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2010年3月27日 (土)

思えば遠くへきたもんだ

   娘の出来の悪さをあげつらってばかりなので今度はおかあさんがしょうもない話でもしましょう。

   近頃話題の「涼宮ハルヒ」シリーズ。短編「エンドレスエイト」では、SOS団のメンバーが楽しい夏休みを送っていると、主人公キョンをはじめ、ヒロインハルヒ以外皆々なにか違和感を感じている、キョンによって「一般人とあまりかけ離れた力の使い方をするな」と制限のかかっている万能宇宙人(によるアンドロイド)長門さんに確認すると、「わたしたちはもうこの同じ夏休みを何万回と繰り返している」って(そういうのは早めに申告してください。その辺がやっぱりアンドロイド)。8月31日になるとまた8月17日に戻って無限に夏休みを繰り返しているのだとか。もちろん、まったく同じ夏休みではなく、盆踊りに行かなかったり、プールに行かなかったりと多少のヴァリエーションはあるのだとか。どうも、なにかしじゅう面白いことを探していて、そのためには世界を変える無意識の超能力を持っているらしいヒロインハルヒが夏休みに満足していなくて、永遠にその落としどころを探しているらしい……?
   超能力者やら宇宙人やら未来人やらが額を寄せ合って夏休みを終わらせるべくいろいろ考えても、打開策は見つからず、キョンはそれよりやり残してた宿題が大切! と優秀な皆さんに声を掛けて宿題対策会を開催……という話なのですが。

   「8月が終わらないんならエイトじゃなくてオクトーバーだろうが」
   それじゃネタバレになってしまいます。いえいえ、問題はそこじゃなく。
   「しまったッ、やっちまった! 8月はオクトーバーじゃねえよッ!
   はい、8月はオーガストですね。
   おかあさん首をすくめて辺りを見回しました。大丈夫、猫科のひとたちには聞かれてません。セーフセーフ。

   その昔、英語は丸暗記じゃなく、欧州の言語であるという認識を持ってラテン語・フランス語起源の言葉もあって云々と深いところまで教えてくれてた高校の先生が、
   「皆さんは、8月といったらオーガストと丸暗記するから間違いはしないでしょうが、普通の欧米人は8月は……オクトーバー? いや違う、と迷うものなんです」と教えてくれました。
   「ラテン語起源の数字を表わす接頭語に月を表わす言葉が付いて各月の名前はできています。だから、もともとは第7の月がSeptember、第8が October、第9がNovember、 第10がDecember。タコは足が八本だからoctpus、octaveは8音だからオクターヴでしょう?」
   ほほうと身を乗り出したまいちゃん@高校生でした。
   「カエサルがユリウス歴を作ったとき、自分の生れ月を自分の名にしてJulyを入れ、その後アウグストゥスと呼ばれたオクタヴィアヌスが自分の生れ月をAugustにしたので2つずれたんです」
   別にずらす必要はないのではと思いましたけど。まあ、とりあえず、デシはふつう10だし、9もNで始まるからそういうこともあろうかと覚えてたんですが。

   とうとうわたしもOCTだから8とうっかり間違えるほど英語やラテン語に通じた身になったぜと感慨を覚えていたのですが。

   なんのことはない、おかあさん年取って英語力が衰えただけでした。

   あーあ、恥ずかしい。

   それで、今回これを書くために調べ直したら。
   カエサルがやったのは、ユリウス歴を整備して、3月の前に1月と2月を挿入して1年をちゃんと12ヶ月にしたことで、だからずれちゃったんですね。それなら解るぞ。いくら権力者でも自分の生まれ月にいちいち名前付けるって、やり過ぎ。被ったらどうすんだ(ローマ皇帝はけっこうその後やってたらしいですが、死んだらすぐもとの名に戻ったそうです、どんだけ偉大なんだ、初代と2代)。
   1月と2月を入れたって、じゃあ10ヶ月だッたんかいって、そうだったらしいです(わたしも初耳)。「December」の31日から「March」の1日までの間に名のない日が60日ちょいあったそうです。豪快だなローマ人。「農閑期で仕事をしないから要らないという感覚」だったとウィキペディアの中の人が言ってました。いろいろ大胆です。じゃあそっちの新しい方に名前を付けろよローマ人。その辺の感覚よく解りません。
   いろいろガセネタなトリヴィアってほんと各方面あるんですね。またお勉強になりました。 

