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2012年2月10日 (金)

骨までしゃぶりつくすハーレクィン

   例によって、ストレス解消はラブロマンス一気読み、ハーレクィンは乙女心を掴んで離さない、逆におかあさんは話を作るのがヘタ、ならばハーレクィン・ロマンスに話の構成を学んでみようじゃないですか。電子レンタル、期限が来たら跡形もなく消えるんだから、300円元取らなくっちゃ!

   お題は「愛が試される城 古城の恋人達Ⅰ」作者はロビン・ドナルド、作画担当は岡田純子。作者は知りませんが、漫画家さんは知ってます。80年代にプリンセス系でラヴコメ描いてたよ。まつげバサバサの少女漫画絵で、ルネサンスものも見た覚えがあるから、ドレスやお城も描ける人だったと思います(いやお城はアシスタントか)。そういう人がハーレクィンの絵師に向いてます。

   あらすじはこんな感じ、レンタルコミックのサイトにあるのを引っ張ってくると、
   「古城の改装の仕事を請けたサラは、現場のイリュリア公国に向かった。この公国の王子のゲイブとサラは、かつて婚約していた。しかし、ゲイブが彼女に貸した家宝のネックレスが紛失してしまい、サラはその犯人と決めつけられて婚約は破棄された。王子と一介のデザイナーではもう会う機会も無いと思っていたサラ だったが、彼女を待っていたのは、忘れもしないゲイブだった。そして彼は冷徹な眼をして、紛失したネックレスを返すまで城から出さないと宣言した!」だってさ。
   手に職のある若い女性と、架空の王国の王族である若く容姿と地位に恵まれた男性。過去に恋愛関係にあって、些細なしかし致命的な行き違いで2人は離別した。偶然(男性側にとっては必然?)2人は再会し、愛は燃え上がるものの、過去の問題が解決しないので素直になれない2人、葛藤を超えて問題解決に臨み、解決とともに2人は愛を誓い合う、てなパターンよ(解っているのになぜ読む!?)

   話の流れを整理すると。
   起:
   「あのネックレスは必ず取り戻す あれは我が家に代々伝わる家宝なのだ」
   憂い顔の男性のモノローグから始まります。2人の離別の理由が早速提示されます。家宝のネックレスがヒロインに疑いが掛かるかたちで失われ、そのために彼女は愛を失ったわけです。男性はヒロインの相手役、ゲイブ。頭の固い、プライドが高くて大切なものをちゃんと大切に出来ない典型的ハーレクィン・ヒーローです。
   タイトル頁の後、絵はサラに。ヘリが飛んでいて、彼女は機中の人。こちらもモノローグで、一年前の婚約破棄で恋も社会的信用も失ったことが語られます。そのために仕事に明け暮れる日々だったこと、やや不利な条件(もと婚約者ゲイブの故国の城)ながらこの仕事を受けざるを得なかった事情が語られます。現場に着くと、古めかしく異様な雰囲気の城。怖じけるところを、雇い主はアメリカ人だし、仕事とプライヴェイトは別と割り切ろうとするサラに、声が掛かります。
   「恋より金とはきみらしいな サラ」
   アメリカ人雇い主は替え玉で、城の持ち主は元婚約者のゲイブ本人、1年経っても故買市場に出てこなかったネックレスの行方をサラに吐かせるために、インテリア・デザイナーの仕事と偽ってサラを呼び寄せたのでした。会話の間に去る迎えのヘリ。サラは古城の虜となってしまうのでした……。
   登場人物カップルの提示、2人の関係が示されます。
   彼らの離別の理由が示され、解決すべき案件が示されます。
   「紛失したネックレスを返還すること」要は、
   「ネックレス事件の真相を解明すること」

   彼らの心の立場も同時に示されます。
   「ゲイブはわたしを信じてくれなかった。そこに愛がなかったから」
   サラの方の事件の総括は上記の通り。そりゃ傷付くな。
   彼女がわの解決の鍵は、変わらぬ愛があることをゲイブ側から見せること、無実の証明と謝罪、ですかね。
   ゲイブ側は、まだ彼女を疑っている、ネックレスを取り戻したいのは、家宝だからにすぎず、よりを戻すきっかけを探しているともとれます。サラが金目当ての女で、脅しに負けたり代金に釣られてネックレスを返したらさらに逆上しそうな気がしますね。

   承:

   以前にはなかった心の交流を経て2人の心は近づいてゆく。
   問題の解決への糸口が提示される。
   ネックレスの伝説が詳細に示され、彼の一族の結婚には障害がつきものと暗示される。
   心の交流というか、身体の交流というか(苦笑)。どうやらふたりはお互いの身体が忘れられなかったらしい。ゲイブの方はとくに、未練が出てきたようで、うなされる彼女に添い寝したり、予定を早めて帰城したりと彼女にあからさまにつきまといはじめますね。

   転:

   業を煮やしたヒーローがわからの再求婚。ネックレスを返させるための最終手段といいつつ、単にまた寝たらやはり離れがたくなったから(ひどすぎる)。さらに、「さっきので妊娠したかも知れないから責任取る」!
   ヒロインは傷つけられ(しかしヒーロー側には愛があることが判明)、決定的に二人の仲は破綻する。   

   まちがっとる。思いっきりまちがっとる。こんなひとの心の読めない男が領主とか公爵様とかで大丈夫なんだろうか。

   結:
   
   ヒロインの罵倒で自分の過ちに気づいたヒーローが、鍵を握る人物にすがる。と、真実は明かされ、ヒロインの冤罪は晴れる。改めて(はじめて?)ヒーローはヒロインに愛を誓い2人はハッピーエンド。

   ……書き出してみたらしょうもなかった。

   彼女(と信頼のおける古参のメイド)しか暗証番号を知らない金庫に入れたネックレスが無くなったって、そんな解りやすい盗みをする奴があるか!? メイドの方にも聞けよ! 一度信頼を置いたら決して疑わない雇い主ってそれは有り難いけど、そんな中へひとりで嫁ぐヒロインは大丈夫? ちょっと小ずるい小姑いたらまたいびり出されるよ。

   そういうでかい家の結婚問題なら、彼女の出自なんかを気にする親戚連中とか、彼的に眼中にない女性とかが彼女を陥れるために企んだ罠だったり(ハーレクインでなくたって!)しますが、その線は思いつかない単純なヒーローなんですねきっと。

   「城主は僕だ 僕が掟だ
   出ました、キメぜりふ。
   ハーレクインの魅力はぐいぐい引っ張ってゆくリーダーシップのあるヒーローでしょう。それがおいおいにして方向性が間違っているからドタバタするんですけどね。やっぱアメリカも男が弱くなってるんだなあ、だから、読み物の中ででも強くて引っ張っていってくれるヒーローが求められるんじゃないかしら、え? 違う?

   そんでもって、男は結局トーヘンボクだから、その持てるものを有効利用してやって楽しい人生を送るためには女性の方から相手を良く理解して歩み寄ってやらなくちゃということをハーレクインは提示しているのかも知れません。

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