« 乱入しました | トップページ | ここまできたかと »

2010年6月 7日 (月)

ハッピーエンド原理主義 ―ゲームの楽しみ方― 

   例によって趣味の話。

   最近は小説を書くのも控えめにして、オンラインで無料お試しに開放されているゲームを落としては熱中する日々です。アメリカのお嬢ちゃんになって、農場を経営して農産物の生産に汗をかいたり、捜し物ゲームで目を凝らしたり。もう病膏肓に入って、3つぐらいのサイトを掛け持ちしてやっていて、こちらのサイトで気に入ったゲームが向こうのサイトで日本語版として公開されるとまた落とし直してもう一度トライしてみたりして。
   これが、なぜ英語版でやると途中の劇部分の台詞や要所の謎の文句がカッコイイのに、翻訳されるとむずがゆいのでしょうか?
   たとえば「SHINING GATE」というキーワードのアルファベット1文字ずつがビーズになっていて、これをうまく他の同色のビーズと揃えて盤上から取り除き、うまくキーワードが揃えばその場は通過というゲームが、日本語版になると、みんなひらがなになって、
   「ひかりかがやくもん」って、間違ってないのになんでこうお子様向けのようになるかな?(ひらがなだからさ)
   あと、日本語として大筋は間違ってないんだけれど、
   「ようせいがてだ
    すけをしてくれる」っていうのはやっぱりこなれた和文じゃないと思いますねわたしは。
   「ようせいが
    てだすけをしてくれる」でしょうよ。
   分かち書きが解っておらん。各行均等に文字が入っていればいいのではないのだよ。
   てなカンジで突っ込みながら翻訳というものの難しさを味わっている毎日でした。そのうち日本人ゲーマーの英語力もあがって、このようなものは英語版でやるのがあたりまえになるのか、それともここに商機を見いだして、どんどん英語力のある人材が参入して翻訳王国の面目を施すのか。将来が楽しみなことでございます。

   さて、あとは、日本の萌えというかコミックの文化とは土壌が違うので、リアル系の画像の美しさは溜め息ものですが、デフォルメしたお顔はヒロインといえどもどうも感情移入できかねるのが難で。ほら、ディズニーでも、結構ほお骨高くってお化粧がしっかりしていて、アレでしょ? 「リトルマーメイド」なんて「ケバイ!」と、娘でも「全然可愛くない! イヤ!」と申します。こうなるのがイヤで、ホントに小さいころはあんまり日本のアニメとか漫画とか見せないようにしてたんだけど……(それで発達が遅れてやむなく児童教材とかで「日本的可愛い」絵を見るようになった。しまじろうとかね)。

   ……そのゲームは結構リアル系でも、けばけばしくなくってヒロインのお顔は好ましかったです。捜し物系のゲームでしたが、古代の謎に迫るというミステリー仕立てで、いろんな場所で証拠の品を集めては次の舞台へと脚を進めていました。ハリウッド映画みたいで。
   ルーン文字の文書を手に入れたヒロインは、旧知の教授を訪れて解読を依頼します。よくわかんない英語の会話の後でヒロインはまた別の場所に証拠を探しに行き、ひとステージ終わったところで教授に会いに行くと、彼は古文書の解析には成功したのですが、ひどく怯えておって、
   「キャサリン、この件はこれ以上追求してはならん……」と読んだ内容を明かそうとしないのです。ありがち。
   「なぜです!? 教授、わたしにはこの文書を解読する必要があるんです。××の謎を解くために!」とか英語で応答してるらしかったですが。

   ……ストレス溜まってたのかな。
   ここでわたくしは、教授が謎を明かす代わりに取引をしてくる妄想を抱きましたね。
   ヒロインがタイプだったからかな。金髪で、美人で、でも派手でごつすぎないカンジで。
   さらに、身体を要求するのは普通すぎる、と方向転換して、タフな彼女が教授を勇気づける方向でさらに妄想を深めましたね。
   「教授、どうかしっかりなさって。あなたらしくありませんわ……」と、彼らは一夜を共にしてしまうと。おいおい。
   具体的行為についてはあんまり思い浮かばなかったですが、50がらみの冴えない研究者をなだめすかして再度謎に挑む勇気と知識欲をかき立てる知的美人の口説をいろいろ想像して非常に楽しみました。
   結局ゲーム内では古文書の内容については保留で、彼女はまた次の謎に向けて旅立っていったのですが(そして試用期間が切れて虚しく尻切れトンボのままなのですが)、気がつくとわたしは彼らのそれからについて考えていましたね。

   ヒマだったのかしら?