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2010年3月25日 (木)

空の名調子

   かなた東京農工大の生協にクレーム回答の名人あれば、こなた全日空の機長にアナウンスの名人有りと聞く。

   またしても面白いものを引っかけました。全日空でフライトした某氏、無事離陸直後の危険な数分間を脱して出発後の機長のご挨拶のアナウンスが始まったと思いねえ、これは法律で定まっておるんだかどうだか、自己紹介から始まって、到着先の天気を軽く紹介して終わる定例文、と思いきや。
   「優秀な地上スタッフとお客様の速やかなご搭乗のおかげをもちまして定刻に××空港を出発いたしました」で始まる名調子。「途中天使のゆりかごのような揺れがございましても、本機の飛行にはまっ………………たく影響ございませんので安心してお掛け下さい」だの、眼下の景色の流ちょうな説明だの(天気が悪い場合には心の目でお楽しみ下さいと言うらしい)、全日空の地上スタッフやクルーの身内ほめだの、もうとどまることを知らない名調子。しまいには一句ひねるし。気がついた客室内は次第に静かになって耳を澄ませ、失笑、爆笑。思いっきり楽しませて貰ったそうです。見事目的地に着いて、「またのご搭乗をお待ちしております」と結んだときにはもう客室は拍手喝采だったそうな。

    そう、それは伝説の山形機長機だったのです。

    なんでも全日空のヴェテラン・キャプテンで、毎度搭乗前にバター舐めとるんじゃないかというすばらしい名調子で定例のご挨拶をエンターテインメントに変えてしまうという有名人だとか。どのくらい凄いかというと、講演会も何度も企画されているとか。ファンクラブもあり、山形機に乗ったらそのサイトに行って申告すればファンクラブ会員になれるんだそうな。ファンクラブ会員はその講演会に希望すれば潜り込めるんだとか。スゴイネ。

   もちろん「しゃべりすぎ、うるさい」という批判もあるそうですが、そんなことより、フライトを楽しんで貰いたい、スタッフに親しんでもらいたいという前向きなサーヴィス精神でここまで好意的に迎えられているんだと思いますね。わたしも聞いてみたいなあ。

   どこにでもちょっとしたプロの有名人っているんだなあ。おかあさんもこんなひとになりたい。

   山形機長、今年が定年だそうで、山形節を聞くならお早めに。って、機長を指定してチケットって取れるんでしょうか、やっぱり運?

   

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2010年3月24日 (水)

ちょっとまて! 

   面白いという評判の「テルマエ・ロマエ」を娘に買いに行かせたんだけど、

   表紙の絵はギリシャ彫刻をアレンジした絵で。

   リアルに局部がモロ出しなんだけど

   年頃の娘に買いに行かせたのはまずいかしらッ!?

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デジタル世界は広がっておりますが

   去年の4月に内緒の小説サイトを開設して、作品を公開したり、お友達の所を見に行っていろいろ感想のやりとりをしたりであっぷあっぷしているところへ、
   「あなたの作品にインスパイアされて絵を描きました、見に来てください」ってお誘いをもらって、それが「pixiv」。て自分が描いた絵をネットで公開できるらしいですね。絵さえデジタルで描ければあとはクリック数発、面倒なタグ打ち不要ということで、いろいろ便利だなあって、会員にならないと見られないそうなので、自分が公開する絵はなんにもないのに会員になりました。そんで、またいろいろな絵を見に行って娘ときゃーきゃー言って。「タブ」というのがあって、絵のカテゴリを登録することができるんですね。だから、同じテーマでいろんな人が描いた絵を検索して見ることができるんです。便利!

