« 長居の客 | トップページ | 暑さを忘れる話 »

2010年9月 6日 (月)

ゆとりイングリッシュの行方

   9月に入りまして、2学期制の中学校では期末が目前に迫っております。折しも校内合唱コンクールも射程に入って、虎美はもう練習期間が短いだのぶうぶう言いながら早出をしております。
   この合唱コンクールは、日本の学校行事としては後発な為か、まだ公には短縮化されていないようですね。虎美は「合唱コン」と略しております。ゴルドベルク中ではこれが公式なのかな? 文科省の学習指導要領やら、NHKのニュースで使われるほど定着するには、もう10年ほどかかるでしょうか。それとも、新造語ができるのかな?

   それで、英語はホントに苦手という虎美の勉強を見てやることになりました。
   「おまえ、おばあちゃんがつきっきりで見てくれていてそれでなんだ?」豹太のときには奏功した「教科書の本文をひたすら写して和訳する、今度は英訳してもとの教科書の文に直せるようにする、それを、完璧になるまで永遠に繰り返す」という、ええと愚直だけど絶対ものになる勉強法ですね。虎美はペンだこができたとか泣いてましたが、そんなの学校に行ってる身の上では当たり前でしょう。わたくしは、世界史の先生の憧れの名調子を全てノートに写し取ってたために右手の側面がすり切れて光ってましたよ、現役時代は。手を動かす勉強をおろそかにしておるからおまえたちは字が汚いのだ。
   それが、言われたとおりやっているのに身につかないのだそうで。
   兄妹といえども頭の中身や心の持ちようが違うという実例ですね。来年受験なのに、どうしよう。どのくらいだめかって、
   「8割はヒアリングで稼いだ」って、嗚呼。
   「それは、全体の得点の8割がヒアリングによるものだったのか、ヒアリングの小問の得点率が8割だったのか、どっちだ?」
   「両方」
   これって、算数の問題になりませんか?

   虎美ちゃんの英語の点をXとおくと、0.8Xがヒアリングの点。それが、ヒアリングの配点が40点だったりすると、虎美のヒアリングの得点は40×0.8の32点ということになりますね。となると全体の得点は……ひどすぎる。(なお、実際の配点は不明です)

   とくに英会話の教室に通わせたりなんかはしてませんが、しんけんゼミの付録の英語教材は面白がってやってましたから、英語の耳はできてたのかも知れません。ありがとうしまじろう。

   「でも単語が全然わからない、書いた筈なのに思い出せないの」
   「気合いが足りん。
   そこは、漫画やアニメの名台詞、オープニングのテーマ曲の歌詞なんかを自分で英訳して覚えるんだ。母はがんばったぞ。当時見てたアニメの主題歌はほとんど英訳した。マクロスだと The destination which they fly through the darkness ~(闇を切り裂き飛び行く先は)
   必ずしも正しい英語になってる必要はないが、おかげで『目的地』という単語は一生忘れない。
   これが萌え単というものだ。
   おまえも漫画の台詞なら一発で暗記するというならやればよい」 
   ほんとに今でもそこのフレーズだけはそらで言えますもんね、恐ろしい。これがまた文部省イングリッシュで恥ずかしいんだけど、お外に出すもんじゃないからいいじゃない。

   さて、それで教科書をつらつら見てゆくと、ゆとり教育は丸暗記、文法重視の使えない英語を排して、国際社会において使える英語、話せる英語を目標としておる模様。1年の時から教材にもそれが反映されていて、ハンバーガーショップで「ハンバーガーにポテトにコーラお願い」と言えるように作られてたりします。
   でもそれがね。誰かが批判してましたが、
   「お持ち帰りですか、こちらでお召し上がりですか?」に対応できるように、
   「For here, or to go?」って聞いてきます。本国でもこういうんでしょう。じゃあテイクアウトってのは和製英語かよ、船越さ~ん、一緒に怒って!(「みんなでニホンGO!」毎週虎美と楽しみに見てます)
   マックに入ってもちゃんと対応できるでしょうが、文法的にはこれを覚えてもなんら発展性がありません
   Eメイルの単元でも、
   「take care !」という文末の「お体に気をつけて」という言い回しは覚えるけど、それは教科書中の気をつける単語のコラムに書いてあるので、頭から覚えてふんふんと言ってそれっきりなんですよ! take care of A で Aの世話をするという連語の言い回しを覚えて、彼女は猫の世話を毎日するとかの例文を覚えて、そんで……という積み重ねをまるっきり無視しておるのです! 一事が万事!

   そりゃ、いざ出されても困るわ。   

   教材は工夫されているし、目指したものの志は間違っていない(たぶん)、現場の教師もがんばって、「これが先生のブラジルのメル友からきたメイル本物です! これを訳してみましょう!」とかやってるのに、生徒は戸惑うばかり。

   いったいどうしたらいいんでしょうねえ。

   思うに、いろいろ批判されていた「これはペンです」から始まる文部省イングリッシュも、あれで意味があったんですねえ。人工的な堅苦しい「英語の教科書日本語」とはいえ、このスタイルからは英語と相互にスライドは比較的容易にいけましたもん。
   「おかあさんの英語の説明おもしろーい」と子供受けばかり意識してぶっちゃけてやっていた和訳、ぶっちゃけ過ぎてこの単語がこの意味、ということを正しく理解されてなかったと昨日思い知りました。
   「『そこで男とその嫁はお水を上げた』と」
   「待て、母が悪かった。それではだめだ、ちゃんとした気持ち悪い英語の教科書の日本語 でやり直そう」おかあさんその表現はどうよ? たぶん、現実でたくさんの文章を読み飛ばして大意を掴むにはそれでいいんだけど、初級者にはそれじゃあダメだったんでしょう。日本語としてこなれているかと言うことは犠牲にして、文中でどのタイプの構文が使われておって、それぞれの単語の意味はこうであるとすぐ見て判る文にするべきでした。
   「ええと、『男とその妻はその老婆にお水を少し与えました』」
   ね? これで、元の英文がどんなだったかお判りになるでしょ?
   「よろしい」give A B の構文ですね。some は数量を特定しないいくらか(普通の構文限定。否定文などではany になる ……あー! ここでいじわるじいさんにして全然やらなんだ例文も教えれば良かった!)。
   母も結構楽しんでやっております。教えるって面白いことなんだ?

   ただ、ここへ来て、なにかっちゃ壁新聞を作ったり、スピーチをさせられたりという育ち方をしたので、ゆとり世代は発信能力、コミュニケーション能力は長けておるように見受けられます。せめてこれがいい財産として彼らの身について行きますように。

|

« 長居の客 | トップページ | 暑さを忘れる話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/138427/49369869

この記事へのトラックバック一覧です: ゆとりイングリッシュの行方:

« 長居の客 | トップページ | 暑さを忘れる話 »