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2010年9月 1日 (水)

たたりじゃ

   豹太は お祓い をしにいった方がいいかも。

   夕方豹太からのメイル着信音が鳴ったなーと思って、どうせ晩ご飯なにとかいう内容だろうと放置していると、電話が着信。
   「自転車のブレーキこわれた」って、まあどうしましょう!?

   6月半ばに転んで足を折って2ヶ月半、生協のパスちゃん牛乳のおかげで骨は無事くっついたみたいなのですが、ギプスが取れるとほぼ同時に自転車の方は預けておいた学校からすぐ乗って来ちゃって、
   「歪んだり壊れたりしてないだろうな? 念のため自転車やさんで見て貰っておけ」と言ったのに、
   「なんか月1で通学の自転車の簡単な検査あるんだよね。足折ってる間にあったみたいよ」とほんとなんだかどうなんだかおぼつかないことを申します。あんまり暑いんでこっちも追求がなあなあになって、
   「自転車は自分で治ったりしないからな、ラッキーだった」と見逃していて。

   もう部活がバリバリ毎日ある8月下旬を過ごしているうちに、
   「なんか ブレーキ効きが悪い かも」なんて言ってたんですよ。あーあ。やっぱり休みの間にちゃんと見て貰っておくんだった。

   あと知恵~。でも、うちの近所にないんだもん、自転車屋さん。グーグルで調べても該当なし。4月の、丁度自転車通学を始めるぞって頃にハンドルががたついて、慌てた時にも、春休みの間になぜチェックをしておかなかったとかいって泡くってたのに。結局その時は、隣駅マーイベルクにあったホームセンターさんにまで持っていって見て貰ったんでした。わたしと虎美は電車に乗って行ったことがあったけど、豹太はなかったので、グーグルマップを呼び出して拡大して、ここれここの自動車販売会社の看板を目印にとくどくどと道順を講義して出しました。なんとか行ってこられて、1週間おくれぐらいで無事自転車通学を始められたんでしたが。

   「学校の近所で自転車屋さん探しとけっていったじゃん!」
   「わかんないって」
   「自転車通学やってて、学校で検査までやってるところが近くにないわけないって! 先生に訳を話して教えてもらえって!」
   「やだ!」
   ……豹太はやや生きるスキルが足りないようです。
   「じゃあ今日直接れいのホームセンターに持っていけば良かろう」
   「いやッ」
   といってるうちに通話を切って、彼は一山……ふた山かな? 自転車を押して帰って来ちゃったみたいです。
   「今から行ってこいよ」
   「やだ、疲れた」
   そんなこと言ったって、この前のとき聞いたけど、さすがにトラックで自転車回収に来てくれてそれで直して配送とかしてくれないもん。
   「おかあさん明日行ってきて。おれ、明日からは翼の小学校の時のチャリ借りる取引してきたから」
   いや、意外と世渡りスキル付いてきたかな?
   「え~母もイヤッ」 としばらく押し付け合いをして。
   「ついてく」というので夕方のお買い物に付いてきて貰いましたがまだ6時でお空も明るいし、お弁当のネタの残りがあって夕飯には困らなさそうだし。
   「あんた、冷蔵庫の残りもんでご飯食べれるよね?」
   「うん」
   「ああいうところは夜も遅くまでやっている。今日出せばもしかして今日のうちに治るかも知れん。行ってこよう」
   さて、それからかえりに電車に乗っても恥ずかしくない程度に着替えてお化粧して、拡大した地図をプリントアウトしてそれから買ったばかりの爽健美茶を小さいペットボトルに詰めなおして。
   「坂では絶対乗らないで。死ぬよ」という豹太に送られて暮れなずむイーヴィヒベルクをあとにしたのでした。
   途中、2丁先の少し平らになったところで、
   「全行程押していったら大変ではないか、この辺は乗っても大丈夫だろう、足でけって進む程度で」といたずら心を出したのが間違い。
   ……豹太自分の身長に合わせてサドルも上げちゃってて、もうおかあさん足届いてなかったです。
   「あれ、あれ、あららら~」とバランスを崩したらそのまま街路樹の根本を守るツツジだかサツキだかに突っ込んでしまいました。ごめんね。ボキボキ折れてました。
   進み始めてしばらくして、じんじんするなァと木に突っ込んだ方の右手を見たら、約3本、平行して長いところで10センチぐらいの生傷ができて血が滲んでました。うむ、これは痛いはずだ。
   しよーがねぇなあこれで全行程歩き決定か? と苦笑いして前籠を見ると……せっかく詰め替えたお茶忘れてきてるし。まあいいか、とのろのろやっと下りにさしかかったイーヴィヒベルク1丁目あたりを過ぎ。
   それでも性懲りもなく坂を下りきって平らになった辺りでまた跨ってみて。おう、快適快適~とバス停1つ分くらいは稼ぎました。でもやっぱ平地でも、ブレーキ効かない(しかも足が地面に着かない!)自転車ってコワイネ。

