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2011年9月14日 (水)

冷静に、冷静に

   それはタイミング良かったカモですね。

   虎美が学校の体育で怪我をしたと保健の先生から電話がかかったのは今日の午後、もしかして痛みが残るようでしたら医者に連れてやってくださいって言われて、おかあさん慌てて金策に走りましたが……お兄ちゃんの予備校の入学金が落ちたばっかりで口座はからっけつ。どうしよう……と思ってたら玄関のチャイムが鳴りました。
   「今話題になってる貴金属の訪問買い取りなんですけど~」
   ああ、こないだアサイチでやってましたかね、ホントの金製品の買い取りはいろいろ割り金してあるのを比重から含有量を細かく出さなくちゃならないので訪問のお玄関先でできるようなもんじゃないので、いかがわしい業者がいい加減にやってることが多いので引っかからないようにって。

   「やだあ、ないわよう」と引っ込もうとしたのですが、敵も然る者、
   「金色してればいいですから。ほんと、これくらいの切れたネックレスが一本で1万5千円だったりしますから、あるでしょ、奥さんぐらいならいっぱい貰って。ちょっとそこら辺さがしてみてください」とチラシを握らせるのです。
  
   貢がせたものなんかありませんよ。

   わたくしは昔は貧乏の裏返しでかなり執着を持ってアクセサリをひとつひとつ買い集めてきたので、リサイクルに出せるようなものはありません。二束三文、でなければ、パン耳をかじりながらちまちまローンを払い続けてやっと手に入れたものなのです。着けなくなったって、虎美が文字通り虎視眈々と狙っております。ただ、片方落っことしてやもめになったイヤリングがあったかなとは思いましたから、念のためちょっとドレッサーを探してみました。虎美を医者に連れてかなきゃなりませんし。やもめなイヤリングなら手放してもいいかなって。

   「ちょっとこの辺一周してまた帰りにお声を掛けますから」って言われて、ドアを閉めて、その時は
   「川崎の消費者センターに言いつけてやるわ!」とパソコンを繋げたのですが、消費者センターお役所でさ、電話受付は16時までだって! もうアウトじゃん。べつにまだ被害に遭ってないから言いつけないけどさ。

   まあ、明日旦那様がお金を振り込んでくれるまで1万円程度繋ぎに貰っておくかなと、ドレッサーの埃を払って探してみました。

   やもめのイヤリングひとつ、イトーヨーカドーのワゴンセールで380円だった見るからに金メッキの指輪ひとつ。なにかのおまけでもらった銀色のペンダント。とりあえず、なくなっても惜しくないものを用意して待ちました。

   来ましたよ、今度は「鑑定士」のお兄さんを連れて。玄関先に坐り込んで、宝石店で品物を乗せるほら別珍を張ったトレイなんか出して、携帯かとおもった、ちいさなディジタルスケールに出した品物を乗せて、ちいさな磁石を近づけて見たりして。
   「ああーっ、これは、かなり鉄が入ってますね。残念ですが、こういうお品物は、混ぜちゃうと純度が下がりますのでお預かりできないんです」
   引き取らないのかよ、ブックオフ以下だな。

   さっき金色してればイミテーションでもいいって言ったじゃん。かなり含有量少なくてもその入ってる分査定しますって言ったじゃん!

   これだけはほんものだぞ、金沢のアルテ島田の鑑別書付き18金土台のオニキスのイヤリングだぞと冷ややかな目をして、それでも、
   「三百円にでもなればいいわ」と出してやると、やっと「鑑定士」も本気を出してきて。
   「石を取っちゃってもよろしいですか」
   取ったら返せよといいたかったのですが、どうもオニキス部分も持ってかれたみたい(おかあさんセコイ!)。

   「このイヤリングの土台は18金ですが、これだけではちょっと寂しい感じですので、もう少し、なにかございませんか、お年を召した方から贈られたような、クラシックなデザインで今はちょっと持てあましてしまうような縦爪の指輪ですとか」
   そういえば、父の姉からこれを形見と思って、とでっかい指輪を貰っていて、でも個人的に良い記憶がないのと、どうもデザインが好みでないのとでしまいっぱなしのがあったなあと思い出しました。ここでお金になって虎美が医者にかかる役に立ってくれるならおばちゃんもかえって喜ぶかもと思いました。
   「待ってて」

   またドレッサーをごそごそ。いろんな宝石店の指輪のケースを片っ端から開けますけど、デザインに惚れ込んで千趣会で申し込んだ王冠の形のリング、やっと生活が楽になってきて、東急東横店で衝動買いしてもうご機嫌だったルビーの指輪、祖母から受け継いだ、模様が富士山のような乳白色のオパール、仙台ではじめて免許を更新した記念に泉のイトーヨーカドーで買ったラピスラズリ、出てくる出てくる。今は普段付けないけど、手放す気なんかありません!

   めざす指輪をやっと発掘して玄関にとって返すと、ここんちはないなと思ったのでしょう、受けとっても、
   「ああー随分ほっとかれた感じですね」って。うん、今見たら随分赤茶けてたから、これはメッキだったんだなと思ってました。でも、あれだけ偉そうに無理矢理押しつけたんだからまさか安物ってことないだろうと思ってたのに……。

   査定は2400円でした。

   「ネックレスとかありませんかねーこの重さで金だったら1万5千円なんですけどねー」
   1万5千円なら出しません。就職したての喰うや喰わずのときに3年もかかってローン払い終わったネックレス、なんで十分の一の値段で! やっぱりNHKの言うことは正しかった!

   「ごめんねー。うち、そういうの興味なくって。やっぱりそういうのってもらっとくものねー」と言い紛らわしてドアを閉めました。

   2400円は虎美ちゃんがお花のお稽古に行ったので(ちょうど珍しい花材が手に入ったとかで、ハサミ持たなくていいからとにかくいらっしゃいと先生に呼び出された!)そのお花代&etc.になりました。ごめんよ、おばちゃん。しかしお医者はどうすんのよははは。

   まあ、ホントに困ったらルビーの指輪は田中貴金属にでも持ってくことにしましょう。お集まりの皆さんも、冷静に冷静に。金目のものを替えてあげますよと言われてもドアを開けちゃいけませんですよー。

   「金歯でも良いんですけどねー」
   そういえば、阿刀田高のエッセイに、亡き父の形見の金歯がお金になった話があったかも。うちはみんな歯がよくってね。残念。

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コメント

 お医者に行ってきましたよ。
 なんのことはない突き指で、一日処置が遅れたために大変なことになった……ということがなくて安心。
 そして、2000円ぽっちのために伯母の形見を手放した後悔は……ないな。
 もっとさー小さいころからそれを見てて、
「いいなあ、おばちゃまのこの指輪きれいね」
「じゃあ、おばちゃんが死んだらまいちゃんにこれをあげましょうね」なんて思い出があるならねえ。でも、少ない係累として選んでわざわざくれたものを邪魔にして手放して、やっぱり心の冷たい女なんでしょうか。
 今の貴金属買い取りブームは買った値段以上になるからブームなの? 今まで二束三文だった故買市場がかつてない高値だから、眠らせておくぐらいなら現金化しましょうというブームなの? もうサイズも合わないし、どうせ埃を被らせておくならここでお金に換えた方が良かったのかしら。抽出から出せばまた同じ価値で身を飾るのだからいつかのために取っておくというのはシンプルライフにそぐわないのかなあ。

投稿: まいね | 2011年9月15日 (木) 12時31分

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