッドでのお楽しみの最中に呼びだされてすっ飛んできたり、すっかり尻に敷かれていたり、微笑ましいエピソードがあっていいガス抜きになってます。そんでもって、また次に引っ張るように、ハルピュイアの女性カイアは傷心のストライダーに解りやすく絡んでくるし! それがまたパリスと1回関係があるってのがすごいな、朋友の前カノ(いや彼女までいかない一夜の相手)!? ストライダー今から悩んでます。もてる男は辛い。

   翻訳者あとがきによれば次はストライダーでその次がパリス。ロマンスの自転車操業がすごいです。それより万年欲求不満で留守番のトリン(病の番人なので誰にも触れない!)をなんとかしたれや。どんどん荒んで行ってる気がするよ。

   戦士達の逆説的ジョークはなんとかついていけるとして、なにかっていうと彼らがタトゥーを彫りたがるのがちょっといやーん。今回のヘイディみたいに、恋人の名前を身体に彫って、その恋が間違いだったらどうするん? 消せないんでしょうが。重ねて彫って消すみたいなこと言ってましたが。タトゥーを好ましいと思う価値観のひとがターゲットなんですかね。

   それにしても、今回もひとの心や人生を操って狂わせてなんとも思わない敵がホントに心から憎いです。こんなのが神なんだからなあ。大変だ。

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