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2012年9月19日 (水)

「猫色ケミストリー」 腰巻きに偽りあり!

   夏頃に虎美がジャケ買いした青春ミステリ。表紙がイラストで、草食系の理系男子大学院生と院生の女子と猫の人格入れ替わりものだそうなんですが、虎美が怒ること怒ること。
  「 『猫がスマホで謎解きを』って腰巻きのあおり文にかいてあるけどウソだから! 猫の肉球じゃあタッチパネル巧く操作できないし、視力が向いてないからすぐ諦めてるから!」ああ、そういうウソはいけませんね。
   虎美をなだめつつ母はどーでもいいやーと放置してたんですが。

   虎美書評にも取り上げやがって、「全ての猫好き理系人間に贈る」とか書いてあったので、おかあさん完全文系人間だけど読んでみましたよ。

   あれ?
   読み進めて、この草食どころか絶食系の人嫌いの主人公菊池くんのいる大学が……近くに根津神社があって? それで農学部でそんなすごい研究やってる大学? あそこちゃうん? キャンパスにはあまり出入りしたことないんですが、なんとなーく、想像できたりして。そういう大学で、そろそろ修士を終わろうとしてる菊池くん、対人関係はもう過去のトラウマのせいで逃避の2文字。もう数年、家族以外の女性とは口をきいたこともないという生活を、淡々と受け入れて生きてきました。ただ、グラウンドの脇で死にかかってた猫の面倒をみてやって、キャンパスで見かけてはちょっとした交流をしていたぐらい。
   そういう菊池くんが、同級の女子、辻森さんに猫との交流を邪魔されているときに襲ってきた災難! 落雷。その膨大なデンキ的(掛詞!)エネルギーによって彼らの精神は入れ替わってしまったのでした。
   そして、女子大学院生になってしまった菊池くんと猫になってしまった辻森さんが、もとの状態に戻るために奮闘するうちに、研究室内で密かに行われている恐ろしい犯罪と関わってしまうのでした!

   たしかに辻森さん入り猫が可愛い。テレパシーで菊池くんと会話できちゃうのができすぎだけど、そこはフィクションだから気にしない。辻森さんの研究室の人間模様が、ある意味解りやすいけどそこが青春ぽくて好ましい。辻森さんの理系~な研究内容については「がっぴに」の官能描写より真剣にスルーさせて貰って。猫の本能に翻弄されながら、もとの身体に戻ろうと必死に推理と実験を重ねる辻森さんが可愛かったです。あ、草食系菊池くんの淡々としてはいるが善良な気の持ち方も好ましかったです。伏線も、あーこのひときっとこうなんだぜというのがぴたり、ぴたりとはまり、カタルシス感はありました。

   もとの身体に戻るには、ありがちな、同じ刺激を受ける、という方向ではなく、そう、「名探偵コナン」の、あるお酒を飲めば戻れた! っていうやり方に似てるかな。理系の男女らしくそっちでああでもないこうでもないと可能性を潰していく過程はなるほど理系ミステリでした。

   今流行の脱法ドラッグに絡めてあって、研究室はこんなにヤバイ世界、ってのが少し解ってそこのところも面白いミステリでした。「バチスタ~」みたいに、シリーズ化してもいいんじゃないですか? それにしても、「猫がスマホで謎解きを」はひどいウソだったなーそこだけ反省してください。あ、テレパシー&2人羽織で実験を指示はします。

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