   さらに、もっと簡便にスケッチ程度のものを公開できるものがあって、それが「手描きブログ」。これは、場所さえ教えてもらったら会員でなくても見に行けるけれど、「お友達限定」という指定ができて、描いた人が許可した人にしか見えないということができるらしいです。でも、いろんな素敵なイラストの中に「この絵はお友達限定です」って制限がかかってると、「見たい!」って思います。ルーベンスの絵を前にしたネロ少年の気持ち。そんで、また「手ブロ」に会員登録してお友達の申請をして許可を待つと。晴れて限定解除で見たらまたきゃーきゃーと感想を送ったりして。楽しい♪
   その他、呟くだけの意見発表の場、「ツィッター」なるものもあるそうで。

   みんな自分を発表したくてしょうがないんだなあ(いえ、わたくしも)。

   それにしても、手ブロはマウスで描く設定なのに、みんなあんなに巧くって。わたしは感想だけ字で入れたりして参加したいのでキーボード使えたらいいのにと切歯扼腕しています。それは、どうしても手描きがイヤな人はどっかのメモ帳にでも打ってコピーして貼ればいいのかな? それもまた、死んでも自筆で手紙書かないひとみたいで味気ないって言うか。いえ、わたしは下手でもそれが味と居直る質なので手書きで汚い字で通すと思いますけどね。それにしても、今の若い人はみんなイラストが上手なんだなあ。キーボード打ったり携帯打つのと同じ感覚でイラストを描いて公開できるんだ……すごい。

   この前はお絵かきチャットというものにも参加してきました。チャットというか、往年のリアルタイム会議は経験があるんですが。おかげでブラインドタッチが上達しました。話す速度で打てますよ。でも、お絵かきチャットは、画面の上で参加者がペンタブレットを動かしてリアルタイムで線が引かれ、きれいなイラストが出来上がっていくのが夢のようでした。わたし、手元で完成させた絵をコピーー&ペーストで貼り合いッこするんだと思ってました! さらさらときれいなイラストが描かれ、横で見ている人がいろいろ「すてき」とか「どうなるの?」とかコメントを書き入れながら、また、それに合わせて絵を描き加えながらおしゃべりをしていました(キーボードから字だけ打って参加することも可能)。
 技術の進歩って凄い! そして、プロの漫画家じゃないのにペンタブレットってそんなにみんな、持ってるものなんだ!?

   漫画を描くお友達同士が出逢うと、スケブ交換とかいって、持参のスケッチブックにそのひとの得意な絵を描いてもらう(自分の似顔を描いて貰うのではない!!)っていうコミュニケーションがあるように噂では聞いてましたが。その間、口でもちゃんとコミュニケーションは取ってるんでしょうけど。
   時代は変わってますねえ。
   そういえば、わたしが子供の頃にも、絵の上手な子に「キャンディ・キャンディ描いて」(時代が解るね!)といって描いて貰って大切に持ってるってのありましたけど。

   どんどん取り残されていってる気がしてきました。

   そして古いおばさんは、せっかくだからとお絵かきブログにマウスで汚い絵を描いています。そのうち上達するかも知れません。来年の年賀状は自作の絵になったりして(無理無理)。

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2010年3月23日 (火)

穴があったら

  (やばい! 携帯で取った作品の写真、お名前の所は外したつもりだったんですがバッチリ! フルネーム入ってました! 削除しました。ごめんなさい!)
   学年末保護者面談にでかけてみれば時間を一時間勘違いしておって。ああ恥ずかしい。校内の掲示物隈無く見て回っておもしろかった二年生の某くんの自画像。これは有名画家の作風を真似てみる単元のようで人気なのはゴッホとピカソ、女の子はローランサン。とにかく背景をぐるぐるさせて顔に緑をぬればゴッホ、顔を鼻筋のところで二分割すればピカソ、とにかく青白く薄ぼんやり塗ればローランサンとは皆々安直。まあローランサンなら顔が大変なことになることはないし、年ごろとしては妥当な選択? 

