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2012年5月16日 (水)

「オリンポスの咎人 ギデオン」 ― 絶叫のどんでん返し ―

   真剣にはまっておりますハーレクィンのシリーズ、今回は「嘘」の番人、真実を口にすると全身を苦痛に苛まれるという因果な苦役を背負っているギデオンが主人公です。
   ……でもまあ、本人は真実の逆を言えばいいというレトリックを身につけて割りに安定しているようですが。今まで脇筋では敵の「ハンター」に捕まって、両腕を切り落とす拷問を受けたり(大丈夫、また生えてきた)、仲間が死んだと嘘を告げられて衝撃の余り心のありったけをそのまま叫んで死ぬほどの苦痛で身を焼かれたりとかはしてましたが。

   前作「アーロン」で、「悪夢」を身に宿した謎の女性スカーレットと出会い、不思議な感覚を覚えていたギデオン、「覚えていないの!? わたしたちは夫婦だったのに!」と魅力的すぎる謎をぶつけられ、これ以上ない引きで続いていたのでした。そりゃ刊行待つよ。

   一目見たら忘れられない美貌の女性が、自分とお揃いのタトゥを入れていて、それが「別れるときは死ぬとき」というロマンティックも極まりない愛の言葉って、やっぱそれなりの関係を過去に想像しますよねえ。しかも、逢ったら解る! 彼が無意識に入れていた黒い瞳のタトゥは、スカーレットの眼そのものだし!

   そして、自分たちが如何に愛し合っていたか、生き別れて何千年、囚われの日々の中、彼の死を予感して哀しみ、そして、生存を知ってからは自分をうち捨てたこと、2人の間の息子を見殺しにしたことを恨み続けてきたと聞かされたら!

   そりゃ苦しむし、なんとかやり直したいと願いもするでしょうよ。

   この話は心を固く閉ざしたスカーレットに、嘘しか言えないギデオンがいかにアプローチするかが命なんですが。

   ……半分以上ベッドシーンだったような気がするよ。

   まあそれはそれでロマンチックに誠実な方向で描いてくれてたからいいとしても。

   そんだけ誠を尽くして心を振り向かせた結果がこれかよ。

   記憶にないのも当然、記憶を改ざんされていたのはスカーレットの方だったのでした。ハンサムで優しい戦士に憧れていた娘心を利用されて、偽りの結婚生活を刷り込まれていたとは……! 悲劇の女戦士がただの妄想系ストーカーですよ。

   てめえら人間じゃねえ! って、神です。ほんと、この作品の神はしょうもねえ。スカーレットは、彼らを支配する、現時点での勝者の神クロノスの妻の不義の子であるそうなので、まあ夫婦どっちにも疎まれているらしいですが。そんでもって投獄されていたのは、神の間で権力争いがあって、かつてはクロノスの対抗者ゼウスが支配していたから、クロノスの一族として弾圧されてたというようです。ややこしい。

   どうか殺さないで、それくらいだったら自分を殺してという懇願虚しく目の前で息子を殺されてしまうという記憶が嘘だったのは彼女のためによかったとほっとしましたけど。

   ほんと、この物語のタイタン族(=神々)はむちゃくちゃやってます。ボスとラスボス(今までの敵ガレンよりさらに上がいるらしい、今回判明)は夫婦で、しかも、お互いのどちらかを殺すと相手も死んでしまうつながりを持っているらしいとのこと。じゃあどうすればいいのよと作中戦士達は悩んでます。

   「疑惑」の番人サビンの恋人にガレンの娘グウェンを出してきて、自分の親が敵という葛藤を持ってきておいて、さらにこっちもスカーレットの親がラスボス、レアと判明。どうしましょう。これはほんと最後までお付き合いするしかないですね。

   そして、偽りの記憶に人生を狂わされた2人はどうなったかって?
   ちゃんと、真実の記憶で彼らは想い合っていたことが判明して、もちろんハッピーエンド! 

   しかし、記憶を改ざんする女神ムネモシュネー、恐ろしい敵でした。いや、最後のキャットファイトはどうかと思いましたが。そこの男達! ポップコーン片手に観戦するな! 

   脇筋では前作で恋に破れながら悪魔を退けた健気レギオンを皆(ウィリアムとアーロンとアムン)で救出に行ったは良いけど……「秘密」のアムンがとうとう体内の魔物に乗っ取られて微妙。またそこは次へと繋がるのでしょうか。「征服」のストランダーも、仲間「不信」のバーデンを殺した仇の女ハンターとなんだかへんなことになっているし。まだまだ物語は広がりそうです。

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