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2010年1月19日 (火)

絶対勝てない

   遊んでいたら丑三つ時も過ぎ、でもおでんの大根にまだ火が通らないのでしばらく暇つぶし。

   

嫁姑というと仲が悪いものなのだそうで、よく解らないけれど実家はそうだったみたいです。
   父方の祖母のお民さんといえば女傑、女傑といえばお民さんだったそうで、夫を失って戦中戦後、子供達を育て上げたところはご立派と申せましょうが、あまりの性格のきつさに、あのうちに嫁に来る娘はいないと在所では言われ、伯父達は東京で結婚し、父も金沢で話を探したんだそうな。仲人口に騙された母が嫁ぐと、花嫁衣装を脱いで、おしろいも落とさぬうちに「うちの家風に合わない場合は帰って貰いますから」とぶちかましたとか。と、この辺は普通のドロドロ。
   いろいろあって、それでも兄たちは東京に出ているのでおれが母をみなくてはいけないといわれ、なんで長男の嫁でもないのにとブチブチ言いながら月に1度は在所に帰り、掃除洗濯……をやっていて、なんでおばあちゃんちに行くとおかあさんは機嫌が悪いんだろうとか幼心に思ってました。そうか、仲悪かったのか。
   年を取ってくるといろいろある入院とかに付随する付き添いとか差し入れとかも、ほんとこっちに八つ当たりとか毒を吹き込んだりとかされながらも一応母はちゃんとこなしていて。
   伯父伯母たちは、そういう祖母の性格にヘキエキしてたようで、厄介ごとは巧く逃げて都合のいいときにしか寄りつかない、そして、いつもやっちゃん(父)には迷惑を掛けて、と、そういうときは口がうまいと、絵に描いたような悪役の役どころ。それが、こっちはとろいのでそういうところには気がつかず、おじさんおばさんには愛想よく礼儀正しくしないとと優等生な対応をするからまた母は悔しかったようで、またうちに帰って毒を吐くと。
   別に地獄とも思いやしませんが、イヤでしたねえ。

   そして祖母が亡くなると、お決まりのように遺産争いがあって、納骨に行ってお寺さんと挨拶をして話し込んで帰ってきたら、祖母の家は空っぽにされていたそうな(中学生にもなっていてまったく覚えてないわたしもほんとにとろい)。
   それで、金沢にいるのだからと位牌と仏壇だけ押しつけられた父でしたが、「このお鈴(ちーんと鳴らすあれね)は金無垢だ、これだけもらえればいい」と強がってました。いや、あのタケノコ生活を先取りしてた没落の日々、いくら熱心な真宗門徒だからって、そんな値打ちもん手放さないで持ってるわけないって。たぶん二束三文だったでしょう。
   母はいまだに言いますよ。帰ってきたら家が空だったって。ご近所の笑いものだと言って。
   まあまあ。
   そういう母を使うだけ使い倒して祖母は感謝の一言もなかったかというと、
   「はむちゃん、あんたはよく仕えてくれたね」といって、病室に持ち込んで、枕の代わりに頭の下に敷いていたハンドバッグを最後にくれたのだそうで。
   「そんなこ汚いバッグ要らんわと思ったけど一応ありがとうって貰っておいたわいね」

   ところが、家捜ししたのには訳があって、祖母の全財産をいれてあった貯金通帳が見つからなかったのだそうです。探して探して喧嘩して、とうとう伯母が母に、
   「はむちゃん知らんかいね」と照会して、まさか、とその肌身離さなかったハンドバッグを開けてみたら、そこに求める通帳が印鑑つきで入っていたとか。

   「そんなん気持ち悪い、要らんわね」と、素直に提出して、伯母達は大喜びだったそうです。
   おかん、そこは貰っておけよ!

   その話を聞いたとき、すぐさまわたしは絶叫したんですけど。

   「なんで? 気持ち悪い、あのひとからのものなんてなんも要らんわ」

   それが戦中派の矜持なんですかねえ。

   母にはどうも人間として負けてる気がします。

   タイマーがさっき鳴りました。もう煮えたかな? それでは少し横になります。

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コメント

高潔という言葉が浮びました。

お母様が耐えてこられたのは、毒を吐いてガス抜きできる娘さんがいたからで…

何もいらないと思えたのは、きっとプラスαの必要が無いくらい幸せな家庭があったからなんじゃないかな?

投稿: 姫 | 2010年1月20日 (水) 23時14分

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