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2011年6月 9日 (木)

「王子と魔女と姫君と」 ― 時空を越えるは黄金の心 ―

   虎美も漫画好きということが周囲に知れ渡ってきて、どんどん相乗効果でいろんな漫画を紹介して貰えるようになってきてます。こっちも、
   「『聖☆おにいさん』は?」
   「つばさちゃんのところ」
   「ジャイキリ……」
   「ミキのとこ」
   「おお振りを最近見ないようだが」
   「翔子」
   ……いいけど、最近までモーニングを講読してたせいか、こっちから回してるのって青年漫画ばっかだよなあ。そして少女漫画成分はバーターでお友達から吸収しとるわけやね。

   今回部活のお友達から回ってきたのは「王子と魔女と姫君と」松月滉。背が高くスタイルが良い大路昴ちゃんはおうちの都合で全寮制の女子校で育って、男前な性格もあって「みんなの王子様(ハァト)」だったのですが、海外赴任だったパパが日本に帰ってきたことから、転校して実家に戻ることになります。お隣の幼なじみ、イケメンなのに超めんどくさがりやで引っ込み思案……というか心に傷を持っていて人との関わりを避けまくる仁をはじめ、久々の共学校で出会うイケメンがみんな彼女に対してヘンに積極的にアプローチをしてくるのでたじろぎます。   

   「おれ達は前世のせいで魔女の呪いにかかっているのだ」

   前世でお伽噺のお姫様達を口説きまくった女たらしの王子が魔女の怒りを買い、現世において誠意を持って一人の姫に愛を誓うべしといって王子は女の子の昴に、姫君達はみんな男子に生まれ変わってしまったというのです! 選ばれた姫君は現世では超! 幸運がついてくるといった特典も用意されていて、元姫君でその記憶を持ち、現世の境遇もそれを踏襲しているという哀しいイケメン達(現世ではもてもて)が、心の痛みを癒やしてとばかりに昴ちゃんの愛を求めて群がってくるという逆ハーレムものなのでした。

   とりあえず、第1話で親指姫、シンデレラ、白雪姫がそれぞれ出てきてます。親指姫は小柄でパワフル、でも親戚をたらい回しにされた寂しがりや、シンデレラは家事が得意な毒舌優等生、白雪姫は虚弱でリンゴ好きとそれぞれ個性的です……。しばらく彼らで話を回していって、その後、人魚姫、眠り姫、赤頭巾(口説かれなかったということで彼女だけは女子として転生)とどんどん百花繚乱。

   設定がどうよ、というのと、絵柄が、みんな当世風美形で髪が黒ベタでなくて見分けがつきにくいのに、おふざけシーンになるとデフォルメして棒人間的省略したデザインになるので、誰が誰だかわかんなくなってとても読むのが大変だったのですが、ストーリーがいいので既刊3冊楽しく読ませてもらいました。

   王子と呼ばれていただけのことはある、昴ちゃんが黄金の心を持っているので。

   (自分とは違う)カワイイ女の子が好きだと言うだけあって、単純に女子に親切なのもありますが、もと姫君たちの現世での家庭の事情などを聞いたり内心を吐露される度に、その言葉の裏の深層まで深く理解し、明るい方へ解釈し、尊敬を露わにする、そして心からの輝く笑顔でその黄金の言葉を惜しまずに照れずに本人に向けて出すところが素晴らしいのです。毎度作者さんも力を入れて描いているなと思わせるので、感じ入ってしまいます。

   自分を哀しい過去から解放してくれる相手を待っていたイケメンくんたちが、運命からではなく、心から昴ちゃんに心引かれ、その心を得ようと行動を起こしていく様が瑞々しくて心躍ります。若いって良いですね。

   そういう黄金の心というのはどうやって育んだらいいのでしょう。彼女が王子の生まれ変わりだから、だけではなく、出産の時に命を落とした妻(昴ちゃんの母)を運命の相手と照れずに言い、愛し続けているパパの存在も大きいと物語では設定しているようです。そういう、大柄で整った肢体を与えるだけでなく、男女を越えて魅了する黄金の心を育んであげたことが彼の親として最大の、ひいては人類に対しての大きな貢献であったとわたしは思いますね。

   子供達が大きくなってきますと、彼らが世の中に与える影響なんてものも出てきまして。親として、自分の身のうちから育んで社会に出す生産物に対する責任について深く思いを致すようになって参ります。芸術とか、スポーツとか、学問や科学技術で人類に深く貢献をできるような人材を出すと言うことはちょっと無理かなーとは思っているのですが、人を殺めたり、いるだけで周りを嫌な気持ちにさせる毒のような人間になっても困るし。ほんの少しでも、周囲の人を和ます、楽しい気持ちにさせる、せめてそんな人間であって欲しいと
……そういうのも日頃の親の教育なのかしら。どうしたらそう言う子に育つんだろう。ああ、もう手遅れかしら。

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コメント

 いやほんと、自分の身の回りのものがちょくちょく無くなっても、「それって、わたしのファンの子が持ってっちゃうみたいで」よくあることとしれっと言える昴ちゃんのおおらかさに驚倒。気持ち悪くないの? 自分のお気に入りだったりしたら、悪意からじゃなくても嫌じゃない? なんておおらかで前向きなんだろう。 
 昨日バイト先で自分のボールペンが見あたらなくなって、隠したりされるほど嫌われるようなコトしたかなあとふと思ってしまったおかあさんはやっぱり自分は根暗と思い知りました。

投稿: まいね | 2011年7月10日 (日) 02時28分

 貸してくれてたお嬢さんと進路が別れたのでもう自分で買うしかないかと思っていたら、学校で最新刊を読んでいた別中学からのお嬢さんを発見したそうで。即行お友だちになっていただいて回ってきました5,6巻。虎美、よくやった!
 ……新キャラは母方のおばあちゃんでした。恋をするのは素晴らしいことと昴ちゃんの背を押してくれましたが。やっぱりまだ女の子含む友達みんなとして新しい環境での青春を楽しみたいみたいよ。そーよねー。
 みんなが他人との関わりを怖がって虚構世界に逃げてしまうと人類は衰退してしまうのですが、だからって学校に行ってる間に1対1の関係に直行されると、今はそれが性愛に直結してしまうので、若いうちにしかできない人格の醸成ってやつが足りなくなるんだよな。高校生の間はみんなで盛り上がって、上手くいかないとか抑えきれないとか悶々としててください。
 でもおかあさんやっぱり今流行りの素直になれなくってキツイ当たり方してしまう女子は苦手だなあ。一歩離れてう~んこれはこういうことなのねと理解して楽しむスキルと余裕がないので消耗します。たぶん実際、側にいたらなんなのこの子って思ってる。そして若い頃のわたしはどちらかというとそういうややこしいとんがった子だった……ああ、恥ずかしい。
 やっぱり、まっすぐ目を見て笑いかけてくれる、些細なことにも目を留めて評価して共感してくれる昴ちゃんは得難い王子様(のようなすてきな女の子)とつくづく思います。こっちの子を好ましいと思って当然じゃないの?
 ……ああ、それから、イケメン軍団はみんな前髪を切るなり上げるなりしておでこ見せなさい。揃いも揃ってうっとおしい。目が悪くなるぜ(れいによって誰が誰だか解らなくなった)。編集さんは巻頭に登場人物紹介を入れるようにしてください。普通の作品では邪魔っけ、ここまで巻数進んだら初心者居ないんだからいらないよって思ってるんだけどこれは要るわぁ(嘆息)。

投稿: まいね | 2012年7月21日 (土) 11時08分

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