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2012年1月28日 (土)

「へうげもの」 ~ そして茶に帰結する ~

   豹太の受験以来へうげとジャイキリは単行本派になってしまって、ブログで取り上げるのも随分ご無沙汰なカンジですが、友として死に際を盛り上げた12巻、石田三成と大谷吉継と茶の三題噺と言えば鼻水(膿とも)の垂れた濃茶を飲んで男を上げるエピソードをこう改変するかの13巻、時代は天下分け目の関ヶ原へとなだれていってもう目が離せませんでした。

   そして14巻。ここへきて表紙は濃茶色です。濃いは茶色を修飾しているのではなく、お茶のジャンルとしての濃茶、そのねっとりと芳醇なあのペースト状のお茶の色を表わしています。……茶人映画や漫画でみんなが回しのみしてるのはこっちです。ひとり茶杓3杯×人数分のお粉に柄杓半分くらいのお湯で、混ぜると言うより練る、こんなもん一人で一気したら山崎合戦のときの織部ちゃんや12巻の瀕死の太閤秀吉みたいに大変なことになります。おまけのステッカー、ヒョウゲモノ コレクション №14 も、織部ちゃん好み緑の釉薬のかかった花入れになってます。

   次の天下人の座を狙って♪あ~のひともこのひ~ともそぞろある~く戦国末期、南蛮貿易を一手に収めて勝つのはこちら、と前の巻で小西行長とかが言ってたかと思えば、巻頭で日本史に初登場、リーフデ号乗組員ヤン・ヨーステンとウィリアム・アダムスの新教コンビです。神への信仰はおいといて、理詰めで物事を捉え、ものを新しく構築することに快感を感じると言う点でアダムズと家康が意気投合する、という視点は心地よかったですね。必ずしもここはオリジナルで新しい必要はないと思います。えーと、具体的に、「将軍」とか、「影武者徳川家康」でもあった解釈ね。とりあえず、南蛮:旧教国と違う新教国という第三勢力を知り、味方に付けることによって家康はさらに力を得たということでしょう。

   我らが織部ちゃんもお茶頭様になって、茶の湯政治に忙しくなりました。三成のあにきに呼ばれて味方して! とばかりに全身全霊でもてなされたり(いやーこれにはビックリ。茶事も政治の一部、命がけでボケるとかやってたんですね)、上田君(佐介ちゃんが織部だということは解ってたが、上田君があの上田宗箇とは! もう唖然呆然) が数寄ごころでちょろまかした奇岩の配置を評価したり。ノブナガ様に冷や汗かきながら試されたり、利休居士に叱られてへこんだりしてたあの左介ちゃんも、「これ 乙」(甲:クラシカルな一流ではないけどイイよ!)と言ってやったりする立場になっているのです。
   思えば遠くへきたもんだ。

   今回のナイス! アレンジはガラシャ夫人「玉」砕。
   昔から、自害をよしとしないクリスチャンだからって家臣に自分を殺させたってのは単に下手人が自分か他人かってだけじゃん、そういうことじゃなくて、どんなことがあっても生きていきましょうってのが言わんとするところなんじゃないのとわたくしは疑問に感じていたんですが。明智玉子ちゃんこと細川君のきっつい愛妻ガラシャ夫人、三成の人質作戦に際して出てきました。
   ネタバレしちゃだめ? 
   ええと、その前に、細川君が「南蛮渡来のすんごい武器を高山右近から買ったんだ、大阪のおうちにも置いてきたけどまだあるよ、良かったら回そうか?」なんて伏線発言してたんですけどね。
   出ました、すんごい南蛮武器
   玉子玉砕。
   歴史は勝ったものが書くんだなあ。
   ……この辺で。おかあさん的には拍手喝采。玉子ちゃんならこういう散り方の方が好みです。いやー自害どころか殺してるけどね。

   ちょっとしたオリジナルのいい話は、小堀遠州(こいつもビックリドッキリキャラだ!)作介ちゃんの豪快な嫁が利休ゆかりのお茶碗をブラジャーがわりにしちゃう話。ちょっとお胸が出るのはサーヴィス・シーンだったんでしょうか。

   この作品は皆々個性的に描いてくれる上に、場面の変わり目で必ず「この××が」とか「○○様」と名乗ったり呼ばれたりしてくれてすぐ歴史上のだれか判るところが有り難いです。そんでもって、微妙に血縁関係が判るように親子兄弟は似せて描いてあるんだなあ。織部ちゃんの妹が高山右近の嫁だったり、結城秀康と徳川秀忠の眉が相似形だったり。血筋の入り組んだ大名家を判りやすくしてくれててほんと助かります。
   それにしても、400年の後胤の某もと首相閣下そっくりで出てきたときにはどうしようかと思った細川幽斎じいさんは今回も凄い

   「日の本より 古典が…… 伝統が無(の)うなっても良いのなら……
   今ここで 殺してみよ」 

   キャー! そこにしびれる! 憧れるッ! ジョジョ第1部の名台詞をフルに捧げたいッ! れいの前代未聞の勅使停戦の田辺城です。籠城50日のあとでこの気迫と体術のキレには参りました。
   息子忠興は、利休居士が切腹したときにも荒れてましたが、玉子ちゃん玉砕の報を受けてもうボロボロで、横にいた市松(福島政則)が殴り合って鎮まるならまた相手をすると同様の姿で抱いて慰めてるところをみると、暴れたところを市松に取り押さえられた(でもダブル・ノックアウト?)ようですね。ほんと、この子はまっすぐで、真っ直ぐすぎてはた迷惑という性格付けが素晴らしい。
   この巻はそういうことで細川家に持って行かれたかも?

   そういう主人公織部ちゃんは、茶頭として暗躍しながらも、心躍らせる「ミュキン」、ペルシャの緑の釉薬を再現すべく奮闘中の窯場で、失敗作とはいえ今世紀最大(作品中)の興奮をもたらす焼きものに出会ってしまったのでした。ええもう、作品中最高の変顔、1/2頁使って。
   とうとう、よりにもよってこのときに「織部の緑」に出会ってしまったのです。

   関ヶ原に向けて諸将が動く中、とらタヌ算で目尻下がりっぱなしの織部ちゃんであります。このあとまた高転びに転ぶであろうことは必至!(だいたいこの作品は左介(=織部)ちゃんちょっと茶の湯が解ったと思ったらこける、その繰り返し)

   ああ~ん、やっぱり続きが気になるッ!

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コメント

 前の巻でやらかしてしまった小堀作介ちゃん、今回は必死の嘆願で徳川君から許されますが、それをいっしょに喜んでくれたおねえ友達金森君が、やっぱり茶人なのかなと調べてみたら、やっぱり茶人だった! 金森重近=宗和、いや、知りませんでした。ウィキペディアありがとう。わざとらしくフルネーム解るように会話させてくれていた山田画伯に感謝。

投稿: まいね | 2012年1月28日 (土) 04時09分

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