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2010年12月 2日 (木)

寺院に狸はよく似合う……?

   ネットで群馬県のことを未開の地のように言い習わすジョークが流行っているそうで、虎美も「だって群馬って何があるの? 言えないじゃない」とまたしても天をも畏れぬ発言をしておりました。姫ちゃん怒らないで~!
   「茂林寺というのがあって、分福茶釜の寺……だったかな? でかいたぬきの立像がいっぱい並んでて面白かった。母は小学生の頃行ったぞ」
   今は新幹線が開通したせいで死にルートになっちゃったけど、その昔、上野から金沢まで本州縦断の特急白山があった頃は、高崎から軽井沢を抜けて長野入りしてたので、群馬は心理的になじみがある土地だったんですが。今だって上越新幹線で通ってるはずだけどなあ。すいません、教育し直しときます。

   さて、狸はお寺にゆかりが深い動物です。狸囃子は證誠寺だし。うちの子も喜んで読んでいる「雨柳堂夢咄」でも、逢いたい人の姿を映してみせるという「面影行灯」の回で、お寺に紛れ込んで命を落とした母狸を偲んで子狸がやってくるってのをやってまして、親子して涙を絞られましたけど。

   昨日拾ったのはこんな話。

   松山のあるお寺(善通寺)の出納係のお坊さんは、数字に弱いけれどマジメ。几帳面で細かく金銭やら物品やらを管理するのでとくに見込まれて帳簿をひとりで管理していましたが、ああ、やってきた年度末! 何度計算しても数字が合わないのです! 使途不明金20両! 大河「新選組!」を真剣に見ていたおかあさんはもうその時点で胃がいた~くなりました。死ぬの? ねえ死ぬの?
   死にます、てゆーか、そのお坊さんは死を覚悟して、遺書まで書いて、あとは夜の更けるのを待とうと座禅を組んでいると(曹洞宗だったんですかね、今の善通寺さんを調べると密教ぽいですが)、
   「お待ちなさい」と声がする。
   「誰? なんのことだ?」と尋ねると、
   「あなたが死を覚悟していることは解ります。ちょっと落ち着いて事情をわたしに話してみませんか」と声の主は穏やかな話しぶり。外に出てみるとこれがまた大きな古狸! そういえばこの裏山には狸がいるって聞いてたよなァ、おまえのことかァとついつい打ち明けてしまうと、狸は、
   「任せておきなさい」と胸をポン。
   「任せておけはなーいッ! 狸がお金持ってるわけがない、ということはどこかから盗んでくるのだろう? それはわたしが盗むも同じだ、そんなことをしてはならない!」って、このお坊さんいいひとだナァ。
   「ちゃうちゃう。だいじょうぶだから任せなさい。あさってまで待ってね」って、狸去りぬ。

   翌々日、ホントに狸20両持ってきましたが、どうもそれが、当時の小判じゃない。大昔の小判だったみたいで、とても何食わぬ顔をしてお蔵に納めて置けるものじゃない。お坊さんまた震え上がって、狸に尋ねます。まあそうだ、今で言うと、聖徳太子の万札出してきたカンジかな。出所怖いよね? やばいひとのタンス預金じゃないかと。

   「わたしはこの寺の裏山に長年暮らす古狸でございます。
   平和になったので家族も増え、ちょっと増えすぎてお山の生り物だけじゃあ家族を喰わせていけなくなってきたところを、あなた様が取り仕切るようになってからはお供え物を裏山に捨てるようになったので、なんとかそれで食いつなぐことができるようになったので、お困りと見て手を貸したのでございます」
   それはいいから、この小判はどこから持ってきたのよ?
   「大昔に土佐と讃岐の山境に長宗我部が隠した軍用金でございます。余りにも山深くに埋めたので人間はもちろん、わたしども狸でさえ手の届かないものだったのですが、あなた様の危機に一族心を合わせなんとか20両調達して参りました!」って、狸も恩を返す返す! 
   「嬉しいけど困っちゃうよ……」
   進退窮まったお坊さん、ご住持に全てを告白して、狸の20両を出したところが、ご住持も困って、「おまえがマジメに勤めてくれているのは解ってるから、それくらいで死んじゃダメだよ」と使途不明金は不問にして、今度はお殿様に申し出て裁可を仰いだと。
   調べたらほんとに長宗我部のお金で、あの豊臣の金余り時代の小判だから純度高くって、当時って化政期だって、もう19世紀ね、100両に相当したのを、そのまま両替して当時流通できるお金で100両返してくれたって! 

   なんかいろいろいい話だと思って。
  ま、狸の方は「担当者死んじゃったら次の担当もお供え物こっちにまわしてくれるとは限らないもんね」ということらしいのですが、知らないうちに善を施してたのがめぐりめぐってという話。いや、日頃の真面目なお勤めぶりがあったからご住持も話を聞いてくれたんだと思うけど。

   それにしても、埋蔵金って全部眉唾な話だと思ってたのに、ホントにあった埋蔵金ってあったのね。狸も掘れない辺りの埋蔵金はまだ愛媛山中にあるのかしら、おかあさんちょっとスコップ持って四国に渡ってこようかしら。

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コメント

 ネタ元は「戦国ちょっといい話・悪い話まとめ」サイト。
 コメントが振るっていて、
 「餌付けする狸がオレにはいない」
 「世田谷へ行け」って。
 現実じゃあ、餌付けしたって畑を荒らされるだけだってのにね。ああ、お江戸は遠くなりにけり。

投稿: まいね | 2010年12月 2日 (木) 16時19分

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