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2011年11月29日 (火)

いざというときに出るのがたしなみ

   たしか「徳川の女人たち」吉屋信子で見た話。

   将軍が4代目の家綱になった頃の火事といえば、振り袖火事で良かったんでしょうか、江戸城も被災して、将軍もお女中たちもみんな西の丸かどっかに着の身着のままで焼け出され候。それでも頑張った賄い衆、なんとか御飯だけは炊いて届けたけど、お膳とかは持ち出せなかったので、ただおひつに白い御飯がどん! 

   どうするよ?

   将軍も、お上臈も、お腹ぺこぺこ、、
   「くるしゅうない、皆々食すがよい」なんて言ったんだけど、さすがに上様の御前で手づかみは、ねえ(賄いもせめてお握りにして出せ)。皆々顔を見合わせてもじもじする中、あ! と思い当たった一人のお女中が、懐に差し挟んだ懐紙を出して、それに御飯を一口分よそって、口元に持っていったと。
   それがまあなんともスマートだったんので、我も我もと真似をして、なんとか人心地付いたって。
   それで、天晴れな嗜み、と最初のお女中が直じかに褒められて、
   「そなたの機転か?」と確認されたところ、
   「今は大奥を引退された××尼様に、懐紙はどのように使っても良いと教えを受けましたので」 と言上したそうな。
   「なんと、××尼ならそう言ってもおかしくない! 嗜みのあるお方であった!」となるという、ヒロイン××尼上げなエピソードでありました。まあ、着の身着のままでも懐紙は懐に入れてるってそのお女中も偉いわよね。え? 当然?

   今で言うなら、サランラップをお皿に巻いて、洗い物を少なくしたり、炊き出しのお握り握ったりってとこよね。
   まあ、ヒロインの××尼様は学校で教わるような歴史では出てこない方だから(余りにもスキャンダラスな身の上なので)、エピソードなんかも伝わってなくて、そこら辺は吉屋氏作り放題だっただろうけど、ゆかしい嗜みと臨機応変の柔軟なお心が偲ばれるいいエピソードじゃございませんの。

   この作品では、「枕草子では青海波の模様が一番! って言われてたっけ」と、青海波の打ち掛けに釣られて女装するとか、豪華絢爛の大奥の皆さんに張り合うために、モノトーンの打ち掛けを作らせたりとか、そういうセンスの良いエピソードが満載で(たぶん「大奥」@よしながふみのモノトーンお着物の元ネタもこれだろう)、非常にうっとりしたものでした。どうせ捏造でエピソード入れるなら、これぐらいしてほしいものよ。

   大河ドラマ、最終回近くは見ましたけど。
   ほんとうに、もう、なんというか、今度から歴史物に興味のない人に脚本を書かせないでください。時代劇というのはああいう世界観の中で新しさを出すとか、その人らしさを出すというマゾ的なところを楽しんでいるので、わたし歴史は知りませんからと言って現代のふわふわした甘ったるいドラマの感覚を持ちこまれると非常に困ります。

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