   駅の一つ前の交差点で曲がるときに下りましたが、やはり減速がうまくできず、そこんとこちょっと上ってたのでハンドルが取られてまた転び掛けました、ドライヴァーの皆さんは迷惑なおばさんをちゃんと待ってくれました。どうもありがとう。

   えーとここからは危ないから押していきましょう、たしかこの道を真っ直ぐ行くとリンネルベルク警察前に出るはずよねって、そこで一度脳味噌の回線切っちゃったみたいで、今考えている小話の構成をアアでもないこうでもないと考え始めてしまって。線路と平行して進む筈なんだけどこれでいいんだったかしらという正当な確認作業をうっちゃってにやにやしながら歩道をずんずん歩いて行っちゃって。

   とっぷりと暮れたころにはなんだか寂しいところに出ていましたのよ。
   (……ここから先は稲城市なんだよねー初めてだわこの道って、あれ?)
   あれだけ確認したネッツトヨタの看板がありません。小田急線と平行して歩いてるはずなのに、小田急のおの字も見えまえん。もう夜だからじゃなくて! 所々立ってる住居表示板の内容も、持って出た地図に全然合致しません!

   近くのコンヴィニでお茶を買って(セヴンイレヴンだと98円なんでうね、すごい!)一服しつつ豹太に電話します。
   「今フラハラントなんだけど……迷った?」
   案の定、絶句してましたね。
   「なんでそっち行っちゃうの!? 全然看板ないでしょう! 警察と焼き肉屋さんの間の道をいくんだってば!」
   「ああ、やっぱり、そうだよな」 
   地図の向きが90度変わっただけで方向誤認するーぅ! やっぱり方向音痴だ!
   それなら、小田急線と平行で合ってます。脳内の地図と現実の地形がぴったり合いました! もう大丈夫!(ホント?)
   「どうするの? もう7時なんですけど」
   「なに、いくらなんでも1時間はかからんだろう。警察まで戻って正しい道を行く」
   「……がんばってね」

   もう、玉の汗だらだら、持って出たおおきめのタオルハンカチがじっとり湿って、この夏は暑いからってずっとエアコンの下にいてこう汗をかくことがなかったわねーって(兼六園ではかいただろうが!)なんだかイイ気持ちになって(おかあさんそれお散歩ハイ!)、暗いのにきっとこの方角でいいだろうというあてずっぽで道を選ぶといういつもの迷子パターンは慎重に排除して、ちゃんと来た道を(向こう岸に渡ったけど)戻りました。ちゃんと戻れました。警察の角を右へ! おお、ちゃんと地図の通り日産、ネッツトヨタ、ネッツトヨタの看板が並んでます。正しい!