  ひとりデュブュッフェ? とやらを選択したのがこの彼。美術はテクニックとは別建てで志とか画題への姿勢とかもみるべきなんですね。ローランサンに挑んだ男子もいました。

   ……荒木飛呂彦画伯に挑んだ青少年はおらんのかのう? 教科書に例の載っていた画家限定なんだろうなあ。浮世絵には自画像の伝統はないしなあ。

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2010年3月22日 (月)

楽天開幕3タテ!?

   嗚呼なんと言うことでしょう! 
   昨年は怒濤の進撃で2位になったというのに、なんと開幕戦では去年のお客さんのオリックスを相手に3連敗! これは野村監督の呪いでしょうか。

   今年の楽天の予想順位は? と聞かれ、「5位」と答えたらしいですね、野村もと監督。アレだけ頑張ったのに契約を延長して貰えなくてまたぐちゃぐちゃ言ってたそうですが、困るよなあ。やっぱりあんまり長期政権になると球団側もいやなのかな? ホントに上位に定着するまでいて貰えば良かったのに。でも、最初田尾さんを指名したように若くてしがらみのない監督をオーナーは希望してるのかも知れません。
   だからって、「ワシがいないんだからもう勝てるはずない、もとの5位」ってのはヒドイと思うのですが、これも、「ノムさんヒドイでしょ」 と皆の同情が楽天の方に集まるという計算とか、これでチームのメンバーが奮起して4位以上になってくれればという計算とか、計算ばっかやねこのひと。いいえそこが好きッ! 実際今のブラウン監督は奮起して、「え~5位ってことないでしょ、もしホントに5位だったらおれみんなのお尻にキスしちゃうよ」って言ったとか言わなかったとか。
   と、大将たるものマイクを向けられたらただしゃべってはいけないのです。ハードな生き方ですけどね。

   でも、さすがに3連敗はないだろうって思ってて、だって、岩隈、まーくん、怜ちゃんの3本柱が確立したじゃないですか。って、Aクラスに入ったら開幕は主催試合じゃないんですか? でも仙台で3月中に試合は無理だからオリックス開催になったんでしょうか。なんか複雑。もう行けないけどね、Kスタ宮城。また座席を増やしたらしいですね(お客の収容人員が少なすぎて日本シリーズをやっても儲からないから楽天優勝しないでとかクライマックスの頃言われてたらしい。でも、これだけ増やしたから確実に開催できる数かというとそこは未確認、すいません)。
   というわけで、オリックス主催の開幕3連戦……。大阪ドームなら寒くなくていいですけどね。
   初戦はエース岩隈。当然。でも、1対0で負けて、旦那さま曰く、「援護がなかった」。ああ、打線はまだ本調子じゃないのかな。
   2戦目はまーくん。「勝ってるよ」というので安心してたら、楽天公式を夜に見に行った時9回裏の所に2Xと入って負けていたので、
   「マー君逆転2ラン喰らいましたか!?」と旦那さまに聞きに行くと、ごろりとふて寝していた旦那さまは寝返りを打ってこちらを見上げると、
   「違うッ! 小山がサヨナラ暴投!」と吐き捨てました……。
   翌朝新聞を見たら、さらにその前に福盛が同点打を浴びていたという……もるもる、きみはこの冬なにをやっていたのだ去年のシーズン終盤からまったく進化しとらんじゃないか。がっくり。
   3戦目の怜ちゃんで今年は初勝利! とばかりに期待してたんですが、ぼこぼこに打たれて(それでも一応9回までは頑張った)負けたみたいです。

   あーあ。

   野村監督はちょっと痛快でも情けないと思ってるでしょうねえ。奮起してくれて今年も2位とかになってくれたら、悔しいけど野村監督の理想として「人を残した」ってことで自分が仕事をした結果を残せたわけですから。

   いろいろ、どうなのよこのひと、とか思わないでもないですが、考えて行動するということを実践しているという点では好きです。でもやっぱ楽天にはガンバって欲しいわねえ。

   あと、楽天の公式の更新、球団職員の人が忙しいんでしょうか、結婚した筈(イケメンはやっぱり早い!)の怜ちゃんのプロフィールが2月時点でまだ「家族:両親、祖父、妹」みたいに独身時代から変わってなかったり、開幕戦の試合が終了してもまだスコアが試合開始前の状態だったりと少し寂しいです。どうしちゃったのよいったい。

