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2010年12月11日 (土)

回帰熱再び

   ってタイトルはどうよ、馬から落ちて落馬的じゃん?

   大学の恩師の退官記念本を読んで、ブラームスの歌曲を和歌に翻案するのはどうよという無理難題にトライしたのが「回帰熱」の項だったと思ったのですが。

   ブラームスに洗脳されたとは言っても、やった曲全部好きなわけじゃなくて、「リーベスリーダー・ヴァルツァー」でも、ホップの蔓がどうとかという第5曲は調がマイナーなせいかイマイチだなーとか思ってたんですが。
   ちょっと今考えてる話が高校生ぐらいの女の子で、恋人と離れてると切ない、なんて場面だったので、ああ、なるほど「支柱なしのホップがだれ~んとなるように、女の子も恋人と離れてるとしゃきっとしない」わけよねーと22年目にしてしみじみするわけですね。いやほんとこんな歌詞だったんだってば。
   なんでも若いうちはかじっておいて腹の内に貯めておくべきですな、あとで出してきてかみ直してしみじみ……ってかい!?

   じゃあ、最後のオチの18曲はどうだったかというと、

   小鳥が飛び立って藪がざわめいた
   同じようにわたしの心もざわめいた
   恋の喜び、悲しみを思って
   恋人よ、あなたを思い起こして

   もう過去になっちゃってますねー。
   恋の喜び、悲しみ、のところはLではじまる単語を並べて(Liebe Lust Leide)、しかもそれが樹木がしなるさまを音で描くようにメロディもリズムもうねっておるわけです。ご丁寧にリフレインして。もともとリズムはワルツだし。それが、追憶の不整脈を思わせていてもう神のしわざ! 「喜び」はLustですから、たんなる楽しみじゃなく官能の「悦び」なんだと思いますね、そういう言葉選びの細部までもう深読みし放題で。

   それを和歌にするとこうだ!

   鳥の立つ笹藪我が身ようち伏して
       揺るるみだれるものを思ひて       舞音

   和歌の伝統だと恋の悩みを表現する植物は「風に揺れる葛の葉」がトラディショナルなんだと思いますが。葉が裏返って、白っぽい裏の方が見えることを「裏見」→「恨み」として恨んでるイメージを出すのに使うことが多いです。この歌(原詩)は恨むと言うより少しの風にも揺れ動くっていう方がメインのイメージですね。それを、泣いて身もだえして黒髪が乱れるまで持ってくると和歌っぽい伝統に引っ張ってこれたかなという力業でした。雅語では「ものを思う」で恋に悩むことを表わします。恋愛至上主義にもほどがあるぞ平安時代!

   いかがでしょう?

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