   歩道も広くなったことだし、人通りも少なくなったことだし、性懲りもなくまた1ブロックほど乗って距離を稼ぎます。でもやっぱりスピードが出ると怖いから、ハンドルをとられない程度の徐行。しばらくしてまた下りて押していると、こんなところにバイク屋さん、べつに予約入れてるわけじゃないからここで見て貰ってもいいかなーと、ドアを開けたら、頑固技術者風のご店主。

   「自転車のブレーキ壊れちゃったんですけどみていだだけませんかぁ~?」おかめ顔をにっこにこに作り笑いして声を掛けたんですけど、
   「自転車はやってないよ! 買ったとこいきなよ」って、はあ、すいません。買ったのは金沢なんだってば。転勤族のひとにもそういうこと言うの? いけず。内心が伝わったのでしょうか、ちょっと出てきてくれたご主人、自転車を見るなり、
   「雨ざらしじゃないか、こんなにほったらかしにしてちゃダメだよ。チェーンも錆びてる。何年乗ったの?」
   「3年ぐらいですけど」
   「3年でそんなにサドル破れるかな? ダメだよ大事にしてやらなきゃ
   「すいません」
   這々の体で逃げ出しました。だってうち車庫にお屋根ないんだもん。虎美のもあるから玄関の軒先に入れるわけにも行かないし。傾斜地だから玄関まで5段くらい上がってるから毎日上げるの大変だし。カヴァーは掛けといたんだけど風でまくれて知らない間にどっかいっちゃって。……豹太ってオタクだけどメカの方はあんまりでそんなにメンテしてる様子はないし。もっと毎日気を使ってあげてたら壊れなかったのかしら。

   なんだか悲しい気持ちになりました。そりゃなるよ、もうおうちを出てから1時間ちょっと経過してるもん! 首の後ろが汗で気持ち悪いし。いい加減足もくたびれてきたし。それでも押していきますと、地図にもあるとうとう小田急とのお別れ地点、あとはこの先のハルプイーベンの交差点を曲がる……今度はちゃんと地図で確認しましたよ。とーーーーーーっぷり暮れてましたから、そして、確認しないととても夜には入っていきたくない……ええと、閑静すぎる住宅街への入り口 だったのでした。

   そんで上り坂だし。豹太の説明にも合致してるからいいんですけどね。閑静な住宅街って、夜は暗い じゃないですか。こわいよー。

   「あとは適当にグラウンドのところにそのホムセンの看板が立ってた」って真っ暗だからわかんないし。これで道間違ってたらおうちかえれない! もうどうしようもなく曲がってみたら行き止まりで(閑静な住宅街には割とあります!)泣きながらもときた方へ戻るとなんとなく木が茂っている気配。もういいや、これでまちがってたら、そこのホムセンに電話かけちゃお、おたくに行こうとして道わかんなくなりましたっていって救助してもらおう! って腹をくくったら、ありました、たしかに、「カイリ(仮名)→」って。場所柄きらめく電飾は点いてなかったですけど。

   もう半べそで自転車に跨り、残り100メートルをダッシュ。時間もギリギリだと思ったから。これがまた、大規模ホームセンターのカイリ・マーイベルク店は、店舗が二つに分かれてる上にいろいろ入り口があって困っちゃう。やっぱり傾斜地だから階段だし。最後にはもう火事場のナントカ力で自転車持ち上げて玄関にかけこんじゃいました

   「閉店まぎわにごめんなさーい! ブレーキが壊れたんです。直してー!!」

   ときに19時37分、閉店23分前でした。

   「あ、奥の方へどうぞ」自転車が飾ってある入り口を選んだのは正解だったようです。奥の方には本体を各種とチャイルドシートやヘルメットなどいろんな周辺機器やパーツが陳列されていて、ちょっと広くなったスペースに赤いエプロンをしたお兄さんが待ってました。ちょっと脇の所にメッシュをいれた二十ばかりのお兄さん、
   「今日中に直るかしら?」との図々しい問いかけに、すぐさま工具で該当部分を分解しつつ、
   「ワイヤー繋いでみないとわかんないすね」と素っ気なく答えてくれました。
   「前輪は部品なくなってますから時間かかりますね。取りよせになっちゃいます。後輪は……」
   かちゃかちゃいじってるとなんとかシパッと止まる気配がしたので期待してますが、なかなか慎重で判断が出ません。そのうちキョロキョロしだしたと思ったら、彼は主任さん(?)を待ってたのでした。赤いブルゾンの中年男性、にこやかにやってきて屈み込むと、ぼそぼそと状況の把握。