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2010年3月21日 (日)

ちょ~新世界は薔薇色! ちょーシリーズ読破記念

   アルバイトが終わったとたんに弾けて、ゲームは日に3本も落としてやりまくるは、文庫を1冊1時間で3冊読破するはの春休みモード。虎ちゃんまだ一週間残ってますがな。引き締めていかないと。

   その1日3冊の対象が、虎美のためにシリーズ完結まで貸していただいていた「ちょー」シリーズ。コバーリム篇までは買ったんだけど、続きはとむ影さんに貸していただいちゃったので。ラノベの森にとうとう足を踏み入れた虎美が、
   「面白い!」と言ったのにしめしめと、
   「次は南の砂漠の国。
   怪しい魔法を使うために美しい姫君が必要といってダイヤがさらわれて、ジオは海賊に弟子入り。子ども達はスマート様と一緒に砂漠の国に潜入するんだけど、スマート様よんどころない事情で大変なことに……」と続きを語って聞かせたところ、
   「読みたい! とむ影さんにお願いしてえ!」となったのでした。
   本当にいつもすいません。

   「すごかった! 徹夜して全部読んだ!」って、虎美、おかあさんでもそれはしなかった。ああ、こらえ性のない性格に育てたわたしが悪いッ!

   お話は、「美女と野獣」を下敷きとしたファンタジーのシリーズ。王位を巡る陰謀で獣に変えられてしまったジオラルド王子が、行きがかり上自分の幽閉されていた森で近隣国の王を助けてしまって。
   「お礼に娘をやろう!」って、そこ子だくさんなので娘はいっぱいいたのでした。その中で、魔神の加護で人間レヴェルを超えた美貌を与えられた(おかげで孤独にたくましく育ってしまった)ダイヤモンド王女が「はーいパパあたし行く!」って名乗りを上げて。彼女はうわべに捕らわれる人間より動物が好きな人だったのです! ぼんぼんでおっとりな王子とたくましくて明るい王女は容姿を超えて恋に落ちたのでした。だってかれらは人間としてなにが一番大切かを知っていたから。
   てなお話が、パート2コバーリム篇で陰謀により神の祭祀が途絶えたため地の恵み(鉱業)が得られなくなって衰えた隣国の再興に関わったり、パート3レフーラ篇で魔神召喚の秘術に取り憑かれた魔法使いの野望のせいで王宮が乗っ取られた砂漠の国で世界を救ったり、そこで世界の狂ったバランスを支えるためのイケニエとして彼らの息子が捧げられるのを阻止するために身代わりになって悲嘆の第1部完! になったり。
   波瀾万丈抱腹絶倒だったわけです。
   驚天動地の結末にも、彼らの気のいいそして能力の高い友人達がきっと何とかしてくれるだろうということで希望を残した一時休止でした。
   そして、満を持してのシリーズ再開が「ちょー新世界より」。
   このシリーズ、一部の例外を除いてクラッシックのタイトルから題名を取ってきてます。一部フィナーレは「ちょー魔王」だし。
   はじまりを東の大陸にして、文化の違う地域を持ってきました。ヒロインは黎宝珠。チャイナな文化圏を匂わせてますが、そのものズバリな単語を使ったりはしません。食べ物も、シュウマイとは言わず、「挽肉や貝を小麦粉の皮で包んで蒸したもの」なんて表現して。この作者さん、こういう描写がウマイです。見たこともない国の風俗、行ったこともない国の地勢がみごとに描かれます。こういうのがファンタジーを読む醍醐味です。登場人物のすがすがしさだけでなく、御伽の国の世界が楽しくてこのシリーズを読みたくなるのです。
   宝珠はとある外見的事情で忌みきらわれています。今のニッポンではいや~んなにそれカワイー! な特徴なのですが、迷信深い東の大陸では、悪魔の象徴にも見えるのです。そして、母からの虐待・ネグレクト。
   さすがです、美しすぎて畏怖される姫君の次には、悪魔的容姿で虐待される少女を持ってきました野梨原花南(作者)。
   相手役には、今までの世界の中で陰気で企み事ばかりしていると仮想敵国として扱われて来たジールのクラスター王子。彼もまた異相によって親に嫌われ、外の世界に出ては殺される、と幽閉されてきた少年でした。殺されてなるものか、と必死の努力で勉強し、耄碌した父を圧倒して国政を握るようにはなりましたが、どうしても刷り込みから解放されない、まだ城から出て国民に姿を見せることができないでいるのです。
   その彼は、心の隙を魔法使いに突かれ、世界全てを呪うようになります。
   「世界を壊す!
   被害妄想に取り憑かれた王の国、魔法学校を擁する国ジールが、世界破壊を世界征服と偽って作戦行動を始めました。
   魔王の召喚・捕縛そして軍事的利用です。
   その大きな物語の中で、宝珠の役割は「東から来た少女が魔王を害し、望みを叶える」という予言の実行者。そして、宝珠とクラスター王子は出会い、クラスター王子の姿に驚かなかった宝珠にクラスター王子は感動するんですね(皆が黒髪黒い瞳の東の大陸から来た宝珠にとって、髪の色も目の色も肌の色もさまざまな西の国々の民はみな見慣れず、一度レフーラに上陸してその洗礼を受けてしまっていた宝珠にとっては目が何色でも髪が何色でももはや驚くに値しなかっただけ)。
   クラスター王子は宝珠に恋をしてしまうのです!
   自分を認めない世界を壊したいクラスター王子と、自分を排斥する故郷を出て自分を受け入れてくれる国をめざす宝珠の心の戦いなのです。
   自分の愛を容れて王宮にとどまって欲しいというクラスター王子と、自分に求婚してくれたことは嬉しいけど、トードリアの宰相への伝言を頼まれたという約束を果たし、自分がトードリアに迎えられたいという宝珠の心はすれ違い続けます。これがメインのテーマ!召喚されて、捕らわれて、出頭して。3度宝珠はクラスターと巡り会い、3度その手から逃れます。逃げるからまた追う! 世界の真理!