   解読を依頼する前から彼らには面識があり、年の離れた友人であった様子なので、ここで一生に一度のモテ期に突入したと認識した教授がいきなりダンディな年上の恋人になったりすると面白いとか、結局古文書の謎を知ってしまったことで秘密結社に殺されてしまうとか、その前に謎を書き残す(またその解読が1ステージ分のミニゲームになっている)とか、下世話でなんだけど彼女がその一夜で妊娠してると面白いとか、そこはもしやのために教授が全財産を彼女に遺すと遺言してるとか、どんどん妄想が広がって。
   その教授の設定もいきなり「イケメン補整」が入って(物語上重要な役割を果たす脇役につき、物語の途中から容貌が好ましく修正されていく様子)、「爵位は父まで」な上流階級の出だとか実は資産家とか、女性に対する要求が高くて未婚だったけれどヒロインのことは気に入っていたとかどんどん後付ですてきなおじさまになっていって、我ながら笑っちゃう。ベジタリアンかなんだか知らないが頼りにならなくて頭もわるい若い男より、昔のしつけを受けて堅苦しいけど締めるところは締める知的なおじさまの方がいいかもよ、なんていろいろなシーンを勝手に妄想して盛り上がりました。一度関係したからって恋人面するのもこの年で愚かしいとひとり悶々とするおじさまも可愛いとかなんとか。若い美人に籠絡されて危険な謎に足を踏み入れたことを後悔したり、怯えているのを女性に性的奉仕を受けて勇気づけられるとはいかがなものかとマッチョな観点から自己嫌悪したりとか、これは古文書を解読してやる代わりに身体を要求したことにはなるまいかと後で思い至って冷や汗かいたりとか、彼女に恋心のようなものを感じていることすらその後ろめたさからの心の代償行為だとか思ってしまったりとか、そういう千々に乱れる教授の心理を思うとにやにやしましたね。

   基本、レクター博士とクラリスが念頭にあったんだと思いますが。

   そして、結局知ることのなかったゲームのエンディングで彼女は謎を解いて莫大な富を得るか、研究者か冒険家として名声を得ているだろうから、ついでに(多分冒頭で死んでいた若い男が恋人であろうと解釈して、その彼とのと社会的には思われてる)子供を産んで、教授とは「友人関係」を続けている何年後を想像して。子供は女の子で、教授にも懐いてるんですね。
   「ねえ、教授のことおじいちゃんって呼んでもいい?」と無邪気に聞くんですが、ヒロインは、
   (××、彼はあなたのお父さんなのよ……)と苦笑する未来ってところまで妄想して楽しんで。

   ほんのちょっとしたスケベ心が発端だったのに、どうしてそこまで妄想が膨らむのかと自分に呆れました。

   そして、ドロドロの愛欲っていうか弱みにつけ込んだ欲望の暴発の方へ行かないで、ロマンスの発生、不釣り合いかも知れなくてもひととの関係を繋いでいこう、血を次代へ残していこうという方向へ物語を進めていこうとする志向に、これはいったいどうしたことだろうと思ってしまいましたのさ。やっぱりこういうのは持って生まれた主義思想なんですかね?

   「ハッピーエンド原理主義」と呼んでしまいましょう。 ロマンスは尊いわ。  

|

« 乱入しました | トップページ | ここまできたかと »

コメント

>英語力のある人材が参入して翻訳王国の面目を
英語力より日本語力でしょう.通訳をやってる人もそんなことを言ってたと思います.

「要請が手だ。スケをしてくれる。」

投稿: 三ねんせい | 2010年6月 7日 (月) 10時43分

 やっぱり日本語が大事ですか。なるほど。
 この長刀読みは、うちの母も経験があって、食品成分についてグラフについていたキャプションが小学生向けということでひらがなだったのを、級友が「茶肉になる」と読んでしまったそうです。いや、タンパク質なら「血や肉になる」でしょうよ。

投稿: まいね | 2010年6月 7日 (月) 22時29分

 これがまた、ここ数日はイナイレの純粋にルックスが好みな子を使って、悪の組織に拉致されて肉体改造(?)されて美少女接待要員としてあーんなことやこーんなことをさせられてどんどん堕ちていく……といった自家消費専用のエロエロな話を書いていて、「あの日一緒にボールを追った彼と僕とはこんなに境遇が別れてしまった。どこがその分岐点だったのだろう」的バッドエンドになるはずの物語が、気がついたら改造美少女と接待相手のヒヒ爺とは年を越えた恋に落ちていた!?
 改造美少女がヒヒ爺の所に乗り込んでいって
「御前様をお慕いしておりましたのに!」って涙で訴えるシーン書いてしまって呆然。
 ……ハッピーエンド原理主義って怖いわ。

投稿: まいね | 2012年7月17日 (火) 01時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/138427/48564505

この記事へのトラックバック一覧です: ハッピーエンド原理主義 ―ゲームの楽しみ方― :

« 乱入しました | トップページ | ここまできたかと »