   「ここんとこ部品がなくなってまして。錆びちゃっててどうしようもないんで部品つけかえるしか……後輪は一応反応あるんすけど、ある程度行くと固まっちゃって動かなくなるんす」
   若いのに故障箇所を見極める目がたしかです。手に職付けるのっていいなあ。でも、毎日自転車直してるわけもないしね。大変。

   「見積もりしましょうか? 前輪ブレーキが1600円の手間賃600円ワイヤーが両方600円に加工賃がソレゾレ……」と主任さんの方は電卓を出して叩き始めます。

   「いちど事故ったのよ。それで本人も足を折って。新学期だから乗ってみたら壊れてて。やっぱり変なところがないかイチから見て貰うんじゃダメ? それとも、ちょっと見て貰ったひとに言われたんだけどもうチェーンとギアが錆びちゃってるからもう無駄? 乗ってて命に関わるんなら替えちゃうけど、新品買った方が早いならちょっと教えて?」って言ったら、お兄さんの方が、
   「フレーム歪んじゃってますよこれ、もう」って。
   「キャー! もうだめ? もう廃車?」幾らかかるの!? とおかあさんもうパニック。でも、主任さんは正面から自転車を抱えるように持って目を凝らし、

   「うん、大丈夫、ほんの少しだから」って。ホント?
   「イヤお客さん、今のところそんなにかかりません、これとだいたい同じ品を新品だとそこにかかってるブリジストンのそれ、3万5000円ですから」うん、おじいちゃん張り込んだって言ってたもんね。
   「キャー無理! 直るんだったらお預けするから徹底的に直して! サドルも替えてやって! あと3年乗るのよ!」
   「いいすよ。だいたい1万2000円ぐらいでいけると思います」
   「お願い!」

   ってことで、拝み倒してフル修理してもらうことにしました。

   ご機嫌で目と鼻の先の小田急マーイベルク駅から帰宅。駅のホームの水道でやっと傷口を洗いました。もう、身体が重くって。帰ったらもう椅子に崩れ落ちました。旦那様に言いつけたら、
   「自分の命を預けるもののメンテは自分で責任持ってやらせなさい」と怒ってました。ほんと、 雨ざらしにされた自転車の恨み だったのよ、この前の事故は。

   自転車を借りる翼君ちに持ってく菓子折もちゃんと用意したのに、
   「えーいらないって、おれの方が貸しがあるぐらいだ」って、今朝見たら玄関に置き去りにされてました。こらー! 世の中はそういうもんじゃないのよッ! 夕方、豹太につれてってもらっておかあさんご挨拶に行ってきます。

 

 

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コメント

>「自分の命を預けるもののメンテは自分で責任持ってやらせなさい」

非常に正しい意見だと思います。
自分でパンク修理までとは言いません、自分で自転車屋さんに持っていくところまではね。(#^.^#)

桃は邪鬼を払うので、きっと厄よけになりますよ。

投稿: とむ影 | 2010年9月 1日 (水) 14時50分

とむ影さんと同意見,旦那様が正しいです.整備は自分の責任です.自分でやるか専門の業者に頼むか,それはどっちでもいいけれど,安全に乗れる状態にしておくことです.

植木に突っこんだときは痛かったでしょう?息子さんに慰めてもらうべし.
歩道上でのことだったようだけれど,車道だったら恐いです.ご用心を.

投稿: 三ねんせい | 2010年9月 1日 (水) 17時59分

 あらあらすいません。
 自転車を押しながらおもってたんですが、わたしって豹太に甘いですかねえ?(自覚なし!)

投稿: まいね | 2010年9月 2日 (木) 00時39分

 ちなみに、昨日の夜に行っておいた自分の判断を正しかったと追認しました。……日中自転車押しながら1時間なんて死んじゃう!
 こんなところでなんですがとむ影さん桃ありがとうございました! 美味しかった!

投稿: まいね | 2010年9月 2日 (木) 00時42分

 連休中に自転車直りましたー♪
 「チェーンを替えたら快適♪ 信じられない! ペダルが軽いの」って、オバカ。

投稿: まいね | 2010年9月23日 (木) 12時18分

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