   大戦前の混乱期に宝珠は国を超えて手配されてしまいます。恋の相手を探すのに国家権力使うなよ、男の風下三千里だおまえは。人間・魔族双方から追われる身となった宝珠に従うのはダイヤの息子、三つ子の一人オニキス。世界のためにイケニエとなる運命の子でした。彼ら兄弟は父母を救い出すためにまたそれぞれ方策を探っていたのでした。二人は熱砂のレフーラからコバーリムの森林地帯、ジールの街角、冬の山脈を越える命がけの旅を続けるのでした。

   子供達篇も登場人物がたくましい! 彼らはつらい現状に甘んじようとはせず、それぞれあがきます。宝珠は家を出て、西の大陸、トードリアを目指します(これが、レフーラ篇で最後にジオと出逢って奴隷の身から解放してもらったリターフが約束通り東の大陸を訪れていて、その縁というのがウマイ!)。クラスター王子にしたって、迫害されるだけの日々から脱却して、父王を圧倒し、政治権力をほぼ奪うまでに既に成長しています。三つ子は魔神と交渉して父母を目覚めさせることに成功し、秀才サファイアは魔術を学び、元気なオニキスは必要な「神剣」を探し、女の子のオパールは王族としてのしがらみを引き受けて女学校で大人しくしています。脇役の大人達が、ほんとに「美女と野獣」の頃からのレギュラーから、名もなきおじいさんおばあさんまで、彼らを優しく、時には厳しく見守り、手助けしてくれてるんですよねえ。実にいい大人です。

   

