« キーボード更新記念 | トップページ | 夏が終われば »

2011年8月22日 (月)

「彩雲国物語」 良くここまで育ったものと

   とうとう完結編まで読み終えたので。
   最初はかわいい「後宮潜入もの」のはしりで。血まみれの偉大な王が病に倒れたあとの内乱を経て即位した末の公子は政治に興味がなく後宮に引きこもって男色に耽るヘタレ。困り果てた重臣は、名家ながらいろいろ世渡りの下手なパパ上のせいで困窮していたお嬢様、秀麗に王を躾けなおしてもらおうと偽りの入内アルバイトを持ちかけて……。
   普通のシンデレラストーリーにしては、前向きな向上心に溢れていたお嬢様が「女の子はどうして官吏になっちゃいけないの!?」と玉の輿ではない自己実現を目指していたのでこんな大河ストーリーになってしまったのでした。
   いや、家事万端得意で、名家の姫君としての立ち居振る舞いがアルバイトにも役立つくらいに身についてて、芸術の解る貴公子連中の耳も楽しませる二胡の腕も持っているならふつうに後宮で出世できると思いますけど。そっちの方が簡単で世間に迷惑掛けないじゃん。

   初期シリーズでは、このキャラクターは○○だけどそれは世を忍ぶ仮の姿……というのが毎回続いて、今回の新キャラの誰が実は××って言い出すんだろうとそれしか楽しみはないカンジ(おい)だったのですが、途中からお嬢様は官吏の出世街道を進み始めて、いろいろ敵と戦い始めたので話が壮大になりましたね。
   今度は出るキャラ出るキャラみんなお嬢様を評価し懐き惚れまくる逆ハーレム展開で。そんでもって、心持ちが暗黒な敵キャラが出るようになって、どうも読んでいていやーな気持ちになってきて、どんどん作品に対する体勢が後ろ向きになっていきました。

   あと、作中で謎を各所にちりばめるときの描写が、なんというか思わせぶりで、ああ、気持ち悪い、これは2度読み推奨ってこと? そういうまだるっこしいことはしないで、と苛立ったりして。なんて言うんでしょう、敵側のキャラクターが、ある秘密の目的を持って裏で動いている、というようなときの描写がもう気持ち悪かったです。あとで、ああ、ここのこれはこういうことだったのね! と、あとでスッキリするための、そう、伏線だったのかも知れませんが、なんかこうわざとらしくくどい隔靴掻痒なかんじがありました。これは最終巻まで。

   終盤に入って、お嬢様の周りの人達はかれらの運命と闘って少しずつ成長してゆくのですが、彼らを心から頼れる側近と心を寄せているヘタレ王はその度に心を乱したり公人としての立場を崩したりしてるんですね、それで、おまえら国試を受けた官僚とかいうわりに天下国家のこと考えて行動してないじゃんとか読みつつ突っ込みを入れていると、とうとう、マジメに仕事をしろ! といって、内乱期からマジメに政治を請け負っていたお役人が満を持して反乱を起こしちゃったと。

   偉大なる後付けでいろんな因縁とか超能力をもつ一族の暗躍とか出てきて、ごめんもう登場人物覚えきれない! ってところでなんとか大乱は収まり、ヘタレ王はヘタレなりに成長して大逆転し、ぬるいけれども温かいハッピーエンドを迎えたのでした。

   ああ、本当に、作者も登場人物もよくもここまで成長したものよ。

   途中、見ていられない! と思ったときもありましたし、完結したと娘に勧められていてもなかなか読む気はしなかったのですが、読み終わるとしみじみとした尊敬が生まれます。いいお話でした。

|

« キーボード更新記念 | トップページ | 夏が終われば »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/138427/52536784

この記事へのトラックバック一覧です: 「彩雲国物語」 良くここまで育ったものと:

« キーボード更新記念 | トップページ | 夏が終われば »