ダメダメなのは魔法使いです。レフーラ篇もそうでしたが、今回も、手段を目的にスライドさせちゃって、マッド・サイエンティストのようになってしまってました。そういうのに限ってまた力がある。一国の資源(人的含む)とか富とかを費やして、おまえそんな私的でしょうもない目的のために魔神を召喚したり魔王をとっ捕まえたりするか!
   クラスター王子もそうでしたが、力のあるものはその力の使い方についてよく考えなくてはいけないという実例(いや、現実ちゃう)でした。
   ま、その大変な世界の危機を救ったのも、主人公側の魔法使い達なんですけどね。彼らも必ずしも「いい魔法使い」ではないです。レフーラ篇の冒頭で、事情があって正体を明かせないゴルディオン様を市井の見せ物扱いしてイヤミを言ったレードラとか、大昔に命を落とした自分のために妻が渾身の魔法で魔神達に交渉した結果、生き返り、子孫とともに世を見守り、世界の危機が起る度にイケニエを選定していた魔法使い一族の長老とか、作中何度も言われてます。魔法はただの力、使うものの意志でどうにも転ぶ、と。実に真理です。魔法を科学に置き換えれば現実にも通用するでしょう。

   そういう、人参のケーキですとか、フルーツやなんかで甘く口当たりをよくした今時の野菜ジュースのように、目や舌を楽しませるようでいてちゃんとそれを摂取するお小さい人たちの心身のためにもなる、非常によい物語であったと心から思います。もう、ライトノヴェルのよい見本のような作品。作者さんを尊敬してやみません。

   そして、尊敬するのはスマート・ゴルディオン様!
   貧窮の中で身を起こし、魔法学校の門前の小僧から向学心を認められて名門の秀才と机を並べるや才能を開花させ、努力で魔法を修めたのち、友人との競争で悲劇を経験してからは苦悩の日々を送り、よき師を得て復活してからはもうはっちゃけた遊び人になってしまわれて。だいたい「ラボトローム王家ご一行」になにかあったらこのひとが無茶やったと相場が決まっていて。お供えの団子をつまみ食いして下痢するというしょうもない登場から、旅費を蕩尽して王子様に貧乏旅行をさせたり、魔法の余波で南の果てに飛ばされた子供達を守るために身をやつして花街でいかがわしい占い師の真似をしたりと、獅子奮迅のご活躍。それでも世界を救うことのできる最高の魔法使いの一人には余裕で数えられてしまって。作中、3柱の魔神全部の召喚に立ち会ってるのだから実力は確か。ガリ勉で飲みに誘うと睨まれる青春時代から、いつどんな状態でも若人に暖かく目配りしつつ人生を楽しんでいる老年期(姿は若いハンサム)へのシフト・チェンジは理想です。わたしもこんないい年寄りになりたい!

   あと、大変だなあと思うのが、親についての描き方。人間を作ることだしなあ。
   我が子のために命を投げ出したダイヤモンド夫妻、異相を持って生まれた娘を魔物、魔物と罵って虐待して育てた宝珠の母(それでも、後ろ暗い技術ばかりとはいえ、いろいろ仕込んでくれた義父たちがいたということは、彼らにはそれなりに可愛がられてもいたとは思う)。異相のクラスター王子の生母は同様に、おまえを生んだおかげで自分は幽閉された、と愛憎入り交じる想いから「姿を見られた殺される」と呪いとも言える言葉を浴びせ続けてました。父王は、他に嗣子が得られなかったことから手のひらを返してクラスターを頼るようになり、今や足かせとしか見られていません。物語終盤では、その父も「卒業」されるように描いてありましたが、大団円後、ジール王室がどうなったかについては不明。

   わたしはあまりにも物語世界に没入したために母からキチガイと言われて育ちましたが、自分が親になったら子供にはこうしてやろう、こう接したいと願って親になったのに、さて、ちゃんと思った通りの親になれていますかどうか。同じ本を読んで感想を言い合ったりということはできていますが、娘にはありがたいと思われているのかどうか。
   とりあえず、この本を紹介できて良かったと思っています。とむ影さんも、どうもありがとうございました。
   ご覧のみなさまも、もう完結して久しい作品ですので書店にはないかと思いますが、お目に留まりましたら是非どうぞ。

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